ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
「お前が伏黒…?」
「ああ、見てくれはお前と瓜二つでややこしいが、俺はお前の人格から分裂したのではなく、術式に宿っていた魂が受肉した存在だ。恐らく他の術式達も同じように受肉している。」
伏黒を自称する俺と瓜二つの青年の言葉に俺は絶句してしまう。
俺の術式に魂が宿っていた事がまず驚きだし、それがまさか伏黒恵だとは夢にも思わないだろう。
「キエー!」
「鵺が他の奴らを見付けたらしい。早く合流するぞ、俺達以外の奴らは恐らく本当に人格が分裂している。かなり危険な状態の筈だ。」
上空から鵺の泣き声が聞こえて来たと同時に伏黒は鵺の先導の元、走り出した。
俺も慌てて伏黒の後を追うように着いていく。
鵺の案内に従って着いていくと、広場のような空間にたどり着いた。
そこには複数の人影がいた。
「俺達以外は全員揃っているみたいだな。」
「ああ、だが、少し様子が変だ。」
伏黒の言葉に俺は広場に集まっている奴らを注意深く観察する。
よく見ると、広場には小さな金髪で綺麗な瞳が特徴的な少年と白銀の髪と頭から生えた翼が特徴的な小さな少女、白髪混じりな黒髪の長髪が特徴的なカウボーイっぽい格好の少年に赤毛の髪と琥珀色の瞳が特徴的な童顔の青年そして、ライオンの着ぐるみを着た金髪の少女とそれらを前にあたふたしているノーツガールの姿があった。
「ガオー!」
「セイバー!俺を噛むのは止めろ!」
「お兄ちゃんは何処?私どうなっちゃうの?怖いよ…。」
「君迷子?僕もお姉ちゃんを探してるんだ。大丈夫、僕運が良いんだ。君のお兄さんも僕のお姉ちゃんも直ぐに見付かる。」
「ブートヒルさん!銃を私に突き付けないで下さい!危ないです!」
「うるせえ!大人だからって舐めんじゃねえ!蜂の巣にすんぞ!」
ライオンの着ぐるみを着たセイバーが衛宮士郎の頭に噛みつき、子供ロビンが泣き出し、子供アベンチュリンがそれを慰め、子供ブートヒルに銃を突き付けられているノーツガールが慌てふためいている。
何ともカオスな状況である。
「これは一体どういう状況だ?」
「穹さん…!ご無事だったのですね!」
「ああ、まあ、一応な。」
一応俺も分裂しているみたいだから、無事では無いのだが、まあ、コイツらよりかはマシだろう。
「で、どう言う状態なんだ?これは…。」
「…私以外の皆さんはアサシンの固有結界の能力により、人格を分裂されてしまったようです。…ここにいるのはその分裂した人格の中で一番まともな方達です。」
「まとも?どう言うことだ?」
「…その…他の人格達は性格が丸きり別人になっていたり、話が通じない人ばかりで…中には攻撃してくる者も居ました。」
襲って来るのか…。
かなり、面倒な状況だな。
でも、そんな中でもノーツガールだけは人格が分裂していない。
何でだ?
