じゅじゅさんぽ(現代パロ)
傘持った花子「一発げ〜い! 火の呼吸 壱ノ型──不知火」
憲紀「アバ○ス○ッシュじゃないですか」
(※焔延焼の呪力特性があれば炎の剣とかは簡単に出来ますが、良い子は真似しないように)
1020年。
その中でも先んじて送り出されていた間者が帰還し、集まった情報を元に大将軍が開拓団と武士の送り先を剪定していた三月頃。
「今日から新しい術師が入る。反転こそ出来ないが術式が治療に向いていてな。これからみんなの治療を担当するから、全員怪我をしたら彼女に頼むように」
「ご紹介に預かりましたぁ、加茂花子で〜す! よろしくお願いしますね〜」
「……
ジロリと何十という視線が花子を睨み、品定めが行われる。
悪意ではない。"何故今更出てきたのか"という、疑念の視線だ。
「おいおい、反転が使えないのに治療だって? 加茂の赤燐や止血なんてたかが知れてるでしょ」
「それより加茂と名乗ったか? お前、今日に至って何処にそんな五体満足の術師を隠しておった」
「俺は反転使えっから関係ねぇや」
「帰れー! 傷なし加茂ー!」
野良の術師、禪院当主、五条当主、元呪詛師が各々好き勝手に言葉を吐き捨てる。
無理もない。宿儺に平安京を燃やされてから20年。
未だその傷跡は深く、この場に居る術師は大抵その強大な力を前に膝をつく事になった者ばかり。
片腕片足を無くした者も珍しく無く……あの五条の者でさえ全身に酷い火傷の跡が残っていると言えば、その被害の大きさが分かるだろうか。
「この子は西の方を調べてた間者が見つけ出してね。なんとあの平安京の生き残りの子供みたいなんだ。だから僕は兎も角、この子には強く当たってやらないでくれよ?」
「……生き残り? お前…つまりそれ、あの捨て置いた産まずの女の童って事か?……だはは! こりゃ笑えるな! コイツの母を捨てた奴が掌返して子供を家族呼ばわりしとるぞ! 血しか見とらんくて笑えるわ!」
「……禪院、お前が言うな」
禪院家当主に思い当たる節があったのか、酒を飲んで加茂を笑い飛ばし、それに対し加茂が呪力を滾らせ睨む。
一瞬にして場は睨み合いの悪感情が渦巻き始めていた。
「ふぅ〜む…」
(なんだか歓迎って感じじゃないですね〜……あ、傷が痛いからか〜)
しかしそんなものは花子には関係の無い話であり……。
「まずは〜…近くのあなたさ〜ん」
「……あ"? 俺反転使えるって言わなかったか? つか俺五条な。子供は家に帰ってろ」
「では〜…五条さん。内臓が変に溶け混ざってますね。竈門に全身突っ込みました? 火傷を治す時に中身を雑にやりましたね? 人体の理解度が足りて無い反転の悪い所です。可笑しいなぁ普通なら反転を覚えた時に人体の構造も分かるんですけどねぇ〜? 今は反転で無理に動けてますけど、二ヶ月内に死にますよ。一回癒着箇所を切って形整えるので服全部脱いでくださいね〜対抗もしないでくださ〜い」
「……は? 俺、余命二ヶ月?」
「最近食欲ないでしょ〜。夜中に飛び起きた事もしょっちゅうですね〜? 今回の応急処置を済ませれば10年です。その後は経過観察で〜定期的に診断に来てくださいね〜」
よく言えば歴戦、悪く言えば死に体。
そも、宿儺の後も絶えず特級や一級相当と戦い続けた彼らにとって、反転治療のない環境は最早日常。
他者への回復が出来る者が居ない中で、傀式の式神を頼りに格上の呪霊を祓う者も珍しい話ではなく……そんな環境で多少いざこざがあろうと、それはじゃれ合いのようなもの。
「……なんか…使えるんじゃないか?」
「…かも知れん」
「……おい小娘! 俺は禪院と言う! 俺の身体はどうだ!」
五条に下した診断を聞き、呪術師にざわめきが走る。
