多分、ここで止まります。きちんと決めておきたいので。では本編どうぞ
「くそっ、なんでなんで上がり口がねぇんだよ!」
「ん〜脱兎使っての人海戦術でもダメだったからなぁ....入口はありはしたけど下りやったし...」
「「....はぁ...」」
どうもようやく自我を出せる龍牙だよ。ハジメが爪熊をコロコロした後上に上がるための入口探してんだけど無かったんだよなぁ....
なお、ハジメの錬成で直接上階への道を作ればいいじゃないというダンジョンのなんたるかを軽く無視する方法は既に試した後だ。
結果、上だろうと下だろうと、一定の範囲を進むと何故か壁が錬成に反応しなくなるということが分かった。その階層内ならいくらでも錬成できるのだが、上下に関してはなんらかのプロテクトでも掛かっているのかもしれない。この【オルクス大迷宮】は、神代に作られた謎の多い迷宮なのだ。何があっても不思議ではない。
「この際だ、下降りるか?」
「まぁ、それしかねぇわな。分岐点も全部調べたし。」
はぁ~と深い溜息を吐きながら結局見つからなかった上階への道を諦めるハジメ。そして、二日前に発見した階下への階段がある部屋へと赴く。
その階段はなんとも雑な作りだった。
階段というより凸凹した坂道と言った方が正しいかもしれない。そしてその先は、緑光石がないのか真っ暗な闇に閉ざされ、不気味な雰囲気を醸し出していた。まるで、巨大な怪物の口内のようだ。一度入れば二度と出てこられない、そんな気持ちが自然と浮かび上がる。
「ハッ!上等だ、なんだろうと邪魔するってんなら、殺して喰ってやんよ」
「それで足掬われるなよ〜」
「分かってるつの!」
ハジメは、自分のそんな考えを鼻で笑うと、ニィと口元を歪め不敵に笑った。そして躊躇う事なく暗闇へと踏み込んだ。
その階層はとにかく暗かった。
「お〜暗暗。よう見えんな...これでも夜目は効くほうなんだがな」
「それだけ暗いってことだろ。気をつけろよ何がわからんのだから」
地下迷宮である以上それが当たり前なのだが、今まで潜ったことのある階層は全て緑光石が存在し、薄暗くとも先を視認できないほどではなかった。
だが、どうやらこの階層には緑光石が存在しないらしい。しばらくその場に止まり、目が慣れて多少見えるようにならないかと期待したハジメだったが、何時まで経ってもさほど違いはなかった。
仕方なく、爪熊の毛皮と錬成した針金で作成した即席のリュックから緑光石を取り出し灯りとする。
はっきり言って暗闇で光源を持つなど魔物がいるとすれば自殺行為に等しいが、こうでもしなければ進むことができないとハジメは割り切った。ただし、右手を塞ぐわけにはいかないので、肘から先のない左腕に括りつける。
しばらく進んでいると、通路の奥で何かがキラリと光った気がして、龍牙は軽く、ハジメは警戒を最大限に引き上げた。
なるべく、もの陰に隠れながら進んでいると、不意に左側に嫌な気配を感じた。咄嗟に飛び退きながら緑光石を向けると、そこには体長二メートル程の灰色のトカゲ2匹が並んで壁に張り付いており、金色の瞳でハジメを睨んでいた。と、その時、その金眼が一瞬光を帯びた。
次の瞬間、
「ッ!?」
ハジメの左腕がビキビキと音を立てながら石化を始める。石化は直ぐに括りつけた緑光石にも及びものの数秒で石化させるとバリッと音を立てて砕け散らせた。光源が失われ、辺りを暗闇が覆う。腕の石化は進んでおり既に肩まで侵食していた。
「げぇ!?石化かよ...面倒だなぁ...」
被害は龍牙にも来ており、右足を捉えられており石化がもう膝まで来ていたが手刀で即座に切り落とし、反転で再生させる。
ハジメは舌打ちしながら、魔物の皮と針金で作った懐のホルスターから神水を取り出し一気に呷った。すると、期待した通り石化は止まり、見る見ると石化部分を正常に戻していった。
「やってくれたな!」と、ハジメは内心そう悪態を吐き、腰のポーチから"閃光手弾、を取り出すと、金眼トカゲ2匹の間辺りに投げ込む。同時に、暗闇の向こうで再び金眼が輝いた。龍牙とハジメは見えないことも構わず"縮地、を使い、一瞬でその場を離脱する。
すると、龍牙とハジメのいた場所の後ろにあった岩の色が少し変わり、次いで風化したようにボロボロと崩れ出した。相当強力な石化の邪眼を持っているのだろう。RPGで言うならバジリスクといったところか。
そんなことを思いながら、龍牙は腕で目を隠し、ハジメはドンナーを抜いて銃身を目の前にかざすことで盾にしながらグッと目をつぶった。
その瞬間、カッ!と瞬間的ではあるが強烈な閃光が周囲を満たし、視界を光で塗りつぶす。
「クウア!?」
おそらく今まで感じたことがないだろう光量に混乱する2匹のバジリスクの姿が闇の中に浮かび上がる。
ハジメはすかさず発砲した。絶大な威力を秘めた弾丸が、狙い違わず片方のバジリスクの頭部に吸い込まれ頭蓋骨を粉砕し中身を蹂躙する。弾丸は、そのまま通し奥の壁に深々と穴を空け、シューと岩肌を焼く音を立てた。電磁加速させているため、たった場所が高温を発しているのだ。熱に強く、硬いタウル鉱石だからこその威力だろう。
もう片方の個体はと言うと...
