てな訳なんで、また次回に....マジすんません。では本編どうぞ
「ダァー!!!チクショォォォー!!」
「ナーンデこうなってんでしょうかねぇ....?」
「....2人ともファイト」
『お気楽だな!?』
はーい、
絶賛、ユエ背負ってハジメと逃走中デース!ほんとになーんでこうなった...こうなってる原因が....
『シャアァァァ!』
なんか200以上の魔物に追われてるんですよね〜...どっから出てきたァ!!
準備終えて攻略再開して、初めの十層程度は余裕で行けたのよ。ハジメの装備+技術が磨かれてきたからね。それを含めて尚ユエ嬢の魔法が凄まじいのね。
全属性の魔法をなんでもござれとノータイムで使用し的確に俺たちを援護してくれるのよ。ただ、回復系や結界系の魔法はあまり得意ではないらしい。“自動再生"があるからか無意識に不要と判断しているのかもしれない。もっとも、ハジメには神水が、俺には反転術式があるからなんの問題は無いんだけどね、
そんなこんなで3人で降り立ったのが今おる階層、まず見えたのが樹海。
十メートルを超える木々が鬱蒼と茂っており、空気はどこか湿っぽい。しかし、以前通った熱帯林の階層と違ってそれほど暑くはないのが救いだった。
3人が階下への階段を探して探索していると、突然、ズズンッという地響きが響き渡った。何事かと身構える二人の前に現れたのは、巨大な爬虫類を思わせる魔物だ。見た目は完全にティラノサウルスだった。悠仁が見たらはしゃぐだろうなぁ...それはそれとして何故か頭に花生やしてんだよな。
まぁ、見た目すごく強そうなんだけど花のせいでなぁ....久しぶりに見たシュールさだったよ。まぁ、そんな感じで見てたら突っ込んできたのよ。
ハジメがドンナー抜こうとしてそれを制するように前に出たユエがスッと手を掲げたの。
「"緋槍"」
ユエの手元に現れた炎は渦を巻いて円錐状の槍の形をとり、一直線にティラノの口内目掛けて飛翔し、あっさり突き刺さって、そのまま通。周囲の肉を容赦なく溶かして一瞬で絶命させた。地響きを立てながら横倒しになるティラノ。
そして、頭の花がポトリと地面に落ちた。
「・・・・」
色んな意味で黙っちゃってたよね、俺ら。そん時ユエ様無双凄かったよ、出番全然無かったもん。まぁ、色々考えてユエに聞くんですわ。
「あの〜ユエ?張り切るのはいいだが、最近俺たち動いてない気がするだが....」
「うんうん、右に同じく。」
ユエは振り返り俺達の方を見ると、無表情ながらどこか得意げな顔をする。
「.....私、役に立つ。.....仲間だから」
確かに前に仲間とは言ったがここまで出番取られるとは思わなんだ...俺とハジメは首を傾げる。
まぁ、その時俺がカバーしたけどユエが魔力枯渇するまで魔法を使い、ぶっ倒れてちょっと危なかったけど、そのことをやけに気にしてるので慰めるつもりで俺たち言ったけど....そこまで刺さるか?
はは、いや、もう十分に役立ってるって。ユエは魔法が強力な分、接近戦は苦手なんだから後衛を頼むよ。前衛は俺たちの役目だ」
「そーそー、背中は任せるよ〜?あと、ハジメお前は前出過ぎだ。もうちょい下がれ」ア?ソンナデテタカ? デテルナライッテル
「.....ハジメ、リュウガ....ん」
2人に注意され若干しょげているユエを見てちょっと居た堪れない気分になる俺たち。どうも俺達の役に立つことにこだわりがあり過ぎるユエに苦笑しながら頭を龍牙が撫でる。なんか俺が撫でると機嫌がすぐ戻るどころか良くなるんですよねぇ...なんでだろ...依存気味って訳でもないしな〜
....ん?
