ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
ロビンside
「英霊と言うのはもっと特別な見た目をしているものかと思ったのだけれど…。」
私が召喚したサーヴァントを前に私はその様な事を口にする。
…少し失礼だったかしら?
英霊を召喚なんて、後にも先にもこれが初めてだから何を言ったら良いか分からなくて…。
「私の姿は本来このような凡庸なものではないのですが。すみません、今の私は零核が壊れていて不完全なようです。本来ならマスターに真名を名乗るのが礼儀なのですが…■■■。…このように名乗ろうとすると上手く発音出来なくなってしまいます。」
不協和音…私もかつては彼女と同じ様に声が不協和音に変わってしまう経験をしたことがある。
その時の原因はゴフェルを中心としたオーク家全体がピノコニーで起こした不祥事だった。
けれど、オーク家がいない今、既に一度この世を去った彼女の名前が不協和音に変わってしまう原因は一体…。
「零核?…ってものが壊れていると、真名が伏せられてしまうのかしら?」
「いえ、順序が逆です。私の名前が不協和音に変わってしまうのは私の名前が商標登録されているからで…そのせいで私はサーヴァントとして不完全な状態で召喚されてしまい、零核が壊れてしまったのです。」
サーヴァントと言うのを召喚したのはこれが初めてだけれど、この状況が異常であることは彼女の様子から何となく伺えた。
正直、聖杯戦争の事に関しては私は素人なので、彼女のために出来ることはあまりない。
その上この聖杯戦争は"戦争"と付く事からも分かる通り、他のマスターと戦わなければならない。
彼女が不完全な状態と成っている今、恐らく敵に真っ先に狙われやすいのは今の私達。
早く協力者を見付けないと…。
「こんな私なんかがサーヴァントで申し訳ありません。今の私は役立たずも同然。かつて生前に得た『永遠の銀幕の麗人』、『シペが落とした金の音符』などと言う肩書きも今では何の役にも立ちません…。」
「気にしなくて良いのよ。力になれないのはお互い様だから。舞台のスポットを浴びる同じ演者としてあなたには同情を禁じ得ないわ。自分の名前を呼べないのはさぞかし不安でしょう?」
「ええ、私の名前なのに…私が母に貰い、共に生き、共に死んだ、紛れもなく私の名前なのに…私にはこの名前を名乗る資格がないなんて…!」
突然、彼女は濁流の様に思いの丈を吐き出す。
彼女の気持ちは良く分かる。
私も自分の気持ちを制御出来ない事が良くある。
特に最近は
「大丈夫?一旦落ち着ける場所に行きましょうか?ちょうど私が一番信頼している人がそこにいると言う
「ありがとうございます。お言葉に甘えさせて貰います。」
そう言って私は彼女を連れてとある場所へと向かう為に歩き出す。
目的地に行く途中で私はふと気になる事があったので、歩きながら彼女に問い掛ける。
「そう言えばあなたの事は何と呼べば良いのかしら?」
「キャスターとお呼び下さい。マスター。」
「ロビンで良いわ、マスターは慣れないもの。それとキャスターと言う呼び方は味気ないからあなたが呼んで欲しい名前を教えてくれないかしら。」
「…でしたらノーツガールとお呼び下さい。ロビンさん。」
「ええ、分かったわノーツガール。」
こうして私はノーツガールと共に彼がいると言う位置情報がある場所へ向かう。
「それにしても、既に盟友候補の方とアポを取っていたとは流石です。」
「えつアポ?そんなもの取ってないわ。」
「え?ですが、先ほど信頼している人がそこにいると言う位置情報を得たと…。」
「ええ、そうよ。ほら…。」
そう言って私はスマホに送られてきた穹の位置情報を記録しているGPSの操作画面をノーツガールに見せた。
「これは…。」
「何時でも彼の情報を得られるようにこっそりGPSを着けておいたの。」
このGPSの情報によるとドリームリーフの夢境レストランにいるみたいね。
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未来穹side
「これが…天環手羽バーガー…。」
俺は今ドリームリーフの夢境レストランで大量のハンバーガーを頬張るセイバーを眺めていた。
…良く食うな。
何処に入ってるんだ?
