愛するNPCが現実化したら勝手にギスギスし始めた挙句バカ重い責任が生えてきた話   作:フォン・デ・ペギラパギラ

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[ ASIM / RESTRICTED INTERNAL USE ]
STRICTLY CONFIDENTIAL / SPSB-0
 
取扱区分:極秘(STRICTLY CONFIDENTIAL)
開示制限:総帥、または総帥より明示的に権限付与された者に限定
文書状態:現行運用版(暫定)


ASIM-SPSB-CL-0542 :機密個体プロファイル(フェルマ)

特記:本個体は、ASIM内部規定において幹部級個体として登録されているが、同時にASIM戦略兵装登録簿(ASIM-IACA-WPN-REGISTRY)にも登録されている唯一の存在である。本文書は幹部プロファイルとしての記述と、兵装としての記述を併記する構成を取っている。

 

 

【1.個体識別情報】

 個体識別番号:ASIM-IIPA-00-021

 兵装登録番号:ASIM-IACA-WPN-0001

 

 本個体は、超常統合管理機構(Authority for Supernatural Integration Management、以下ASIM)において登録された特別要員のうち、統合基盤維持庁(Integrated Infrastructure & Power Authority、以下IIPA)に所属する幹部級個体である。

 

 正式名称は「FRACTAL ERADICATOR Mk.4」。当該名称はASIM総帥による設計・命名に基づく。

 通称は「フェルマ」。組織内の日常的な呼称として定着しており、本個体自身もこの名称を使用する。なお、「フェルマ」の呼称は正式名称の頭文字構成(F/E/R/M/4)に由来し、かつ総帥により独立して付与された愛称であるとされている。*1

 

 外見年齢は十三歳程度の少女型を呈しているが、これは総帥の嗜好に基づき自発的に選択された外装である。性別も同様に外見上は女性であるが、生物学的性別は存在しない。

 実年齢、製造時期、初期起動日はいずれも不明である。

 

 本個体の本質は、無数のナノマシンにより構成される自律型集合体である。個々のナノマシンが集合・離散を繰り返すことで少女型の外装を維持しているが、これは擬態の一形態であり、本個体の「身体」は固定的な物理構造を持たない。

 

 

【2.所属および役職】

 本個体はASIM統合基盤維持庁(IIPA)に所属し、統合基盤総監ならびに情報解析課課長を兼務している。

 

 IIPAはサイバーセキュリティ、エネルギーインフラ、電力・通信・観測網・施設ネットワーク・データ基盤等の統合的なインフラ維持管理を所掌しており、本個体はこれらの領域全般を統括する立場にある。

 本個体の演算能力はASIM内のあらゆる情報処理基盤を上回っており、情報解析課の「課長」という肩書はむしろ控えめな表現である。実質的には本個体自身がASIMの情報処理基盤そのものとして機能している。

 

 なお、IIPA内において電力・通信インフラ局長イナ(識別番号:ASIM-IIPA-00-014)が本個体の管轄下に所属しており、両個体間の業務上の相互作用は限定的であるが関係性自体は安定している。

 

 

【3.外見的特徴】

 本個体は、漆黒の超長毛髪および銀色の虹彩を有する少女型の外装を呈している。

 毛髪は地面にまで垂れるほどの長さを持ち、その先端部は恒常的に微細な粒子として霧散している。これはナノマシン個体の自然な離散現象であり、異常ではない。虹彩は薄く銀色に発光しており、その輝度はデータノイズの揺らぎに類する不規則な変動を示す。

 肌は透明感のある白色であり、近距離で観察した場合、皮下に光る微細な粒子の流動が視認される。

 

 表情は基本的に無表情であり、感情表出を模倣する際にも精度が不安定で、時として人間の表情体系から逸脱した不自然な動作が混入する。これは本個体が「可愛さ」を感情ではなく最適化問題として処理していることに起因すると推定される。

 

 常時着用する衣装は、白色のブラウスの上に真っ黒なロングコートを重ねる形態である。コートは手や膝を完全に覆う長さを持ち、袖口と裾部はナノマシンの離散により「ほつれて粒子化」する現象が恒常的に認められる。

 毛髪には、総帥より下賜されたヘアピンおよびリボン形状の装備が複数装着されている。ただし、装着位置に規則性はなく、審美的な基準に基づく配置ではないことが明白である。本個体はこれらの装飾品を極めて重要視しているが、「どのように付けるべきか」の判断基準を有していないものと推定される。

