ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~   作:ひまなめこ

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28話 少しだけ未来のピノコニー

訳も分からない内にピノコニーで開催される聖杯戦争のサーヴァントととして召還された俺はオーディによって召還された部屋を出て、俺にとっては未来のピノコニーの街を練り歩いていた。

 

「こうして見ると意外と変わってるんだな…ピノコニーって。」

 

適当にブラブラと歩きながら、ピノコニーの街並みを眺めていると、過去にはあった建物が無くなっていたり、過去には無かったものが新しく出来ていたりと、夢の世界にも変化があるのだと気付かされる。

 

「召還される前に俺が初ライブの打ち上げに行った店はまだ有るかな?」

 

俺は好奇心に突き動かされるままに件のお店があった場所に向かう。

 

「おっ、まだ残っていたのか。これは未来になっても残っていたのはシンプルに嬉しいな。」

 

サンデー、ロビン、銀狼と行った思い出の店だからな。

つっても俺にとってはほんの数十分前の出来事なんだが。

 

「あれ?穹じゃん!どうしたの?こんな所に一人で。お腹空いたの?」

 

未来になっても残っていたお店を前に物思いに耽っていると、突然見覚えの無い女の子に話し掛けられた。

 

その子は灰色の髪をお下げにし、中華風の服装を身に纏った身長の低い女の子だった。

 

「えっと…どちら様?」

 

「えっ…ちょっと!悪ふざけはやめてよ!私達は結構長い付き合いの友達でしょ。歳陽に取り憑かれた時とかピピシ人の四尺聖堂とか色んなトラブルに巻き込まれては共に助け合って解決してきた仲じゃん!」

 

うーん?…もしかして青雀か?

成る程、確かにゲームでも青雀って謎に長くピノコニーに居座っていたもんな。

まさかピノコニー聖杯戦争中でもまだピノコニーにいたとは…。

 

「ねえ、そんな事よりも聞いたよ!穹ってあのせい…せい…せい製剤競争?に参加するんだよね?」

 

「聖杯戦争な。」

 

「そうそう!それ!勿論私はあなたを応援してるよ!だって友達だもん。」

 

とても有りがたいが、俺はお前の友達の穹ではなく、お前と友達になる前の穹なんだよな…。

まあ、応援の気持ちは素直を受け取っておこう。

 

「ありがとうな!参加するからには絶対優勝してやるよ。」

 

「うん!頑張って!」

 

そう言って青雀は俺に背を向けて何処かへ走って行った。

 

…それにしても、困ったな。

まだ俺が会ってない奴に遭遇するとどうしてもボロが出てしまう。

このピノコニー聖杯戦争が俺がゲームでプレイしたfateコラボストーリーと同じ物ならば、少なくとも絶対に会ってはならない人物が三人いる。

それはブートヒルとアベンチュリン、そしてこの時代の俺だ。

ブートヒルとアベンチュリンはある程度警戒しておけば、ボロを出さずにやり過ごせるだろうが、この時代の俺は駄目だ。

聖杯戦争が始まったら否が応でも関わるだろうが、始まる前に関わるとややこしいことになるので絶対に接触禁止である。

 

「まあ、そんなに心配しなくても12もあるピノコニーの刻の中でピンポイントで遭遇する事は無いだろうけどな。」

 

「何にだい?マイフレンd…」

「ギャー!!」

 

何こいつ!

急に話し掛けてきやがった。

 

金髪、胡散臭い、孔雀みたいな格好。

間違いない、アベンチュリンだ。

 

…よし!逃げよう。

今すぐ逃げよう。

 

俺はアベンチュリンに背を向け、全速力で逃げた。

風を超え音を超えてアベンチュリンを振り切るために全力で走った。

 

「ちょっと!マイフレンド!何処へ行く気だい?」

 

…何か追ってくるんですけど。

俺はあなたが知ってるマイフレンドじゃないですよ!

 

「俺はお前の友達じゃねえ!」

 

「っ!…酷いな…マイフレンド…。」

 

俺の言葉で何やら傷付いたかのように言葉を震わせるアベンチュリン。

しかし、傷付きながらも彼はめげずに俺を追いかけてくる。

それを頑張って振り切る為に全力で走る俺。

でも、一向に距離が開かない。

 

あいつ結構足が速いな。

 

このままだと追い付かれる…。

 

「芦毛ちゃん、こっちだよ。」

 

その瞬間、突然路地から細身の女性の手が現れて俺を掴んで路地に引きずり込んできた。

 

「お前は…?」

 

突然俺を路地に引きずり込んできた女性の招待は黒髪をツインテールにし、露出が多い着物に身を包んだ小柄な少女だった。

 

「シーっ!じっとしてて、花火があの孔雀ちゃんを追い払ってあげるから。」

 