「ノーツガールは何で無事なんだ?」
「人格の分裂とは即ち、その人の見えない側面や、有り得たかもしれないもう一つの一面が具現化したもの。私は真名も存在その物も既に私の物では無いため、私の魂はマッサラな状態。良くも悪くも表と裏が無いのです。」
成る程、だから、分裂しないのか。
「これからどうする?何かこの状況を打破する策は有るか?」
「ロビンさんを先ず優先的に復活させましょう。」
「それは何故?」
「彼女の調律ならこの場にいる皆さんの人格を元通りに出来る筈だからです。」
調律を使えるロビンを優先するのか…。
確かに利にかなっているが…。
「ロビン自身の人格を元に戻す時はどうする?」
「そこは…すみません。そこまでは考えていませんでした。」
調律を使えるロビンを復活させる考えは間違っていないが、先ずは調律を使えない状態でどうやってロビンを治すかがネックだな…。
「俺の【無為転変】でどうにか…。」
「いや、無理だ。」
「伏黒?」
俺の言葉を伏黒がキッパリ否定した。
「今の穹に術式は無い。術式は全て受肉した俺達が持って行ったからな。」
マジか…。
となると、先ずは【無為転変】を使える受肉体を探す方が先か…。
「じゃあ、先に【無為転変】を取り戻そう。」
「それも得策じゃない。【無為転変】は真人が持ってる。あいつは俺達に協力はしないだろ。取り戻すにしても先に戦力を補充するのが先だ。」
「戦力の補充?」
「真人相手だと絶対に戦いに成るだろ。俺と同じく、術式に宿っていた魂の受肉体…、脹相とエミヤなら話が通じるだろ。」
「成る程、先ずはそいつらとの合流が最優先か…。そして、次に真人を倒して【無為転変】の奪還。最後にロビンの復活で、まとめて調律で皆を復活させる。」
「ああ、現状取れる策はこれくらいだろ。」
大体の策は纏まったな。
早く、エミヤと脹相を見付けて合流しよう。
「ノーツガールはここで皆を見守っていてくれないか?」
「分かりました。ロビンさん達は命に変えてもお守りします。」
取り敢えず、ここにいる奴らはノーツガールに任せておけば大丈夫だろう。
ノーツガールも決して弱くはない。
アサシンに遅れは取らないだろう。
「よし、それじゃあ行ってくる。伏黒、先ずはどっちから合流する?」
「ああ、先ずは脹相からだ。エミヤはともかく、脹相なら面識がある。あいつの魂の匂いは玉犬が覚えている。」
「分かった、先導頼む。」
俺達は玉犬の先導の元、脹相がいる場所へと向かう。
「魂の匂いなんていつから嗅ぎ分けられるようになったんだ?」
「術式として、お前の魂に取り憑いた事で魂の知覚が出来るようなったんだ。…それと、生前に宿儺が受肉した事も起因してる。」
などと会話を交わしながら俺達は脹相の元へ走り抜ける。
暫くして、オーケストラ会場の舞台裏のような場所にたどり着き、その場で玉犬が止まった。
「ここか?」
「みたいだな…。」
玉犬が止まった事でここに目的の人物脹相がいるのだと判断し、辺りを注意深く見渡しながら、脹相を探す。
すると、突然、ピアノの鍵盤を乱暴に弾いたような不協和音が聴こえてきた。
「なんだ?」
「…行ってみるぞ。」
伏黒にそう言われて、ゆっくりと音の発生源へと向かう。
するとそこには、足を乱暴にピアノの鍵盤に乗っけて、ふんぞり返っているロビンと、それに相対している俺と瓜二つの青年がいた。
「これを腐れ縁っちゅうんかな~。まさか、殺しあった奴とまた会えるなんて。」
「ああ、まさかお前もこの世界に来ていたとは。」
「嬉しくない再会やわ、ホンマ。穹の体には恨みないけど、取りま俺の前で首括ってくれへんかな?…お兄ちゃん。」
「悪いがそれは出来ない。穹の…弟の体で自害など、そんな事は兄として絶対にやっては行けない…!」
「相変わらず、キショイくらいにブラコンやね。」
…ロビン…だよな?
なんか雰囲気が違う。
一緒にいる俺とそっくりな奴は恐らく脹相で間違いないだろう。
二人はいったい何を話しているんだ?
「これは不味い事になったぞ。」
「うん?どう言うことだ?」
突然焦ったように口を開く伏黒に俺はそう聞き返す。
「影響されてるんだ。お前の記憶に…。」
「俺の記憶?」
「俺達術式の魂がお前から分裂して受肉した際に僅かにお前の記憶の一部がこの固有結界内に漏れたんだ。あのロビンはその影響を諸に受けてしまったんだよ。」
ん?つまり…あのロビンは俺から漏れた記憶の誰かに影響されているってことか?
「今のロビンは…自認禅院直哉だ。」
「は?」