宵闇奇譚   作:シュウ2026

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第18話

東方Project二次創作

宵闇奇譚

「第18話 天の岩戸伝説」

 

ルーミアと都、パチュリーはレミリアと飯綱丸が会議している部屋まで来ている

部屋の前には美鈴と椛が警備している

 

「美鈴、犬走、レミリアと飯綱丸は中か?」

 

美鈴が「はい、お二人は会議中です」と答える

椛は黙ってこちらを見ていた

 

「この異変を起こした黒幕らしき者が分かった

まだ確定ではないが、有力候補だろう

二人に会わせてくれないか?」

 

美鈴が頷き椛を見ると、椛は部屋をノックして、部屋の中から出てきた咲夜に美鈴が内容を告げる

 

「どうぞ」

 

咲夜がルーミア達を部屋に招き入れる

部屋に入ると飯綱丸とレミリア、それに咲夜の他にいつの間に来たのか姫海棠はたてが居た

姫海棠はたては射命丸文のライバル的存在で、別々に新聞を作っている

文の作る新聞である文々。新聞がゴシック中心の娯楽性の高い新聞であるのに対して、はたての花果子念報は客観性に優れた新聞である

 

「宵闇、今回の黒幕が分かったらしいわね?」

 

レミリアの問いにルーミアが頷く

 

「夜神楽舞と名乗る者が黒幕で間違いない」

 

「夜神楽舞?聞いた事がありませんが?」

 

飯綱丸か首を傾げる

 

「二人とも外の世界、博麗大結界の外の国を知っているか?」

 

「私は当然知ってるわよ

日本でしょ?」

 

ルーミアはレミリアの言葉に頷く

知っていて当然だろう

レミリアは幻想郷入りする前は外の世界に居たのだから知っていてもおかしくない

 

「黒幕の名前は夜神楽、日本で神楽とは神に奉納される踊りの事を指す言葉だ

日本の高千穂と言う地方には、夜神楽と言う神楽が実在する

神楽の内容は天の岩戸伝説」

 

「天の岩戸だって!?」

 

飯綱丸が驚いた声を上げる

ルーミアが頷くとレミリアが「それはどう言う伝説なのよ?」と首を傾げた

 

「弟である須佐之男命の乱暴に心を痛めた姉の天照大神が天の岩戸に引き篭もってしまう話だ

天照大神は日本神話の太陽神でな

引き篭もってる間はずっと夜だったって話だ」

 

「あっ!?今の状況と同じ?」

 

「そう言う事だ

今回の黒幕は天照大神の可能性ある

少なくとも関わっているのは間違いない

夜神楽舞と言うのは正体を隠す為の仮の名前だろう」

 

レミリアと飯綱丸は考え込んでいる

 

「今回の件、霊夢と魔理沙には外れて貰いたい

ついでうちの都にもな」

 

ルーミアの声に飯綱丸とレミリアは同意する

 

「何故ですか?ルーミアさん!」

 

「今回の件は外の世界からの侵略なんだ

弾幕ごっこでは済まない

霊夢と魔理沙はこれから幻想郷には必要な奴らだ

今の幻想郷は種族問わず普通に接する二人の影響で微妙なバランスで安定しているとも言える

これは長い幻想郷の歴史でも珍しい事なんだ

都、お前は単純に実力不足だ

愛弟子を死地に送る師匠はいないよ」

 

都は黙り込む

納得出来ないと顔に書いてある

レミリアが都に話しかける

 

「都、私は貴方を気に入っているわ

近い将来、咲夜の右腕になって欲しいと思うくらいにね

だから今回は大人しく私達に任せてくれないかしら?」

 

 

意を決した表情をして都が話し出す

 

「霊夢さんや魔理沙さんがこれからの幻想郷に必要な人だと言うのは同意します

確かに私は弱いです

実力が足りないのも承知してます

だからこそ強い方とは違う視点があります

無自覚な弱さは弱点でしかないですが、弱さは自覚さえすれば、武器になると思います

それに私は早い、偵察や伝令役もできます

私は皆さんの役に立てます」

 

都は熱心に訴える

ルーミア、レミリア、飯綱丸の三人は顔を見合わせ考え込む

 

「いいんじゃないかしら?

その子もこんなに言ってる事だしね」

 

いつの間にか都の後ろに立てっていたのは、幻想郷の賢者八雲紫だった

その声、微かに漏れる妖気を感じ取った瞬間、都は大きく飛び退き振り返ると臨戦態勢を取っていた

額から冷や汗を流して、紫を凝視している

 

「あら?やはり筋がいいわね

ルーミアの教育の賜物かしら?」

 

都の行動を楽しそうに笑いながら見ている紫

しかし都は臨戦態勢を解こうとしない

 

「落ち着け都

こいつは幻想郷の賢者、そして管理者の1人八雲紫だ

敵ではないよ」

 

ルーミアの言葉にやっと臨戦態勢を解く都

 

「失礼しました

ルーミアさんの弟子の白城都です」

 

頭を下げて非礼を詫びる都、しかしその眼からは警戒心は消えてない

 

「いいのよ

人間が人食い妖怪を目の前にしたら、当然の反応だわ

霊夢や魔理沙よりも危険に鋭いんじゃないかしら?」

 

都は首を横に振り「それは違います八雲様、お二人よりただ臆病なだけです」と答える

 

「あらあら、ちゃんと敬語も使えるなんて感心ね

それに臆病な事を言い訳に逃げるんじゃなく、受け入れ戦おうとするなんて立派じゃない」

 

「しかし弱者の視点なら私もあるぞ?