「めんどい...『十種影』玉犬...渾、裂け」
「ガゥアァ!」ヌルッ
影から玉犬、黒に白の呪力、術式を継承させる事で生まれる玉犬・渾を周りが暗闇であることであることを利用しバジリスクの上側に上半身だけ呼び出し切り裂かさせた。
「さて、仕留めたのはいいが流石にここで食うわけにもいくまい。影の中いれとくか?」
「この暗闇の中で食事って訳にもいけない。頼む」
「全然良いよ〜手な訳でササッとやっちまうねぇ〜」ズズッ
「それほんと便利だな」
「ただ、これ俺に2匹分の重さ乗っかるんだよねぇ...」
「あ〜なるほど、便利ではあるがそんなほいほい使えるって訳でもないのか」
「そゆこと」
ハジメが周囲を警戒しつつ、龍牙が影に2匹の死体を収納し素早く離脱し龍牙とハジメは探索を再開する。
ただ、緑光石をただの石にされたせいで光源がなく暗闇を進む羽目になっている。
(ん〜...暗い!なんか光る術式あったっけ?あったわ、俺が死滅回遊の時に合流しようとした時、喧嘩売ってきたのがもってたやつ。)
「え〜っと?なんだっけ....あ、確か...『光幻呪法』だっけ?...顕光...だっけな?」ポウッ
「あっ出てきた。」
「うぉ、なんだってお前かよ。なんだその光。」
「ん?あぁわりぃ、驚かせたか。昔光出す術式を見たあったもんでな記憶から漁って出してきたやつがこれね。」
「んだよ、なら最初から出しといてくれよ...なら緑光石使わなくって良かったろ。」
「いや〜すまんすまん、すっかり忘れててよ。これ思ったより使い勝手悪くてよ。光ないと出せなくてな?呪力使ったら出るけどよ効率悪いから使わくて気づいたら今まで忘れててな?」
「いや、まぁ仕方ないのか?でもそれ、頭にこないのか?出しっぱだろ?」
「あぁ、これね。この光自体はあくまで模倣で出してるものだから紐付けは模倣に行ってるから出してる術式解いても模倣の方でも紐付いてるから呪力流し込めるから光は残るのよ。それに負担かかるのは術式だしね。」
「そんなものなのか?」
「そんなものなのよ。」
こうして明るくなった空間を歩き続ける龍牙とハジメ。既に、体感では何十時間と探索を続けていたが、階下への階段は未だ見つかっていない。道中、倒した魔物や採取した鉱石も多く、影に入れれるとはいえ龍牙個人に対する負担も大きいので、龍牙とハジメは拠点を作ることにした。
適当な場所で壁に手を当て錬成を開始する。
特に問題なく壁に穴が空き、奥へと通路ができた。ハジメは連続で錬成し、六畳程の空間を作った。そして、忘れずにリュックからバスケットボール大の大きさの青白い鉱石を
取り出し壁のみに設置する。持ち出してきた神結晶だ。その下にはしっかり滴る水を受ける容器もセッティングしてある。
ちなみに、ハジメは神結晶を“ポーション石"、神水を"ポーション"と呼んでいる。確かに、ゲームの代表的な回復薬だが、効果が段違いであるのにただのポーション呼ばわりしているあたりに適当感が滲みでている。
「さて、じゃあ、早速メシにしますか」
「ちったぁ別のが食いてもんだ。飽きてくる...」
「そういうなって。それはこっちも同じだっての」
龍牙が影から無数の死体を取り出す。出したそれを龍牙が模倣した『御厨子』で『捌』を使い捌く。そしてハジメが“雷、でこんがり焼き始めた。
尚、一度龍牙が模倣した術式で焼こうとしたらこんがりを通り越して、炭になり食べれなくなったので龍牙が術式で焼くのは禁止されている。
本日のメニューは、バジリスクの丸焼きと、羽を散弾銃のように飛ばしてくるフクロウの丸焼きと、六本足の猫の丸焼きである。調味料はない。
「いただきます」
むぐむぐと喰っていると次第に体に痛みが走り始めた。つまり、体が強化されているということだ。だとすると、ここの魔物は爪態と同等以上の強さを持っているのだろう。
本来なら暗闇という環境と固有魔法のコンビネーションは厄介であったかもしれないが龍牙が模倣により光源を作り出していることで暗闇というアドバンテージを無くしハジメのドンナーの射撃の的となり、龍牙の模倣で出した術式に手も足も出ていなかった。
