分入っても 分入っても 山
屍のまま 彷徨っている
「カヒュッ……!」
溺れたと錯覚するほど息苦しい。
もがき、もがき、もがいた末に息を吐き出し、吸って、それからここが地の上であると思い出す。
無限の呪力を持つ乙骨でさえそうなる、濃密な呪いと死に満ちた世界。
「……目的はなんですか。契約したと言うのなら、誰とした」
『守秘義務って知ってるかい? それと、質問ばかりじゃレディに飽きられちまうよ!』
飛んで来た術式を携えていた刀で弾き、鵺の爪と切り結ぶ。
打ち負け、後退しつつ不意に加速に後方を取る。これも失敗。
無限の呪力で暴力的に強化されているというのに、太刀打ちは不利。
「…ッ僕に力を貸してくれ」
正面戦闘の経験、生物としての格。
例え無限に呪力があろうと、出力が有限であるのも大きいだろう。
そんな性能の圧倒的差を埋めるなら……乙骨にはコレしかない。
「──"里香"」
『ハァーーイ!!』
指輪から……損傷からかヒビ割れ、黒い煙を出している特級過呪怨霊が現れた。
同時に乙骨の周囲を囲うように刀、籠手、鉄扇、槍、大鎌、メガホン……武器が現れ──手前の"眼球"を握りしめる。
「僕の術式は理解したものの模倣。特に"生命体に由来する物"なら大体いけます」
『術式の開示……ここで決着を付ける気かい』
鵺が肉体に現す生き物の数を増やす。
受け止める気はない。ギリギリまで留まり、攻撃を放った瞬間に避け、攻撃後の隙を狩る算段。
乙骨が握る眼球がバチリと帯電し始める。
「ただし条件があります。開示しなければ術式しか模倣出来ない。"呪霊は霊的生命体"だ。
轟け
……かつての大呪災において、墓守が備えていた結界は術師と呪霊を無差別に閉じ込めた。
そして、"羂索は全人類を術師に変えている"。
なのに何故元から術師である人物しか対象に取らなかったか。
"結界が定員オーバーになったから"。
物理的な空間の密度、縛りにより最優先に呪霊を取り込んだこと。
無数の呪霊を閉じ込めた後に残った術師の枠は、より上位の術師から選出される。
それでも尚結界は全国を合わせて元から術師である者を約9割取り込んだが……それは成り立てと共に1割が足切りられたということ。
『 ク ハ ハハ!! 呪霊の術式か! 面白い! 大抵こういう手合いは生者の物しか対象にできないというのに!』
「……何を言ってるんですか?」
当時5歳という弱冠にして9割側に選ばれた乙骨は、里香と栗鼠という相棒と共に地獄の中で自身の術式の理解を深めた。
即ち、"呪霊を飼い殺すのが端的に強くなれる"。善悪を捨てた生き残る為の方法の発見。
後隙に迫った鵺の爪が乙骨の首筋に迫る。
「"天然物"ですよ。避けられる攻撃に
先程の眼球がプリントされた単電池が乙骨と鵺の間に出現する。
コピー武器の使用直後は硬直するという鵺の先入観を見抜いた上での策。
「轟け──
ビームと化したそれは幾つも建物を突き破り、途中に居た呪霊を纏めて焼き祓う。
メガホンを4つ携え、鵺の方へ構えた。
「"力を抜け" "鬱になれ" "朦朧になれ" "死ね"!!」
呪い、呪い、呪い、呪う。
言葉を重ね、より死に易くなるようにする。
途端に乙骨と里香から溢れる呪力が四回枯渇し、鵺の居場所にクレーターが作られ、また溢れ出す。
呪言は相手との呪力量により効き目の程度が変わる。
その上で無限の呪力が四回も枯れる事の意味は──。
「黒幕みたいなのが居るっぽいし、そのせいかな」
先程の鵺の言葉を思い返す。
守秘義務がある以上こんな状況を起こした誰かが居るのだろう。
見渡す。
どうやら共に来ていた術師達の手により、あの最悪の再来は帳の中に閉じ込められているようだ。
