ということで第6話、どうぞ
「晴風が反乱!?」
横須賀女子海洋学校の校長室で同校校長の宗谷真雪は耳を疑うような報告を聞いていた
「はい、集合時間に遅れて到着した晴風が突如教官艦さるしまに攻撃、撃沈したそうです」
「なぜそんな事態に!?」
焦ったように聞く
「さるしま艦長古庄教官は意識を失った状態で...まだ詳しいことは分かっていません...」
その言葉に衝撃を受ける真雪。そして心のなかである人物を思い出していた...
「(このまま行けば撃沈命令が海上安全整備局からでてしまう...あの人ならなんとかしてくれるかな...)」
あとで連絡を入れておこうと思い真雪は対策を練り始めるのだった...
「なんで反乱したことになってんの!?先に攻撃してきたのはさるしまでしょ!?」
「う...うぇ!?わ、私に言われても...」
「知床さんに言ったってしかたないだろう...」
芽衣が鈴に食って掛かる。それをましろが抑えていた
「あぁ...ごめんごめん...」
「で、でもどうして沈没しちゃったんだろ...?模擬弾だったのに...もしかするとこれも演習の一環なんじゃ...?」
「演習で沈没するか?」
鈴の考えにましろが反論する
「なら、わざと沈没したとか?私達偶然にもさるしまのなにか黒い秘密を知ってしまったんですよ!」
「始まった...」
もう何度目かわからない幸子のこの展開。ましろはこのあとの展開を予測して呆れていた
「私ら遅刻しただけじゃん」
芽衣も続ける
『オマエラ、ミタナー』
『ワタシタチー、ナニモミテマセーン』
『エェーイ、コノママイカシテオケン、ズドーン。ア、ニゲラレタ。エェーイ、コノママヒミツトトモニシズンデヤル〜ムグムグムグ...』
「全部妄想でしょ?」
芽衣が幸子の棒読み劇に若干引きながらも答える
「それより納沙さん、そのタブレット通信切ってあるの?」
逃げるうえで大切なこと、それは自分の位置がバレないこと。そのためにも通信機器は切っておく必要があった
「大丈夫です。さっき艦長の指示があったときにオフにしてます」
「通信機器が使えないのは不便だけどな」
「まぁ...今発見されたら面倒だしね〜仕方ないよ」
逃げるためとはいえ必需品であるスマホの通信を切ることはいたたまれない。そんな気持ちに明乃は謝る
「ごめんね。不便だと思うけど第二合流地点の鳥島沖までだから」
「い、位置情報のビーコンも切ってあるけど...わ、私達お尋ね者ってことだよね?高校生になったばかりなのに犯罪者になっちゃったんだよね?こんなの嘘だよね?嘘だと言って〜!!」
鈴が泣きながら言う
「う...う...」
「どうかしましたか?立石さん」
「......嘘」
鈴の言ったことにまともに答える志摩
「あ、ありがとう。言ってくれて。あ、私のことは鈴って呼んでくれていいよ」
「はぁ...」
ましろは大きくため息をつく。それはこの先の航海の不安でもあるしこのクラスに対する不安でもあったのだ......