「寄ってきたな、ハジメ」
「おう、気づいてる」
大体10体ぐらいの魔物が俺たちを囲むように向かってくる。やけに統率が取れた動きに群れのような群で動く魔物かなぁっと考えながらハジメとユエに場所を移動するよう促す。自分一人ならシン陰流でヤればいいけど、ハジメ達がいるからね。
ユエを再度背負い直し、ハジメと2人して円状に包囲しようとする魔物のその内一体に突っ込んでいた。
そうして、生い茂った木の枝を払い除け飛び出した先には、体長ニメートル強の爬虫類、例えるならラブトル系の恐竜のような魔物がいた。
頭からチューリップのような花をひらひらと咲かせて。
「....かわいい」
「...流行りなのか?」
「....知らん、少なくともこんな流行り知らん。」
ユエが思わずほっこりしながら呟けば、ハジメはシリアスブレイカーな魔物にジト目を向け、有り得ない推測を呟くので即座に否定した。
ラプトルは、ティラノと同じく、「花なんて知らんわ!」というかのように殺気を撒き散らしながら低くっている。臨戦態勢だ。花はゆらゆら、ふりふりしているが....
「ユエ、ちょっと降りてハジメのとこ行ってくれる?」ン
「シャアアアア!!」
ラプトルが、花に注目して立ち尽くすハジメ達に飛びかかる。その強靭な脚には二十センチメートルはありそうなカギ爪が付いており、ギラリと悪な光を放っていた。
「さて、やるか」
ハジメたちが後ろに下がるのを確認したのち、前を向くと爪が目の前に来ているので避ける。そのまま流れるように頭の花に狙いを定めるように手刀で空を切る。
「『解』」
手刀を振ることで斬撃を撃ち出し、花だけを正確に切り落とす。切り落としたのを確認したら即座にハジメたちの元まで下がる。
ラプトルは一瞬ビクンと痙攣したかと思うと、着地を失敗してもんどり打ちながら地面を転がり、横にぶつかって動きを止めた。シーンと静寂が辺りを包む。ユエもトコトコとハジメの傍に寄ってきてラプトルと四散して地面に散らばるチューリップの花びらを交互に見やった。
「...死んだ?」
「器用だな、花だけ切り落とすとか」
「このぐらいなら簡単よ、流石に虫とかはもっと飛ばさんといけんけどな。」
「けど何したかったんだ?生きてるし花なんか切って」
「まぁ見とけ。多分俺の予想が正しければ...」
ハジメの見立て通り、ピクピクと痙攣した後、ラプトルはムクッと起き上がり辺りを見渡し始めた。そして、地面に落ちているチューリップを見つけるとノッシノッシと歩み寄り親の敵と言わんばかりに踏みつけ始めた。
「え~、何その反応、どういうこと?」
「......イタズラされた?」
「いや、そんな背中に張り紙つけて騒ぐ小学生じゃねぇんだから...」
「ん〜反応が昔の俺....1」
ラプトルは一通り踏みつけて満足したのか、如何にも「ふう~、いい仕事したぜ!」と言わんばかりに天を仰ぎ「キュルルル~!」と鳴き声を上げた。そして、ふと気がついたようにハジメ達の方へ顔を向けビクッとす
る。
「今気がついたのかよ。どんだけ夢中だったんだよ」
「.......やっぱりイジメ?」
「違うと思うがねぇ」
ハジメがツッコミ、ユエが同情したような眼差しでラプトルを見る。俺?少々想像通りと言うべきか思った行動でビビってるわ。ラプトルは暫く硬直したものの、直ぐに姿勢を低くし牙をむき出しにして唸り一気に飛びかかってきた。
「逃げればいいのに....『解』」
上から手刀を振り下ろし『解』を発動させ、ラプトルの体を真っ二つに切り裂く。くっついた状態で跳躍の勢いのままほんの少し中に居たがある程度で止まり切られたのを今自覚したのかように地面に2つに分かれてベチャと言う音を立て落ちる。3人同様で何とも言えない顔でラブトルの死体を見やった。
「ホント、一体なんなんだ?」
「....イジメられて、切られて....哀れ」
「いじめから一旦離れんか?多分違うぞ?」
俺たちは訳がわからないものの、そもそも迷宮の魔物自体わけのわからない物ばかりなので気にするのを止めた。包囲網がかなり狭まってきていたので急いで移動しつつ、有利な場所を探っていく。
程なくして直径五メートルはありそうな太い樹が無数に伸びている場所に出た。隣り合う様の太い枝同士が絡み合っており、まるで空中回廊のようだ。
俺とハジメは“空力"で、ユエは風系統の魔法で頭上の太い枝に飛び移る。俺たちはそこで頭上から集まってきた魔物達を狙い撃ちにし殲滅するつもりでいる。
五分もかからず眼下に次々とラプトルが現れ始めた。焼夷手弾でも投げ落としてやろうかと手に握っていたハジメが固まる。同様にユエも魔法を放とうとして手を突き出したまま固まっている。
かくいう俺もちょっと固まってるけどねぇ...予想通りとはいえこれは流石になぁ....
