ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~   作:ひまなめこ

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5話繁殖ゆらゆら~

俺は今エリオに言われた通り小型宇宙船に乗り込んで、襲撃してきたグラモス鉄騎兵をエリオ達が乗っている宇宙船から引き離すために誘導している。

 

俺が小型宇宙船に乗り込んで操縦を開始した直後にグラモス鉄騎兵は都合よく俺の方に標的を変えて俺に襲い掛かってきたのだ。

 

俺は宇宙船を巧みに操縦してグラモス鉄騎兵からの攻撃を避けながら、隕石だらけで物寂しい宇宙空間を縦横無尽に飛び回る。

 

グラモス鉄騎兵との逃亡劇を始めてから大体30分くらいたった頃だろうか。

 

今まで隕石だらけだった光景から変わり、月くらいの大きさの小惑星が所々に浮いている空間に出てきた。

恐らくあれらがエリオが言っていた僅かに酸素が残っている小惑星だろう。

 

俺は今尚も攻撃してくるグラモス鉄騎兵をかわしながら最も近い小惑星に着陸し、直ぐ宇宙船から飛び降りる。

 

「よっと。本当に酸素が薄いな…。」

 

小惑星に降りたってすぐに酸素の有無を確認し、上空で此方を警戒するように見てくるグラモス鉄騎兵に向き直る。

 

「降りてこいよ!人らしく地に足付けて戦おうぜ!」

 

「ナ…ナナナ何故ゼゼゼゼ、ココココ蝗害から人が!?」

 

グラモス鉄騎兵は俺と宇宙船を交互に見て、困惑した様子でそう吐き捨てた。

 

「蝗害?もしかして宇宙船の事か?」

 

「宇宙船…否、それはココココ蝗害です。蝗害の胎内から人形の蝗害の誕生をカカカ確認ハハハ排除します。」

 

「落ち着け、俺はスウォームじゃない。後虫は胎生ではなく卵生だ胎内からは生まれない。」

 

「フンッ協定採択…。」

 

何とかしてグラモス鉄騎兵を落ち着かせるために交渉を図るが、問答無用で戦闘態勢を取られてしまった。

 

錯乱?いや、どちらかと言えば故障か。

どうやら宇宙空間を飛翔する宇宙船をスウォームと誤認しているようだ。

 

それよりもこのグラモス鉄騎兵万が一にもホタルじゃないよな?

SUMの姿って見分け付け辛いんだよな。

 

「お前、名前は?」

 

「…AR-214。」

 

「AR-26710じゃねえのか…良かったわ。」

 

そう言って俺はAR-214との距離を一瞬で詰めて拳を叩き込む。

俺の素の身体能力は虚数エネルギーによる身体強化無しで亜音速に達する速力を発揮出来る。

これに更に今の俺が出来る最大出力の虚数エネルギー強化を施せば俺のスピードは音速に達し、そこから繰り出される拳の威力は大抵のモンスターならワンパンで倒せる。

 

俺の拳が狙い道理にAR-214の腹部に炸裂し辺りに轟音が響く。

確かな手応えを感じて、俺が勝利を確信したその瞬間。

油断していた俺の腹に予想だにしなかったAR-214のカウンターが炸裂し、俺の身体は後方に大きくぶっ飛ぶ。

更にAR-214は全身から勢いよく炎を噴射してそれを推進力に一瞬で吹き飛ばされた俺に追い付いて追い討ちのかかと落とし食らわせて、俺を地面に叩き付けた。

 

「がは!?」

 

固い上に速い上に重い!

あんなにボロボロな装甲を纏っているのに、俺の渾身一撃が全く通じなかった。

 

これがグラモス鉄騎兵の力。

正直甘くみていた。

惑星を単独で破壊できるホタル以外は対した事無いだろうとたかを括っていたが、考えが甘かった。

こいつは一筋縄では行かなそうだ。

 

「出し惜しみはしねえ!俺の全てをてめえにぶつけてやる!」

 

そう言って俺は叩き付けられた地面から立ち直り、すぐにAR-214の元に俺が今出せる最高速度で迫る。

だが、俺のスピードを上回る反応速度でかわされてしまい、もう一度カウンターを食らってしまう。

しかし、ただでは食らわない。

直前で【無為転変】を使用し、物量ダメージを無効化した。

そして自身の魂の形を変えて俺の右手をゴムのように伸ばし、AR-214の身体に巻き付ける。

そして巻き付けた手で【無為転変】を発動してAR-214の魂に触れてダメージを与える。

 

