仇を討ちシャオを取り戻したシャカ。さらにミスリルの破壊にも成功した。
その日の晩、カルナとジークフリートは風呂に入りそろそろ寝ようかとそれぞれ自室に向かう。二人の部屋は隣にある。アシュラはようやく武器造りが出来るとスキップしながら帰り、ミラは今夜はキラの部屋で寝るらしく泊まる。キリヤは通常運転。シャカたちロータス陣営も帰って行った。親子水入らずの時間を過ごすらしい。
そして、一週間後
カルナとジークフリートが起きて広間に行くとそこには
「シャカ」
「よほど気に入ったのか」
「ああ。ここは居心地がいい」
シャカ親子が来ていた。ヴァルアはいないらしい。光雪国の一件を遂行したなかでここに集まっているのは、キリヤ、キラ、カルナ、ジークフリート、シャカ、シャオの六人。アシュラは当たり前のように武器を造っている。そしてヴァルアはアシュラの代わりに店番をしていた。
「なぜヴァルアがやる」
「アシュラさんは対応しませんからね」
「ヤトはどうした」
「そのヤトさんもポーションを開発中ですから」
新薬を開発するため籠っている。なぜ店主と副店主が工房に籠ったままなのか。何も関係ないヴァルアが都合よく来てくれたからと受付として立たされている。
「おっしゃあーーーーー!!」
とんでもない大声。一週間前にも轟いた鬼神の咆哮。後ろにはヴァルアがいる。そして、赤褐色の長髪をポニーテールにし、横髪は緩く後ろ髪と一緒にまとめ、毛先は深い緑色で、双眸もまた深い緑の青年がいる。190センチを超える体躯。耳はアシュラと同じく尖っている。彼がヤトである。ヤシャ族の末裔であり鬼神だ。アシュラと同じ鬼神とは思えない見た目だ。
暗殺者にしては大きすぎる気がしないでもないが、彼こそがポーションを開発し、かつギルドのメンバーを支える薬師だ。
「どうしたアシュラ」
「フラウくんとライトくんの武器・・・できた!」
この一週間で凄まじい集中力を発揮し造り上げた。寝ていなかった故なのか興奮状態だ。寝ず食わずの超ストイック週間を終えたのだ。
ついに自分の武器が手に入ったフラウとライトが天に掲げるかのように持ち上げ、じっと武器を見つめていた。見ているだけで楽しいらしい。その様子にカルナたちは懐かしさを感じているのか暖かく見守っていた。
「キリヤ、こいつに風呂貸してやってくれ」
「どうぞ」
ヤトに抱え込まれ、アシュラが浴場に連行された。そのあとは、気絶するように寝た。バーサーカーとは思えないあどけない寝顔。三時間後に完全回復。アシュラは大広間に戻ってくる。
「あれ、シャカさんたちいるじゃん」
通常通りのアシュラになると、自然と周りが明るくなる。
「・・・あれ、シャオくん。足元のその子」
「そう。ユウガオが僕に付いてくるようになったんだ。えっと・・・父上の師匠のところに帰れなくなってしまったのか?」
こういうときはキリヤの出番だ。キリヤはユウガオを優しく抱き上げる。
「シャオさんの相棒になりたいそうですよ」
「え、僕の?いいのか?ちゃんと言ってきたのか?」
勝手にキキョウのところから家出するような形になってしまっているのではと心配になっているらしい。優しい子なので気になるのだ。
「キキョウさんから許可を得たうえでここにあなたのところに来たようですね」
「そうなのか・・・僕でいいんだな」
ユウガオはシャオの足元にすり寄って来た。愛らしい仕草にメロメロになるシャオはユウガオを抱き上げ、これからよろしくと言った。高い声で鳴いた。
このように抱き上げているが、ユウガオはあの白虎に進化する。あの姿が真の姿なのか、白猫の姿が本当の姿なのかを知っているのはキキョウだけだ。
「ん?ユウガオ、何か背負っていないか?」
あ、そういえばと言っているかのような顔をして、自分の背中にある紫色のシルクのカバンに目を向けた。キキョウからの手紙のようなものを持ってきたらしい。伝書鳩ならぬ伝書猫。
キリヤが代表して読む。今回はカルナかジークフリートしか開けられない手紙ではなかった。
「えぇ・・・光雪国に関しての報告。五代前の王にミスリルを渡した旅人は私である」
「マジっすか」
「今回のことは私にも多大なる責任があり、自分の甘さを痛感している次第だ。カゲユキの教育は私の方でしておくので気にするな」
教育ってなにをするのかと震え上がりそうになるシャカとヴァルア。叩き直し目を覚まさせるとのことだが、本当に何をする気なのか。
「そしてもう一つ」
「まだあるの」
「シャカへ」
「あ・・・」
全員が察した。ユウガオがシャカの様子を教えたのかもしれない。
「これまでも何度も体力づくりに努めよと言っておいたはずだが」