9年前、横須賀
「ましろー走ると転ぶぞー!」
ある少女が声をかける
「大丈夫だよー!お母さん、お姉ちゃん、はーやーくー!!」
「待てましろ!」
ある家族─宗谷真雪やましろ、そしてその姉の真冬、真霜の4人は諏訪神社へと来ていた
「昔は横須賀の街もここみたいに陸地が多かったんでしょ?お母さん」
真霜が真雪へと尋ねる
「ええ。学校で習ったと思うけど日露戦争の後、メタンハイドレートの採掘を期に日本は地盤沈下を始めた。水没した都市部に巨大フロート艦を建造してフロート都市に変わって、海上開発が進んだ」
「それで日本は海洋大国になったんでしょ?軍事用に建造された多くの艦が民間用に転用されたけど、戦争に使わないという象徴として艦長は女性が務めるようになったんだよね」
「それがブルーマーメイドの始まり...だよね?真霜姉?」
「そしてその第一号が」
「あなた達のひいおばあさまよ。それから代々、宗谷家の女性はブルーマーメイドになっているの。お母さんもね。でもお母さんは次が最後の航海になるの」
「「ええー!?」」
「ふぁ?」
「これからはね、お母さん、ブルーマーメイドの先生になるの。こんなに広い海のように豊かで清々しい海に生きる女の子を育てていくのよ」
「私、そんな女の子になりたい!」
真霜が真っ先に声をあげる
「お母さんが先生になる学校に入る!」
真冬も続ける
「私も!私も入る!!」
最後に手を大きくあげてましろが言う。真雪はしゃがむとましろに目線を合わせた。
「楽しみにしているわ」
そういうと被っていた制帽をましろに被せる。しかしその時運悪く風が吹いて帽子が飛ばされてしまった
...
「(思えばあのころからずっとついてなかった。私はいつも運が悪かった......そして初航海と思いきや...)...ついてない...」
そのころ第三主砲付近では主計長の等松美海、応急長の和泉媛萌、応急員の青木百々の3人が被害の確認をしていた
「うわぁ大変。後部甲板応急修理しないと...」
「こりゃめちゃくちゃっス...」
「先輩マジカッコイイー!!」
「ミミちゃんは野間さんに夢中っス」
「等松さんも暇なら手伝ってー!」
媛萌がそう声をかけるが
「マッチー!」
と当の本人は聞こえてもいない様子だった
「はぁ...メロメロっス...」
「マッチと撮った写真、妹に送りたいんだけどなぁ。今携帯の通信禁止だしなぁ」
そんなことを言っていると
「ヒメちゃん、モモちゃん、ミミちゃんお疲れ様!被害状況は?」
「見ての通り応急修理しないとね。艦長」
「分かった。後で手伝うね」
「艦長バタバタっスね...」
ー機関室にて
機関室にて
「マロンちゃん、状況どう?」
「前進いっぱいにしちまったせいで総点検が必要になっちまったんでぃ!」
麻侖が頬を膨らませてそっぽを向く。後ろでは洋美が配電盤をいじっていた
「まったく、無理させるわね」
「クロちゃんごめんね」
明乃は洋美に謝る
「馴れ馴れしく呼ばないで。黒木さんって呼んでくれる?」
「分かった。クロちゃん!」
そういって明乃は扉を閉じる
「ぜんぜん分かってないじゃん...」
「あれで艦長?」
機関員の若狭麗緒と伊勢桜良は疑問や不満を含んで言うのだった
ー晴風医務室
その後晴風医務室では衛生長の鏑木美波が砲術員の小笠原光の治療をしていた
「ヒカリちゃん大丈夫?ルナちゃんとサラちゃんも怪我ない?」
「うぇー!?もう名前覚えたの!?すごーい!」
機関員の一人である駿河留奈が驚きの声をあげる
「さすが艦長殿」
もう一人の機関員、広田空も同じ様に感心した声をあげる。先程の機関室の2人とは違い、好反応だった
「他に怪我人はいないよね?」
「無い」
美波が端的に言う
「良かった...でも、こんなことになるなんて...」
「青天の霹靂...」
「これからどうすればいいんだろう...?」
「知者は惑わず、仁者は憂えず、勇者は懼れず」
突然の論語に戸惑う3人。すると伝声管を通じて声があった
『艦長、至急艦橋にお戻りください!』
ましろの声になんだろうと思いつつも艦橋へ戻る明乃だった
「ごめんお待たせー」
「被害状況どうでした〜?」
幸子が尋ねる
「後部甲板が結構やられて、爆雷があと1発、魚雷も無いし...機関室も総点検だって...」
「かわいい〜」
幸子は聞いたのに一切何もせずただ五十六を撮っていた
「そんなものを撮ってないで被害状況を記録しろ!
