愛するNPCが現実化したら勝手にギスギスし始めた挙句バカ重い責任が生えてきた話   作:フォン・デ・ペギラパギラ

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[ ASIM / RESTRICTED INTERNAL USE ]
STRICTLY CONFIDENTIAL / SPSB-0
 
取扱区分:極秘(STRICTLY CONFIDENTIAL)
開示制限:総帥、または総帥より明示的に権限付与された者に限定
文書状態:現行運用版(暫定)


ASIM-SPSB-CL-0447:機密個体プロファイル(ツァン)

【1.個体識別情報】

 個体識別番号:ASIM-EPAB-00-036

 

 本個体は、超常統合管理機構(Authority for Supernatural Integration Management、以下ASIM)において登録された特別要員のうち、外界調停局(External Pact & Provider Arbitration Bureau、以下EPAB)に所属する幹部級個体である。

 識別番号末尾の連番「036」は、同局における登録順序を示す管理番号である。

 

 名称は「ツァン・ロン」。通称「ツァン」。

 

 外見年齢は十代中間から後半相当と推定されるものの、実年齢、出生、発生経緯はいずれも不明である。

 

 なお、伝承資料および魔導科学総合研究院(Institute of Arcane & Applied Sciences、以下IAAS)概念解析班の照合報告に基づき、本個体の存在年数は文明暦の複数世代にわたるものと推定されている。*1

 

 性別は女性。身長は約160cm。

 

 本個体の帰属経緯について以下に概括する。

 本個体がASIMに帰属した契機は、ASIM最高武威官グラオルディア=ウル・ジドラ=エンドラグニル=カタストロフ(以下「グラ」、識別番号:ASIM-IACA-00-089)の存在に起因する。

 本個体は、グラが管理していた財物・概念遺産の収奪を目的として接触を試みた結果、グラの帰属先であるASIMと接触するに至った。

 自発的にASIMへの帰属を選択したが、その当初の意図は略取であったことを自らも表明し、その後も継続して所属の意を示している。

 なお、所属継続の動機について本個体は公式には「宝主に相応しき器を見出した」と述べている。*2

 

 

【2.所属および役職】

 本個体はASIM外界調停局(EPAB)に所属し、現在は副局長ならびに文化財・宝物認定課課長を兼務している。

 

 EPAB局長職はアーティフェル=グリムロード(以下「アティ」、識別番号:ASIM-EPAB-00-092)が務めているが、本個体は同局の実質的な戦略立案者として機能しており、外交方針の策定、交渉文書の草案作成、情報分析に基づく対外戦略の構築において中核的役割を担っている。

 これはアティの特性*3および同局着任時期の差異を補完する形で自然発生的に確立された役割分担であり、総帥の暗黙の了承のもとに運用されている。

 

 兼務する文化財・宝物認定課は、本個体の龍種としての特性に基づき設置された部署であり、ASIM管轄下の物品・概念遺産・文化的価値物の鑑定、分類、保全管理を担当する。当該業務における本個体の鑑定精度は極めて高く、他に代替可能な人員は確認されていない。

 

 

【3.外見的特徴】

 本個体は、薄翡翠色の毛髪および橙色の虹彩を有する。

 毛髪は光沢を帯びた質感を持ち、肩口にかけて緩やかな弧を描く形状を呈する。

 虹彩は宝石に類する質感と光の屈折を示し、通常の生体組織とは異なる構造が推定されている。

 体格は細身かつ均整のとれた少女型であり、白色の肌は職員間において「神殿の大理石を想起させる」と形容される事例が記録されている。

 

 なお、頭部には翡翠の光沢を放つ二対の角状突起が確認されており、腰部には同色の尾状付属器官および背部に小型の翼状付属器官が認められる。耳介は尖端形状を呈する。

 これらの身体的特徴は、本個体が龍種に分類される根拠の一部をなしている。

 

