ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~   作:ひまなめこ

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17話 壊滅とのタイマン

「俺が何者か?そんなの決まってる…。」

 

帰寂は一瞬で俺の視界から姿を消して、そして俺の腹を蹴りあげた。

 

「ぐうっ!」

 

「俺は厄災だ。あらゆる星に壊滅をもたらすために生きている。」

 

早い!上に重い。

奴の攻撃に全く反応出来なかった。

 

「なあ、愉悦の申し子。お前は俺だ。」

 

「あ゛あ゛?」

 

俺は帰寂の言葉に青筋をたて、ドスの聞いた声で威嚇する。

 

 

「そんなに切れんなよ。一応根拠はあんだぜ。俺はこの宇宙の生命体を盤上の駒としてしか見てない。それに対してお前はこの世界の生命体をゲームのキャラクター…NPCとして見てる。ほらな?一緒だろ。」

 

「違えよ、俺はお前とは違って人の命を踏みにじったりしない!」

 

「いや、しただろ。たった今、この星の数億人の命をお前が殺したんだ。」

 

「っ!…。」

 

帰寂の言葉で思い出すのはさっき殺したヴォイドレンジャーの魂の感触。

数億人の魂が継ぎはぎにくっ付けられた歪な魂。

 

…何で気付けなかった?

もっと早く気付けていたら…、俺の無為転変で治せたかも知れないのに…。

 

「何度でも言うぞ、愉悦の申し子穹。お前と俺は同じだ。この世界の人間を人と見なさず、数えきれない命を奪った。俺達は同じ厄災だ。」

 

「違う!俺は…俺は!」

 

俺は帰寂に蹴られたダメージを反転術式で癒して、奴に飛び掛かり拳を突き出す。

しかし、俺の拳はいとも簡単に受け止められてしまう。

 

「ふん軽いな、腰が入ってないんじゃないか?」

 

「【捌】」

 

拳を受け止められるのは想定内だ。

俺は帰寂が俺の拳を受け止めると同時に【捌】を発動し、奴の腕を細切れにした。

そして、間髪入れずに奴の懐に入り、奴の身体に触れて術式を発動する。

 

「【無為転変】」

 

魂に直接ダメージを与えて一気に決着を付けようとするが、そこで異変に気付く。

 

こいつ、魂が空っぽだ。

まさか、本体じゃない!?

 

「お前、魂に直接攻撃出来るんだな。驚いたよ。でも、残念だったな。お前らの目の前にいるのは俺の劣化分身だ。この身体に魂はねえ。」

 

そう言って帰寂は腕を再生させて、俺の首を掴んで万力で締め上げてくる。

 

「ぐが!」

 

「「穹!」」

 

今まで戦闘に参加しなかった姫子とサムが俺を救出するべく帰寂に攻撃を仕掛ける。

 

姫子はスーツケースの様な物を円形の刃が付いたドローンに変形させて飛ばし、サムは変身せずにガジェットを剣の形に変形させて攻撃する。

 

しかし、その全てを帰寂は涼しい顔をして片手で弾き返した。

 

「きゃっ!」

 

「くっ!」

 

攻撃が弾かれた二人は反動で怯んでしまう。

そんな彼女達に帰寂は俺を締め上げた状態のまま、追い討ちをかけるように、二人の腹に重い蹴りをお見舞いする。

 

「がはっ!」

 

「ぐふっ!」

 

たった蹴り一発されどその一発は壊滅の使令絶滅大君の蹴り。

ノーガードで受けてしまった彼女達は何とか意識は保てているものの完全に動けない状態にまで追い込まれてしまった。

 

「愉悦の申し子と言えどこの程度か…。確かに珍しい技ばかりだったが、どれもパッとしねえ。興醒めだな。」

 

そう言って帰寂は俺を放して、今度は姫子に近付いて彼女の首を締め上げる。

 

「お前、姫子に何するつもりだ!」

 

「俺達絶滅大君の好物が何か知ってるか?人間の絶望だよ。お前達の前でこの赤毛の女をヴォイドレンジャーにする。お前らが変わり果てたこの女にどんな表情をするのか楽しみで仕方ねえよ。」

 

「止めろ!」

 

俺はボロボロな身体に鞭を打って立ち上がり、帰寂に掴み掛かる。

しかし、ビクともしない。

【赤燐躍動】で身体強化しても、【捌】を使っても傷一つつかない。

 

さっきよりも防御力が上がってる?

