ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~   作:ひまなめこ

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42話 二戦決着

伏黒side

 

穹を逃がした後、時間稼ぎの為に俺は自認乙骨先輩と、脹相は自認直哉と対峙していた。

 

「乙骨先輩、貴女の目的は何ですか?どうして穹の命を狙っているんですか?」

 

「ごめんね、伏黒君。今は教えられないんだ。でも、これは必要な事なんだ。だから大人しくしててくれないかな。」

 

表情を変えずに淡々とそう告げて、自認乙骨先輩は俺にエクスカリバーを向けてくる。

 

「録に事情も話さないで、大人しくしろって言われて、はいそうですかって従うわけないでしょ。」

 

俺は乙骨先輩と一定の距離を取りながら、両手で印を結ぶ。

 

「布瑠部由良由良」

 

出し惜しみはしない。

体はセイバーでも、相手はあの乙骨先輩だ。

何か得体の知れない力を持っている可能性がある。

時間稼ぎの為じゃなくて、殺す気で行かないと、こっちが殺られる。

 

「驚いた…。魔虚羅…調伏してたんだね。」

 

「ずっと前からな。あんたにはあんたなりの事情があるのかも知れないが、死んでも穹は殺させない!」

 

「良いよ、じゃあ始めようか。」

 

そう言って乙骨先輩はエクスカリバーを構えて俺に突貫してくる。

 

「…っ!魔虚羅!」

 

咄嗟に魔虚羅に指示を出して乙骨先輩の攻撃を紙一重で防ぐ。

 

「…。」ガコンッ!

 

更に乙骨先輩の攻撃を受けた事でエクスカリバーへの適応が開始される。

 

よし、このまま長期戦に持ち込めば有利に戦いを進められる。

俺にも勝機がある。

 

「やっぱり、厄介だね魔虚羅。これ以上適応される前に早く方をつけちゃおう。」

 

乙骨先輩はエクスカリバーを上段に構えて、膨大なエネルギーをエクスカリバーに収束させる。

 

…不味い!あの構えは【()()()()()()()の剣】だ…!

 

「【()()()…」

 

不味い!

 

今の魔虚羅の適応では【()()()()()()()の剣】は受けきれない。

何か…何か無いか?…【()()()()()()()の剣】を止める方法…。

 

黄金に輝く聖剣を前に俺は乙骨先輩の宝具を防ぐ方法を考えるために頭を必死に回す。

しかし、何も思い付かない。

そんな時、ふと俺の右手の甲に視線が止まる。

 

「…霊呪…そうか!霊呪なら!」

 

俺が今使っている肉体は言うなれば穹の複製体だ。

元々、穹の術式に憑依していた魂だった俺は、この固有結界の能力によって穹から分裂した擬似的な人格として、穹と瓜二つの肉体に受肉している。

故に今の俺の体は穹と同じであり、当然霊呪も存在する。

 

今目の前にいる乙骨先輩はセイバーから分裂した人格が穹の記憶の影響を受けて生まれた存在だ。

つまり、肉体はセイバーそのものであり、俺の霊呪の対象と言うことだ。

 

「霊呪を持って命ずる。セイバー、"動くな"」

 

「っ!?」

 

狙い通り、俺の霊呪の効果によって乙骨先輩は動きを止めた。

 

「すみませんが、そのまま大人しくしてて貰います。」

 

「…忘れてたよ。そうだったね。穹君は僕のマスターだった。念の為に保険を用意しておいて正解だったよ。」

 

「保険?」

 

「出番だよシロウちゃん。」

 

その瞬間、赤毛短髪琥珀色の単眼と言う特徴的な見た目をした異形の怪物が乙骨先輩の背後から現れた。

 

『ヨンダ~?ゆーたリア。』

 

「うん、呼んだ。ちょっと今僕を縛ってる呪いを解いて欲しいんだ。頼めるかな?シロウちゃん。」

 

『ウン、ワカッタ~。』

 

そのような会話を交わした直後、異形の怪物は何処からともなく、とある短剣を顕現させた。

 

「あの短剣…どこか見覚えが…。」

 

「【特級呪具 天逆鉾】僕達に取って馴染みのある武器だ。それをシロウちゃんに()()して貰った。」

 

投影だと?