「予想できるかぁコラァ!?」
「なんでどいつもこいつも花つけてんだ!」
「ん....お花畑」
今言った通り、現れたラプトル全てが色は違うが頭に花を付けていた。
思わずツッコミをしてしまいラプトル達が一斉に俺達の方を見た。そして、襲いかかろうと跳躍の姿勢を見せる。
ハジメは"焼夷手弾"を投げ落とすと同時に、その効果範囲外にいるものから優先してドンナーで狙い撃ちにした。連続して発砲音が轟き、その度に紅い閃光がラプトルの頭部を一発の狂いもなく吹き飛ばしていく。ユエも同じく周囲の個体から先程も使った“緋槍"を使って仕留めていく。
リュウガも同様に『
きっかり三秒後、群れの中央で“焼夷手弾"が爆発し、摂氏三千度の燃え盛るタールが飛び散り周囲のラプトルを操っている枝ごお焼き尽くしていった。この階層の魔物にも十分に効いているようだとハジメは胸を撫で下るす。やはり、あのサソリモドキが特別強かったらしい。
結局十秒もかからず殲滅に成功した。しかし、ハジメとリュウガの表情は冴えない。ユエがそれに気がつき首を傾げながら尋ねた。
「...ハジメ、リュウガ?」
「....なぁ、ハジメやけにさ」
「....あぁ、おかしいな」
「....なにが?」
「「弱すぎる」」
俺達の言葉にハッとなるユエ。
確かに、ラプトルも先のティラノも、動きは単純そのもので特殊な攻撃もなく簡単に殲滅できてしまった。それどころか殺気はあれどもどこか機械的で不自然な動きだった。花が取れたラプトルが怒りをあらわにして花を踏みつけていた光景を見た後なので尚更、花をつけたラプトル達に違和感を覚えてしまう。
(やっぱさっきの花、樹操使って分かったが頭から体全体に根を生やしてやがる....まるで寄生するように....まるで
慎重に進もうと、言おうとユエたちを向いたその時、"気配感知"が再び魔物の接近を捉えた。全方位からおびただしい数の魔物が集まってくる。リュウガの感知範囲は半径ニーメートルといったところだが、その範囲内において既に捉えきれない程の魔物が一直線に向かってきていた。
「ユエ!背中乗れ!ハジメ移動だ!説明は移動してる途中でする!」
「ん!?....分かった」
「説明は要らねぇ!だいたいわかってる!魔物の群れが来てるんだろ!?」
「Exactly!その通りでございます!」
「こんな時にふざけんな!」サーセン!
「....逃げる?」
「いや、ここの一番の高所に移動してそこから撃ちまくって殲滅だ。あそこだと場所が悪い。」
「ん...特大のいく」
「「おう、頼んだ!」」
俺たちは高速で移動しながら周囲で一番高い樹を見つける。そして、その枝に飛び乗り、眼下の足がかりになりそうな太い枝を砕いて魔物が登って来にくいようにした。
ハジメがドンナーを、静かに構えてリュウガは休息時にハジメに錬成して貰ったドンナー二世(仮)を構えて呪力を少しずつ溜めていく....乙骨がやり合ったリーゼント並の出力で連続放出やったらオーバーヒートして壊れそうやなぁ...一様模倣するけどさぁ...ん?ユエか
「ん」
「!....ん」
ユエが服の裾を掴んでいるので左手が空いてるのでそちらを差し出す。すると手を握ってくるので握り返してくる。やっぱ不安なんかねぇ....
