黎明の星〜施しの英雄と龍殺しは異世界で生きる〜   作:砂門

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ざっくりしたあらすじ


無事にアルスファを落とすことに成功し、幽閉されていた住民を解放した。ミッションを遂行し、カルナたちは無事帰還。


第六話~ギルドの専属医

 カルナたちは、朝から何も食べるなと言われている。それは何故か。半年に一度の健康診断という名のステータスランク更新の日だからである。

 

 

 「おーなーかーへったーーー!」

 

 

 フラウとライトは十歳以下であるため健康診断は一年に一度。することはほとんど身体検査で身長・体重・視力・聴力など基本的な検査だ。しかし、彼らは幼くとも魔術師であるため体の変化はしっかり診ておかなければならない。ただ、いかなる魔術師であっても空腹には勝てないのである。

 

 

 「健診が終わったらお腹いっぱい食べられますから」

 

 「はーい」

 

 

 文句を言い始めるフラウを宥めながら、キリヤも健康診断を受けていた。キリヤが病気で倒れるというようなことがあれば、フレアフルールにとっても大打撃だ。

 

 実はフラウとライトは今回が初めての診断とランク審査。空腹はあるが自分のランクとステータスが分かることにワクワクもしていた。つまり、このフレアフルールのメンバーの健康管理をしてくれている専属医が今日わかるのだ。

 

 

 「フラウさん、どうぞ」

 

 「はーい!」

 

 

 フラウは軽い足取りで診察室に入った。血液検査や視力検査をはじめとした検査はシルヴァという男勝りな女性がしてくれる。彼女もギルドの専属医の一人。女性の体を診るのは彼女。ユーリンは、シルヴァがほとんど担当医のようなもの。

 

 

 「キリヤ、診断結果はどうだ?」

 

 「現状維持ですね。妥当でしょう。そういえばアシュラさんは?」

 

 「呼んだのか?」

 

 「せっかくですし」

 

 

 誰がどう見ても健康優良児にしか見えないが、念には念だ。

 

 

 「おや、フラウさんもライトさんもシルヴァさんのところへ行くようですね。次カルナさんお入りください」

 

 

 何故か専属医の代わりにキリヤが案内した。

 

 「ジークフリートさん、アシュラさんを呼んでおいてください」

 

 「了解した」

 

 

 看護師のようなこともさせられるキリヤの代わりにジークフリートがアシュラを呼ぶことになった。

 

 そして、カルナは診察室に入った。専属医を真っ直ぐ見つめた。その専属医は

 

 

 「おはようございます」

 

 「おはよう」

 

 

 透き通るような青みがかった銀髪と、青空のような双眸の少年だった。アシュラよりも年下。年齢は14歳ほどに見える。アシュラと同じように見た目は少年だが、実年齢は100歳を超えている。清潔な白衣に身を包み、Vネックのシャツと七分丈のジーパン、ハイカットスニーカーというラフな出で立ちだ。

 

 

 「キラ、お前の調子はどうだ?」

 

 「いつも通り体調は良好。普段通りのパフォーマンスができますよ」

 

 「そうか。流石だな」

 

 

 少年の名はキラ・マオヴァ。ミロワール族という特殊な目を持つ人種の末裔で、長命の種族。平均寿命が500歳。最高齢が1000歳という桁違いの長寿だった。高い魔力を誇り、その魔力が高いほど長寿。強ければほぼ不死身のような鬼や鬼神とは違うメカニズム。

 

 そんな、特殊な目を持つ種族であるキラは、その目で病原体やがん細胞のようなものを見ることができる。血液や視力はまた別の分野。その目で人の急所も分かるうえに核の場所も特定できる。カエン鉱山のとき、彼がいればあんなものを飲まなくてと済んだのではと思わなくもない。

 

 

 「それにしても・・・相変わらず不思議な魔術回路してますね。貴方」

 

 

 キラに言わせると、カルナとジークフリートの魔術回路はかなり複雑なのだという。本当にただの人間ですか?という始末。ほとんど受肉したような身体だが、この世界への喚ばれ方はサーヴァントに近い。しかし、もしかすると自分たちは転生したのかも知れない。それはカルナとジークフリートでさえ分からないのだ。

 

 

 「まぁ、この世界の構造なんてまーったく分かりませんからね。不思議な魔術回路がある人もいるでしょう」

 

 

 そう。これがこの世界の不思議なところなのだ。どんな人だろうと亜種族だろうと精霊だろうと受け入れる懐の深さがある。しかしその一方、共存を望んでいたであろう神たちは降りて来なくなってしまった。神代の終わりと同時にいなくなり、地上に現れなくなった。人は人同士で助け合えという意味なのか。それとも世界が追い込まれそうになった時初めてまた降臨するのか。

