ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~   作:ひまなめこ

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45話 賭けろ。~己の全てを担保に~

自認乙骨や宿儺達と別れた後、俺は伏黒と共に自認秤がいると言う場所に赴いていた。

 

訪れた場所はそこかしこにジャグラーやスロットが何台も設置されている如何にも秤が好きそうなギャンブル空間だった。

 

「ここに自認秤が…?」

 

「乙骨先輩の情報によればな…。アサシンの気まぐれで、間取りが変わったり、固有結界内の人間の位置がシャッフルされてない限りはここにいると見て間違い無いだろう。」

 

そう言って、伏黒は両手を交差さて鵺の影絵を作り召喚する。

 

 

「時間がない。手っ取り早く上空から秤先輩を探すぞ。」

 

「その必要はねえ。」

 

その瞬間、無数のジャグラーの影から、孔雀の様な派手な衣装に身を包んだ金髪の男性が現れた。

 

「あんたが秤…だよな?」

 

「ああ、そう言うお前は穹で、隣の奴は伏黒か?…お前ら、一体俺に何の用だ?」

 

自認秤はゆっくりと俺達に近付きながら、低い声で尋問するように尋ねてきた。

 

…あまり、俺達に良い印象は持ってなさそうだが、いきなり襲われなかっただけ、かなり状況は悪くないと言えるだろう。

ここから上手く交渉して、協力して貰える様に頼もう。

今こそ、俺が今までの開拓の旅で培ってきた交渉術の出番だ。

ヤリーロでのスヴァローグ説得、宇宙ステーションヘルタで濡れ衣を着せられたときに図ったレイシオへの弁明、仙舟羅浮・工造司でのスコートとの交渉。

これまで培ってきた俺の腕が試される時だ。

 

「あんたに協力して欲しいんだ。」

 

「協力?」

 

「ああ、この固有結界から抜け出すために、分裂した人格を元に戻す為に、先ずは真人を倒して【無為転変】を奪還しなくちゃならない。その為にあんたの力が必要なんだ。」

 

 

「成る程な、状況は分かった。固有結界の事や人格の事は俺にとっても他人事ではない。だから、特別にお前らに協力してやっても良い。」

 

「っ!本当か?」「但し!条件がある。」

 

「条件?」

 

少しく食い気味に言ってきた自認秤に対して俺は疑問符を浮かべながらその後の言葉を待つ。

 

「星穹列車が所有するピノコニーの株を俺個人に譲れ。」

 

「…お前、自分が言っている事分かってるのか?」

 

あまりにも信じられない自認秤の要求に俺は思わず、聞き返してしまう。

 

当然だろう。

星穹列車が所有するピノコニーの株はピノコニー全体の5%。

以前、カンパニーが買収したピノコニー全体の株の30%の内から俺達に譲られた物なのだから。

 

それを自認秤個人に渡すなど。

俺の一存で決めて良い範疇を越えている。

最悪の場合、星穹列車がピノコニーの株を失うのは良い。

開拓者は決して利益の為に行動するのではなく、何よりも優先するのは開拓の旅で得た経験や人との繋がり。

ここで勝手に俺が株を自認秤に譲っても誰も俺を咎めないだろう。

だが、カンパニーと星穹列車の関係が悪化する恐れはある。

当然だろう、カンパニーから譲った物を人格が違うとは言え、カンパニーの重臣が奪ったとなれば、問題になる。

どうにか、株を諦めて貰える様に説得しないと。

しかし、いきなり交渉の決裂を言い渡すのは得策ではない。

上手く自然な会話の流れで秤の思考を株から反らさなくては。

 

「…あんたは、何でピノコニーの株が欲しいんだ?株ならカンパニーが25%も持ってるだろ。」

 

「"カンパニーは"な。俺個人が持ってる株は一つもない。…俺はな、この宴の星の熱を支配したい。その為には何が必要か分かるか?」

 

「利権か?」

 

「そうだ!その利権を得るための株だ。」

 

ここだ!ここで、上手く言葉匠に自認秤を言いくるめて、株以外で自認秤の目的の達成法を提案すれば、上手く話が収まるかもしれない。

 

「お前の言うピノコニーの熱ってのは分からないけど、必ずしも株が必要な訳ではな無いだろう?他の方法で熱を支配する方法だってあるはずだ。ほら、お前運が良いし。株に拘る必要なんて…。」「駄目だ。」

 

「っ!?」

 

「俺は確かに運が良い。百戦錬磨のギャンブラーを自称する程にな。だがな、俺はギャンブラー以前に経営者でもある。運は俺の最大の武器ではあるが、それに頼ってばかりじゃあ、三流経営者も良いところだ。それが分からないようでは、お前に俺と商談する権利はねえ。さっさと消えな。」

 

…交渉決裂か。

仕方ない。

こうなったら武力行使だ。

 

「悪い、伏黒。戦うしかないみたいだ。」

 

「謝らなくて良い。お前は十分にやった。後はあの経営者気取りを殴って黙らせれば良い。」

 

そう言って伏黒は自身の影から玉犬の白と黒を顕現させた。

 

「経営者気取りとは侵害だな。お前に経営の何がわかる?」

 

「少なくともてめえらが勝手に押し付けてきた物を後から返せって言ってくる三流経営者よりは理解していると自負している。」

 

