ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
突然のデーさんとロビンの来訪と言うハプニングがありながらも、俺は神対応を見せてデーさんとロビンを交えて個室がある高級料理店に来ていた。
「初ライブ大成功を祝して乾杯ー!」
「乾杯ー!」
「「かっ乾杯…。」」
ジュース片手にはしゃぐ俺と銀狼とは対照的にデーさんとロビンは少しテンションが低い。
いや、低いと言うよりは緊張して戸惑っているって感じか。
「二人とも遠慮しなくて良い。好きなだけ食べなさい。」
「あっありがとうございます。勝手に控室に押しかけた上に食事までご馳走になってしまって…。」
まあ、確かに最初はびっくりした。
だが、俺はロビンもデーさんも好きなキャラクターなので、子供の姿の二人を見れたのは素直に嬉しい。
デーさんなんて一人称"僕"だよ?
まだ"私"になる前のショタデーさんとまだお兄さま呼びじゃないロリロビン。
正直言って可愛い過ぎる。
「二人はピノコニーに住んでいるのかい?」
「はい、僕もロビンもオーク家の嫡男と令嬢なんです。今日はゴフェルさん…、義父から穹さんのライブのチケットを譲って貰って来ました。」
ゴフェルか…。
確かサンデーとロビンは故郷と両親を星核のせいで失った所を夢主であるゴフェルに引き取られたんだよな。
ゲームをプレイした身としては正直ゴフェルにあまり良いイメージは無い。
と言うかピノコニー編の黒幕だしな。
サンデーに洗脳めいた教育を施して新たな夢主にしようとしたり、秩序の星神エナを復活させようとしたりとかなりピノコニーで好き勝手していた悪党だ。
今のサンデーは果たして既にゴフェルの教育を施される後なのか、それとも前なのか。
まだ判断は付かないが、心配だ。
「あっあの…。」
「ん?」
考え事をしていると、突然ロビンが緊張した様子で話しかけてきた。
そう言えば、ゆっくりロビンの話を聞くためにわざわざ打ち上げに誘ったんだよな。
忘れていた。
「ああ、そうだった。ロビンちゃんの話をゆっくり聞くって約束だったね。それで君は俺に何か言いたい事があるのかい?」
「あっええと…。」
ロビンの目を見て優しく問いかけるが、彼女は口ごもったまま一向に話そうとしない。
そんな彼女を辛抱強く優しく見詰めていると。
彼女は俺を待たせている現状に焦っているのか、あわあわと慌て始める。
「ロビンちゃん、落ち着いて。ゆっくりで良い。自分のペースで話してくれ。」
「……すう……ふう、あっあの!私実は音楽やってて、いつか歌手になるのが夢なんです!なので…その…どっどうしたらあなたみたいに輝けますか?」
「うん、分からん」
「え?」
おっとつい反射的に答えてしまった。
でも、しょうがなくない?
マジで分からんもん。
だって俺ただの盗作犯だよ?
どうしたら輝けますか?そんなの前世の世界のアーティストに聞いてください。
…しかし、こんな純粋な子供の夢を壊すような事は言いたくない。
ここはそれっぽい事を言わないと…。
えーと…。
あっ、そうだ!
こう言う時こそ原作知識を役に立てんだよ。
原作知識を利用してロビンが納得する言葉を考える。
よーし!考えた!
ついでにデーさんにもこれから言う言葉を送ろう。
これを思い付いた時、脳裏に浮かんだのはデーさんとロビンの過去回想だったからな。
「俺からは正直何も言えない。君のこれからの人生を左右するかもしれない事は俺には言えないよ。確かに誰かに憧れたり、誰かを参考にする事は悪い事ではない。でも、ロビンちゃんはロビンちゃんだ。他の誰でもない。君が歌手になる事を一番望んでいるのは君自身だろ?なら君を輝かせるのも君自身だ。人が変われるのは何時だって自分のお陰。何れだけ手助けされてもアドバイスを貰っても結局自分を変えられるのは自分だけなんだ。」
「「…。」」
俺の言葉にサンデーとロビンは神妙な面持ちで黙りこむ。
少し、突き放し過ぎたかな?
でも、実際これくらいしか言えることは無いんだよな…。
「なんと言うか意外です。銀河を虜にする歌プリンスがこんな現実主義者なんて。」
「…サンデー君、それとロビンちゃんも。もし目の前に翼を怪我した小鳥がいたら君たちはどうする?」
「「え?」」
二人は俺の言葉に今までに無いくらいに驚愕の声をあげる。
恐らく、過去に似たような出来事があったのだろう。
「俺ならその小鳥の翼の手当てをした後直ぐに野に放つ。」
「っ!そんな!手当てした直後ではまともに飛べませんよ!」
「だが、翼が完全に直るまで鳥籠に閉じ込めていれば小鳥は野生を忘れる。その前に野に放った方が小鳥が生き残る確率は僅かでも上がるだろう。野生の動物とは常に天敵や厳しい環境と隣り合わせだ。当然そう言う生活に少なからず適応している。野生動物の適応力を侮ってはいけない。」
「っ…。」
「良いかい?サンデー君。小鳥に限らずこの話は人に置き換えることが出来る。人が困っている時その悩みを全て解決するのではなく、解決する切っ掛けを与えるんだ。人が人に施す事を許されているのは悩み解決の結果ではなく過程。我々人は人の可能性を信じて人が変わる切っ掛けを与えて突き放す事しか許されていないんだよ。」
以前のカフカやホタルもそうだ。
俺はあくまであの二人りに彼女達自身が変わる切っ掛けを与えたに過ぎない。
カフカには恐怖を教えた。
しかし、俺が教えた恐怖を恐怖だと認知したのは紛れもなくカフカ自身であり、あいつは俺の行動を切っ掛けに自分で自分を変えたのだ。
ホタルも同じだ。
あいつは普通の女の子になるのが夢だった。
その切っ掛けとして俺はロストエントロピー症候群を治した。
しかし、星核ハンターとして活動する彼女が普通の女の子として生きるのはかなり難しいだろう。
そんな中で彼女が望む彼女自身に成れるかは彼女次第だ。
それ以上の介入は俺もエリオも誰も許されていない。
これ以上俺がでしゃばって彼女達に対して過干渉に成ってしまえばカフカとホタルは自分が歩む道を自分で決めることが出来ずに俺に依存してしまう。
「人の弱さは誰かの干渉でどうこう出来る物ではないし、誰かが過度に干渉して良いものじゃない。人が変わり、弱さを克服出来るかはその人次第だ。部外者に許されているのは人の可能性を信じてその切っ掛けを与える事だけだ。」
「っ!…。」
俺の言葉にサンデーは何かに気付いたように目を見開いた。
「まあ、つまり何が言いたいかって言うとだな…。俺はロビンちゃんの可能性を信じている。いつか俺を超える輝きを魅せてくれる大スターに成れると心の底から信じてる。だから、俺が君にあげられるのはいい加減なアドバイスでは無く、ちょっと説教臭い教訓だ。どうかこの教訓が君が輝ける切っ掛けになる事を祈ってるよ。」
「…っ!はい!」
上手く伝わっただろうか?
俺が自身自分で言ってて少し訳が分からなくなったのだが…。
「とても勉強に成りました!ありがとうございます穹さん。」
「あっありがとうございます…!」
「フッああ、どういたしまして。どうだ?シメにデザートでも食うか?」
「「いただきます!」」
息ぴったりだな…相当甘いものが好きなんだな。
俺は仲良くデザートを頬張る兄妹を微笑ましく見詰めるのだった。