ゴミ開拓者転生~スタレの主人公に成り代わったから全力で主人公を遂行する!~   作:ひまなめこ

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9話そのアライグマは牙を剥く

数システム時間前。

私は気を失っている白髪長髪の少女AR-26710 を抱えて自室まで運んでいた。

 

部屋の扉を開けて中に入り、彼女に私の御下がりの服を着せて上げて、私のベッドに寝させてあげる。

 

後は彼女が起きるまで暇なので、スマホでネット通販サイトを開いて良さげなコートが無いかを探す。

基本的に暇な時はこうしてネット通販で良さげなコートをポチったり、音楽聞いたり、バイオリンを弾いたりして時間を潰している。

今はAR-26710が寝ているのでバイオリンは弾かず、音楽を聴かずに静かに過ごす。

 

そうして数システム時間暇を潰していると、漸く彼女が目を覚ました。

 

「おはよう、やっと起きたのね。寝坊助さん。」

 

「えっと、あなたは?ここはどこ?」

 

目を覚まして私を見た彼女は困惑しながら当然の疑問を私にぶつけてきた。

 

「私はカフカ。星核ハンターと言う組織に所属しているわ。」

 

「星核ハンター?なんだか物騒な名前だね。」

 

確かに、星核の名前が入ってる組織名なんて聞く人次第ではあまりいい気分にはならなそうね。

 

「その星核ハンターが一体アタシに何の用?」

 

彼女は私を少し警戒しながら疑問を口した。

 

「あなたに星核ハンターの一員になって欲しいの。」

 

「アタシが星核ハンターに?」

 

「うちのリーダーであるエリオはあらゆる未来の可能性を予見することが出きるの。そのエリオ曰く私達ならあなたの願いを叶える手助けが出来るそうよ。」

 

「アタシの願いを…?」

 

私の言葉に彼女は希望を前にした子供のように、こちらにすがるような視線を向けてきた。

 

「私達と一緒に来ればあなたの悲願はそう遠くない未来に叶う筈よ。」

 

「本当に?アタシの願いを叶えてくれるの?」

 

「私達は流れ星じゃないのよ。叶えるのではなく叶うように手助けしてあげると言っているの。どうかしら?悪い話ではないでしょう。」

 

彼女は少し思案した後に口を開き私にこう答える。

 

「分かった、カフカさんは少し胡散臭いけど他に行く宛も無いし、星核ハンターになるよ。」

 

「…そう、歓迎するわね。」

 

案外あっさりと新メンバーの加入が決まってしまったわね。

一旦エリオに報告しに行っても良いけれど、せっかく同性の仲間が出来たのだから雑談でもしようかしら。

 

「ねえ、お嬢さんあなたの叶えたい願いは何かしら?」

 

「え?うーん、言語化が難しいけど強いて言えば生きる事かな。」

 

「…生きること?」

 

 

私は彼女が出したアバウトな答えに少し困惑してしまった。

 

「うん、アタシ達グラモス鉄騎兵は生まれながらに兵器として蝗害と戦い、女皇陛下の為に死ぬ為に作られた。アタシ達が自由意思を持つ事は誰にも望まれていなくて、死を恐れることも戦いを拒むことも許されなかった。それをグラモスの皆は当たり前の事のように受け入れていた。」

 

「…。」

 

私は真剣な表情で自身の過去を語る彼女の言葉に静かに耳を傾けた。

 

「アタシも最初は自分に強制されたその在り方に疑問は持たなかった。けど、女皇陛下が亡くなられて、グラモス共和国も滅んで、それでも女皇陛下の為に!って命を散らす仲間達を見てこの生き様の歪さに気付いたの。」

 

「…。」

 

「だから、アタシはもしチャンスがあるなら今度は自分の為に戦って自分の為に生きたいって思ったの。そしたらこの前のスウォームの大群との戦いで信じられないくらいの力が出て…それで…気付いたらグラモスの生き残りはアタシだけになってた。」

 