「ハッ!良いな!その反抗的な態度!熱が篭ってくるのを感じるぜ!こんなに熱くなれたのは部下が俺のカードでリボ払いしていた時以来だ!!」

 

そう叫んで、自認秤は懐から大理石を取り出す。

 

「俺の熱を超えてみろ!穹!伏黒!」

 

自認秤は懐から取り出した大理石を天へと掲げて詠唱を唱え始める。

 

「俺が賭け、俺が勝ち、俺が支配する。俺はたった一枚のチップを元手に金塊を稼ぐ、俺が運を試し、運が俺を試す。全てを琥珀の王に!」

 

アベンチュリンの基石の能力…。

まるで、ヴォイドレンジャーの顔面の様な異形の仮面を被った形態に変身を遂げた自認秤は凄まじいエネルギーを獲得すると同時に自身の頭上に巨大なパチンコ台を顕現させた。

 

「…なんだあれ?」

 

「わからないが、恐らくは秤先輩の能力の一部だろ。何かしらのカラクリが隠されている可能性がある。油断するな。」

 

そう言って伏黒は突然現れたパチンコ台を警戒しながら玉犬で自認秤に攻撃を仕掛ける。

 

その攻撃を自認秤は不敵に笑いながら敢えて避けずに受け止めた。

 

「フンッ!軽いな。こんなんじゃ俺は倒せねえぞ。」

 

そして、攻撃を受け止めた自認秤は玉犬を掴み、遠くへ投げ飛ばす。

それと同時に、頭上のパチンコ台に変化が起きた。

 

「なんだ?!」

 

突然、パチンコ台のスロットが回り始める。

やがて、スロットは回転を止めて、横一列にドルの絵柄が揃った状態で停止した。

 

『$$$』

 

-マネーフィーバー-

 

突然、奇妙な音声が流れると同時に天井から無数のコインの土砂降りが降ってきた。

 

「っ!?あのパチンコ台、揃った絵柄に応じて効果を発揮するのか。」

 

「それだけじゃない!さっき秤先輩はわざと玉犬の攻撃を受けていた。恐らくはあのスロットの発動条件は攻撃を食らうことだ。」

 

俺達は無数のコインを全て紙一重で避けなから会話を重ねる。

 

自認秤を倒すにはあのスロットによる攻撃をいちいち防がないと行けない。

発動を未然に阻止するのはかなり難しそうだ。

 

技の元となっているのが、パチンコである以上、必ずしも同じ攻撃が来るとは限らない。

攻撃が下振れることも上振れることもあると言うことだ。

 

自分にも相手にもギャンブルを強制するこの技…。

秤らしくもあり、アベンチュリンらしくもあるな。

 

「穹、ここからは役割を分担するぞ。防御は俺に任せろ。俺の摩虎羅ならランダムな攻撃にも対応出来る。」

 

「分かった!なら、攻撃は俺が担当する。」

 

瞬時にお互いの役割を分担し、俺は自認秤に攻撃を、伏黒は摩虎羅を召喚する。

 

「今度は穹か!来い!お前の熱を見せてみろ!」

 

自認秤はさっきの伏黒の時と同じ様に避ける素振りも見せずに俺に立ちはだかる。

まだ、頭上のスロットは動きを見せていない。

やはり、攻撃を受ける事が発動条件のようだ。

攻撃が発動した時の防御は摩虎羅で十分対処出来るだろうが、あれを何回も繰り返すのは面倒だ。

ペチペチと弱い攻撃で削るのではなく、一気に最大火力をぶつけて決めに行った方が良いだろう。

 

そう思い、俺はバッドを顕現させて、ありったけのエネルギーを込める。

 

集中しろ、一気に決めるために…。

 

そして俺は自認秤に向かって渾身の一撃を放った。

 

「ぐふっ!!」

 

「…くそ。」

 

本来なら、【黒閃】を撃ちたかったのだが、そう上手くはいかなかった。

だが、相当なダメージは与えられた筈だ。

 

「…へへっ!感謝するぜ…穹。」

 

「ん?」

 

「伏黒が言っていた俺のスロットの発動条件が攻撃を受ける事ってのは当たりだ。良く分かったな。けどな、それだけじゃねえんだよ。」

 

デデンッ!!

-チャンスタイム!-

 

「っ!?なんだ?」

 

「受けたダメージの大きさによって出現率の低い絵柄が揃う確率を大幅に挙げる機能…チャンスタイムだ。」

 

自認秤がそう告げると同時にスロットは回転を始める。

そして、回転を止めたスロットには横一列に並んだ星の絵柄が表示されていた。

 

『☆☆☆』

<ゴールデンフィーバー!!>

 

「きた!チャンスタイム時のみに出現する超最高レアな絵柄である星が揃った時に発動する機能だ。」

 

その瞬間、自認秤の肉体を虹色のオーラが包み込んだ。

 

「ゴールデンフィーバー中は生半可な攻撃は効かねえ、さっき穹が俺に食らわせた攻撃を最低ラインとしてある程度の威力でないとダメージを食らわない。だが、お前らがそんな強力な攻撃を俺に食らわせよう物なら、ゴールデンフィーバー中なんて関係なく、再びチャンスタイムが訪れる。その上ゴールデンフィーバー中は常に高出力の反転術式が発動しているのに加えて、身体能力を10倍に跳ね上げるバフも掛かっている。つまり、今の俺は無敵だ。」

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