 常時着用する衣装は、東方儀礼装に類似した白色の薄布を主体とする装束であり、前掛けに近い構造で肩部、体側部、腰部に至るまで広範に露出する意匠を有する。当該衣装は総帥裁可により支給されたものであるが、本個体はこの露出度の高い意匠を自身の美への自負の表れとして積極的に受容しており、変更の意思を示した事例はない。

 

 動作・言動の一つ一つに、周囲の空気が澄み、音が澄明に響くような威厳の変化が伴うことが複数の職員により報告されている。これは龍種固有の存在圧の発露であると推定される。*4

 

 

【4.性格および行動特性】

 本個体の行動原理は、他の幹部級個体と比較して最も複層的であり、単純な忠誠モデルでは記述しきれない構造を有する。

 

 ASIM総帥個人に対しては、「宝主(ほうしゅ)」「わらわの宝」等の呼称を用い、強い執着と愛着を示す。本個体は総帥に対して積極的な接近を試みる傾向が顕著であり、誘惑的な言動、身体的距離の意図的な縮小、総帥の関心を独占しようとする行為が恒常的に観察されている。

 ただし、これらの行動は龍種としての求愛様式に近く、当人は慣れた振る舞いとして遂行しているものの、その精度には不安定さが認められる。総帥の視界内においては無意識に自身の外見や所作を整える行動も頻繁に確認されている。

 本個体の特性(すなわち、価値あるものを「所有し、管理し、秩序のもとに固定する」という本能的衝動)に照らせば、これらの行動は一貫している。本個体にとって総帥は「最も美しい宝物」として位置づけられており、その帰属関係を確定的かつ不可逆的なものとして確保しようとする傾向が認められる。

 

 組織運営に対しては高い関与意欲を示し、特にASIMの対外的な秩序構築、権益確保、およびそれらの制度化に強い主導意識を持つ。

 一方で、本個体は秩序を愛する一方、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()が確認されている。この柔軟性は外交実務においては有効に機能するが、内部統制上は留意を要する特性である。

 

 対外的な言動は優雅かつ高圧的であり、古風で格式を帯びた語調を用いる。

 他の幹部級個体に対しては、総じて「総帥の傍に在る権利を争う競合者」として認識している節があり、特にグラ(ASIM-IACA-00-089)に対しては、強い敵意および嫌悪を恒常的に示す。

 

 なお、上記の対人傾向にもかかわらず、本個体は下位職員や庇護対象に対して面倒見のよい指導的態度を取ることがあり、自身が負う必要のない責任を引き受ける事例も確認されている。この行動は本個体の自己認識とは乖離しており、無自覚に発揮される特性であると評価されている。

 

 

【5.能力・戦闘関連情報】

 本個体の種族、能力、戦闘特性、装備、固有技能、ならびにそれらに付随するすべての情報は、軍事最高機密区分に指定されており、ASIM内部規定に基づき本プロファイルから除外されている。*5

 

 ただし、組織安全上の観点から、以下の概括的記述のみ本書への記載が許可されている。

 本個体は龍種のうち、伝承上「繁栄の龍」として参照される系譜に属する、「隆盛と文明」の概念を体現する存在であると推定されている。

 古代の石碑、律令、詩歌において"繁栄の吉兆"と謳われた形跡が複数の文明圏で確認されており、本個体の存在が文明の興隆と相関関係にあったことを示す記録が残存している。

 

 本個体の潜在的影響範囲は、暫定評価において大陸規模に及ぶものとされている。ただし、本個体の能力特性は直接的破壊ではなく、強化・弱体化・概念操作・財物再現など多岐にわたる応用型であり、単純な戦力指標の評価は困難である。

 

 詳細は、以下の文書群にて管理されている。

 参照文書番号:ASIM-IACA-008-0001〜0012

 文書区分:CLASSIFIED INFORMATION / IACA

 管轄:統合武力管理庁 戦力評価統括課

 

 