そして第一陣が登場した。ラブルだけでなくティラノもいる。ティラノは街に体当たりを始め、ラブトルは器用にカギを使ってヒョイヒョイと荷を登ってくる
ハジメはドンナーの引き金を引いた。発砲音と共に閃光が幾筋も降り注ぎカギ爪で樹にしがみついていたラプトルを一体も残さず撃ち抜く。
撃ち尽くしたドンナーからシリンダーを露出させると、くるりと手元で一回転させ排し、左脇に挟んで装填する。この間五秒...手馴れたなぁ....出来れば手馴れて欲しくなかったがねぇ...仕方ないか。
「さぁ、仕事しますかぁ!あ、ユエはまだ待機ね?」
「.....ん」
「さて、喰らえ。『グラニテ ブラスト』」
引き金を引くとドンナー二世(仮)の銃口から青白い呪力の奔流が飛び出しラプトル一体を貫き、地面に着弾すると爆発を起こし周囲の個体が巻き込まれ息絶える。
「さぁもういっぱt...っと、危ねぇ。破裂するとこだったわ」
8発目を撃った辺りで銃身自体が赤熱化し、次撃った場合破裂し自傷するところであった。
リュウガの攻撃が止まったその間隙を埋めるようにハジメが発砲直前に落としておいた"焼夷手弾"が爆発。辺りに炎を撒き散らす。そして、再度ドンナーを連射する。それだけで既に40体は屠ったリュウガとハジメだが、満足感はない。
既に眼下には未だに三十体を超えるラプトルと四体のティラノがひしめき合い、リュウガ達のいる大木をへし折ろうと、あるいは登って襲おうと群がっているからだ。
「リュウガ?」
「悪い、もうすこし辛抱だ。」
ユエの呼び掛けにラプトルを撃ち落としながら答えるリュウガ。ユエはリュウガ達を信じてひたすら魔力の集束に意識を集中させる。
そして遂に、眼下の魔物が総勢五十体を超え、今では多すぎて判別しづらいが、事前の"気配感知、で捉えた魔物の数に達したと思われたところで、ハジメがユエに合図を送った。
「「ユエ!」」
「んっ!『凍獄』!」
ユエが魔法のトリガーを引いた瞬間、リュウガ達のいる樹を中心に眼下が一気に凍てつき始めた。ビキビキッと音を立てながら瞬く間に蒼氷に覆われていき、魔物に到達すると花が咲いたかのように氷がそそり立って氷華を作り出していく。
魔物は一瞬の抵抗も許されずに、その氷華の柩に閉じ込められ目から光を失っていった。氷結範囲は指定座標を中心に五十メートル四方。まさに“殲滅魔法"というに相応しい威力である。
「はぁ....はぁ....」
「お疲れさん、流石吸血姫。ほれ」
「ほんと凄まじいな、いつ見ても」
「ん....くふふ.....」
周囲一帯、まさに氷結地獄と化した光景を見て混じりけのない称賛をユエに贈るリュウガ達。ユエは最上級魔法を使った影響で魔力が一気に消費されてしまい肩で息をしている。おそらく酷い倦怠感に襲われていることだろう。
リュウガが傍らでへたり込むユエの腰に手を回して支えながら、首筋を差し出す。吸血させて回復させる。
神水でもある程度回復するのだが、吸血鬼としての種族特性なのか全快になるには酷く時間がかかる。やはり血が一番いいみたいだ。
ユエがリュウガ達の称賛に僅かに口元を綻ばせながら照れたように「くふふ」と笑いをもらし、リュウガの差し出された首筋に頬を赤らめながら口を付けようとした。
「(ん?これは....この数はあかんな....)悪い、ユエお預けだ。ハジメ増援だ、しかも嫌なことに100越えだろうな。ろくでもないなこの階層。」
「ハァ!?またか!めんどせぇな!てか、おかしいだろ、さっき全滅したばっかりで普通、突っ込んでくるか?....あの花、もしかして」
「....寄生」
「多分、ユエとハジメの考察あってるぞ。ありゃ寄生花だ。根を脳から全体に伸ばして操ってると俺は思ってる。」
ハジメの推測を肯定するようにユエがコクンと頷き、俺もその推測を肯定する。
「....本体がいるはず」
「あぁ、乗っ取りの定番だな。」
「だな。あの花を取り付けているヤツを殺らない限り、俺達はこの階層の魔物全てを相手にすることになっちまう」
ハジメ達が物量で押しつぶされる前に、おそらく魔物達を操っているのであろう魔物の本体を探すことにした。でなければ、とても階下探しなどしていられない。
座り込んでいるユエに吸血させている暇はないので、ハジメがユエに神水を渡そうとする。
しかし、ユエはそれを拒んだ。訝しそうなハジメを他所にリュウガの方を再度向き両手を伸ばして言う。
「リュウガ、だっこ」
「「お前、幾つだよ!!」」
「って、吸血しながら行く気!?」
ハジメの推測に「正解!」というようにコクンと頷くユエ。確かに、神水ではユエの魔力回復が遅いし、不測の事態に備えて回復はさせておきたい。しかし、自分が必死に駆けずり回っている時にチューチューされるという構図に若干抵抗を感じるリュウガ。いや確かに美少女に抱きつかれて走るとか最高だけどさ、流石に血は....