今までは全然本気じゃなかったのか。

これで劣化分身。

本体だと一体どれだけの力なんだ…。

 

こうしている内にも姫子の身体に帰寂の壊滅のエネルギーが注がれていく。

 

「あ…ああ…。」

 

「姫子!」

 

「…抵抗があるな。…チッ!開拓の力か。この女無意識の内に【開拓】の行人になってやがった。通りでヴォイドレンジャーに成らない訳だ。開拓に守られていやがる。」

 

そう言って帰寂は苛立った様子で乱暴に姫子を解き放す。

 

「姫子!」

 

俺は帰寂から離れて姫子の元に駆け寄る。

 

「大丈夫か?姫子!」

 

「…。」

 

気を失っている。

息はある。

死んでない。

 

「お前らにもう用はねえ、後は星穹列車を完全に破壊してお暇させてもらう。」

 

「…んな事させる訳内だろ!」

 

俺は姫子から離れて帰寂の前に立ちはだかる。

 

「サム、姫子を連れて出来るだけ安全な所まで離れてくれ。」

 

「そんな…アタシも戦う。鉄騎を纏えば多少は…」

「駄目だ、万が一姫子が起きて鉄騎の姿を見られたら大変な事になる。」

 

主に未来で、俺が星穹列車に乗車する際、俺が星核ハンターサムと一緒にいたと言う事実がノイズになる。

 

「だから、頼む姫子を代わりに守ってくれ。列車は俺が命に掛けても守るから。」

 

「…わかった。でも、死んだら許さないから。」

 

「ああ、()()する。俺は絶対に死なない。」

 

そうして、サムは未だに帰寂に蹴られたダメージから回復してない状態で必死に姫子を抱えてこの場から離れていった。

 

そんな彼女を見送りながら、俺は俺に縛りを課す。

命を掛けて帰寂と戦い星穹列車を必ず守る。

つまり、列車が破壊されれば死ぬ縛り。

絶対に死なずにサムの元へと帰る縛り。

二つあわせて必ず帰寂に勝つ縛り。

 

「初めようぜ、第2ラウンド。さっきまでよりかは一味違うつもりだ。」

 

「懲りねえ奴だな。こうなりゃとことんお前に壊滅をくれてやるよ。」

 

その言葉を火蓋に俺と帰寂のタイマンが始まった。

 

奴のがどんな攻撃をしてくるかは未知。

 

ゲーム本編ではまだ登場してないからな。

幻朧と風焔ならまだゲームで戦闘を見た事があるからマシだったのにな…。

いや、風焔が来たら終わりか。

 

兎に角相手の手札が分からない以上は迂闊には近付けない。

ここは先ず、【解】と赤血操術で距離を取りながら戦うのが一番だ。

 

「【解】」

 

俺は帰寂に向けて不可視の斬撃を放った。

放たれた斬撃は奴の胸元に命中し、勢い良く奴の血が吹き出る。

縛りのお陰か威力が上がってる。

十分ダメージを与えられている。

 

「飛ぶ斬撃しかも見えねえとは、器用だなお前。」

 

「この術式は御厨子。斬撃を飛ばしたり触れたものを細切れに出来る。」

 

ついでに術式の開示で威力をそこ上げする。

 

「良いのか?手の内を明かして。」

 

「それ相応のメリットがあるんだよ。【解】」

 

再び【解】を放つ。

さっきとは比べ物にならない程の威力とスピード。

流石の帰寂も今のを食らうとひとたまりもなく、上半身と下半身が綺麗に真っ二つに分かれてしまう。

 

「へえ、中々やるな。だが…。」

 

帰寂は自分の身体が真っ二つに成ったにも関わらず依然として冷静で、何事も無かったかのように上半身と下半身を繋ぎあわせて再生した。

 

「思ったりよりもやるな愉悦の申し子。今度は俺から行かせてもらう。」

 

「っ!」

 

その瞬間、帰寂の姿が俺の視界から消えたかと思うと、いつの間にか俺の背後に回っており、俺が反応する間もなく奴の重い蹴りが炸裂する。

 

「ぐう!」

 

俺は蹴られた勢いに乗って幾つかのビルを突き破りながらぶっ飛ぶ。

 

「赤血操術【血縄】」

 

血液を縄の様に伸ばして他のビルに引っ掛ける。

そして、吹き飛ばされた勢いを利用して回転し、方向転換して帰寂の元へ真っ直ぐ飛ぶ。

 

「【貫牛・憑依】」

 

十種影法術で真っ直ぐ突進する距離が長ければ長い程攻撃力が上がる式神貫牛を召還せず、その能力のみを引き出す。

 

そして、身体全身に最大出力のエネルギー強化を施して拳を突き出し、帰寂に突っ込む。

 

ドガンッ!!

 

辺りに巨大な爆裂音が響き渡り、俺が帰寂に攻撃を放った場所には巨大なクレーターが形成される。

 

しかし、帰寂は依然としてピンピンしていた。

 

「化け物が…。」

 

「お互い様だろ。」

 

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