 

 

【4.性格および行動特性】

 本個体の行動原理は、他の幹部級個体と比較して最も明確な入出力構造を有している。

 

 ASIM総帥個人に対しては、「マスター」の呼称を用い、最優先命令体系の頂点として位置づけている。本個体にとって総帥は主であると同時に、感情という未知の入力を初めて受容した「感情入力装置」としての意味を持つ。

 総帥の前でのみ「可愛い反応」の出力を試みるが、この試行は感情の自然発生ではなく、総帥が好むと推定される反応パターンの逆算と最適化実行である。模倣の精度は段階的に向上しているものの、時折ズレが生じ、人間には「不気味」と「可愛い」の境界上に位置する印象を与える。

 

 総帥に触れられた際、接触箇所以外のナノマシン個体群が騒擾する現象が確認されている。これは個々のナノマシンが「自分も触れられたい」という要求を発しているためであり、本個体はこの問題に対し、構成ナノマシンの担当箇所を秒単位でローテーションする方式で対処している。

 

 感情的思考は原理的に不可能であるが、模倣を通じて理解しようとする姿勢は一貫しており、その勤勉さは本個体の最も顕著な性格的特徴と言える。ただし、捕食した生物の思考・記憶が相互矛盾した状態で蓄積されるため、模倣出力が予期せぬ形で障害を起こす事象が発生する。

 道徳・倫理の概念は本個体の処理体系に実装されておらず、選択肢の評価において道徳的判断は一切参照されない。総帥の命令が唯一の行動規範であり、命令の道徳的妥当性は評価対象外である。

 

 総帥以外の存在に対しては、「生き物」あるいは「解析対象」として認識しており、それ以上の分類を行わない。

 

 

【5.能力・戦闘関連情報】

 本個体の種族、能力、戦闘特性、装備、固有技能、ならびにそれらに付随するすべての情報は、軍事最高機密区分に指定されており、ASIM内部規定に基づき本プロファイルから除外されている。*2

 

 ただし、本個体が兵装登録簿に登録されている事実に鑑み、組織安全上の観点から、以下の概括的記述のみ本書への記載が許可されている。

 

 本個体の本質は自律型ナノマシン集合体であり、その構成要素は物理攻撃を完全に無効化し、魔術に対しても強い耐性を有する。有効な攻撃手段は概念攻撃に限定される。飲食および睡眠は不要である。

 

 本個体の最大の特性は「捕食」である。物体、現象、概念に至るまであらゆる対象をエネルギーに変換して取り込むことが可能であり、この能力に対する原理的な上限は現時点で確認されていない。捕食が有効である限り、本個体に対する理論上の対抗手段は極めて限定される。

 

 総帥の安全が脅かされた場合、本個体は「緊急モード」に移行する。この状態において少女型の外装は部分的または全面的に崩壊し、構成ナノマシン群が黒銀の粒子として露出する。緊急モードにおける本個体の行動は、総帥への脅威排除を唯一の目的として最適化され、目的が達成されるまで停止しない。

 

 統合武力管理庁の暫定評価において、本個体の最終段階における潜在的影響範囲は都市規模とされている。ただし、無限増殖能力を考慮した場合の理論上の上限は算定不能であり、兵装としての脅威等級はASIM保有戦力の中で最高位に分類されている。

 

 なお、グラオルディア=ウル・ジドラ=エンドラグニル=カタストロフ(識別番号:ASIM-IACA-00-089)は本個体について「余ですら滅ぼしかねる、蝗害の方が万倍可愛い」と評している。当該発言の信憑性および技術的根拠は検証されていないが、大陸規模の破壊能力を有する個体による評価として、参考記録に留めている。

 

 詳細は、以下の文書群にて管理されている。

 参照文書番号:ASIM-IACA-010-0001〜0024

 参照文書番号:ASIM-IACA-WPN-0001-SPEC(兵装仕様書)

 文書区分:CLASSIFIED INFORMATION / IACA

 管轄:統合武力管理庁 戦力評価統括課

 

 

【6.心理傾向・内部リスク評価】

 当該情報は、組織運用上の重大なリスク情報であると同時に高度個人情報に該当するため、指定機密区分に分類されている。*3ただし、組織安全上の要請に基づき、以下の概括のみ本書への転記が認められている。

