ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
「鉄心、撃鉄、理想の果て、正義の守護者」
呪詞を唱えながら、俺の記憶にある限りの宝具と呪具を投影し、ストックしていく。
「何だ?この寂れた空間。ひょっとしてお前の墓場か?」
「俺の領域。俺の術式の生得領域を具現化したものだ。この領域内ではお前は俺に手も足も出ないぞ。」
「言うじゃないか。このみすぼらしい世界で何が…。」
その瞬間、帰寂の胸に数十本の剣が突き刺さった。
「な…に!?いつの間に、剣が飛ぶ姿も近付いてくる予備動作も無かった…。お前、一体何をした!」
「だから言っただろ。手も足も出ないって。この領域内では術式を付与された攻撃は必中になる。もう、お前の負けは確定してんだ。」
そう言って俺は次々と帰寂に向かって剣を飛ばす。
飛ばすと言っても次の瞬間には奴の頭や胸を貫いており、飛ばすと言うよりかは瞬間移動させているのに近いかもしれない。
容赦なく、絶え間なく次々と無数の剣が奴を貫く。
しかし、突然帰寂に向かって飛ばした剣が弾かれるようになった。
「必中でも必ずダメージを与えられる訳じゃねえ、こうやってエネルギーで全身ガードすればダメージは負わねえ!」
どうやら、壊滅のエネルギーを全身に纏う事で必中効果を付与された剣を弾き返してるようだ。
落花の情みたいな物か…。
まあ、そう来るのは想定内だ。
「【特級呪具・天逆鉾】」
この呪具の効果は術式の強制解除。
だが、この世界には俺以外に術式を使える者はいない。
しかし、術式を持っていなくても、言霊で人を支配したり、ブラックホールを出したり等特殊な技を使える者がいる。
そこで、俺は思ったのだ。
術式と言う括りが無いだけで、似たような技術はあるのだと。
ならば、術式で無くとも、エネルギー由来の技や能力もこの呪具の対象に成り得るのではないかと。
物は試しだ。
俺は天逆鉾を帰寂に向かって飛ばす。
すると、
「あがっ!?…な…何故?」
俺の予想通り帰寂の壊滅エネルギーを霧散させて、奴にダメージを与える事が出来た。
「くそが!もうこの際多少の被弾は仕方ない。元からただの分身だ。今はせめて刺し違えてでもお前を殺す!」
いつぞや、俺を押し潰そうとした不可視の引力を俺に飛ばしてきた。
それに対して俺は最強の盾でもって完全に防ぐ。
「【熾天
「なっ!?」
「これで終わりにしてやるよ。」
俺は今投影出来る最強の剣を投影し、構える。
「束ねるは星の息吹。輝ける命の奔流。受けるが良い! 『
その瞬間、俺の領域が崩壊し、【エクスカリバー】も消滅してエネルギーに還ってしまった。
「…くそ!エネルギー切れか。」
予想よりも消耗がかなり激しい。
後一歩だったのに…。
「は…ははっ、無敵時間は終わりか?なら、今までの借りを存分に返してやるよ!」
そう言って帰寂は俺に向かって不可視の引力を繰り出してきた。
くそ!
不味い。
領域展開をしたせいで、無限の剣製以外の術式も全て焼き切れちまった。
まだ、あの不可視の引力への適応も済んでない。
また、さっきと同じように押し潰されようものなら今度こそ俺は御陀仏だ。
…どうする?
この状況をどうやって打破する?
奴は今俺と同じで満身創痍だ。
きっと後一発で死ぬ。
だが、それはその一発が【黒閃】だった場合の話。
エネルギー切れで領域が解けた今、俺に残っているのは、さっき消滅した【エクスカリバー】からほんの僅かに還元されたエネルギーのみ。
打撃一発分だ。
もしこの一発を外したら、【黒閃】じゃなかったら俺の負け。
そもそも、奴の不可視の引力のせいでまともに近付けない。
ちくしょう!
《聞いて、私の穹に乱暴しないで貰えるかしら。》
その瞬間、聞き覚えのある声と共に帰寂の動きと不可視の引力が止まる。
「今よ、穹。止めを刺しなさい。」
カフカ!?
何故ここに…。
いや、今はそれよりもカフカが作ってくれたこの千載一遇を無駄にしてはいけない!