それもその筈。五条は宿儺を捉え、封印の処置の真っ最中に竈を浴びせられた者。
即ち最も火力の高い場所から反転術式と無下限術式を全力で使って生き延びた術師である。
表面上火傷のみ残ってるだけで一見問題ない者を、即座にこれから死ぬと断言する。
並大抵の事ではなく……花子の指摘に身に覚えがあるという顔をした五条を見て、術師の見る目は変わろうとしていた。
「禪院さんは〜…先ずは義肢を作って…あ、血で出来た右腕とか嫌いですか? 私の術式の都合で血の色になるんですけど…あ、邪視の術式ですよね? 光に対して眼の反応が鈍いですね。何処かで特級呪霊を全力で抑えてたでしょ。それも二体同時に。ごめんなさい、眼は治療が根気が必要なので…一ヶ月掛かっちゃいますけど〜…良いですか?」
「……だっははは! 構わん構わん! どんとやってくれ!」
禪院当主はこの時点で彼女を信用したものの……それ以上は動かない。
実際の実力を見ない事には信用しない者が大半であったが、一先ず花子は五条と禪院の治療に着手することとなった。
「初手で五条? もっと他の奴で様子見た方が良くない?」
「いや、曲がりなりにも加茂の勧めだ。暗殺の類いじゃあ無いだろう」
「……ま、それもそうか」
そんな話を背後に、花子は早速五条当主を個室に連れ横たわせた。
「で、反転じゃないならどうやんの。赤血操術にそんな要素あった?」
「花弁を操る拡張術式を使うんです。麻酔用の花弁を食べてもらって、それから私の血を五条さんの体内に入れて〜、内部を血で切ったり動かしたり調整します。そして毒素を花弁で吸ったり薬効を注いで終わりですね〜」
「ふぅん。そもそも、どうやって俺の体調とか知ったん?」
術式開示を兼ねた治療過程の説明に、五条が半信半疑で1番の謎を問いかけた。
赤血操術は術者自身の血を操るものであり、他者に干渉する術を持たない。
しかしどうやってか、花子は見ただけで五条らの内臓まで完璧に理解してみせた。
「ん〜…そうですね〜?」
花子は困ったように眉をひそめ、説明出来る部分を探る。
説明を渋る第一の理由は、「一族列伝」を利用した技はそれだけで説明がややこしくなる為、言葉にするだけでもかなりの時間を要する為だ。
「名前は"
「ふぅん……ま、いいや。治してくれるならその辺はいいや」
「はい、防御関係や呪力は一旦切ってくださいね〜」
五条もある程度人となりを理解したのか、渡された麻酔用の花弁を食して横になる。
無下限の防御を解くのはしばし迷ったが……最悪頭部が残っていればいいかと首より下を解いた。
大した期待は持たずに治ったら御の字、治らなかったらそれまでといった心情で……五条は深い眠りに着く事になる。
「では〜…──"簡易領域"──"
融赫操。自身の血液型がO型であることをいい事に、輸血した対象の血液に自身の呪力を流し込み操作を可能にする技。呪力のない血液に通用せず、術師に関しては体内領域により自然と解除される欠点を持つ。
しかしそれは、逆を言えば体内に自然構築されている"内部領域を押して退かせば技の効果範囲となる"事を意味する。
花子に領域展開をする才能はない。
しかしそれを補う為に、一族列伝に納められた「本来なら術式が付与される領域展開の術式を抜いた生得領域の展開」をより簡易に、更には他者を傷付けない縛りを結び安全に体内の治療を行える環境を整える技に昇華した。
簡易領域と花子が命名したのも、本来のものの劣化版が故。
「……胃・小腸・大腸・膀胱・肝臓の癒着切除、再配置完了。肺・横隔膜再配置完了……血流再配置完了……心臓造形再構築──開始」
それは成立過程こそ事なれどシン・陰流の簡易領域と同じ名前、仕組みであったが……役割は攻撃と治療で真反対。