周囲の術師達の戦況は均衡。特級呪霊のバーゲンセールではあるが、コチラも半端な術師は用意していない。
最低で一級、それもかつて居たらしい大師の教えを受けた者、「大呪災」の生き残りばかりだ。
なにより、あの時は呪霊の呪力総量が千倍になっていた。それと比べればなんて事はない。
乙骨が援助する必要はないだろう。目の前の敵に集中するべきだ。
「"死ね"!!」
念を入れて呪いを重ね、抜刀する。抜くは斬った相手に癒えぬ出血を強いる術式。
手加減する余裕などないので全力で潰しに行ってるとはいえ、貴重な情報源。
宿敵ではあれど乙骨は鵺の背後に居る……より奥に潜む黒幕を殺せる可能性を残した。
つまり、生き残る選択の中で次善を選んだ。
『 宇宙を旅した事はあるかい?』
カタカタと刀が震える。
払った刃が振り抜く途中で止まり、前にも後にも──手を離すことも出来ない。
呪詛返し。五重に重ねた呪いの報復。その全てを里香と乙骨の金縛りに集中させたのだ。
鵺の毛並みがずしんと、長くて灰色の毛が増し、鹿の角が2対生えていく。
『月に手を伸ばしたことは この世の全ての命を喰おうと考えたことは』
抗う、抗う、抗う。
呪力を回し、肉体を強化し、体内領域を広げ、束縛を破ろうとギャリギャリと呪力の刃を回す。
漠然とそれを眺めながら鵺は呟く。
『なんだっていい 絶対に叶わない願いを叶えるって
術式開示を行われている。
このまま聴いてしまえばより一層不利になる。
まだ勝てる。均衡を崩す訳にはいかない。まだ押し通せる範疇だ。
『これを「無理難題の縛り」と言う 絶対に無理な事を絶対にやり遂げる意志 今後の人生 来世 再来世すら捧げる覚悟と自我 私が自ら課した三連星の宿願 その仕組み』
──最低限、挑戦する土俵に立つ為の縛り。
縛りは全ての術師が持つ当然の権利。力。
全てを捧げる覚悟さえあれば、僕にも出来るのか?
『人から
獣の手が、乙骨の頭を撫でる。
年寄りが孫を撫でるように、優しい手つきで。
「……あ」
漸く悟った。
呪詛返しされ、互いの呪力が交わり、悟った。
鵺は僕の呪力に触れ、僕の過去を垣間見たのだ。
だからこれは……鵺が善意で僕に預けた
「……ありがとうございます。あなたは、きっと道を間違えただけの良い人だった」
彼女は自ら退路を塞いだ。
もう戻る事もやり直す事もない。
自らこの道以外を進まないと定めた以上、それしかやれなくなっただけ。
そう斯く在るべしと、不変のものとして自らを規定してしまった。
「だからこそ……ごめんなさい。僕はあなたと同じ道は歩めない」
呪力放出の限界を超え、無理矢理に金縛りを解く。
手にするのは──花札が集まり造られた大鎌。
契約破棄にのみ有効な術式の模倣。
「僕はもう──これ以上里香を苦しめたくはないから」
何年も悩んで、共にしてきた。
里香を蘇らそうとこの世の道理に抗って、息が詰まる中もがき苦しんだ。
諦めそうになった事は最早数えきれない。心が呪霊に変わっていく里香を見て、成仏させるか何度も悩んできた。
それでも、栗鼠がいる限り乙骨は再び立ち上がった。里香に我慢させ、術師として修行を重ねた。
「鵺さん。僕は感謝してるんです。最初こそ恨んでましたが……お陰で目が醒めました」
だが……それは全て徒労へと変わった。
五条や大人の術師に聞いて死者を甦らせる方法"だった物"は知れた。
呪霊に堕ちた里香を救えるものは一つも無く、第二の冥界が有るせいで蘇生はより困難な物に変わっていた。
単純に手遅れだった。
そして、乙骨には里香を救える選択が最初から有った。
