ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~ 作:ひまなめこ
AR-214との戦いを終えた後、俺は小型宇宙船に乗ってエリオとカフカがいる宇宙船に戻ってきていた。
「ただ今。戻ったぞエリオ。」
俺は宇宙船のラウンジに行き、そこで待っていたエリオに今帰還した事を伝えた。
「おっ無事に戻ってこれたね。君が死なないと分かって居たけど、【繁殖】の気配と妙な虚数エネルギーを感じた時は流石にヒヤッとしたよ。」
恐らく、AR-214と摩虎羅の事を言っているのだろう。
「後者の方は俺が召還した式神だ。まあ、殺されかけたけど…。」
「…結構危ない橋を渡ったようだね。そんなに手強かったのかい?」
「…まあ、そんなところだ。それより脚本の方はどうだ?何か進展はあったのか?」
俺は無理やり誤魔化してAR-214と摩虎羅の話を終わらせて俺達の真の目的、脚本についてエリオに尋ねた。
「それは順調だよ。丁度今スウォームの巣が破壊された所だよ。大規模な爆発のせいでグラモスの生き残りは一人だけになったけど、見所はここからだよ。」
エリオにそう言われて俺はラウンジの窓から戦場を覗き込む。
そこには装甲を解いたAR-26710(後のホタル)が涙を流してスウォームの大群の前で佇んでいた。
丁度ホタルが覚醒する直前か。
ナイスタイミングだったな。
やがて、AR-26710は決意を固めて今一度SUMを起動して、鉄騎を身に纏う。
そして、装甲の一部が展開し、完全燃焼状態と呼ばれる形態へと覚醒して惑星ごとスウォームの大群を爆破して一掃した。
爆発が収まると宇宙空間には装甲が解かれた生身の姿で、しかも裸の状態で宇宙空間に浮かぶAR-26710の姿だけが残っていた。
「星間を舞うホタルね。」
「うお!カフカ、いたの?」
突然現れて、宇宙空間に浮かぶAR-26710を一瞥してその様な事を呟くカフカに思わず驚いてしまった。
「…。」
「カフカ?」
カフカは驚く俺を一度見つめた後、もう一度宇宙空間に浮かぶAR-26710の方に視線を飛ばして口を開く。
「穹のエッチ。」
「はあ?」
こいつ…急に何を言うかと思えば、何だエッチって。
そんなことを言われる謂れは無いぞ!
「急になんだよ…。」
「裸の女の子をこんなにマジマジと眺めるなんて、やっぱり穹も年頃の男の子。獣ね。」
抑揚なく表情も変えずにそんなこと事を宣うカフカ。
こいつ、ことある毎に俺に突っかかって来るよな。
カマチョなのか?
「良い年した大人が年下にカマチョするのはみっともないぞ。恥ずかしくないのか?」
「………ねえ、穹。宇宙服無しで宇宙空間に放り出されたことはあるかしら?丁度あのグラモスの子も回収しないと行けないし、行ってきてくれないかしら。安心してちゃんと命綱は付けてあげるから。」
あっヤバい…。
カフカの逆鱗に触れたらしい。
「カフカ…さん?落ち着いてカマチョな大人のお姉さんもきっとどこかで重要がある筈だから。」
「命綱はガムテープで良いかしら?」
あっやべ…これ終わった。
こうして俺はカフカによってガムテープを身体に巻き付けられた状態で宇宙空間に放り出されるのだった。
____________________________________________________________
~穹が追放されました~
~穹はインポスターではありませんでした~
____________________________________________________________
カフカの逆鱗に触れてア●ングアスごっこを余儀なくされた俺は宇宙空間の冷気に耐えながら、AR-26710の回収を行っていた。
何かしらの運命の力なのか宇宙空間でも問題無く息が出来たので案外スムーズにAR-26710を回収する事が出来た。
…それにしても今は気を失っているとは言え裸でよくこんな寒い空間で生きていられるよな。
一矢纏わぬ姿で宇宙空間を漂うAR-26710の姿に思わず感心してしまう。
…おっと行けねえあんまもたもたしているとカフカにどやされちまう。
俺は宇宙船に戻るために俺の身体に巻き付けられた命綱(ガムテープ)を引っ張って引き上げるようにカフカたちに合図を送るが、そこで問題が起きてしまう。
ビリっ!!
あっ…。
やっべ。
終わった。
命綱を引っ張ったら勢い余ってちぎってしまったのだ。
やべえ、どうしよう…。
これどうやって宇宙船に戻れば良いんだ?
俺はどうにかして宇宙船に戻るための案を考えるが、良い考えが浮かばない。
そのまま半ば諦めて絶望していると、突然俺の頭上に奇妙な形をした法陣が現れガコンッ!と言う音を鳴らして回転した。
その瞬間、今まで制御を失ってただ宇宙を漂うだけだった俺の身体に異変が起き、宇宙空間でも自由に身動きが取れるようになった。
「これって、摩虎羅の…。」
俺は困惑しながらも急いでAR-26710を抱えて宇宙船に戻るのだった。
___________________________________________________________
「あっぶねー、マジで終わったかと思った。」
宇宙船に何とか戻れた俺は宇宙船の床にキスする勢いで張り付き足場と重力の有り難みを噛み締めていた。
「そんなに床が好きなら床と結婚したら?女の子の裸を凝視するよりかは健全だと思うわよ。」
「カフカ…。」
この野郎。
全くもって口の減らないおんn…お姉さんだ。
いつか分からせてやる!!!
「カフカ、穹を苛めてないで早くこの子に服を着せてベッドで寝させて上げてくれないかな。今後はこの子も星核ハンターの一員に成るのだから丁重にもてなさないと。」
エリオは俺をからかうカフカを諌めて、気を失っているAR-26710をベッドに運ぶように指示を出した。
「…分かったわ。」
カフカは素直にエリオの指示に従い、AR-26710を抱えて自室へ向かった。
「くそう…カフカめ…。」
「君たちって何でそんなに仲が悪いんだい?」
自室に向かうカフカの後ろ姿を睨んでいるとエリオからその様な質問が飛んできた。
「何でかか…、恐らく俺がカフカを信用出来て無いのが原因だろうな。」
「信用出来て無い?」
「エリオだって分かるだろ?カフカの俺達を見る目。あれは俺達とはあくまでもビジネス上の関係で都合が悪くなれば蜥蜴のしっぽのように切り捨てますよって感じの目だ。」
「ビジネスね…。」
俺の言葉にエリオは心当たりがあるように沈黙して、再び口を開く。
「確かに星核ハンターに成る前の彼女はそう言う性格だったのは紛れもない事実だ。」
「…今は違うと?」
「どうだろうね、僕には彼女は彼女なりに変わろうとしている気がするよ。」
変わろうとしているか…。
本当にそうなのだろうか?
俺はゲームのカフカと今のカフカしか知らない。
デーモンハンター時代のカフカを知らないし、今のカフカからゲームの本編開始時点までの間にあいつにきっと起きるであろう心境の変化も俺は見たことがないからわからない。
確かにゲーム本編のカフカを思い返せばカフカは本当に自分を変えたのだと納得出来る。
だが、それは…俺と言うイレギュラーがいない世界での話であって、この世界ではもしかしたら俺のせいでカフカは変われないのではないか?
そう思うと余計カフカを信用出来ない。
この世界のカフカが良い方向へと変わらない可能性がある分俺のカフカへの疑心は膨れ上がる。
分かってる、仮にそうなったら原因は全て俺だ。
それでも俺は…カフカを信用出来ない。