そんな幸子に対しましろが叱っていた
「学校側から連絡は?」
「無い」
「私達見捨てられたんじゃないの?」
「今事実確認中なのかも」
「こ、このまま鳥島沖10マイルまで退避でいいんだよね?」
「うん」
「私達が反乱を起こしてさるしまを攻撃したみたいに言われているけど、違うってこと説明しなきゃ」
「合流地点についた途端捕まっちゃわないかな...?」
「オマエラ!ナゼサルシマヲ攻撃シタ!?」
「違ウンデス!先ニ攻撃シテキタノハサルシマノ方デ!」
「嘘ヲ言ウナ!」
「信じてもらえないってこと?」
「だが我々に反乱の意思など無い。このまま逃げ続けられないのだから近くの港に入ろう、艦長」
「うん。そうだね。港に入れば攻撃されることもないだろうし。リンちゃん、横須賀までどのくらいかかりそう?」
「巡航で38時間かな...?」
「まったくこんなクラスになったばっかりに...ついてない...」
色々話していたあとにましろはため息をつく。いつものごとく自分の不運体質を恨むようだった
「なによこんなクラスって。そりゃ晴風は合格した生徒の中では最底辺が配属される船かもしれないけど、それはあんたも一緒でしょ!?」
芽衣が声を荒げて言う。確かに晴風は航洋艦─軍艦でいう駆逐艦。そのため入試成績下位のものが配属されていた
「一緒にするな!私は入学試験全問正解していたはずなのに...解答欄を一つずらして解答したから......」
そういって腕を組むましろのことを艦橋メンバー全員が憐れむ目で見ている
「「「あ...」」」
「ついて...無いんですね...」
「うるさい!」
最初に沈黙を破って声をだした幸子。しかしすぐにましろは続きを言わせないようにした
「そ、そっかぁ...私なんて受かっただけでも奇跡なんだけどね、たまたま勉強していたところがでてましてや艦長なんて...」
「こちらは強運の持ち主ですか...」
「うぃ...」
明乃の強運にいろいろな思いが混ざりながら話す幸子と志摩であった
「鳥...」
「こんな時あんな風に学校に戻れたらいいんですけど...水素やヘリウムを使わない空飛ぶ船って作れないですかね」
「はぁ...あんなもの空想の産物だ。ばかばかしい...」
飛んでいたかもめを見て呟いた幸子の疑問をましろは切り捨てるように否定する。しかし、このときの晴風メンバーはとにかく、日本の大多数の人々は知るよしも無かった。すでに米国ではヘリコプターが制式化され、日本に限っては誰も知らないところであるものが飛んでいることを...
『みなさーん!食事の用意ができました〜!』
烹炊室から美甘が伝声管を通して艦全体に呼びかける
『本日のメニューは...晴風カレーです!』
「カレー...!」
その言葉にいち早くそして目を輝かせて反応したのは志摩だった
「今日は金曜日でしたね〜」
幸子も嬉しそうに話す
「カレー!」
志摩がガッツポーズを作って話すと明乃も話す
「じゃあ交代で食べに行こうか」
「うい」
「うちの艦のカレーどんなのかな!」
芽衣が志摩に近づき聞く。そんな中機関室では
「お風呂とカレー、どっち先にする?」
「カレーじゃない?」
「カレー!」
「カレーでしょ」
と話していた。汗をかきやすいがここは女子校、そんなことは気にしなくて良いのだ
「宗谷さん、一緒にカレー食べにいかない?」
伝声管を通じて洋美がましろをさそう
「むぅ...」
そういうと麻侖は洋美の腕に抱きつき
「クロちゃんはマロンと行くんでい!」
と駄々をこねていた
「...はっ」
眼鏡をずらしたマチコは見張り台であるものをみた
『右60度、距離3万、接近中の艦艇は、アドミラル・シュペーです!』
これで書き溜めは完全に消えました。これからは週1、遅くても2週間に1本のペースで上げようと思います
次回、第7話、外国艦でピンチ(仮)
会話文の前後の行間を1行空けるかどうするか
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見にくいから空けるべき
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このままでいい