東方Project二次創作
宵闇奇譚
【第一話始まり】
早朝8時
いつもなら気持ちの良い、もしくは仕事の始まりを迎える気だるい朝
その日もそんな当たり前の朝を迎えるはずだった
しかしその日は8時と言う時間帯にも関わらず空は夜の帳を拡げていた
空は暗闇に包まれ、星明かりで僅かな光しかなかったのだ
人里から離れた博麗神社の境内に、箒を持ったまま夜空を見上げる博麗の巫女、博麗霊夢はただならぬ気配を感じていた
「これは異変?」
これほど分かりやすい変化、異変の兆しも珍しい
珍しいすぎて異変なのか、どこかの妖怪に悪戯なのか戸惑ってしまうほどだ
これは異変か?しかし霊夢の脳裏にある妖怪が思い浮かぶ、黒を基調した服、白いブラウス、いつも目的も無く森などを闇を纏ふよふよと浮きながら移動しつつ、人喰い妖怪を自称しながらも面倒臭いと人を襲わない妖怪
特徴的な金髪に赤いリボンを付けた宵闇の人喰い妖怪ルーミア
ルーミアの持つ闇を操る程度の能力、それを使えばこのくらい悪戯できそうな気がする
はぁ、とため息を着いて箒を片付ける
これがルーミアの悪戯なら見つけ次第拳骨1発ですむ
何でも腕力で済ませる暴力巫女!など言われるかも知れないが、そしたら追加の1発を食らわすだけだ
そう思い納屋から出ると、そのルーミア本人が腕を組んで立っていた
しかしいつもと雰囲気が違う
「おはよう、博麗の巫女
結論から言うとこれは私の仕業ではない」
霊夢がルーミアを見てあまりの雰囲気の違いに呆然としていると、ルーミアが続ける
「代々博麗の巫女と言う奴らは、問答無用で1発殴ってからお前が犯人か?と聞く
普通犯人だと確証を得てから殴らないか?
しかも誤解が解けても、普段の行いが悪いあんたのせいだと謝りもしない
だから妖怪からすら、妖怪よりも妖怪らしい妖怪巫女など言われるのだ」
やれやれと肩をすくめるルーミア
「だっ!誰が妖怪巫女よ!
これはあんたの仕業じゃないの?」
「よく空を見ろ?
これは夜だ
私のは闇を操る程度の能力
夜と闇では意味が違う」
しかし普段のルーミアとはまるで違う
見た目は同じなのに、纏う雰囲気、喋り方、仕草までが別人だ
普段のルーミアはよく言えば無邪気で能天気
悪く言えば周りに興味が無く、怠惰な性格をしている
言葉は通じるが意思の疎通が出来ているか不安な程だ
しかし目の前のルーミアからは、言葉からは知性を感じ、理性的ですらある
「幻想郷の賢者八雲紫に伝えておけ、これは夜を操る程度の能力、もしくはそれに準ずる能力を持った奴の仕業だとな
決して私じゃないから隙間から現れ、問答無用でいきなりぶん殴り、人の話も聞かずに散々説教かました後に誤解だと分かって逆ギレしに来るなとな
・・・つか、お前らそっくりだな?」
ルーミア自身、やや呆れた口調になっている
「誰が紫にそっくりよ!
てかあんたホントにルーミアなの?」
その言葉にルーミアがやや考え込む
「自分語りは嫌いな質でね
私の事は八雲紫か上白沢慧音にでも聞いてくれ
私が言っていたと言えば大丈夫だろう」
「まぁなんか怪しいけど分かったわ」
「妖怪なんだから妖しいさ」
ルーミアは妖しく微笑む
「なんか字が違う妖しいじゃない?それ?」
「それと2つ忠告だ
霊夢は夜が始まった時間には起きていたらしいが、異変解決まで寝るなよ?
普通は夜に寝たら朝になるまで起きないものだ
私も寝た子を起こす為にこんな事をしている」
霊夢の顔色が変わる
「つまり今寝ている人達は、この異変が終わるまで起きない?」
「多分な
私は直接手を貸せない
貸すだけの力が無い
その代わりに人里の白城都と言う娘がいる
霊夢が来たら力を貸すように言っておいた
困ったら使ってくれ」
「都ちゃん?あの子戦ったりできるの?」
「できるさ
下手したら人間でもかなりの上澄みだぞ
ただ誰に似たのか極度の面倒臭がりでな
普段は力を隠している」
霊夢はここぞとばかり悪い顔を浮かべて「あんたそっくりじゃない?」と呟いた
「そーなのかー」
「こんな時だけ、いつも調子で誤魔化すな!!」