そう言って彼女は自分の話は終わりだと言う風に言葉を区切った。

 

「つまり、あなたはただの兵器でありながら人並みに生きることを望むのね?」

 

「うん、せっかくの命だもん。私のために使いたい。普通の人みたいに長生きして幸せを掴みたい。」

 

私の問いに彼女は囁くように弱々しくも強い決意を感じさせる声で答えた。

 

「長生きしたい…ね。ねえ、お嬢さんあなたは死ぬことは怖い事だと思う?」

 

「え?それは当然怖いよ。だって死んだら真っ暗なんだよ。」

 

私による唐突な質問に彼女は戸惑いながらも真剣に答えた。

 

「ふーん、真っ暗なのがそんなに怖いのね。やっぱり()()()()()()。死ぬのが何で怖いのか。」

 

「え?」

 

私の言葉に困惑する彼女を無視して私は更に言葉を続ける。

 

「ねえ、お嬢さんここにあなたが大切にしているものがあるとするわ。それはペンダントでも指輪でも何でも良い。もしそれが誰かに奪われて壊すと脅されたら、あなたはそれに恐怖を感じるかしら?」

 

「え?ええと、それは大切にしているものだから壊して欲しくはないけど、別に怖くは無いかな。」

 

「…そう()()()()そう答えるのね…。ねえ、命を落とすのと大切にしているものが壊れるのこの2つの違いって何?どう違うのかしら?物が壊れるのは怖く無いのに人が死ぬのは怖いの?何で?」

 

私は今まで()()()()()()()()在り来たりな答えが彼女の口から帰ってきた事に僅に苛立ちを覚えて、思わず早口で捲し立ててしまった。

 

「え?え?そんな事言われてもアタシには分からないかな…。そう言う哲学的な話ってあまりしたことも聞いたことも無かったから。」

 

「……そう、ごめんなさい。少し熱くなってしまったわ外で頭を冷やしてくるわね。」

 

「う、うん行ってらっしゃい…。」

 

いけない…、私としたことが何を焦っているのかしら…。 

会話を一旦切り上げた私は外に出るために扉を開く。

すると扉の向こう側からバランスを崩した穹とエリオがこちらに倒れてきた。

 

「「うわ!」」

 

「…あら、盗み聞きなんて相変わらず趣味が悪いわね。」

 

私は酷い焦燥感に苛まれながら、穹に八つ当たりするように彼を睨む。

 

「…カフカ。」

 

「悪いけど今の私はすこぶる機嫌が悪いの。だから話掛けないでちょうだい。」

 

そう吐き捨てて、私は部屋を後にした。

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AR-26710 と少し一悶着あってから約50システム時間後。

私は穹と共にまた新たな任務に駆り出されていた。

 

「…早く終わらせましょう。私今はあなたの顔をあまり見たくないの。」

 

「そんなに俺の顔がお気に召さないなら仮面でも被ってやろうか?」

 

「ええ、そうしてちょうだい。今後の脚本の事を考えるとあなたの顔は為るべく割れてない方が都合が良いわ。…それに仮面を着けていればあなたの憎たらしい顔を見ずに済んで一石二鳥ね。」

 

「…へーい。」

 

その様な雑談…いえ、こう言うのは言い合いと言うのかしら…?とにかく下らない会話を交わしながら私達は早めに任務を終わらせるために目的地まで移動する。

 

途中で都合良く仮面を販売している露店を見付けたので、穹に被せるための物を一つ購入した。

のだが、

 

「ええ…何よそれ。」

 

私は穹が選んで買った仮面を見て絶句した。

穹が選んだ仮面は蛍光色を基調としたバッタをモチーフとしたメカメカしいデザインの仮面だった。

そのダサ…個性的な仮面を意気揚々と被って穹はポーズを取りながら、こう告げる。

 

「仮面ライダー!」

 

その名前は聞いたことがあるわ。

確か男児向けのフィクション作品だったかしら?