「ぐ!?」

 

「…なんだ?この感触?。」

 

無事に魂攻撃がAR-214に効いた所を見ながら先程奴の魂に触れた時の感触に違和感を覚える。

 

…まるで異なる性質の魂がお互いに鬩ぎ合っているような感触だ。

 

俺がAR-214の魂について思案していると、奴の身体に突然異変が起きる。

 

AR-214の身体の回りを紫色の怪しいオーラが包み込み、奴が内包する虚数エネルギー量が指数関数的に上昇する。

 

「私は死ぬわけには行かない…死ねない…死にたくない…生きたい…死にたくない…生きたい…死にたくない…生きたい…死にたくない…生きたい…死にたくない…。」

 

まるで呪詛のように生への執着を口にするAR-214。

これで確信した。

AR-214は【繁殖】の行人だ。

蝗害を滅ぼし、【繁殖】を根絶やしにするために生まされたグラモス鉄騎兵としてのAR-214と【繁殖】にすがってでも生に執着したAR-214がお互いに鬩ぎ合った事であんな妙な魂の感触を生んでいたんだ。

そして、きっと宇宙船をスウォームと誤認したのもこれが原因だ。

 

…可哀想に。

彼はいや、彼女はただ普通に生きたかっただけなのに。

兵器以外の生き方を彼女なりに探したかっただけなのに。

それすらも、許されないのか…。

 

せめて彼女がこれ以上苦しまないように一思いに殺ろう。

 

俺はAR-214の前で印を結び、儀式のための祓詞を唱える。

 

「布瑠部由良由良」

 

 

 

【八握剣異戒神将魔虚羅】

 

 

 

その瞬間、異様な雰囲気を放つ式神が複数の玉犬と蝦蟇を伴って現れた。

 

「ごめんAR-214、こんな方法しか思い付かなかった。…先に逝く。」

 

AR-214に謝罪の言葉を述べた後、ズドン!と言う音と共に俺は魔虚羅によって吹き飛ばされて、仮死状態に成るのだった。

____________________________________________________________

 

穹がAR-214を巻き込んで調伏の儀を開始し、魔虚羅を召還したことで穹の肉体に刻まれた十種影法術にイレギュラーが発生した。

 

本来十種影法術の式神は玉犬を覗いて調伏の儀にて討伐しないと調伏出来ない。

そしてその調伏の儀には術者本人1人で挑まなければ調伏は無効になってしまう。

今回の場合、AR-214を調伏の儀に巻き込んだ事で魔虚羅の調伏は無効となる…筈だった。

 

AR-214を含め全てのグラモス鉄騎兵はその生涯に人としてではなく兵器としての意味しか見出だされておらず、彼女らは人間とみなされていない。

 

それは呪術においても例外ではなく十種影法術はAR-214を人として認識せず、魔虚羅の調伏の無効は起こらずにいる。

今現在この術式は穹が1人で魔虚羅の調伏の儀を起こしたものだと誤認している。

 

しかし、そうなると魔虚羅によって穹が仮死状態になった瞬間に調伏の儀は強制的に終了し、穹は本当の死を迎える筈であろう。

しかし、穹は今完全に死ぬ事はなく仮死状態のまま生死の境を彷徨っている。

 

その原因はもう一つのイレギュラー魔虚羅に起きた異変が原因である。

術式はAR-214を人として認識しておらず、調伏の儀に巻き込んだとも認識していない。

だが、召還された魔虚羅本人はAR-214を人として敵として認識している。

それは恐らく術者本人の解釈…つまり穹がAR-214を人として認識する考えが影響を与えたのだろう。

術式は解釈の世界だ。

術者の解釈の影響が反映されるケースは珍しくない。

術者の無意識の中途半端な拡張解釈による拡張術式。

その影響を受けたのは幸か不幸か術式ではなく、式神だった。

術式と式神の認識、解釈の違いによるイレギュラー中のイレギュラーにより、魔虚羅の調伏は無効にならず、穹が仮死状態でも調伏の儀は継続される。

 

万が一AR-214が魔虚羅の完全破壊を成し得た場合、穹は図らずも魔虚羅の完全の調伏に成功することになる。

そしてその未来は()()()()()()

何故ならば、エリオの予見に穹が死ぬ未来が無いからだ。

AR-214が魔虚羅に破れると言うことは調伏の儀が失敗に終わり仮死状態の穹の死が確定すると言う事。

しかし、穹の死の未来は存在しない。

故に魔虚羅の完全調伏は約束された未来なのである。

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