なり振り構わず呪力を撒き散らし、発見され、早々に術師として教育を受けていれば……無限の呪力がある乙骨なら手遅れになる前に第二の冥界を封じる事も、里香を甦らせる事も出来た筈だった。
「確かに僕は"覚悟"が足りて無かった。
呪いは自分すら不幸にする覚悟が無ければ使い熟せない。
その事実を受け止める覚悟が足りなかった。
無理難題じゃない。
里香を幸せにするのは、もっと単純なやり方で良かったんだ」
呪いは命を捨てるだけでは使い熟せない。
誇りも尊厳も何もかも捨てて、最も大切な物すら手放して漸く願いに到達する。
縛りを自力で解けなくなったなら、断ち切ってでも振り解け。
「"さよなら 里香"」
乙骨は大鎌で自分の首を刎ね、切り口から膨大な呪力が、縛りが解放される。
首が切り離れた訳じゃない。
ただ、死んでも別つ事のない魂の呪縛から里香を解放しただけ。
胸から何か欠けたような、ぽっかりとした空虚が乙骨を満たしていく。
幻聴か、里香の魂が別れを告げたのか。
縛りを切ってしまった以上は分からない。
分からないが……"これで里香は第二冥府へ取り込まれた"。
「……お待たせしました」
本当に里香を幸福にするならば、これを破壊する以外の道はない。
退路は断った。術師の蠱毒から解放する以外の選択はもう無い。
「食事抜きでお願いします」
『嫌だね! お前はもう喰らうって決めたのさ!』
両者、戦闘再開。
「"
『"月食鵜"』
乙骨による代わる替わる別の武器を振るう連撃。初撃で壊れる縛りを科した超火力。
これを鵺は防御もせず大口を開けた。
喰われ、口内をズタズタにし脱出。そこには次の牙山。マトリョシカ構造の無間捕食。
「"
取り出したるは肉体を爆発させる術式の模倣。火縄銃の形をした指型の弾を放つマシンガン。
乙骨と里香の縛りは切り離されども、解放された際の呪力は依然とめど無く溢れている。
元が無限呪力を生成する縛りである。無理矢理切り裂き、破綻させて有限の世界に還そうと完全に消え去るまで猶予が発生する。
「加算 呪力特性"
故に無限呪力を使えなくなるまでのこの五分は、乙骨が鵺を殺し第二のあの世を破壊することが許される制限時間と同義となった。
『呪力特性の模倣! 更に模倣の融合! 里香の正気維持に使っていたリソース……』
──ふと、黒い火花が鵺の視界を掠めた。
「──"
五分とは、"縛りが破綻したことによる恩恵も同時に使える時間"との重複時間である。
栗鼠の要領で里香の理性を模倣し、複製し、常に貼り付け続けて人間性を無理矢理維持させる。
幼い頃から続けていた独学の対処法は、無意識の修行となり、乙骨の術式を新たな領域へと拡張させた。
そこに「大呪災」で溜め込んだ術式ストックが合わせればどうなるか。
黒閃が重なればどうなるか。
"最初に放てさえすれば黒閃をも再現する追撃専門の術式をここで使えばどうなるか"。
「──"
──その答えが、今
無限呪力をほぼそのまま出力へと変換する、刹那の究極。乙骨の完成系。
それを容赦の欠片も無く十一回分宙に向けて鵺を打ち上げ……それでも尚、鵺は五体満足で、新たに鳥の姿へと変わり始めていた。
焼け跡を身体の随所に残すのみで、特級呪霊の集団を三桁は平気で滅する砲撃を受けて……健在。
──バサリ。
『今のは流石に応えたぞ? やるじゃないか 肉体のストックが
健在だが……これでも鵺は生前より大幅に弱体化している。
数千万と喰らった命と肉体はリセットされ、蘇った後に食べた物しか変身ストックはない。
術式開示をせず、一度死んで3つの無理難題の縛りのペナルティを受け、その上術式が本領を発揮する
生前の死ぬ直前とは真逆の圧倒的なアウェー。
それでも尚、鵺は完全に至った乙骨を僅かに上回る。