ハジメは神水を飲みながら痛みを無視して喰い続ける。幻肢痛から始まり苦痛続きだったハジメはすっかり痛みに強くなっていた。
龍牙に関しては最初の時は久しく痛みに触れていなかったため敏感になっていたが今は呪術師時代のように大して痛みを感じないようになっていた。
「むぐ、ふぅー、ごちそうさま。さて、ステータスは...」
そう言ってステータスプレートを取り出すハジメ。ハジメの現状は…
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南雲ハジメ 17歳男レベル:23
天職:錬成師
筋力:450
体力:550
耐性:350
敏捷:550
魔力:500
魔耐:500
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱
物分離][+鉱物融合]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩
[+空力][+縮地]・風爪・夜目・気配感知・石化耐性・言語
理解
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予想通り大幅に上昇していた。技能欄も三つ増えたようだ。よくよく見ると、確かに先程より遥かに周りが見える。
どうやらこれが“夜目、の効果らしい。奈落の魔物にしてはショボイ気もするが、本来ならこの階層においてはとんでもないアドバンテージだ。
後は、文字通りの技能だろう。惜しいのは、バジリスクの固有能力が何故“耐性、であって"石化、じゃないのか、ということ。「石化の邪眼!とかカッコイイのに•・・・・」と、若干ガッカリするハジメだった。
そして、ハジメは消耗品を補充するため錬成を始めた。
弾丸は一発作るのにも途轍もなく集中力を使うらしい。まぁ、そら本来なら工場の機械とかで作られるものを手作業でやってるからね。それに色々あるのだろうと龍牙は思いながら、その間十種影で玉犬・白を枕代わりに出し頭を預け、玉犬も自分の体で龍牙の体を覆いながら地面に伏せて龍牙は眠りにつく。
それを横目で見ながら、ハジメは黙々と錬成を続ける。まだ、一階層しか降りていないのだ。この奈落がどこまで続いているのか見当もつかない。錬成を終えたら龍牙を叩き起し、直ぐに探索に乗り出すつもりだ。少しでも早く故郷に帰るためにグズグズしてはいられない。ハジメは孤独ではないにしろ奈落の底で神結晶の青白い光に照らされながら始まったばかりの迷宮攻略に決然とした表情をするのだった。
時々、消耗品補充の為に拠点で錬成する以外、龍牙とハジメは常に動き続けた。広大な迷宮内を休みながらの探索ではいつまでかかるかわからない。“夜目、の御蔭で暗闇は心配なくなった上、"気配感知、により半径+メートル以内なら魔物を感知できる。
ハジメの探索は急ピッチで進められた。
そして、遂に階下への階段を見つける。龍牙とハジメは躊躇いなく踏み込んだ。
その階層は、地面がどこもかしこもタールのように粘着く泥沼のような場所だった。足を取られるので凄まじく動きにくい。龍牙はたまに鵺を出し滞空したり、ハジメは顔をしかめながら、せり出た岩を足場にしたり“空力、を使ったりしつつ探索を開始す
る。
そんな中を移動しているとハジメが周囲の鉱物を“鉱物系感知、の技能で調べながら進んでいると、途中興味深い鉱石を発見した。
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フラム鉱石
艶のある黒い鉱石。熱を加えると融解しタール状になる。融解温度は摂氏50度ほどで、タール状のときに摂氏100度で発火する。その熱は摂氏3000度に達する。燃焼時間はタール量による。
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「...うそん。」
「ありゃりゃマジかいな。鵺なんかただのバードストライクしか出来んじゃん。」
ハジメは引き攣った笑みを浮かべゆっくり足を上げてみる。するとさっきから何度も踏んでいる上、階層全体に広がっているタール状の半液体がビチャビチャと音を立てて、ハジメの靴から滴り落ちた。