まさか、そのシロウと言う異形の怪物はまさか…。

 

いや、それよりも今このタイミングで天逆鉾を投影したと言うことは…。

 

「それじゃあ、お願いシロウちゃん。」

 

その瞬間、乙骨先輩の胸元に天逆鉾が突き刺さった。

それと同時に霊呪による呪縛が解け、乙骨先輩の体が自由になった。

 

「ありがとう、シロウちゃん。助かったよ。」

 

「…くそ!」

 

天逆鉾の効果は術式の強制解除。

無理やり霊呪の効果を無効化しやがった。

 

「悪いね、伏黒君。霊呪を無駄遣いさせちゃって。これ以上戦いが長引いても意味ないから直ぐに終わらせてあげる。」

 

そう言うや否や乙骨先輩は一瞬で俺に肉薄して、エクスカリバーの柄の部分で俺の鳩尾に重い一撃を繰り出してきた。

 

「ぐふぉ!…ぐっ…魔虚羅!」

 

俺は痛みに耐えながら、何とか口から言葉を絞りだし、魔虚羅に指示を出す。

しかし…。

 

「シロウちゃん。暫くの間、そいつを抑えておいて。」

 

『ワカッタ~。』

 

俺の魔虚羅は乙骨先輩のシロウによっていとも簡単に取り押さえられてしまった。

 

「ごめんね、伏黒君。後でちゃんと話すから。僕達は-----。」

 

「っ!?」

 

乙骨先輩が何かを呟いた直後、俺の首筋にエクスカリバーの柄が直撃する。

その衝撃によって俺の意識は暗闇に落ちるのであった。

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脹相side

 

穹を逃がし、自認乙骨を伏黒に任せた後、俺は自認直哉と対峙していた。

のだが、戦いが開始されてから、今まで俺は自認直哉のスピードに圧倒されるばかりで、まるで、奴にダメージを与えられないでいた。

 

「相変わらず、鈍い癖に体は丈夫やな。」

 

「それが取り柄な物でな。」

 

さてどうしたのもか…。

ここまで圧倒されれば術の開示はされることは無いだろう。

そもそもこの世界に開示の縛りが適応されのか疑問だが…。

どちらにしても、俺にこいつの術を知る術はない。

術のカラクリが分からないのなら、こいつの攻略は難儀だろう。

何せ俺が得意とする大技である【穿血】や【超新星】は溜めがいる。

こいつのスピードの前では無力も当然だ。

 

「何かいろいろ考えとる見たいやけど、意味ないで【♪】」

 

そう言って自認直哉は目にも止まらぬ速さで俺に肉薄し、俺の鳩尾、顔面、膝、胸、至る箇所に攻撃を食らわしてくる。

 

くっ!…速い!

その上…生前の世界の直哉よりも、一撃一撃が重い。

 

「もうちょい、速うしてみるか…【♪♪】」

 

っ!?更に早くなった!

一体どんなカラクリがあるのだ?

 

俺は更に加速した自認直哉に為す術なく、圧倒される。

 

「まだまだぁ!【♪♪】」

 

今度は殴られるのではなく奴の掌が俺の体に優しく触れる。

その瞬間、俺の体がフリーズした。

 

この感覚には覚えがある。

投射呪法の効果の一つで、触れられた相手は一秒間に24回の動きを作らないと一秒間フリーズしてしまうのだ。

しかし、自認直哉が使っている術は投射呪法ではなく、効果が酷似しているだけの別の技だ。

試しに24回動きを作って見るがフリーズした体は動かないままだ。

 

「オラァどうした?そんな所で棒立ちになって!殺して欲しいんか?【♪♪♪】」

 

先程よりも更に速くなり、強くなった奴の拳が俺の鳩尾に容赦なく突き刺さる。

 

バリンッ!!

 

硝子細工が割れるような音と共に俺の体は後方に大きくぶっ飛んだ。

 

…このままでは埒が明かない。

奴の術のカラクリ…24回の動きではないのだとしたら、一体なんだ?