"宇宙で生き延びれる進化"を遂げた究極は、易々とは堕ちはしない。
「──"領域展開"」
ならば、全力を超えて押し通る。
黒閃により至ったゾーンが、それを可能にした。
『月仙魔鳥 "明幽鴉"』
ならばそれに応えるまで。
両者の思惑が交差し、奇しくも取った行動は同じだった。
"第二冥府を自身の領域として利用する"。
そも、あの世そのものである第二冥府に関わる事は未解明な事象が大半だ。
有志の解析により限定的な蘇生という恩恵を術師に齎しもしたが、その大半は必ず人類に害を成す。
千害あって一利有り。
どうにもならないから封じられた経緯は、その過程に無数の犠牲が有った。
どう扱おうと変わらない。どう使っても使い手には破滅を齎す。
それでも尚地上に現れたあの世を支配しようとするのは──それだけ"あの世の呪力"が生者に効果的だからで。
「時間が無い──ここで無理矢理にでも鵺と一緒に壊す!」
『手向けだ 地表は道連れにしないでやる』
触れればあらゆる耐性も硬度も意味を成さない。
乙骨が領域を広げながら飛び降り、鵺が爪で切り裂いた空間から月を引き摺り出し、あの世に沈む。
乙骨はあの世其の物を丸ごと壊して鵺を殺す為に。
鵺は月を広げられる環境を欲した為に。
片や領域を潜水艦代わりにして。
片や死者であった時の経験を活かして。
「"
『領域同化 "三眼鹿"』
ざぷりと、京都に広がっていた黒々とした領域に二つの波紋が広がる。
ここより先は死者の世界。僅かにでも直接触れれば死ぬ空間。
領域がゴリゴリと削られて、途中から支配された死が盾として纏まり始める。
力技による支配、あの世との領域の押し合いに勝る無限呪力による対処法。
対し領域で中和し薄めた死を自力で耐え、"第三の眼"を開眼させる。
別星人、その宗教的象徴其の物を浚い喰らって得た同化の力。術式の付与能力を利用した死の世界への適応変態。
「ほんっとデタラメだ…!」
『お前が言うか
あの世の
道中の刀を片っ端から抜いて放ち、あの世其の物に……そこに満たされていた液状化した呪いを焼きながら進む。
理解が進む。こんなことをした誰かはあの世に溜まった術師の魂をこの「液状化した呪い」に変え続けていたのだと。
一旦脳の片隅に置き去り、次の一手に集中した。
今より行うは模倣の拡張──
「術式順転 "領域模倣"」
術式の真髄である領域、その模倣。
「──多重展開」
……それを更に重ねた、拙くも確かな神域の創造。
『……ッ!』
"生前の鵺の死因と同じ巡り合わせ"。
鵺の脳裏で騒ぎ続けていた生存本能が暴れ出す。
『 ォォォォオオオオオオ"オ"!!!!!』
あの日経験した死と同一のものと相対し頭が空白になった鵺は、獣の道理に……かつてと同じ選択を行った。
即ちこの場に持ち込んだ「月」を掴み──"亜音速で掴み蹴った投擲"。
術師の究極と宇宙一の投石。
原始的なぶつかり合いは果たして──。
『……獣には必ず 避けられない殺し方がある』
「──"領域は呪力のない物体を排除して展開出来る"」
『見事だ乙骨 私を狩った名誉を此処に讃え……』
「祓っただけです。僕は……
月がよく見える山中の開かれた川辺。蛍の光が辺りに漂う鵺の生得領域で。
呪いの力がぶつかり合う刹那の会合。
乙骨の展開された領域で鵺が惨殺されるまでの心の触れ合いで、乙骨は魂すらもバラバラに砕かれていく鵺に認められた。
『……そうか そうだな。ならば呪いを祓われた者として、一つ手向けを送ってやる』
「遺言ですか」
『戯け もっとお前に得のありそうな物だ
獣は即物的だからな お前があっと驚く物しか用意出来んのだ』
「それは……」