「か、火気厳禁っすか.....」
龍牙は別としても発火温度が百度ならそう簡単に発火するとは思わないが、仮に発火した場合、連鎖反応でこの階層全体が摂氏三千度の高熱に包まれることになる。流石に、神水をストックしていても生き残る自信はない。
「レールガンも“雷、も使えねえな....」
ドンナーは強力な武器だ。電磁加速がなくても燃焼石による炸薬だけで十二分の威力を発揮する。
しかし、それはあくまで普通の魔物の場合だ。例えば、トラウムソルジャーくらいなら電磁加速なしでも余裕で破壊できる。ベヒモスでもそれなりのダメージを期待できるだろう。
だが、この奈落の魔物は異常なのだ。
上階の魔物がただの獣に思えるレベルである。故に、果たして炸薬の力だけでこの階層の魔物を撃破できるのか...
そんな不安要素を余所に、ハジメの口角はつり上がっていく。
「いいさ、どちらにしるやることは変わらない。殺して喰うだけだ」
「まぁ、最悪こっちで全部殺るさ。」
「それは奥の手だ。なんでもかんでも頼ってちゃ駄目だろ。」
「そうかい...ならさっさと強くなりな。ハジメ、お前にゃ期待してんだ」
「なら、その期待にせいぜい応えますかね...」
ハジメは"レールガン、と"雷、を封印したまま探
素を再開する。
しばらく進むと三又路に出た。近くの壁にチェックを入れセオリー通りに左の通路から探索しようと足を踏み出した。
その瞬間、
ガチンツ!
「ツ!?」
鋭い歯が無数に並んだ巨大な顎門を開いて、サメのような魔物がタールの中から飛び出してきた。ハジメの頭部を狙った顎門は歯と歯を打ち鳴らしながら閉じられる。
咄嗟に身を屈めてかわしたもののハジメは戦慄した。
「おい、ハジメ!今の感知に反応したか!?」
「してねぇ!そっちは!?」「なし!呪力は感知できたのに気配を感じんかったぞ!」
「だよな!」
そう、龍牙とハジメは“気配感知"の技能を手に入れてから常時使い続けている。半径十メートル以内の生き物は余さず感知できるはずだ。にもかかわらず、先程のサメの攻撃は直前まで全く感知できなかった。
ハジメを喰い損ねたサメはドボンと音を立てながら再びタールの中に沈み見えなくなる。
「ちっ!やっぱり反応しねぇ...どうなってやがる。」
「大方、遮断系でも持ってんだろ!」
「まぁ、そっちの線が濃厚か!」
ハジメは理解不能な状況に歯噛みしながら、とにかく止まっていてはやられると“空力、を使い移動を再開する。
すると、そのタイミングを見計らったかのように、再びサメが飛び出してきた。
「なめんな!」
ハジメは空中で宙返りをすると逆さまになった視界の中で頭上を通り過ぎるサメに向かい発砲した。ドンナーから、撃ち放たれた弾丸が敵を食い破らんと空を切り裂き迫る。そして、絶妙なタイミングで狙い違わずサメの背中に命中した。
が、弾丸は命中したがまるでゴムにでも当たったかのように肌がへこみはするものの、直ぐに弾き返された。どうやら、サメの表皮は物理衝撃を緩和する性質があるらしい。
「へぇ、今度何もしてこなずじっとしてるこっちか。...舐めんなよ、魚類如きが」
通り過ぎタールに飛び込んだ勢いそのままに、サメが驚異的な身のこなしで反転し、今度鵺に跨りそのまま滞空している龍牙を狙って飛びかかる。
「叩き切る...」
龍牙は鵺を影に戻しつつ降りつつ模倣で『赤血操術』で呪力を血に変化しそれを刀の形状に変え血で鞘を作り出しそれに納め腰に据え構える。
「シン陰流...簡易領域...居合、抜刀!」ザンッ
サメが龍牙を噛みちぎろうと口を開いた瞬間、それを瞬時に抜き出し切り裂く。そのまま、横に真っ二つに裂かれ血を吹き出しながらタールの中に落ち苦しむ暇もなくサメの息絶えた。
「存外単純で助かった。口を直前まで閉じられてたら顎を狙わんといけんかったからな。切れはするだろうが途中で噛みつかれそうなんだよな...」
「お前....そんなことできたのかよ...」
「ん?あぁ今の剣ね、見様見真似でやっただけやで。」
「それで切れるから苦労しないだろ...」