「マスター、とても美味しいでふ!」
「あ、ああ…それは良かった。まだ沢山あるから慌てずゆっくり食べなさい。」
口に限界までハンバーガーを放り込んで頬張る彼女の姿は何処かリスを彷彿とさせる。
誰もこの姿を見て、彼女があの高名なアーサー王とは思わないだろう。
「むっ?マスターは食べないのですか?」
「ああ、あまり腹が減ってないんだ。」
満腹状態で戦闘になったら、気持ち悪くなるからな…。
などと思いながら、ただボーッとハンバーガーを食べるセイバーを眺めていると、突然セイバーの表情が険しくなった。
「どうした?セイバー。喉につまらせたか?」
「…いえ、このレストランに私以外のサーヴァントが接近してくる気配がしたので…。」
「気配…。」
恐らくロビンのサーヴァントノーツガールのものだろう。
原作でも主人公とロビンはドリームリーフで合流していたからな。
だから、このレストランで食事をすることにしたのだ。
「安心しろ、その気配の主は味方だ。」
「なんと!既に盟友がいたのですね!流石です。」
ハンバーガーを頬張りながら、興奮気味にそう言ってくるセイバーを軽く往なして、俺はレストランのロビーの方に視線を飛ばす。
すると、予測していた二人の女性がこの夢境レストランに入店してきた。
一人は俺が良く知る人物。
頭上にヘイローが浮いていて、耳の下から翼が生えている白銀色の髪を持つ女性、銀河の歌姫ロビン。
もう一人はロビンと同じく頭上にヘイローがある若い女性。
恐らく彼女がロビンのサーヴァントであるノーツガールなのだろうが、見た目があまりにも凡庸すぎて一般人と見分けがつかない。
レストランに入店して直ぐにロビンは俺の存在に気付き、笑顔で俺とセイバーが座ってる席に近付いてきた。
「こんな所で会えるなんて…本当に奇遇ね、穹。会えて嬉しいわ。」
「ああ、俺も嬉しいよ。実はお前と会えるのを楽しみにしていたんだ。」
ロビンには内緒だが、彼女がここにくるのは分かっていたからな。
ブートヒル達と早く合流するためにもここで起きるロビンとのイベントは早く済ませておきたかった。
「嬉しいわ。そんなに私に会いたがっていたなんて…!ねえ、穹。私から提案なのだけれど、私と共闘してくれないかしら?」
「元よりそのつもりだ。この聖杯戦争は何処かキナ臭いからな。協力者は為るべく多い方が良い。セイバーもそれで良いか?」
「ええ、構いません。それがマスターの意志ならそれに従うだけです。それに他のサーヴァントやマスターと共闘するのはこれが初めてではありませんから。」
セイバーは何処か懐かしそうに感慨深げにその様な言葉を口にした。
「ロビンのサーヴァントの方は?俺達の方針に何か異論はあるか?」
「私はノーツガールと申します。これからその呼び名でお呼び下さい。私も特に異論はありません。本来ならマスターであるロビンさんの安全の為にもここであなた達への警戒を解くべきでは無いのかもしれませんが、私にはロビンさんよりもあなたの方が保護すべき対象に見えるので、共闘には賛成です。強いて言うなら為るべくロビンには近付かない方がよろしいでしょう。」
ノーツガールは何を言っているんだ?
彼女の言いたい事は分からないが、取り敢えずこれで無事にロビン達と同盟を結べた訳だ幸先が良いな。
「私もマスターの監視はこれから徹底して行うつもりです。セイバーのマスターさん、今後は妙な物を着けられ無いように細心の注意をする様に心掛けてください。」
「ちょっと!ノーツガール!余計な事は言わないで!」
「?」
一体何に警戒しろと言うのだろうか?
考えても出てこない答えに少し悩まされながら、俺はレストランを出る準備をする。
そして、このタイミングで、とあるメールが俺のスマホに流れてきた。
『親愛なる開拓者へ』
次の戦いがまた目前に迫っている。