 

自認直哉の術…自認直哉と本物の禅院直哉の違いは?

性別…いや、これは関係ないか。

しかし、肉体の差異は関係あるかもしれない。

ロビンの肉体が何かしら術に関与している可能性はある。

 

…考えろ。

何かヒントがある筈だ。

俺の頭の中には穹の術式に憑依していた頃に見た穹の記憶の一部がある。

その中にはロビンと言うキャラクターの詳細も載っている。

ロビンとはどの様な奴だった?

 

味方の与ダメージをアップさせたり、味方を即時行動させるサポートキャラ?

 

自認直哉はこの能力を使ってあのスピードと攻撃力を実現しているのか?

 

だが、何か引っ掛かる。

自認直哉がロビンの能力を使って自身のスピードと攻撃力をバフしているのは確かだろう。

 

だが、何のカラクリも無しにその術を発動しているわけではない筈だ。

 

投射呪法の様に一秒間に24回動きを作る等のような、術の発生に必要なプロセスが何かしらある筈だ。

 

「さっきよりも増して鈍いでお兄ちゃん!【♪♪♪】」

 

「っ!?」

 

これだ!

考えてみれば、自認直哉は最初から術を使う度に鼻歌のようなものを奏でていた。

歌だ!恐らく自認直哉は一秒間に24拍子のリズムで歌を奏でる事で、自身の攻撃力とスピードをバフする術を発動していたんだ。

 

「次で決めたる!【♪♪♪♪】」

 

自認直哉は再び加速し、俺の体に優しく触れる。

 

…来た!もう一度俺の動きをフリーズさせて一気に決める気か!

 

そうはさせない。

カラクリが分かった以上、もうお前の好きにはさせないぞ!

 

「【♪】」

 

俺は静かに24拍子のリズムで歌を奏でる。

こう見えて歌は得意なんだ。

昔は良く弟達に子守り歌を歌ってやっていた。

 

「音速の一撃で肋ごとお前の腹ぶち抜いたる!」

 

やがて、自認直哉は最高速度まで加速し、俺に向かって真っ直ぐ突っ込んでくる。

 

「【赤燐躍動 載】【百斂】」

 

俺は自認直哉の攻撃に備えて、今出来る最大限の準備を整える。

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自認直哉side

 

「【赤燐躍動 載】【百斂】」

 

漸く俺の術のカラクリに気付いた様やな。

 

こいつが俺の術に気付く事は想定済みや。

更に、【赤燐躍動 載】と【百斂 超新星】で俺を迎え撃つ事も想定内。

 

前回は油断して、殺られたけど、今回はそうはいかん!

もう、俺は油断なんかせえへん!

徹底的にぶち殺したる!

 

そして、俺は今出せる最高速度で奴に突っ込む。

 

予想通り、奴は俺の術に対応して来た。

きっちり24拍子のリズムで体がフリーズするのを防ぎよった。

やけど、甘いな。

俺はお前よりも数手先を見据えて動いてんねん。

この後は前回と同じ、【穿血】と見せ掛けての【超新星】やろ!

 

何時でもこい!

全部対応したる!

 

「【真球】」

 

「っ!?」

 

その瞬間、俺の右足が血液の球体によって跡形もなく吹っ飛んだ。

 

なんや?今の…。

【穿血】でも、【超新星】でもない!

全くの新技や!

 

「生前地球にいた頃に宿儺に憑依された奴が居てな。今世では奇遇な事にお互いに穹の術式に憑依していたんで、暇潰し程度に生得領域内で雑談をしていたんだ。その時に液体金属で【真球】を作り出す構築術式持ちの術士の話を聞いて、ひらめいたんだ。」

 

「くっ!」

 

アカン!

右足が吹き飛ばされたせいで思うように立ち上がれへん。

 

「お前の術式上、足が無いと使い物に成らないだろ。例えお前がロビンの能力で自身にバフを掛けても動けないのでは意味がない。後は言わなくても分かるだろ?…"詰みだ"」

 

「っ!?…この偽物が!」

 

 

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