「まぁ、それは置いとてな?」
「...だな、気配を感じなかった理由、確かめさせてもらうぞ?」
ハジメはそう言って舌舐りをした。
その後、サメの肉を切り取り保管してから探索を続け、遂に階下への階段を発見した。
龍牙とハジメの迷宮攻略は続く。
タールザメの階層から更に五十階層は進んだ。龍牙とハジメ共に時間の感覚は既にないので、どれくらいの日数が過ぎたのかはわからない。それでも、驚異的な速度で進んできたのは間違いない。
その間にも理不尽としか言いようがない強力な魔物と何度も死闘を演じてきた。
例えば、迷宮全体が薄い青霧で覆われた階層では、毒の痰を吐き出すニメートルのカエル(虹色だった)や、麻痺の鱗粉を撒き散らす蛾(見た目モ〇ラだった)に襲われた。
「なぁ、ハジメ」「言うな」「嫌だってよ」「だから言うな」「あれ、どう見たってよ!」「だから言おうとするな!」「モスr」ダァーーー!!だから口に出そうとするなぁァ!!?」
こんな感じに呑気な感じではあるが常に神水を服用してその恩恵に預からなければ、ただ探索しているだけで死んでいるような状況であった。
虹色ガエルの毒をくらったときは直接神経を侵され、一番最初に魔物の肉を喰った時に近い激痛を龍牙とハジメにもたらした。奥歯に仕込んだ神水がなければ死んでいただろう。
ちなみに、奥歯に仕込んだのは噛み砕ける程度に薄くした石で出来た小さな容器だ。緊急用に仕込んでおいたのが幸いした。
然、二体とも喰った。蛾を食べるのは流石に抵抗があったが、自身を強化するためだと割り切り意を決して喰った。カエルよりちょっと美味かったことに、なんとなく悔しい思いをするハジメであった。
また、地下迷宮なのに密林のような階層に出たこともあった。物凄く蒸し暑く鬱蒼としていて今までで一番不快な場所だった。この階層の魔物は巨大なムカデと樹だ。
密林を歩いていると、突然、巨大なムカデが木の上から降ってきたときは、流石のハジメも全身に鳥肌が立った。余りにも気持ち悪かったのである。
しかも、このムカデ、体の節ごとに分離して襲ってきたのだ。一匹いれば三十匹はいると思えという黒い台所のGのような魔物だ。
ハジメは、ドンナーを連射して撃退しようとしたが如何せん数が多かった。龍牙はサメの時と同様に『赤血』の効果で刀と鞘を作りシン陰流『抜刀』で移動しながら切り裂き間に合わない時は、鵺、玉犬渾を出し迎撃させていた。ハジメも直ぐにリロードに手間取り、“風爪、で切り裂く方法に切り替えた。それでも間に合わず慣れない蹴りも使って文字通り必死に戦った。この時、ハジメは素早くリロードする技法と、蹴り技を磨くことを決意した。
分裂ムカデの紫色の体液を全身に浴び無然としながら。その際、2人の表情は言わずもがなである。2
ちなみに、樹の魔物はRPGで言うところのトレントに酷似していた。木の根を地中に潜らせ突いてきたり、ツルを鞭のようにしならせて襲ってきたり。
しかし、このトレントモドキの最大の特徴はそんな些細な攻撃ではない。この魔物、ピンチになると頭部をわっさわっさと振り赤い果物を投げつけてくるのだ。これには全く攻撃力はなく、ハジメは試しに食べてみたのだが、直後、数十分以上硬直した。毒の類ではない。めちやくちゃ美味かったのだ。甘く瑞々しいその赤い果物は、例えるならスイカだった。リンゴではない。
「まぁ...ハジメェ...」「アァ...言わんでもわかるぞ...」「なら、やることわかるな?」「あぁ、いくぞ...」「応...『貫牛、玉犬、鵺』嘶け....『飛蹄雷牛』....」「「皆殺しジャア!!」」「グルルオァ!!!」
この階層が不快な環境であることなど頭から吹き飛んだ。むしろ迷宮攻略すら一時的に頭から吹き飛んだ。実に、何十日ぶりかの新鮮な肉以外の食い物である。ハジメの眼は完全に狩人のそれとなり、龍牙に至っては使う必要もない拡張術式『渾』で貫牛、玉犬、鵺の三体を合体させた式神を呼び出し挙句果てには自身は目が逝っていた。そんな感じでトレントモドキを狩り尽くす勢いで襲いかかった。ようやく満足して迷宮攻略を再開した時には、既にトレントモドキはほぼ全滅していた。