偵察や伝令なら文がいる

文は自称幻想郷最速だ」

 

ルーミアが都に言い返す

 

「師匠の言葉を返すのは申し訳ないですが、ルーミアさんは元は強者です

今は弱者だと言いますが、基本的に強者の視点です

完全な弱者の視点ではありません

私はルーミアさんから弱さも武器になると教わった弱者です

強者と弱者では視点は違います

見える風景が違うのです

それは戦略的に意味があるのではないでしょうか?

これは弾幕ごっこではなく戦争なら、複数の戦術的視点は重要です」

 

都の決意は揺るがない

本来都はこの異変には無関係だ

でも師匠であるルーミアが戦場に向かうつもりでいる

弟子である都だって無関心ではいられない

白城家の人間は、情に厚い人が多い

怠惰で面倒くさがりの都ですら、師匠であるルーミアが戦場に行くなど聞いたらほっとけない

そう言う家系なのだろう

 

「ルーミア、愛弟子なんだから信じてあげたら?」

 

紫がルーミアに言う

 

「紫・・・1つだけ言っておこう

何を企んでるか知らんが都に妙な手出しをしたら、お前とて許さんからな」

 

紫は肩を竦め、やれやれと言った表情で首を振る

 

「人聞きが悪いわね

私が手を出すのは都じゃなくてルーミア

貴方自身、封印を解きに来たのよ」

 

そのに言葉「断る」と即答するルーミア

迷いなど一切無い

 

「チビが消える可能性がある

幻想郷のルーミアはもう私ではなく、チビの方だ

私は既に過去の遺物でしかない 」

 

「夜神楽と言う名前から、天照大神まで結びつける知識量と大局を見る戦略眼

魔理沙、フランドールを使いこなし、たった二人で大群を包囲殲滅する戦術能力

そこに過去のルーミアの実力が加われば、それこそ無敵じゃない」

 

「チビが犠牲になるなら御免こうむる

忘れたのか?

私から何かを奪おうとするなら、それなりの覚悟が必要だと言うのを

こんなナリをしてるが、刺し違える覚悟で貴様の腕1本くらいどうにかなるぞ」

 

「貴方こそ忘れたの?

私はこの幻想郷を守るためならどんな犠牲も厭わない

私の腕1本?欲しいなら持っていきなさい

それで過去の大妖怪が戦力になるなら安い買い物だわ」

 

既に二人は妖力を隠すこと辞め、見つめ合っている

一触即発の睨み合い、レミリアや飯綱丸ですら固まるほどの重圧

普通の人間なら発狂して精神崩壊を起こす程の妖気のせめぎ合い

 

「逆に聞くわ

今の貴方に何が出来るの?

弱いくせに」

 

「弱くても出来る事はある

それならやるべき事をやるだけだ」

 

その瞬間、ルーミアはしまった!と言う顔をして、それを見た紫は満面の笑みになる

 

「言質と~った

都、良かったわね

ルーミアといっしょに戦えるわよ」

 

都は理解出来ずにきょとんとしてから「あっ!?」と声を上げた

 

「紫!貴様謀ったな?」

 

ルーミアは物凄い形相で睨みつけているが、紫は何処吹く風だ

 

「論戦では騙される方が悪いのよ

それに都は騙し討ちとは言え、紅魔館の門番である紅美鈴を倒せる実力があるのよ?」

 

「都が?美鈴を?」

 

ルーミアが美鈴を見ると、美鈴は無言で頷く

 

「都の戦い方を簡単に言えば初見殺し

自分の弱さを逆手に取り相手の慢心を誘い、不可避の一撃を演出する術を身につけている

都自身の能力も相俟ってね

それが実戦でどれ程有効かなんて、貴方が1番分かっているでしょう?

私は逆によくぞここまで仕込んだと思うわ

実力不足?なら実戦で経験積んで強くなればいいのよ

ルーミアは昔から過保護すぎるんじゃない?」

 

実戦において初見殺しが有効なのは本当だ

何故なら再戦の可能性を潰せる

日本史で言えば明治維新の時の示現流が良い例だろう

示現流の対処法は理屈の上では難しくない

初撃に全てを賭ける示現流

その対処は新撰組の近藤勇が隊士達に徹底したように、全身全霊を賭けて打ち込んでくる初撃を全身全霊を持って回避する事

それだけだ

全身全霊の一撃を回避してしまえば、打ち込んだ方は必ず死に体になる

そこを狙って打ち取ればいい

下手に受けよう、捌こうとせずに回避しカウンターの狙う

言葉にすれば簡単だが、実践するのはとてつもなく難しい

自分だけでなく相手に常にDead or Aliveを強いる示現流の気迫に飲まれてしまえば負けは確実

相手を確実に倒せれば情報の漏れは最小限に抑えられ、対処法はバレない

初見殺しとは対処法がバレない限り、とてもなく有効なのだ

都に相手を殺す事は難しいだろう

それなら捕らえてしまえばいい

戦った相手を戦線復帰できない状態にして、情報の漏洩を最小限に抑える事さえ出来ればいいのだ

 

「紫・・・お前は楽観的すぎる

強くなる前に討ち取られらどうする?」

 

「なら霊夢とミスティアを常に都と行動させなさい

実力的には近く実戦経験豊富な霊夢なら、都の良いお手本になるわ

霊夢はドライに見えるけど、味方を見捨てる事はしないしね

それにミスティアの歌には相手を惑わせる効果がある

冷静さを失ってる相手なら、都なら上手くやるわ

だって紅魔館の門番を真正面なら正々堂々と騙し討ちする程に肝っ玉が据わってるのよ?

実力差があっても、とち狂ってる相手に遅れを取る玉じゃないわ」

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