そう言って目の前の少女花火は路地に俺を隠して、アベンチュリンの目の前に躍り出る。

 

「あれー、どうしたの?孔雀ちゃん。そんなに息を切らして。」

 

「…愚者。悪いけど今は君に構ってる暇は無いんだ。」

 

「何で花火が孔雀ちゃんみたいなつまらない男に構って欲しいみたいになってる訳~?花火だって暇じゃないの。だけど、一匹の孔雀が困ってるみたいだから特別に手を貸して上げようって思ったのに、孔雀ちゃんは人の親切を無下にするような人なんだね。それともそれはカンパニーの必須スキルなのかな~?」

 

すげえ煽るじゃん…。

ゲームでも、この二人はあまり仲良く無さそうだったけど、それが現実になると、険悪なムードがこっちまでひしひしと伝わってくる程に雰囲気が最悪なんだが。

 

「…なら、手を貸してくれないかい?今マイフレンドを探していてね。何処に行ったか分かるかい?」

 

「芦毛ちゃんなら、ピノコニー大劇場の所に行ったよ。速くそっちに行ったら?」

 

「ありがとう、愚者。」

 

そう言ってアベンチュリンはその場から離れてピノコニー大劇場の方へと向かって走って行った。

 

「芦毛ちゃん、もう出てきても大丈夫だよ。」

 

「ありがとう…えっと、花火。」

 

この世界で花火と会うのは初めてだから少し戸惑ってしまった。

頑張ってボロを出さないように取り繕わなければ。

 

「ひゃははは!無理に取り繕わなくても良いよ()()の芦毛ちゃん。今の芦毛ちゃんと花火は初対面だもんね。」

 

…バレてやがる。

流石に花火の前で隠し事は無理か。

花火と言ったら隠し事、演技のプロみたいなイメージがあるからな。

人を騙し、真実を隠すのに長けている彼女の前では俺の隠し事なんて、隠し事と言うのも烏滸がましい物なのだろう。

 

「いつから気付いてた?」

 

「最初からかな。あのルーサン家のチビおやじが君を召還した所から全部知ってるよ。」

 

「マジか…。」

 

やはり花火には全てお見通しか、花火にとってはどんな秘密も筒抜け。

なら、オーディが何故俺を召還したのかも知っているのか?

ゲームのfate コラボでは確かオーディは自分自身をバーサーカーとして召還していた。

しかし、今回はオーディ自身ではなく俺を召還したのだ。

わざわざサーヴァントをかつての自分ではなく過去の(おれ)にした真の目的は…?

 

「なあ、花火…。」

「シー。それ以上の事は花火には教えられないなー。だって最初から何もかも分かったらつまらないでしょ?」

 

花火は人差し指を俺の唇に当てて被せるようにそう言った。

 

「でも、いきなり未来に呼び出されて混乱している哀れな芦毛ちゃんの為に花火から有りがたいアドバイスを一つだけあげる。」

 

「アドバイス?」

 

「この時代の芦毛ちゃんの記憶に触れるのは御法度だよ。それを破ればガーデンの怒りに触れる事になる。」

 

「え?」

 

未来の俺の記憶?

一体どう言うことだ?

そう言えばオーディも俺を見て記憶がある穹だとか何とか言っていたよな。

つまり未来の俺は記憶を失っていると言うことか…。

 

まあ、ある程度は予測出来た事だ。

ゲーム本編でも主人公は記憶喪失だった。

でも、それは俺が転生してない場合の話だ。

未来で俺の記憶を消すのがガーデンなのか、カフカなのかそれともエリオなのか分からないが、俺には記憶喪失を防ぐ力がある。

摩虎羅の能力を応用すればいくらでも対処可能だ。

それを分かってるなら、記憶を消すなんて俺がするわけ無い。

俺には消したくない記憶がある。

カフカ、ホタル、エリオ、銀狼、姫子、ロビン、サンデー皆と出会った記憶。

…そして二相楽園で沢山の命を奪った記憶。

何一つ忘れる訳には行かない。

特に最後の記憶は、最終的に終焉の力で皆生き返ったとはいえ俺は沢山の人を殺した。

その記憶を失う訳には行かない。

忘れては駄目なんだ。

俺が人殺しである事を。

 

なのに、未来の俺は忘れた?

それにその記憶にはガーデンも関わってる?

一体…どう言うことだ?

 

「花火が教えられるのはこれくらいかな~。後は頑張ってね!芦毛ちゃん♪」

 

「おい!花火!」

 

俺は花火にまだ聞きたいことがあるため彼女を呼び止めるが、次の瞬間には最初から花火はそこにはいなかったかのように忽然と姿を消していた。

 

「くそ!何なんだ!一体…。」

 

 

 

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