そんな感じで階層を突き進み、気がつけば五十層。未だ終わりが見える気配はない。ちなみに、現在のハジメのステータスはこうである。
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南雲ハジメ 17歳男 レベル:49
天職:錬成師
筋力:880
体力:970
耐性:860
敏捷:1040
魔力:760
魔耐:760
技能:錬成[+鉱物系鑑定][+精密錬成][+鉱物系探査][+鉱物分離][+鉱物融合][+複製錬成]・魔力操作・胃酸強化・纏雷・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・言語理解
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ハジメたちは、この五十層で作った拠点にてが銃技や蹴り技、錬成の鍛錬を龍牙が錬成のみ自身でやらせて鍛錬を積みながら少し足踏みをしていた。というのも、階下への階段は既に発見しているのだが、この五十層には明らかに異質な場所があったのだ。
それは、なんとも不気味な空間だった。
脇道の突きりにある空けた場所には高さ三メートルの装飾された荘厳な両開きの扉が有り、その扉の脇には二体の一つ目巨人の彫刻が半分壁に埋め込まれるように鎮座していたのだ。
ハジメはその空間に足を踏み入れた瞬間全身に悪寒が走るのを感じ、これはヤバイと一旦引いたのである。もちろん装備を整えるためで避けるつもりは毛頭ない。ようやく現れた“変化、なのだ。調べないわけにはいかない。龍牙は久々に空気がピリついてきてそのまま殴り込もうとしたがハジメに抑えつけられ引きずられながら下がっていった。
ハジメは期待と嫌な予感を両方同時に感じていた。あの扉を開けば確実になんらかの厄災と相対することになる。だが、しかし、同時に終わりの見えない迷宮攻略に新たな風が吹くような気もしていた。
「さながらパンドラの箱だな。......さて、どんな希望が入っているんだろうな?」
「蛇が出るか鬼が出るか、だな。クヒヒ...あぁ、楽しみで堪らん。久々に体が疼いてきおったわ...」
自分の今持てる武技と武器、そして技能。それらを一つ一つ確認し、コンディションを万全に整えていく。全ての準備を整え、ハジメはゆっくりドンナーを抜いた。
龍牙も纏雷を体に走らせて『赤血』百斂で血の球を周りに浮かせつつ血鱗躍動を発動し『投射』を使えるようにしておく。
そして、ハジメはそっと額に押し当て目を閉じる。覚悟ならとっくに決めている。しかし、重ねることは無駄ではないはずだ。ハジメは、己の内へと潜り願いを口に出して宣誓する。
「俺は、生き延びて故郷に帰る。日本に、家に・・・・・・帰る。邪魔するものは敵。敵は・・・・・・殺す!」
目を開けたハジメの口元にはいつも通りニヤリと不敵な笑みが浮かんでいた。
扉の部屋にやってきたハジメは油断なく歩みを進める。特に何事もなく扉の前にまでやって来た。近くで見れば益々、見事な装飾が施されているとわかる。そして、中央に二つのみのある魔法陣が描かれているのがわかった。
「? わかんねぇな。結構勉強したつもりだが・・・・・・こんな式見たことねぇぞ」
「お前でもわからんのか?ってことは結構昔のものかね?」
ハジメは無能と呼ばれていた頃、自らの能力の低さを補うために座学に力を入れていた。もちろん、全ての学習を終えたわけではないが、それでも、魔法陣の式を全く読み取れないというのは些かおかしい。
「相当、古いってことか?」
ハジメは推測しながら扉を調べるが特に何かがわかるとわけでもなかった。いかにも曰くありげなので、トラップを管戒して調べてみたのだが、どうやら今のハジメ程度の知識では解読できるものではなさそうだ。
「仕方ない、いつも通り錬成で行くか」
「おう、頼むわ。ぶち破ってもいいだが、何が起こるか分からんしな。」
一応、扉に手をかけて押したり引いたりしたがビクともしない。なので、いつもの如く成で強制的に道を作る。ハジメは右手を扉に触れさせ錬成を開始した。
しかし、その途端、
バチィイ!