結局了承してユエをだっこ....は邪魔なるので先程のように背中におぶり、リュウガ達は本体探しに出た。
そして、結果が冒頭。
リュウガ達は現在、二百近い魔物に追われていた。草むらが鬱陶しいのと、吸血は済んでいるのにユエはリュウガの背中から降りようとしない。
後ろからは魔物が
ドドドドドドドドドドドドドドドッ!
とと、地響きを立てながら迫っている。背の高い草むらに隠れながらラプトルが併走し四方八方から飛びかかってくる。それを迎撃しつつ、探索の結果一番怪しいと考えられた場所に向かいひたすら駆けるリュウガたち。ユエも魔法を撃ち込み致命的な包囲をさせまいとする。
カプッ、チュー
リュウガも時折『解』や『鵺』出し切ったり焼いたりしながら穴をこじ開けている。
リュウガ達が睨んだのは勘海を抜けた先、今通っている草むらの向こう側にみえる迷宮の壁、その中央付近にある縦割れの洞窟らしき場所だ。
なぜ、その場所に目星をつけたのかというと、襲い来る魔物の動きに一定の習性があったからだ。
リュウガ達が迎撃しながら進んでいると、ある方向に逃走しようとした時だけやたら動きが激しくなるのだ。まるで、その方向には行かせまいとするかのように。このままてもなく探し続けても魔物が増え続けるだけなのでイチかバチかその方向に突貫してみることにしたというわけである。
どうやら、草むらに隠れながらというのは既に失敗しているので、ハジメ達は“空力"で跳躍し、“縮地"で更に加速する。
カプッ チュー
「ユエさんや!? さっきからちょくちょく吸うの止めてくれませんかね!?」
「....不可抗力」
「嘘だッ!!ほとんど消耗してないだろ!」
「....ヤツの花が.....私にも....くっ」
「何わざとらしく呻いてんだよ。ヤツのせいにするなバカヤロー。ていうか余裕だな、おい」
「お前らコントしてないで行くぞ!!」
状況が状況にもかかわらず、リュウガの血に夢中のユエ。元王族なだけあって肝の据わりかたは半端ではないらしい。そんな風に戯れながらもきっちり迎撃し、リュウガ達は二百体以上の魔物を引き連れたまま縦割れに飛び込んだ。
縦割れの洞窟は大の大人が二人並べば窮屈さを感じる狭さだ。ティラノは皆然通れず、ラプトルでも一体ずつしか侵入できない。何とかリュウガ達を引き裂こうと侵入してきたラプトルの一体がカギ爪を伸ばすが、その前にハジメのドンナーが火を噴き吹き飛ばした。そして、すかさず錬成し割れ目を塞ぐ。
「ふう~、これで取り敢えず大丈夫だろう」
「乙、相変わらず手際良いねぇ...流石にあれは疲れる....」
「....お疲れ様」
「そう思うなら、そろそろ降りてくれねぇ?」
「....むぅ.....仕方ない.....」
リュウガの言葉に渋々、ホントに渋々と言った様子でリュウガの背から下りるユエ。そんなに俺の背って居心地いいか?