俺は動きが止まった帰寂に全速力で迫り、今出せる最大限の打撃を叩き込む。
そして、黒い火花は再び俺に微笑んでくれた。
「【黒閃】!!!」
「ぐうぅぅぅ!!!」
俺の【黒閃】が見事突き刺さり、帰寂は遠くへとぶっ飛んだ。
急いでぶっ飛んだ帰寂に追いつくと、奴の身体は灰のようにパラパラと崩れて今にも消滅する一歩手前だった。
「帰寂、認めるよ俺はお前だ。俺はお前を否定したかった。そんな分けないだろってな。だが、今は違う。ただお前を殺す。お前の本体も他の絶滅大君も全ての壊滅を殺す。アッハが何で俺をこの世界に連れてきたのか知らないし、それに意味があったのかは分からない。でも、たった今俺は俺の人生にお前達壊滅を壊滅させるための意味を見出だした。俺は壊滅を壊滅させる為の歯車だ。」
そして、俺は帰寂の前で目を瞑り、
移動した先には褐色の肌に白い髪を持つ全身から黄金の血が流れている傷だらけの男性の背中があった。
「ナヌーク!」
そう、目の前にいる男性こそ紛れもなく壊滅の星神ナヌークである。
俺はこちらに背中を向けて
「俺をよく
それだけ、言い残して俺の意識は現実に戻ってきた。
意識が戻った頃には帰寂の姿はもう無く、完全に消滅していた。
「よくやったわね、穹。まさかあの絶滅大君を倒すなんて。」
帰寂を無事に撃破した俺にカフカが近付いて俺を称賛してきた。
それにしてもカフカは何で二相楽園に来たんだ?
「カフカ、何でお前がここに?」
「エリオが突然かなり先の未来の脚本が塗り潰されたとか言って来たからその原因を探り来たのよ。まさか、絶滅大君が関わってるなんてね。」
「…この騒動の原因は俺でもある。俺のせいでこの星の人達は…。」
俺がこの世界に来たせいで、帰寂がこの星に目をつけた。
そのせいで、沢山の人が死んで、脚本も滅茶苦茶になった。
何もかも俺のせいだ。
「俺なんていなければ…、俺なんてこの世界に生まれなければよかっ…」
「穹、やめなさい。不快よ。」
俺の言葉を遮るように、カフカは俺に怒気をはらんだ声で諌めてきた。
「穹、あなたがいなければなんて二度と言わないで。あなたがいたお陰で救われた存在もいるのよ。」
「そんなの何処に…。」
「ここよ。」
「え?」
俺のやけっぱちな疑問に即答し、自分を指差すカフカ。
そんな彼女は俺の両頬に手を優しく添えて口を開く。
「私を見て穹。あなたのせいで失われた命よりもあなたのお陰で救われた存在に目を向けて。私はあなたのお陰で変われたの。あなたに救われたのよ。少しやり方に問題はあったけれど、それでもあなたに感謝しているの。」
カフカは俺を諭すように、慰めるように、俺の存在を肯定するように優しい言葉をかけてくれた。
「それにまだこの星の人達だって助けられるわ。」
「…何だと?」
助けられる?
俺が確かにこの手で奪った命を?
「どうやって?」
「エリオは【終焉】力で未来の可能を予見して数ある可能性の中から選ぶことが出来る。そうやって最善の未来の為に作られたのが脚本。でも、当然イレギュラーだって多少は発生する。その為の保険も当然用意しているのよ。」
カフカがそう言うや否や突如上空に真っ黒な煙を纏った怪しげな砂時計が現れて回転する。
「始まったようね。」
砂時計が回転した直後、今まで俺と帰寂が戦って壊れたビルがまるで
ビルだけじゃない。
人も俺が奪ってしまった命も元通りに戻っていく。
「これは…。」
「終焉の力よ。エリオが念のため用意していた保険。そう頻繁に使えるものでは無いけど、今回は緊急事態だからね。」
終焉の力…。
まさか、こんな隠し球を持っているなんて。
「さあ、帰るわよ穹。」
カフカは俺の手をとって優しく引っ張り宇宙船に戻ろうとする。
しかし、俺はその手を拒んだ。
「ごめん、カフカ。まだ帰れない。果たさなければならない約束があるんだ。」
「…列車の修理の件ならこれ以上の干渉は看過出来ないわよ。あれは姫子が一人で修理するのが正しい未来なの。ただでさえ今のあなたが彼女と接触しているのがかなりのイレギュラーなのだから。」
「分かってる、でも…。ならせめて別れの挨拶くらいはさせてくれないか?」
「…はあ、わかったわ。姫子は今彼女の家にいるわ。サムも一緒よ。別れの挨拶をしたら直ぐに戻ってくること良い?」
「わかった。ありがとう。」
そう言って俺は一度カフカと別れて、姫子に別れを言うために彼女の戻へ向かうのだった