「うわっ!?」
扉から赤い放電が走りハジメの手を弾き飛ばした。ハジメの手からは煙が吹き上がっている。悪態を吐きながら神水を飲み回復するハジメ。直後に異変が起きた。
ーーオオオオオオオオオ!!
突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡ったのだ。
ハジメはバックステップで扉から距離をとり、腰を落として手をホルスターのすぐ横に触れさせいつでも抜き撃ち出来るようにスタンバイする。
雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。
「まぁ、ベタと言えばベタだな」
「ですなぁ...ちょい古い気もするがね」
苦笑いしながら呟くハジメと軽口を叩く龍牙の前で、扉の両側に彫られていた二体の一つ目巨人が周囲の壁をバラバラと砕きつつ現れた。いつの間にか壁と同化していた灰色の肌は暗緑色に変色している。
一つ目巨人の容貌はまるっきりファンタジー常連のサイクロプスだ。手にはどこから出したのか四メートルはありそうな大剣を持っている。未だ埋まっている半身を強引に抜き出し無粋な侵入者を排除しようとハジメの方に視線を向けた。
その瞬間、
ドパンッ!
凄まじい発砲音と共に電磁加速されたタウル鉱石の弾丸が右のサイクロプスのたった一つの目に突き刺さり、そのまま脳をグチャグチャにかき混ぜた挙句、後頭部を爆ぜさせて貫通し、後ろの壁を粉砕した。
左のサイクロプスがキョトンとした様子で隣のサイクロプスを見る。撃たれたサイクロプスはビクンビクンと痙攣したあと、前のめりに倒れ伏した。巨体が倒れた衝撃が部屋全体を揺るがし、埃がもうもうと舞う。
「悪いが、空気を読んで待っていてやれるほど出来た敵役じゃあないんだ」
いろんな意味で酷い攻撃だった。ハジメの経験してきた修羅場を考えれば当然の行いなのだろうが、あまりに・・・・あまりにサイクロプス(右)が哀れだった。
おそらく、この扉を守るガーディアンとして封印か何かされていたのだろう。こんな奈落の底の更に底のような場所に訪れる者など皆無と言っていいはずだ。
ようやく来た役目を果たすとき。もしかしたら彼(?)の胸中は歓喜で満たされていたのかもしれない。
満を持しての登場だったのに相手を見るまでもなく大事な一つ目ごと頭を吹き飛ばされる。これを哀れと言わずしてなんと言うのか。
サイクロプス (左)が戦慄の表情を浮かべハジメに視線を転じる。その目は「コイツなんてことしやがる!」と言っているような気がしないこともない。
ハジメは、動かずサイクロプス(左)を睥睨する。ハジメの武器、銃というものを知らないサイクロプスは響戒したように腰を低くしいつでも動けるようにしてハジメを睨む。
十秒、二十秒…・...
いつまで経っても動かないハジメに業を煮やしたのか
サイクロプス(左)が雄叫びを上げ踏み込んだ。
直後、顔面から地面にダイブした。
足を踏み出した瞬間、ガクッと力が抜け、勢いそのままに転倒したのだ。サイクロプス(左)は、わけがわからないといった様子で立ち上がろうと暴れるがモゾモゾと動くだけで一向に力が入らない。
低く唸り声を上げもがくサイクロプス(左)に、ハジメがゆっくり近寄っていく。コツコツという足音が、まるでカウントダウンのようだ。ハジメは、サイクロプス(左)の眼前までやってくると倒れ伏す頭に銃口を押し付けた。そしてなんの躊躇いもなく引き金を引いた。
ドパンッ!