答えを聞こうとして、乙骨はやめた。
晴れやかに笑う鵺が、とても悪いことをするとは思えなかったから。
「いえ……楽しみにします。どうか安らかに、鵺さん」
「ああ、よく食べて長生きしろよ。乙こ──
──現実に戻る。
「ップハァ!?」
一秒に満たない僅かな気絶。それにより破綻した領域の暴走。
息を吹き返し最初に行ったのは、それを敢えて加速させ、自分と一緒にあの世を吹き飛ばすこと。
「──させてあげない」
背中から誰かに押される。
「ッ!!!? 里香!?」
「憂太はもっと生きなきゃダメだから」
"獣変呪法"。
鵺は死ぬ直前、肉体に残った人間要素を全て折本里香へと譲渡した。
あの世に限定した一時的な、その姿を視認しない限りの再会。
姿も声も生前の里香と似ても似つかない。されど、乙骨は直ぐに彼女であると確信した。
「またね。なるべくゆっくり私に会いに来るんだよ」
「待て! 待って! 僕はまだ!」
「それは"あーとーで"! 約束だよ 約束だからね!」
眼を瞑り、言いたい言葉を無数と堪え……乙骨は上を向いた。
「………分かった。"約束する"。
愛してるよ、里香」
飛び立つ。
「──────」
最後の言葉は聞き取れずとも聴こえた。
完全体の完全崩壊まで残り時間五秒。
乙骨は「大呪災」で術師として大きく成長した。
同じように巻き込まれた里香も例外ではない。
例え神域の領域であろうと、暴走の指向性を整えるくらいは出来る。
……といった、合理的には考えては居なかったが。
斯くして乙骨と里香は、封印から解かれ京都に再浮上した第二のあの世を祓ってみせた。
それはあの世の繋がりを通じて各地へと波及。
終ぞ鵺の背後に居た黒幕を倒せずとも、その目論見を破算させるのに成功する。
「やぁ、失敗失敗! 夏油の身体を乗っ取り五条と対峙して封印──と行きたかったけど、伊達に傀塚の教育を受けてないね。
ただし、唯一、しつこい汚れのように。
東京に浮上していたあの世のみ崩壊から免れた事により、完全な目論見の破算には失敗。
大量に溜め込ませた魂、それを凝縮した呪いが消え去った事により今しばらく……羂索は1年を再生の為に要する事となる。
「今度はもっとコンパクトに行こう。
苦しい対応だけど、術師になった非術師を非術師に戻すくらいは現代の術師は
次はもっと計画的に動いた方がいいね」
しかし、二回の「大呪災」は術師の戦力を大いに削り落とした。
傀塚の教えを受けた者は10にも満たなくなり、日本全土から東京のみに範囲を落とせど第二のあの世も現在。制御も羂索の手の内。
「さてさて、どうしようかな。天元は死んで、
術師は元の人手不足に戻ったが最強が居る。
となると……うん、"アレ"に期待してもいいかもね」
決め手にするのには不安だが、どうせここまで手札を晒したのだ。
ならば最後の一枚まで出さなければ
「宿儺の指とその器。
多分もうそろそろかな?」
羂索が都会の裏路地へ消えていく。
繁華街の喧騒が遠く聞こえていく中、其処だけがヤケに静かで、闇が深く積もっていた。
祭りの跡に、魔物が一匹。
チチチ。
「ん、どうしたのリス。
……なにこれ。
白い……彼岸花?」
……それから、鼠が二匹。
じゅじゅさんぽ
一族列伝/葬花
直系に継がれていたが寝込みを襲われて死んだ。
敗因は誰彼構わず子供のことを広めていた父の墓守。
幸いにも此岸が列伝を死ぬ間際に退避させたので呪具は壊れてない。
このまま枯れるかと思いきや、通りすがりの野生の栗鼠が確保。
何かと都合の良い術式を持つ飼い主が居た事もあり無事継承された。
乙骨と五条がいい感じの魅せ場の時に東京スラム街の孤児の生活を眺めてた奴。