花子が扱うそれは、より加茂家の術式と治療に特化されている。
「皮膚の変質還元……骨格微調整……焼失神経再生……」
自身の少量の血を媒介に患者本人の血を操り、負担を最小限に治療する。
それが花子の治療行為の基礎であり── 一族列伝と赤躰の併せ技により、その治療は反転術式を上回る効果を発揮する。
「工程差配終了……肉体設計完了── 一族列伝、補完開始」
赤躰とは、融赫操により支配した対象の血を経由し、肉体情報を分析する技。
一族列伝は所有者が与えた肉体情報から年代を選び再現が出来る。
「……ふぅ〜終わった〜」
(良かった〜、術師相手でも上手くいって。自分の身体で練習はしてたけど、本当に上手くいくかはやらないと分からな〜)
端的に言えば──彼女の治療の本質は「肉体の若返り」。
「……ん〜?」
その練習に自身の身体を使えば当然年も巻き戻り、老いも3歩進み2歩下がるようなもの。
……20歳にしては容姿が6歳程度に小さく幼いのは、実年齢が事実見た目通りである為。
その治療を受けた五条当主の肉体は50代から40代後半程度まで若返っていた。
「五条の叔父さん……ちょっと若くなったかな〜?……気のせいかぁ」
……それから、花子の自身が若々しいのがそういう体質だという勘違いが解けるのは五条の治療を終え、一ヶ月経ってから。
「うぃー五条帰かわぁぁぁぁぁがえってるぅぅぅぅ!!?」
「だっはははははは!!!!! 見たか! 俺を見た小僧がくそチビっておるわ!」
「……ん〜? わかがえってる……若返り? あれぇ…もしかして…」
それからしばらくの呪霊討伐から再び帰還した五条当主が、明らかに老人から中年まで若返った禪院家当主を見て悲鳴をあげた時の事であった。
▲▽
「──術師加茂花子に対し、4級から特級への昇格審議を開始する」
「はい、は〜い! 私、国家転覆なんて出来ませ〜ん!」
「その存在価値及び既に術師間に広まった事実を考えての考慮、審議である。質疑応答を除き黙して拝聴せよ」
呪術師本部、上位意思決定会議、暗闇に蝋燭と多数の襖が浮かぶ空間にて。
五条家の上告から始まった会議にて、加茂花子の処遇の話し合いが始まった。
会議を呼びかけた五条家を始めに加茂家、禪院家、傀塚家、他にも回春の文字に惹かれた老人達が集っていた。
「先ずは回春の詳細について。術式開示を」
「うぅ…はいぃ…ええと、治療は赤血操術でやった事に違いはありません。あ、簡易領域を使ったりもしましたけど、基本的に赤血操術を極めれば出来ることです」
「……簡易領域?」
「先に言っておくが、儂の所の弟子ではないな」
会議にどよめきが走る。
無理もない。彼らが想像する簡易領域とは領域の押し合いで利用する物である。
シン・陰流の弟子かと当代師範へと繋がる襖に視線が集まるも、すぐに違うと否定される。
では技を盗んだのかと考えるも、それは出自から無理がある。
加茂の者ではあるが、その出所は平安京近くの隠れ里。物理的に見る機会がないのだ。
「え〜と…私が独自に編み出した結界術の発展系…なんですけど〜…もしかして同じものを開発した人が居たり…?」
「……ふむ? 加茂花子。お前の簡易領域を説明しなさい」
花子が説明すると、上層部にどよめきが走る。
シン・陰流と関係ない簡易領域の開祖。
理論上あり得る話だが……使い方の方向性は違えど、その完成度が並び立っているというのは直ぐに信じられる話ではない。
「簡易領域で呪力対抗を無くし、赤血操術の効果を最大限発揮させる……理解はしました。あなたが開発した拡張術式との組み合わせで若返るのも。では肝心の回春、その効果。見た目だけか、または寿命も見た目同伴になるか。言えますか?」
