ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
未来穹side
俺の魂に触れて一体何を見たのか、動揺した過去の俺はほんの一瞬だけ領域を展開して俺だけを串刺しにした後、何処かへ消えてしまった。
「…これは…命拾いしたと言うことか…。」
この状況を見てアーチャーはそう呟くように言い放った。
「絶賛マイフレンドが死にかけているんだけどね!何処が命拾いしてんのさ!」
「君は物事を表面上でしか判断出来ないのか?セイバーのマスターには特殊な回復能力があるのを幾度も目にしただろう。たとえ、剣で串刺しにされようとも彼に取っては蚊に刺された程度の事だろう。」
過大評価し過ぎだろう…。
今の俺はお前らと違ってサーヴァントでも、英霊でも無いから串刺しは普通に致命傷なんだが…。
「其よりも私は彼の扱う術について気になるな。アヴェンジャー…過去の彼が一瞬だけ発動した領域とやらは私達の世界で言う固有結界のそれにかなり近い物を感じた。近いだけで、別物ではあるのだが、その辺はどう考えているのだね?セイバーのマスター。」
この状態の俺に質問を振る?普通。
今反転術式に全神経を注いでいるんだけど…。
「…あっえっと、今はその質問に御答えすることは出来かねますので、検討に検討を重ねて検討致します…。」
「君は令和の政治家のような事を言うのだな。」
うるせえ…。
今集中してんだから、話し掛けるな。
「今は固有結界と領域の差違について話している場合では無いだろ。アヴェンジャーは何処かへ行ったが依然としてアサシンの固有結界は残っている。早く脱出する方法を探した方が良いと思うぞ。」
「ふむ、それもそうだな…。それで、君は何か策はあるのか?」
「あるにはあったが、さっきのアヴェンジャー戦でかなり消耗しちまって、今はまともに術を使えない。」
「なら、君の回復を待ちながら、アサシンの攻撃を避け続ける事になるな。」
え?俺頼りなの?
今の俺は使い物にならないから、俺の策以外を模索しようって話をしたかったんだけど…。
「アーチャー、流石にマスターにばかり頼るのはどうかと…。私達は英霊です。一人のマスターに頼るのではなく、かつては英雄として名を馳せた者として、困難に自ら立ち向かうべきなのでは?」
俺にばかり頼ろうとするアーチャーの発言に対して、セイバーが彼を咎める発言をした。
「フッ私は君のような崇高な騎士道精神を持ち合わせていない。真っ暗な道を当てずっぽうに進むよりも、光を頼りに進んだ方が合理的なのは火を見るより明らかだ。この中で最も戦闘力が高いのは君のマスターだ。ならば、彼を頼るが合理的だろう。」
「頼る事が悪いとは言っていません!あなたのその他力本願な態度が気に入らないのです。」
「しかし、セイバー。この世界の知見に浅い私達にいったい何が出来る?私達が何かしたところで寧ろ彼の邪魔になったらどうする?君の騎士道とは自身の我を通す為に猪突猛進に突っ走って死に急ぐ事なのか?」
「なっ!その発言聞き捨てなりません!それに固有結界に関して言えば、知見が深いのはこちらの方です。」
「しかし、固有結界は魔術の最奥だ。その実態は謎に包まれている事が多い。だが、君のマスターはその固有結界の弱点を、簡単な攻略法を知っているように見える。私達が余計な事をして状況を悪化させるよりも、彼の回復を待って確実な方法で脱出した方が良いだろう。」
アサシンの固有結界内にも関わらず、セイバーとアーチャーの口論は白熱している。
俺的にはどちらの言い分も納得出来る。
アーチャーはこのまま俺の回復を待って、俺が領域を展開してアサシンの固有結界を塗り潰す事に期待しているのだろう。
セイバーの言う通り、全てが俺頼りの考えだが、この策が最も確実で、危ない橋を渡る必要が無いのは事実だ。
対して、セイバーは英雄として他力本願なのはどうなのかとアーチャーに意義を申し立てている。
どちらかと言えば、俺はセイバー派だ。
今の俺はかなり消耗していて、いつ回復するか分からない。
それにゲーム本編では俺の領域ではなく、別の方法で攻略していたので、わざわざ俺に頼る必要はない。
だから、なるべく俺頼りの考えは止めて欲しいのだ。
「アーチャー!何故分からないのですか!」
「君こそ、少しは頭を冷やしたらどうなのだ?自身の矜持を優先して危ない橋を渡るなど笑止千万。獅子王と言う異名は聞えは良いが、見方を変えればただの短絡的で頑固な老害なのではないか?」
「なっ!」
不味い…。
アーチャーが遂に言っては行けないところまで言ったぞ。
早く止めないと…。
「お前ら!いい加減に…。」
「素晴らしい!長年修羅場を共にした仲間が得体の知れない恐怖を前に、その友情に亀裂が入る。その様はまさにホラー映画の鉄則!まさかこのような素晴らしい画が撮れるとは…。アヴェンジャーのアドリブも捨てたものでは無いな。」
俺がアーチャーとセイバーの喧嘩を止める為に口を開くと。突然、アサシンの嬉々とした声が響き渡った。
「嗚呼、お陰で今までに無い程のインスピレーションが湧いてきた!…それでは気を取り直して第二幕…アクション!」
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サイレント三劇・第二幕
『人格分裂ランデブー』
主演
スコート
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突然、妙なテロップが視界を埋め尽くした後、気付いたら俺はクラークフィストランドの門前と酷似した場所に移動していた。
「外?いや、恐らくここも奴の固有結界の一部か。今度はどんな映画なんだ?」
「先ずは状況確認が必要だろう。取り敢えず他の奴が何処に行ったのか、鵺に上空から探させる。」
「っ!」
突然、背後から俺と同じ声が聞こえて来て咄嗟に後ろを振り向く。
そのには俺と瓜二つの姿の男が鵺を呼び出していた。
「お前…アヴェンジャーか!まだやろってのかよ!」
「まて、落ち着け。俺は敵じゃない。味方だ。」
味方?どう信じろと…。
「恐らくこの固有結界とやらの効果だろう。『人格分裂ランデブー』名前の通りなら固有結界内の敵の人格を分裂させることが出来るって事だ。」
「え?…つまりお前は俺のもう一つの人格?」
「いや、違う。俺は伏黒恵だ。」
「は?」
「お前、【無為転変】を持っている癖に気付かなかったのか?お前が持っている術式には俺達の魂が宿っていたんだよ。」
「えっと…つまり?」
「お前を入れて穹は6人に分裂していることになる。」
「はあああ!?」