ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
虹色のオーラを纏い、無敵の状態になった自認秤は攻撃の構えを取り、今までのお返しだと言うように勢い良く俺に肉薄し、拳を突き付けてくる。
その拳が纏うパワーとスピードは尋常ではなく、当たればひと溜まりも無いだろう。
しかし、奴の拳が俺に当たる直前、大きな影が俺を庇う様に自認秤の前に立ちはだかった。
「摩虎羅…。」
「防御は俺に任せろ!お前は攻撃の手を緩めるな。」
摩虎羅を使って俺を庇った伏黒が焦燥の表情を浮かべながらそう告げてきた。
…攻撃の手を緩めるなって言われても、生半可な攻撃は効かねえし、強い攻撃を与えるとまた、チャンスタイムが訪れて戦いが奴にとって有利になってしまう。
それに、攻撃をしても再生してしまうのであれば、もうお手上げだ。
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「このまま、攻撃しても奴の有利になるだけだろ!」
「それはそうだが、何もせず防戦一方のままと言う訳にも行かないだろう。摩虎羅で防御し続ければいずれ秤先輩の攻撃に適応できる。それに攻撃内容がギャンブルなら、秤先輩の運が下振れるまで、耐え凌げは勝機はある。いくらチャンスタイムに入っても外れくらいある筈だ。」
その外れを引くまで粘れってか?
先にこっちの体力が切れるだろ…。
「お前らしくない脳筋説法じゃなえか!少し馬鹿になったか?伏黒。」
自認秤はそう挑発しながら、伏黒に殴り掛かる。
「あんたに言われたくねえよ。前の世界のあんたの方がまだ幾分か知的に見えたぞ。」
自認秤の攻撃を摩虎羅で往なしつつ伏黒はそう軽口を叩いた。
「穹、ジリ貧な戦いだがこっちには摩虎羅がいる。突破口は必ず何処かで開ける筈だ。今はただ攻撃を緩めるな!」
「…っくそが!」
俺は伏黒の言葉で吹っ切れて自認秤に再び攻撃を開始する。
無敵になった自認秤には生半可な攻撃は効かない。
一発一発【黒閃】を狙うつもりで撃ち込む…。
「っぐ!?…さっきよりも重いな…。お前もやっと火がついたか?」
「悪いが、戦い中にお前と話す気も余裕もない。」
俺は挑発的話し掛けてくる自認秤を無視して、ただ黙々と攻撃を食らわす。
顔面、胸部、腹、首、足そして腕。
奴の体の至る所に攻撃を当てる。
ダメージを食らってる様子はある。
しかし、瞬時に再生してしまう。
その上、攻撃を当てる度に回転するスロット。
チャンスタイムに入ってるせいで、当たる確率が上がっており、多種多様な攻撃が俺達を襲ってくる。
突然、マグマが流れ出したり、空間がネジ曲がったり、重力が上下逆になったり…。
その度に摩虎羅で何とか凌ぐ。
摩虎羅の能力は適応。
そろそろ自認秤の能力に適応しても良い頃だ。
『???』
-ランダムフィーバー-
突然、回転したスロットがハテナの絵柄で横一列に並んだ。
「なんだ?あれは…。」
見たこともない絵柄だ。
一体どんな効果が…。
「っ!?穹!危ない!」
その瞬間、突然伏黒が焦った声を挙げて俺を突き飛ばした。
次の瞬間、伏黒の方に視線を飛ばせば、そこにはワームホールの様な歪な穴に吸い込まれる直前の伏黒がいた。
「っ!伏黒!」
「穹!俺に構うな!」
俺は伏黒を助けるために手を伸ばすが、伏黒はその手を払いのけた。
「でも…。」
「俺の事は良い。今は秤先輩をどうにかするのが優先だ。…後は頼んだぞ。」
そう言い残して伏黒はワームホールに吸い込まれて消えてしまった。
死んだのか…?