加茂花子は一族列伝で治療の際に足りない部位を補うが、それはあくまでも補助。
消えた部位の補完を務める血に対し、本物と同等の動きが出来るように情報を刻むのを自動化し、失敗するリスクを減らす道具でしかない。
「う〜ん……寿命がそのままっていうのはないかと〜。私はまだ技の磨きが悪いので再現した臓器が血の色になりますけど、細胞の分裂限界は再更新してますし〜…後は体感黒閃を〜…3回は連続で打てれば見た目も真っ赤じゃなくて〜、本物と同じになりそうかな〜?」
例え一族列伝が無くとも、赤躰さえ身に付ければ時間をかけての回春は可能。
それどころか、赤血操術を持つ者が黒閃を多数撃ち込めば無意識に不老になる事さえ可能である。
一族列伝で飛ばした学習や修行、黒閃による呪力の核心への接触などの壁を越える必要こそあれど……再現性があるのだ。
ざわ…ざわ……
ざわ………ざわ……
老人達のどよめきが大きくなっていく。
全盛期の若い身体を手に入れる手段が目の前にある。
彼女を手に入れさえすれば不老も同義。
既にこの場には無尽の欲望と死への恐怖が、ぐつぐつと煮え始めていた。
「静粛に!……ふむ、では脳に対して使うとどうなる? 記憶を納める場所だ、戻した分だけ記憶を失う懸念は? 治療出来ないのはどの辺りまでだ」
そして、場の進行を進めていた傀塚の当主が最後の質問を……今にも彼女を手にしようと構えていた老人達を止められる、最後の問いかけを投げかけた。
事実に関係なく求める答えは一つ、「失う」という返答のみ。
そうすれば加茂花子はギリギリ個人の自由を確保出来る。
それを察して自らを助けられるかの最後の機会を与え──加茂花子は、一切気付かずに事実を述べた。
「あ〜それはないです。私、お恥ずかしながら最初は治療が下手な方でして〜…練習で自分の身体を使ったんですけど〜、脳を治しても記憶は無事でした〜」
"つまり、完全な若返りが「今」、手を伸ばせば手に入る"
「……はぁ。加茂花子を特級術師に認定する。理由は一点」
バキキキキキ!!!ゴォ!「"共鳴り"!!」「"全呪霊解放"」「"斗星"」
キィィン「"八戒将来"!」ドン!ガッ!「"ぐえん"」ギィィィ!!「"軻遇突智"!!」
「ワァ…!」
花子を台風の目として無数の式神が、多数の術師が、使役された呪霊がシノギを削り始めた。
歴戦の老術師が一切の出し惜しみをせずに行う、若返りを手にし相手に与えない為の争奪戦。
不老の有利性を自分だけ受けようという、欲望による行動。
「存在するだけで争いを産むその御技。
お前が願えば誰かが国家転覆を始める価値。
歴戦の術師・呪詛者を容易に味方に出来る危険性。
我々が死刑を実行出来ず、お前を使わない事を選べない魅惑。
以上を持って当主最年少の傀塚家と保護者の加茂家による「治療」の完全管理、身柄の拘束を決定する。
──"傀式完全解放" 全て鎮圧せよ」
赤血操術による不老
今作独自の解釈。
原作の虎杖の不老の原因を"呪力の核心を掴んだ赤血操術の術師"である事と定義した結果。
無理があると思う方も居ると思われるが、別説の九相図や宿儺受肉体による影響に不老要素どこ?となった為。
どっちも普通に元が生き物だし老化しない方が変。それで虎杖不老に出来る?と引っ掛かった。
呪物の取り込みは既に実践した奴が作中出て来ない理由が無く、羂索が細工して不老に出来るなら原作でとっておきの肉体用意してないのはおかしい…おかしくない?
なので「
赤血操術持ちが黒閃を3連続決めると不老や若返りが出来る事になった。
花子が若返り治療出来るのは一族列伝で呪力の核心を擬似的に知ったお陰。
そのせいか血で再現した部位の見た目が真っ赤で分かりやすい。