 

 まぁ、神という存在はきまぐれな気性の者たちが多い。当たり前のように不貞行為をする者もいれば、人々に害を及ぼさないようにとは考えてくれている者もいるのだろう。もしかすると、自分たちの知らないところで世界が変わりつつあるのかも知れない。

 

 

 「失礼しまーす!」

 

 

 カルナを診て?観て?いるとアシュラが突撃して来た。その後ろに申し訳なさそうなジークフリートとキリヤが控えている。キラはジト目で友人を見た。

 

 キラにとって、カルナやジークフリートやキリヤやアシュラは心を許せる友人たち。初めの頃、その身体の大きさから怯えられていたのはジークフリートだったが、彼の人柄に触れてからは懐いた。

 

 キラは人見知りで、過去のトラウマから人と一定以上からの付き合いが難しい。カルナたちと関わるようになってから、こうして専属医としてギルドのメンバーとだけは面と向かって話すくらいは出来るようになった。ご飯にいったり、出掛けたりはカルナたちに限る。

 

 

 「これからカルナさんのステータスを更新するところですよ」

 

 「あ、そうなの?ごめんね」

 

 

 アシュラは、ジークフリートが呼びに来たから次自分の番なのだと思ったらしい。健康診断に自分も呼ばれるんだろうなとは思っていたのだ。素直に謝った。

 

 

 「まぁあとはジークフリートさんとあなただけですから、大人しくしてくれるならいてくれてもいいですよ」

 

 「それじゃいとくね」

 

 

 いとくんかいと心の中で突っ込むキラ。ただ、キラはアシュラに恩がある。雑に扱うこともあるが優しさと心配と信頼が9割で、そんな扱いをするのは1割くらいだ。大切な友人だと思っていることをアシュラは分かっている。

 

 そんなアシュラには、カルナたちの他に親友がいる。アシュラと同じく鬼神であり、ヤシャ族の末裔であるヤトだ。ヤトは薬と毒を生成するスペシャリスト。幻術や鬼神ならではの体術も得意とするアサシンのような特徴もある。

 

 アシュラは、ギルドの人たちが気軽に薬が買えるようにするにはどうしようかと悩んでいるキラに助け舟を出してくれた。その相手がヤトだったのだ。今となっては、キラはギルドの人たちに第一類医薬品を売ることができ、ヤトは売上がかなり増えるというウィンウィンの関係が出来上がっていた。

 

 

 「あ、そうだ。ヤトからバフドリンクの試作品もらってきたよ」

 

 「いいですね。成分とか調べて害がなさそうなら置いてみましょうか」

 

 「カルナさんとジークフリートさんは戦うことが多いですから、念のため持っておいては?」

 

 

 一切悪意のない善意しかない歌うたいの天使にそう言われ、カルナとジークフリートは恐る恐るドリンクを受け取った。これを使う日が来ないことを祈るしかない。

 

 

 「カルナさん、更新しましょうか」

 

 「ああ、頼む」

 

 「・・・」

 

 

 更新は無事に行われた。しかし、その場は沈黙に包まれた。そして

 

 

 「11きたーーーー!」

 

 

 アシュラの大声が響いた。パーティが大好きなギルドの面々がそれを聴いて祝うムードにならないはずがない。ちなみに、ジークフリートとアシュラは惜しかった。

 

 完全にお祝いムードになり、検診どころの話ではなくなったためにシルヴァが額に青筋を立てて中断。明日に持ち越しとなった。

 

 ランク11になったカルナより盛り上がるギルドの面々。カルナはおめでとうと声をかけられながらキラの自室に行った。

 

 




次回予告

ロータスからあの男が来てフレアフルールが大混乱。アシュラとある男が一触即発。


────


キラ・マオヴァ

ミロワール族の末裔で、不思議な眼を持つ。治癒と創造の双子の兄。フレアフルールの専属医だが、解析もできる。極度の人見知りだが、カルナたちギルドの面々をはじめとする優しい人たちには心を開く。

属性:金
武器:白銀《シロガネ》ライフル
クラス:アーチャー
ステータス
筋力5
耐久6
敏捷9
魔力8
幸運5
スキル
・治癒15
・命中率15
・直感12
宝具
・天眼《スカイアイ》10(対国)
・世界天眼領域《ワールドアイ》15(対界)
・白銀ノ魔弾《ミラージュ・バレット》10(対軍)
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