正直言って成熟した身体でその仮面を被ってはしゃぐ姿はかなり痛々しい。

 

「いい年して恥ずかしくないのかしら?」

 

「恥ずかしくない!それに俺はまだ生まれて数ヶ月だ!」

 

言われてみればそうだったわね。

忘れていたわ。

主にあなたが生意気なせいでね…。

 

取り敢えず買ってしまったものは仕方ないので穹には仮面ライダーの仮面を被って貰って私達は任務に臨むのだった。

___________________________________________________________

今回の私達の任務はアテゥーン世界オークションに乗り込み、敬虔観者が管理する芸術作品を壊す事。

そのために私は今オークションの来賓達に私の話を《聞いて貰っている。》

 

《聞いて、今回のオークションの目玉商品がこのオークション会場に卸されているでしょう?それが管理されている倉庫まで案内して貰えないかしら。》

 

「はい…こちらです。」

 

私の言霊の力によって思い通りに事が進み私達はお目当ての品の在処までスムーズに辿り着くことが出来た。

しかし、

 

「星核ハンターだな?お前達を拘束する!」

 

案内された倉庫の前で軽く数百は越える警備隊が私達を待ち構えていた。

 

「面倒ね、一人一人言霊で操っても良いけれど、今回の任務では来賓以外は生死を問わないとエリオに言われているのよね。だから…。」

 

私は懐から刀と銃を取り出して構える。

 

「少し、派手に暴れようかしら!」

 

其処からは私による一方的な殺戮が繰り広げられた。

私に襲い掛かる人間を片っ端から銃で打ち、刀で切り付け、糸を使って死体を操って襲わせる。

1システム時間も経たない内に敵は残り一人だけとなった。

 

恐怖に染まったその眼で私を見つめて腰を抜かす彼に静かに銃口を突きつける。

 

「ひっひいぃ!こっ殺さないでください!命だけは!!」

 

いつも任務でよく聞く安っぽい命乞いね。

でも、数百人も殺したお陰で今の私は以前よりもかなり機嫌が良いので、彼に少し猶予を与えようかしら。

 

「ねえ、あなた。あなたは死ぬのが怖い?」

 

「あっああ、当たり前だ!怖い…怖いに決まってるだろ!」

 

私の唐突な質問に彼は面白いくらいにテンパりながら答えた。

 

「なら、何で死ぬのが怖いのか私に教えてくれないかしら?」

 

「そっそれは…。」

 

「それは?」

 

「死んだらまっ真っ暗にな…「ボン♥️」…るから…。」

 

あまりにも在り来たりな答えを前に、思わず彼が言い終わる前に引き金を弾いてしまった。

 

脳天に弾丸が命中し、彼は静かに絶命した。

 

「…それはもうつい最近聞いたわ。」

 

「カフカ…お前、いつも任務で人を殺す度にその質問をしているのか?」

 

突然穹に質問を投げ掛けられたので、彼に向き直り口を開く。

 

「そうね、やらない時もあるけれど基本的に最後まで生き残った相手には殺す前に同じ質問をするわよ。」

 

「それは…お前の心に足りない物を知るためか?」

 

「…。」

 

私は穹の言葉に核心を着かれて一瞬動揺し沈黙してしまう。

 

「いつまでこんな事を続ける気だ?」

 

「…貴方には関係無いでしょう。」

 

今回は妙にしつこく突っかかってくる穹を突っぱねて私は任務完遂の為にお目当ての品が管理されている倉庫に足を向ける。

しかし、私が倉庫へ歩き出そうとした時、後ろから穹が攻撃を仕掛けてきた。

 

「【解】」

 

「っ!?」

 

その瞬間、見えない斬撃が私を襲った。

出力はかなり小さく安物のカッターナイフ程度。

だが、そんな事はどうでも良い。

問題は何故穹が私に攻撃してきたのかだ。

 

「どういうつもりかしら?」

 

「どういうつもりも何も、殺すつもりですけど何か?」

 

 

 

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