「さて、あいつらやたら必死だったからな、ここでビンゴだろ。油断するなよ?」
「これで違ったら笑うしかねぇよw」
「ん」
錬成で入口を閉じたため薄暗い洞窟を3人で進む。
しばらく道なりに進んでいると、やがて大きな広間に出た。広間の奥には更に縦割れの道が続いている。もしかすると階下への階段かもしれない。ハジメは辺りを探る。“気配感知"には何も反応はないがなんとなく嫌な予感がするので驚戒は怠らない。気配感知を誤魔化す魔物など、この迷宮にはわんさかいるのだ。
リュウガも夜目が効くが見た所、全く形も匂いもなく、魔物の魔の字もない。リュウガ達が部屋の中央までやってきたとき、それは起きた。
全方位から緑色のピンポン玉のようなものが無数に飛んできたのだ。
咄嗟にユエを背にやり、ハジメと背中合わせになり飛来した緑の玉を迎撃する。
しかし、その数は優に百を超え、尚、激しく撃ち込まれるのでハジメは錬成で石壁を作り出し防ぐことに決めた。石壁に阻まれ貫くこともできずに潰れていく緑の球。大した威力もなさそうである。
「『シン陰流』簡易領域、『斑』」
シン陰流派生技、『斑』は簡易領域を斑状に出し領域内に入ったものをフルオートで迎撃するプログラムが組み込まれている。リュウガはそれを展開し領域に侵入してきた緑の玉を片っ端から切り捨てて行った。
「ユエ、多分本体だ。位置わかるか」
「.....」
「ユエさーん?」
吸血鬼の鋭い五感はリュウガ達とは違い、また異なる観点で有用な索敵となることがあるので、ユエに本体の位置の把握ができるか聞いているが何故か無反応。どういう訳か全く答えないので訝しみ、ユエの名を呼ぶが....
「....にげて....リュウガ、ハジメ!」
いつの間にかユエの手がリュウガ達に向いていた。ユエの手に風が集束する。本能が激しく鐘を鳴らし、リュウガ達は、その場を全力で飛び退いた。刹那、リュウガ達のいた場所を強力な風の刃が通り過ぎ、背後の石壁を綺麗に両断する。
「うおっ!?ユエ!?」
「オンドゥルルギッタンデスカー!オリダディヴァナカバジャナカッダンディスカ!」
まさかの攻撃に思わずハジメは驚愕の声を上げ思わずオンドゥル語出るが、ユエの頭の上にあるものを見て事態を理解する。そう、ユエの頭の上にも花が咲いていたのだ。それも、ユエに合わせたのか?と疑いたくなるぐらいよく似合う真っ赤な薔薇が。
「さっき、緑玉か!抜けてたのがあったのか!?」
「ちっ面倒な」
魔物と違い魔法があるため、宿儺ほどの精度がないリュウガの『解』では止まってでないとミリ単位の切断ができないため、手が出せない。
リュウガ達はユエの風の刃を回避し続けるしか無かった。
ユエが無表情を崩し悲痛な表情をする。ラプトルの花を撃ったとき、ラプトルは花を憎々しげに踏みつけていた。あれはつまり、リュウガの予想通り花をつけられ操られている時も意識はあるということだろう。意識があるのは、知らんかったが。
「ハジメェ!俺じゃユエを怪我させかねん!頼んだ!」
「チッ!仕方ねぇ」
だが、それなら解放の仕方も既に知っている。ハジメはユエの花に照準し引き金を引こうとした。
しかし、操っている者もハジメが花を撃ち落としたことやハジメの飛び道具を知っているようで、そう簡単にはいかなかった。
ユエを操り、花を庇うような動きをし出したのだ。上下の運動を多用しており、外せばユエの顔面を吹き飛ばしてしまうだろう。ならばと、接近し切り落とそうとすると、突然ユエが片方の手を自分の頭に当てるという行動に出た。
「チッめんどうな」
「もしかして、操ったやつの視界見れるのか?じゃなきゃハジメのドンナーに反応出来るわけがねぇ。」
つまり、リュウガ達が接近すればユエ自身を自らの魔法の的にすると警告しているのだろう。
ユエは確かに不死身に近い。しかし、上級以上の魔法を使い一瞬でにされてなお“再生"できるかと言われれば否定せざるを得ない。そして、ユエは、最上級ですらノータイムで放てるのだ。特攻など分の悪そうな賭けは避けたいところだ。