銃声が部屋全体に木霊する。
しかし、ここで予想外のことが起きた。サイクロプス(左)の体が一瞬発光したかと思うと、その直後、直撃した銃弾を皮膚が弾いたのだ。
「むっ?」
ハジメは、おそらく固有魔法を使ったのだろうと推測する。どうやらサイクロプスの固有魔法は防御力を著しく上げるもののようだ。
うつ伏せに倒れたままのサイクロプス(左)が、小馬鹿にしたように口元を歪めた。
「あ、お前なぁ...横取りすんなよ」
「知らんな、お前が手間取ってるのが悪い。」
「はあぁ...」
瞬間、サイクロプス(左の)頭から下ごと龍牙の穿血が、穿つ
「それにしてもだいたい約20秒か?ちょっと遅いな。図体がでかいからか?」
「も、ありそうやな。もしくは魔物には効きにくいのか...」
龍牙とハジメは実験結果を分析するようにサイクロプスを見る。
なぜ、サイクロブス(左)はいきなり倒れ動けなくなったのか。
それは、“麻手弾、のせいである。これは、モス〇モドキから採取した鱗粉を手榴弾中に詰めて小規模な爆風で吹き散らし相手を麻させるというものだ。サイクロプス(左)が倒れるサイクロプス(右)に注目した瞬間に投げ込み鱗粉を撒いておいたのである。
「これ、影に入るか?」「アホか!入るには入るが流石に入れとうないわ!!あほかいな!!」ベシッ
「いで...まぁ、いいか。肉は後で取るとして....」
叩かれた頭を擦りながらハジメは、チラリと扉を見て少し思案する。
そして、“風、でサイクロプスを切り裂き体内から魔石を取り出した。血濡れを気にするでもなく二つの拳大の魔石を扉まで持って行き、それをみに合わせてみる。
ピッタリとはまり込んだ。直後、魔石から赤黒い魔力光が迸り魔法陣に魔力が注ぎ込まれていく。そして、パキャンという何かが割れるような音が響き、光が収まった。同時に部屋全体に魔力が行き渡っているのか周囲の壁が発光し、久しく見なかった程の明かりに満たされる。
ハジメは少し目を瞬かせ、戒しながら、龍牙は目をぎらつかせ楽しげにそっと扉を開いた。
扉の奥は光一つなく真っ暗闇で、大きな空間が広がっているようだ。ハジメの“夜目、と手前の部屋の明りに照らされて少しずつ全容がわかってくる。
中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。
その立方体を注視していたハジメは、何か光るものが立方体の前面の中央辺りから生えているのに気がついた。
「どした?」
「なんかある、見に行くぞ。」アーイ
近くで確認しようと扉を大きく開け固定しようとする。いざと言う時、ホラー映画のように、入った途端バタンと閉められたら困るからだ。
しかし、ハジメが扉を開けっ放しで固定する前に、それは動いた。
「..・・・・だれ?」
かすれた、弱々しい女の子の声だ。ビクリッとしてハジメは慌てて部屋の中央を凝視する。すると、先程の”生えている何か"がユラユラと動き出した。差し込んだ光がその正体を暴く。
「人・・・・・・なのか?」
「こんなとこにいるものなのかねぇ...」
”生えていた何か"は人だった。
上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせる紅眼の瞳が覗いている。年の頃は十二、三歳くらいだろう。随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでも美しい容姿をしていることがよくわかる。
流石に予想外だったハジメは硬直し、龍牙は思考にふけ紅の瞳の女の子もハジメと龍牙をジッと見つめていた。やがて、ハジメはゆっくり深呼吸し決然とした表情で告げた。
「すみません。間違えました」
.............to be continued
はい、蛇弟です。
お嬢チラ出しですね、今回は。これ出したらアンケート終わるまで方舟の方に専念しようと思います。進める訳にも行かんですしね。
では次回で。サラダバー
追記:オルクス終わった後に龍牙たちの現状のステータスとかまとめと一緒に使った術式を紹介しようと思ってます。
ハジメくんのヒロインから2人引き抜こうとおもってます。ユエちゃんと雫嬢です。
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2人まとめて引き抜き
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ユエのみ
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雫のみ
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どっちもダメ