ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
どちらもそれぞれ宿儺の指と星核と言う劇物を取り込んでいるし、そのための器として作られた人造人間的な存在だし。
やっぱりホヨバ側も意識のしているのかな?
カフカと名乗った女の前で俺はただ呆然と立ち尽くす。
「あら?さっきから微動だにしないわね、もしかして故障?今生まれたばかりじゃない。どういう事?エリオ。これも脚本の一部なの?」
呆然と立ち尽くしたまま動かない俺を見てカフカは困惑し、自信の足元にいる猫に話し掛けた。
「故障じゃない。彼はただ今の状況に混乱しているだけのようだよ。しかし、今の状況が脚本通りと言えるかは微妙だけどね。」
「どういう事?」
エリオと呼ばれた猫の発言にカフカは僅かに眉を潜めて疑問を口にした。
「彼の肉体が想定よりも成熟している。本来は子供の姿で生まれたであろう彼を君に育てて貰おうと思っていたのだけれどね。」
「あら、それは私にとっては好都合ね。子育てなんてやった事無いもの。私の性分と星核ハンターとしての任務の危険性を考慮するとある程度成熟している方が扱い易いわ。」
それからエリオとカフカが数回問答を繰り返した後、カフカは妖艶な笑みを浮かべながら俺に近付いて口にを開く。
「寝坊助さん、あなたの名前はなんていうのかしら?」
「名…前…。」
カフカに突然名前を聞かれて慌てて答えようとするが、何故か自分の名前が思い出せず返答に詰まってしまった。
「カフカ、彼は生まれたばかりだから名前は無いよ。」
「それもそうね。だったら私が名前を付けて良いかしら?」
そう言ってカフカはエリオに許可を貰うために視線を飛ばした。
視線の先のエリオは言外に『どうぞ、ご勝手に』と言うように前足の毛を舐める。
「そうね…あなたの名前は
「…え?」
カフカによって俺に付けられた名前に俺は驚愕の表情を浮かべたまま固まってしまった。
だって、その名前って…主人公の…。
まさか!?
「カフカ…さん?鏡無いか?あったら貸して欲しい。」
「え?まあ、いいけど…。」
突然の要求に困惑しながらカフカは俺に手鏡を手渡した。
俺は慌ててカフカから渡された鏡を覗いて俺の顔を確認する。
すると鏡にはなんと俺の顔ではなく、崩壊スターレイルの男主人公穹が写っていたのだ。
「うそん…。」
「ん?どうしたんだい?」
俺が手鏡を見て情けない声をあげると、エリオがカフカの足元から俺に近付いてきた。
しかし、エリオが俺に近付いて触れようとした直後、俺の影から突然二体の犬のような物陰が現れて俺を守るようにエリオ前に立ち塞がった。
「うわ!何だい?この犬は。何処から現れたんだい?」
「…玉犬!?」
俺を守るように現れた物陰はなんと呪術廻戦に出てくる玉犬白と黒だった。
「何で玉犬が…?」
「もしかして、このワンちゃん達は穹が呼んだのかしら?」
「どうやらそうみたいだね。僕が猫だから警戒して主である穹を守る為に飛び出したみたいだ。」
俺、カフカ、エリオの順に玉犬に対して三者三様の反応を示す。
「これは…少し不味いな。」
「何が不味いのかしら?」
呟くとように発したエリオの言葉にカフカは疑問をぶつける。
「彼がこんな力を身に付けているなんて脚本に無かったから。今後の未来にどんな影響があるか分からない。」
「あなたの脚本にもイレギュラーはあるのね。意外だわ。」
「そりゃイレギュラーくらいはあるよ。そのイレギュラーを踏まえていくつかのプランを組んでいるだけだよ。でも、今回はかなり特殊なケースだ。数ある未来の可能性の分岐の中で穹がこんな力をもって生まれるなんて未来は一切存在しなかった。」
少し焦った様子でカフカと話すエリオは一通りの会話を終えた後、俺に向き直り話し掛けてくる。
「穹、君がこんな奇怪な力をもって生まれたことに何か心当たりは無いかい?」
エリオにそう聞かれて少し思案する。
ふと頭に浮かんだのは電源を切った筈のゲーム画面にアッハの顔が映って、画面から飛び出してきたと言う奇怪な出来事。
気を失う前で覚えているのはそれくらいだし、俺がスタレの世界に穹として転生して、しかも呪術が使える原因としてはこれくらいしか思い付かない。
「…アッハ。」
「っ!?そうか愉悦の…。確かに其の仕業ならある程度の説明はつく。しかし、其が穹と関わるのはもっともっと先の未来の筈だ。」
俺がアッハの名前を口にするとエリオは1人で納得したようにぶつぶつと独り言を呟き始めた。
やがて、彼の中で考えが纏まったのかエリオはカフカに顔を向けて口を開く。
「カフカ、少し脚本の修正が必要だ。暫く穹の事を君に任せて良いかな?」
「あら、何言ってるの?元々穹の事は私に丸投げする気だった癖に。」
「…ハハッバレてたか。」
カフカの言葉に乾いた笑みを浮かべたエリオは今度は俺に向き直る。
「…穹、いきなりこんな辺鄙な場所に生まされて何が何だか分からないと思う。でも、誠に勝手ながら僕達には君が必要なんだ。僕達と一緒にきてくれないかい?最善の未来の為に。」
「わかった。」
エリオの提案に俺は即答で返した。
原作をプレイした身としては主人公としてエリオの誘いを断る理由はない。
というか断ったらこの宇宙が終わる。
だから断れない。
逃げたくても逃げれない。
なら、腹を括って進むべき道に進むべきだ。
「…てめえの死に様はもう決まってんだわ。」
「あら、言い覚悟ね。あなたのような子は嫌いじゃないわ。」
こうして俺は主人公に転生して星核ハンターの一員になったのだった。
まあ、恐らく原作通りに行くならあくまで一時的な加入だろうけど…。