【6.心理傾向・内部リスク評価】

 当該情報は、組織運用上の重大なリスク情報であると同時に高度個人情報に該当するため、指定機密区分に分類されている。*6

 ただし、組織安全上の要請に基づき、以下の概括のみ本書への転記が認められている。

 

 本個体の心理構造の根幹には、「美しいもの、価値あるものは、努力しなければ確実に失われる」という確信が存在すると評価されている。

 この確信は、本個体が数多の文明の隆盛と衰退を直接観測してきた経験に由来するものと推定される。本個体にとって「所有」「支配」「制度化」は、感情の保全技術としての意味を持つ。

 

 上記の心理構造は、現時点ではASIMの組織運営に対して正の機能を果たしている。しかし、特定の条件下においてリスクが顕在化する可能性が指摘されており、組織運用上の重大な不安定要因として継続的に監視を行っている。

 

 当該リスクの詳細評価および対応計画については、以下の参照先文書を確認のこと。

 参照文書番号:ASIM-PSY-00-073

 文書区分:EYES ONLY / SPSB-0

 管轄:総帥付特別近衛保全局 内部評価班

 

 

【7.総合評価】

 本個体は、ASIMの対外戦略および文化資産管理において不可代替の中核を担う存在である。

 外交実務における戦略立案能力、龍種としての鑑定・保全能力、および下位職員への指導的関与はいずれも高水準にあり、組織的貢献度は幹部級個体の中でも上位に位置する。

 

 一方、本個体の支配欲・所有欲・秩序への固執は、総帥との関係性が安定している限りにおいて有効に機能するが、当該関係性に動揺が生じた場合、組織内部の権力構造に対して意図的な介入を試みる可能性が否定できない。

 また、グラとの間に存在する概念的対立は組織の安定性に対する潜在的脅威であり、両個体の接触頻度および対立強度について継続的な管理が必要である。

 

 本個体の運用にあたっては、その能力を最大限に活用しつつ、総帥との関係性の安定維持、および組織内における権限範囲の適正管理に留意する必要がある。

 

 

補遺:伝承整合性に関する注記

 本個体の名称および属性について、複数の文明圏より伝承・碑文・律令・詩歌が回収されており、魔導科学総合研究院(IAAS)概念解析班が照合作業を継続中である。現時点で一致率の高い伝承名は以下のとおりである。

  ——『繁栄の龍』

  ——『隆盛の吉兆』

  ——『文明に冠を授ける者』

 いずれの伝承においても、本個体に相当する存在は「人の文明の隆盛と共に在り、文化を慈しみ、知恵と秩序を与えた」と記述されている。現在の行動特性(秩序への志向、美と価値の保全への執着、制度構築への関与意欲)との整合性は極めて高い。

 

 なお、同一の伝承群において、本個体に相当する存在とグラに相当する存在は対概念として記述される事例が多く、両者の共存は「隆盛と滅亡の並立」として世界の均衡に関わる象徴的意味を持つとされている。

 両個体が同一組織に帰属している現状は、いかなる伝承にも先例が確認されていない。

*1
詳細は本書補遺を参照のこと。

*2
内的動機の詳細は本書6項の参照文書に記録されている。

*3
当該個体のプロファイルは作成完了後、ここに参照を挿入予定。

*4
同種の現象はグラ(ASIM-IACA-00-089)においても確認されているが、性質は異なる。詳細は本書5項の参照文書を確認のこと。

*5
本項は所管部署より概要反映の要請を受けており、関係部署間にて一部情報転記について継続的に検討されている。

*6
当項について本プロファイルへの一部情報集約を要求されており、機密区分および個人情報保護規定との整合性を踏まえ、管理部署間協議および当該個体への確認について継続的に検討されている。




— End of Document —
ASIM-SPSB-CL-0447 / Rev.1.0
Document Status:Active
Managed by:Special Protective Security Bureau 0
 
 改訂履歴:
 Rev.1.0 新規作成(重要ステークホルダーからの情報開示要請対応 ※本書は外部開示資料作成のための内部参照文書である)
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