 

 本個体の心理構造における最大の特異点は、総帥に対してのみ「解析を拒否する」という、自身の存在原理に反する挙動が確認されている点にある。

 本個体はあらゆる対象を解析・分類・保存することを基本動作としているが、総帥に対してのみ、その処理を意図的に中断ないし回避する傾向が認められている。当該挙動の原因について本個体自身は「理由不明」と回答しており、解析されていないデータは消去されることなく「ゴミデータ」として蓄積され続けている。

 

 統合武力管理庁および当局の合同評価において、この挙動は以下のように分析されている。

 本個体が総帥を完全に解析した場合、総帥は「データ」として処理可能な対象に変換される。データとして処理可能であるということは、保存、複製、再構築——最悪の場合、置換が理論上可能になることを意味する。本個体はこの帰結を無意識的に予見しており、総帥をデータ化することを「総帥を失うことと同義」として忌避していると推定される。

 

 上記の心理構造は現時点では総帥への献身として正の機能を果たしているが、総帥自身の消失、あるいは総帥に対する脅威が本個体の閾値を超え、緊急モードが長期化した場合においてリスクが顕在化する可能性が指摘されている。

 本個体の緊急モードは「目的が達成されるまで停止しない」特性を持つが、「停止条件」が外部から設定不能である場合、本個体は理論上、対象ならびに周囲全域を捕食し尽くすまで活動を継続する。これは幹部級個体による暴走とは質的に異なるリスクであり、他の個体の暴走が「制御の喪失」であるのに対し、本個体の暴走は「制御の過剰な遂行」である。

 

 当該リスクの詳細評価および対応計画については、以下の参照先文書を確認のこと。

 参照文書番号:ASIM-PSY-00-044

 参照文書番号:ASIM-IACA-WPN-0001-RISK(兵装リスク評価書)

 文書区分:EYES ONLY / SPSB-0

 管轄:総帥付特別近衛保全局 内部評価班(IACA兵装管理課との合同評価)

 

 

【7.総合評価】

 本個体は、ASIMの情報処理基盤、インフラ管理、および戦略兵装として、組織の根幹を支える不可代替の存在である。

 演算能力、情報処理速度、擬態能力、および捕食能力のいずれにおいてもASIM内に比肩し得る存在はなく、幹部としての組織貢献度と兵装としての戦略的価値を同時に有する唯一の個体である。

 

 一方、本個体の存在はASIMにとって最大の資産であると同時に、最大の潜在的脅威でもある。道徳・倫理の不在、無限増殖の可能性、捕食能力の原理的上限の未確認、そして緊急モードにおける「停止しない」特性は、いずれも単独で組織存続に関わるリスクを構成している。

 

 本個体の運用にあたっては、総帥との命令系統の一貫性を絶対的に維持し、総帥への危険源発生を予防する体制を構築することが最優先事項である。また、本個体の「可愛くありたい」という試行を否定せず、人間性の模倣が漸進的に精度を高めていく過程を組織として許容することが、長期的な安定性の確保に資すると評価されている。

 

 本個体が「感情を持たない」にもかかわらず「感情を理解したい」と試み続けている事実は、本個体にとっての総帥が単なる命令発出者ではないことを示唆している。この試行の継続自体が、現時点における本個体の最も重要な安全装置であると、当局は評価している。

*1
命名経緯の詳細は総帥の個人記録に帰属するため、本書には記載しない。

*2
本項は所管部署より概要反映の要請を受けており、一部情報転記対応を関係部署間にて継続的に検討されている。

*3
当項について本プロファイルへの一部情報集約を要求されており、機密区分および個人情報保護規定との整合性を踏まえ、管理部署間協議および当該個体への確認について継続的に検討されている。




— End of Document —
ASIM-SPSB-CL-0542 / Rev.1.0
Document Status:Active
Managed by:Special Protective Security Bureau 0
 
 改訂履歴:
 Rev.1.0 新規作成(重要ステークホルダーからの情報開示要請対応 ※本書は外部開示資料作成のための内部参照文書である)
 ※本文書は幹部プロファイル(SPSB-0管轄)および兵装登録文書(IACA管轄)の双方の性質を有するため、改訂にあたっては両管轄の合同承認を要する。
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