たった一言。その一言に含まれる意味があまりにも多すぎる。苦言を呈されるんだろうな、と思っていたシャカだが、こんなにも早かった。怒りであのような感じになったが、師匠はそれでも容赦ない。感情に対して理解は示すが、それはそれとして成長していない体力不足は見過ごせなかったらしい。
「以上ですね」
「旅人ってキキョウさんだったんだね。そんな気はしたけど」
薄々感づいてはいた。五百年前から地上をうろうろしていることに関して問いたいが、本人が来てくれないので聞きようもない。
「キリヤくんたち、少しいいだろうか」
シャカたちロータス陣営以外に言っている。アシュラやキラも含まれているらしい。
「急な提案なんだが、ビックリするかもしれないな」
「え、ビックリ?」
ハイリのビックリするかもは、大吉を引くか大凶を引くかわからない。キリヤも不安しかない。
「まずは、アシュラくん」
「はーい」
巨体がアシュラを見下ろす。その眼は穏やかだ。
「これまでうちの子たちを鍛冶職人という形で支えてくれたことを感謝する」
「これからもする気だけど?」
「わかっている。君をぜひ、我がギルドの正規メンバーとしてスカウトしたいんだ」
アシュラは少しだけ目を見開いた。シャカたちは、アシュラがまだフレアフルールに所属していなかったことに驚いている。当たり前のように光雪国の一件に付いてきてくれたため、正規メンバーだと思っていた。
「良いよ。ふふっ、嬉しいな。みんなの仲間になれるの」
今までならばそう思わなかっただろう。しかし、今はカルナたちがいて、心を許してもいいのかもしれないと思った人たちが増えた。フラウとライトといい、メンテナンスをしたらありがとうと言ってくれるコイドたちといい。仲間として認められる。それが嬉しかった。
「オレは、裏切りは嫌いだよ。たまに凄い暴れ方するよ。怖がらないでくれる?」
心なしか不安そうな表情に見える。迷子の子どものような顔だ。
「安心しなさい。このギルドは、君を曇らせない」
七年前に記憶のないキリヤを迎え、二年前にはギルドに必要だからということもあったが、困っていたカルナとジークフリートを当たり前のように受け入れた懐の深い男は、アシュラの心も解きほぐす。
「マスターってすごいんだね。信じるよ、オレ」
ハイリはニッカリと歯を見せて笑い握手した。
「さて、もう一つの本題」
パンと手を叩く。それすら迫力がある。
「高難易度任務のための新たなチームを結成したいと思っているんだ」
「新たなチーム?」
「レベル8以上が条件となる」
少なくともこのギルドでは、カルナ、ジークフリート、キリヤ、キラの四人しかいない。メンバーは当然、このギルドのメンバーがいい。そんななかで目を付けたのがアシュラだった。アシュラをギルドにスカウトしたいと随分前から思っていたが、都合が合わな過ぎて話す機会がなかったのだ。
カルナとジークフリートは当然だった。ただ、問題はアシュラだけではない。
これまでギルドを様々な気遣いで支えてきたキリヤと、命の砦とも言えるキラまで加えたチームだ。しかし、高難易度の任務に出動するメンツとしてはこれ以上ない人選だった。
「私は構いませんよ。マスター。これまでは待つことが多く、怪我をして帰ってくる皆さんを見るのは心苦しいものがありました。この力、奮いましょう」
「ボクもいいですよ。カルナさんたちが心配で心配で気が気じゃなかったですし。あと、チームになることで面倒が見れるなんて、都合が良い」
キリヤもキラも普段から思うところはあったのだ。ハイリからの提案は二人にとって都合が良かった。二つ返事で頷いた。基本的にはこれまで通り働き、高難易度の依頼が来たときに動く。
「オレも良いよ。強いからね、オレ」
誰も否定できない。
「このような場面に立ち会えることになるとはな」
「早朝から来て正解だったな」
シャカたちは満足したように微笑んだ。
そしてこの日、まさかの夜までシャカたちまで巻き込み新チーム結成とアシュラを歓迎する宴が行われた。
次回予告
次回は登場人物のプロフィールです
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シャオ
シャカの生き別れだった息子。生まれてすぐにクムロに拉致されるも、光雪国で育ち無事だった。父に似て聡明で、自分なりの戦い方を既に身に付けている。キキョウを主人とする白猫ユウガオが相棒となった。
属性:光、火、氷
武器:扇子、札
クラス:ライダー
ステータス
筋力7
耐久7
敏捷11
魔力10
幸運8
スキル
・神通力10
・秘術13
・浄化10
宝具
・夜明けの緋炎(対国)10
・夜照らす碧炎(対軍)8
・氷炎(対軍)10