いや、死んでない。
多分生きている。
前に宿儺が言っていた。
俺達は殆んど同じ肉体に受肉しているから、お互いの気配が微かにわかる。
本当に微量ながら、伏黒が生きていることが何となく分かる。
あいつはまだ死んでない。
でも、この状況が絶望的な事には変わらない。
伏黒のお陰で目立ったダメージは無いが、体力はもう録に残っていない。
次の攻撃を摩虎羅無しで防ぐのは不可能だ。
「一番厄介な奴が消えたな。あのまま戦いが長引いていたら、今頃摩虎羅が俺の能力に適応を終わらせていただろう。つくづく俺ってのは豪運だな。」
喜色に満ちた声色で自認秤はそう言い放つ。
「後はお前だけだ穹。最後にもう一度聞くが…株を俺を譲る気はないか?」
「ねえよ…くそ成金。」
「そうか…残念だ。」
熱から覚めた様な声色でそう呟き、自認秤は俺に渾身の一撃を放つ。
どうにか抵抗しようと、防御を図るが無敵状態の秤の身体能力は人間の範疇を超えており、反応する間もなく諸に攻撃を食らってしまう。
そしてそのまま俺の意識は暗闇へと堕ちてしまった。
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夢なのか…走馬灯なのか…わからないが、自認秤によって気絶に追いやられた俺の脳にとある光景が突如として流れた。
その光景はピノコニーでの時計屋騒動が収まった後に偶々ばったり再会したアベンチュリンと交わした何気ない世間話の光景だった。
『マイフレンド、君僕と戦った時に存護の力を宿した槍を使っていたよね?』
ピノコニーの黄金の刻で俺と同じベンチに腰かけたアベンチュリンが唐突にその様な質問をしてきた。
『ああ、お前が屑石とか言っていた建創者の槍の事か?』
『うっ!あの時は悪かったよ…。僕の目的の為に君たちを挑発する必要があったんだ。』
少しからかうために冗談を言うとあからさまに機嫌を悪くするアベンチュリン。
聖杯戦争中はアーチャーに良く弄られていたが、やはり、アベンチュリンはいつもの少しスカした余裕のあるキャラよりも弄られキャラの方が輝いているように思う。
『ごめんごめんちょっとからかっただけだよ。それで?俺の槍がなんだって?』
『…全く君ってやつは…。はあ、まあ良いか。本題に戻るとね君の槍どうやら僕達十の石心が持つ基石と似たような能力を持っているようなんだ。』
『へー。』
俺はスマホを見ながら適当に返事を返す。
『…興味無そうだね。』
『大丈夫、ちゃんと聞いてるから続けて。』
『……つまりは君の槍には十の石心と同じ事が出来るポテンシャルが秘められているって事。もしかしたら今後役に立つかもしれないから、教えてあげようか?力の使い方。』
『…いくらだ?』
『見返りは求めてないよ。でも、どうしてもと言うなら僕の基石にサインを書いてくれないかな?』
そこで映像は途切れて俺の意識が現実へと浮上する。
どのくらい寝ていた?
辺りを見渡すと、まだ自認秤が近くにいたのでそこまで時間は経っていないようだ。
全く、アベンチュリンの野郎…余計事しやがって、お前が教えた力でお前から分裂した人格と戦う事に成るとかどんな確率だよ。
流石ギャンブラーだな。
アベンチュリン…本当に余計な事教えてくれて…。
「お粗末様でした!」
俺を倒して勝利を確信し、この場から去ろうとする自認秤の注意を引くためにわざと大きな声を出す。
第2ラウンドだ。
俺の熱を魅せてやる!
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自認秤side
穹を一撃でノックアウトさせて、もう動かない事を確認した俺はこの場から去るための一歩を踏み出す。
しかし、その直後俺の背後から気絶した筈の穹の声が聞こえた。
「お粗末様でした!」
おいおい…嘘だろ!
かなり本気で殴ったぞ。
何でまだ動けんだよ…。
「…何製だよ?お前。」
「知るか…、いちいち頓知の効いた答えを言う余裕ねえよ。ただ…。」
そこで、穹は一呼吸おいて俺を睨み付けてこう口にした。
「今から俺の熱を魅せてやるよ。」
そう言うや否や穹は建創者の槍を顕現させて構えを取ると同時に詠唱を唱え始める。
「俺が
まさか!使う気なのか?あれを…。
「ー--全てを琥珀の王に。」
その瞬間、穹の体を猛々しく燃え盛る烈火が包み込んだ。
やがて、穹の体を覆っていた炎が晴れるとそこには深紅に染まった髪と瞳を持つ新な姿に変身を遂げた穹がいた。
「これが俺の熱だ!秤。」