リュウガ達のの逡巡を察したのか、それは奥の縦割れの暗がりから現れた。
アルラウネやドリアード等という人間の女と植物が融合したような魔物がRPGにはよく出てくる。リュウガ達の前に現れた魔物は正しくそれだった。もっとも、神話では美しい女性の姿で敵対しなかったり大切にすれば幸運をもたらすなどという伝承もあるが、目の前のエセアルラウネにはそんな印象皆無である。
確かに、見た目は人間の女なのだが、内面の醜さが溢れているかのように醜悪な顔をしており、無数のツルが触手のようにウネウネとうねっていて実に気味が悪い。
その口元は何が楽しいのかニタニタと笑っている。
ハジメはすかさずエセアルラウネに銃口を向けた。しかし、ハジメが発砲する前にユエが射線に入って妨害する。
「リュウガ、ハジメ.....ごめんなさい....」
悔しそうな表情で歯を食いしばっているユエ。自分が足でまといになっていることが耐え難いのだろう。今も必死に抵抗しているはずだ。口は動くようで、謝罪しながらも引き結ばれた口元からは血が滴り落ちている。鋭い犬歯が唇を傷つけているのだ。悔しいためか、呪縛を解くためか、あるいはその両方か。
ユエを盾にしながらエセアルラウネは緑の球をリュウガ達に打ち込む。
それをリュウガが刀で、ハジメがドンナーで打ち払うと、玉が潰れ目に見えないがおそらく花を咲かせる胞子が飛び散っているのだろう。
しかし、ユエのようにハジメの頭に花が咲く気配はない。ニタニタ笑いを止め怪訝そうな表情になるエセアルラウネ。ハジメには胞子が効かないようだ。
(多分、ハジメに効かないのは耐性系技能の影響だな。俺は単純に嫌な気がして呪力で体覆ってるんだよねぇ...まぁ、ビンゴやったな。)
の推測通り、エセアルラウネの胞子は一種の神経毒である。そのため、“毒耐性、によりハジメには効果がないのだ。リュウガは呪力で胞子が弾かれているため効かない。つまり、ハジメが助かっているのは全くの偶然で、ユエを油断したとは責められない。ユエが悲痛を感じる必要はないのだ。
エセアルラウネはハジメに胞子が効かないと悟ったのか不機嫌そうにユエに命じて魔法を発動させる。また、風の刃だ。もしかすると、ラプトル達の動きが単純だったことも考えると操る対象の実力を十全には発揮できないのかもしれない。
「はぁ、全く仕方ねぇ。ユエ俺信じてそこ動くなよ」
「!!...うん!」
刀を納刀し駆け出す体勢に入る。それを見てエセアルラウネがユエに風の刃を放たせするが、呪力強化とサイクロプスより奪った固有魔法“金剛、により耐える。
「スゥー....『投射呪法』極の番『夜叉天』」
極の番で急加速、エセアルラウネの背後を音速で取る。エセアルラウネは目で追えておらず急に消えたように見え、キョロキョロ探している。
「『シン・陰流』居合....抜刀!」
そこをシン陰流で首を斬り飛ばす。斬り飛ばされたエセアルラウネの表情が驚愕で固まったまま、息絶えた。
「フゥー...」ドパン
「なんだ!?」
刀に付いた血を払って納刀してユエの花をむしり取り握り潰す。
「.....ごめん」
「謝らんでいいぞ、ユエに耐性ないの忘れてた俺らも悪いしな。それに助けられたらごめんよりありがとうで良いんだよ」
「まぁ、そうだな...忘れてたよ言うより知らんかったってのもあるが、こっちも非があるしな。気にすんな」
「ん....ありがとう」
to be continued.....
どうもこんばんは、蛇弟です。筆乗ってるので書いたらなんか長くなりました。エセアルラウネのシーンでハジメが容赦なくユエの花を撃つ描写あるですけど、消しました。オリ主おるからわざわざやらんでええかなって。次回こそ、ヒュドラ戦でごぜぇやす。では、サラダバー
ハジメくんのヒロインから2人引き抜こうとおもってます。ユエちゃんと雫嬢です。
-
2人まとめて引き抜き
-
ユエのみ
-
雫のみ
-
どっちもダメ