ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
「お出かけって俺とか?」
俺は突然訓練所に現れて、お出掛けに誘ってきたサムにそう質問した。
「はい、駄目…ですか?」
「いや、駄目って訳ではないのだが、何故俺なんだ?カフカとかエリオは?」
エリオは喋る猫と言う事でお出掛けにはあまり向かないかもしれないが、カフカは女性…つまりサムと同性だ。
俺なんかよりかは話しが合うと思うのだが…。
「エリオは…猫だし、カフカさんはその…今はそっとしといた方が良いかなって…。」
ああ、確かに今日のカフカは少し様子がおかしかったな。
なら、消去法で俺になるのは必然だな。
「別に良いが、何処に何しに行くんだ?」
「二相楽園って星で新しい映画が上映されるらしいの。だから一緒に見に行きませんか?」
二相楽園…。
何処かで聞いた名前だな…。
まあ、良いか。
俺もこの世界の映画は気になるし、気分転換に持ってこいだ。
「良いぞ、早速行くか?」
「はい!」
俺はサムの誘いを快く受け入れて早速二相楽園へと向かうのだった。
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『フンッ!下らねえ!俺は帰らせて貰う。』
『コラ!待ちたまえ。』
『うあああ!』
『さっきの悲鳴はサミュエルさんの悲鳴だわ。』
俺達は現在、二相楽園で今日から上映される映画を見ている。
ジャンルはサスペンス推理物だ。
今テンプレなフラグを建てたサミュエルと言う男が死んだ所である。
うーん、なんと言うか元々推理物を見ないから何とも言えないが、テンプレ過ぎて少しストーリーが薄味と言うかなんと言うか…。
今後の展開が容易に想像出来てしまう。
この世界の技術はかなり発展しているのに、エンタメの方はあまり進歩してないようだ。
流石にサムもこの内容の映画に一時間も拘束されるのは苦痛だろう。
そう思い隣の席に座るサムに視線を飛ばす。
「…は…わぁ…。」
…滅茶苦茶真剣に見てた。
そう言えば、サムは今まで兵器として戦ってきたから、こういう映画を見る機会は無かったのか。
成る程、人生初の映画なら、これだけ見入るのは仕方がない。
それから俺は映画を見ながら百面相をするサムをずっと見て暇を潰した。
場面が切り替わる毎に表情が迷子に成るサムがあまりにも可愛すぎて、見てて飽きなかった。
やがて、映画は終わり映画館の照明が明るくなる。
他の席に座っていた客達は一緒に見に来た友達や家族と共に感想を言い合いながら、映画館を出ていく。
各言うサムも映画が終わった直後に目をキラキラさせながら感想を言い始めた。
「あー面白かった。映画ってアタシ初めてだったから見ててずっとドキドキしちゃった…。」
…可愛い。
映画の感想を満面の笑みで語るサムが可愛い過ぎる。
俺はサムの可愛さに思わず頭を撫でてしまう。
「へ!?…穹さん?」
「あっすまない!映画の話をするサムが可愛くてな…つい。」
俺は困惑するサムに慌てて謝罪した。
流石に女の子の頭を勝手に撫で撫ではキモ過ぎたな。
反省しよう。
女の子の頭を撫でて良いのはイケメンだけだ。
あれ?…でも今世の俺はあの顔だけは良い狂人で有名なスタレの主人公だ。
だったら許されるのでは?
いやいや駄目だ。
例えイケメンでも許されん!
「そっそう…何…ですね。」
「ごめん、嫌だったよな…。」
「え?いや、別に嫌とかじゃなくて…ただ人に撫でられるのは初めてだったからビックリしただけで…。」
「…そうか。」
それからはお互いに気まずい雰囲気が流れてしまった。
どうしよう、この空気。
滅茶苦茶気まずい!
まあ、俺のせいなんだけど。
やっぱりここは空気を気まずくした俺が責任持って気の効いた事を言うべきか?
いや、言うべきかじゃない…言うんだ!
「「あの!」」
俺が口を開くと同時にサムも口を開き、俺達の声は綺麗に被ってしまった。
「あっえっと、そちらからどうぞ。」
「あっいや、俺は…やっぱりいいです。」
うおおおお!神よおおおお!何故あなたは私に試練を与えるのですううう!
俺は更に気まずくなった空気に内心で悶えに悶えまくる。
…死にたい。
「あっあの!」
「ん?」
こんなに気まずい空気に成っても直、サムは勇気を振り絞って必死な形相で俺に話し掛けてきた。
「海に行きませんか?…いや、行きましょ!」
「…何で?」
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サムの唐突な誘いにより俺達は映画館を後にして、近くの海に来ていた。
「こんな所にこんな綺麗な海があるなんてな。」
目の前に広がる海は青く澄んでいてとても綺麗だった。
この星の人間が自然をどれだけ大切にしているかがこの海を見て分かる。
「映画を見た後はこの海を見たいなって前から計画を立てていたんです。」
成る程な、確かにこの絶景は見ないと損だな。
「サムは海を見るのも初めてなのか?」
「…何度か見たことはあるけど、どこも戦いのせいで汚れてしまっていたから、こんなに綺麗な海は何だか新鮮です。」
「…そうか、ならこれからは沢山綺麗な景色見ないとな!山も川も雪もお前が見たい物を最高に綺麗な状態で見よう!」
「っ!?…うん!」
俺の言葉に今日一番の笑顔を浮かべるサム。
その笑顔の可愛さに思わずまた頭を撫でそうになる。
しかし、その瞬間突然海に大きな飛来物が墜落して、辺りに大きな轟音が響き渡った。
「なっ何今の!?」
「…見に行ってみるか。」
俺達は大きな飛来物が墜落した地点へと向かった。
するとそこには大きな列車が浅瀬に沈んでいた。
「これは何だ?」
「いや、アタシもそれが何だか…。」
目の前に沈む列車を前に俺達はただ呆然と佇む。
この列車は一体なんだ?
何で空から降って来た?
「その列車の名前は星穹列車。開拓の星神アキヴィリが作り出した。造物で銀河に敷かれたレールの上を走る列車よ。」
考えても答えが出ない事を頭でぐるぐると考えていると。
突然、
話し掛けてきた声の方に視線を向けると、そこには烈火の如く赤く染まった長髪を背中まで伸ばし、金の刺繍が施された白いドレスに、その上からコートを肩に掛けた服装をした女性がいた。
「え?…嘘だろ…。」
そう、目の前にいたのは…。
「突然話し掛けてビックリしたかしら?私は姫子。星間航行動力学の学者をしているの。よろしくね」
いずれ星穹列車のナビゲーターとなる姫子だった。