台風に地震と少し不安ではありますが気を抜かず頑張っていきましょう
それでは第26話、どうぞ
晴風から分離したスキッパー部隊は土手のようになっている岩場の近くを進む。そして後ろではヘリコプター部隊もスキッパー部隊を追う様に進んでいた
「突入予定時間まで、あと30秒!」
楓がスキッパーに捕まりながら明乃へと伝える
「了解!」
明乃はそう答え速度をあげる
「あと20秒!」
「サトちゃん、合図を出したら突入して!」
「うちの腕を見せる時ぞな!」
楓のカウントに明乃は聡子へと指示を出し2台のスキッパーの時間を合わせる。そして晴風でも
「10秒前」
と幸子がカウントダウンを行なっていた
「艦をシュペーにあと二百近づけて!」
「まっかせてぇ!」
ましろの指示に鈴が即座に応答して舵を取る
「4、3、よーい!」
「てぇ!」
幸子のカウントと共にましろが射撃指示を飛ばし晴風の長10cm砲が放たれる
「艦長来ました!」
「ドンピシャ!」
まゆみの報告に芽依も即座に反応する。そして晴風の放った砲弾がシュペーへと命中し、シュペーの対空砲を無力化する
「あとはシュペーをできるところまで引きつける!」
『晴風、近づきすぎだ!離れろ!』
「副長!副砲弾直撃コース!」
ましろが指示を飛ばすのとほぼ同時に柚希からの通信や秀子からの報告が入る
「………回避!」
一瞬戸惑いながらもましろは指示を出す
「しまった!頼む、無事でいてくれ!」
着弾地点を見ていた柚希が声を上げる。それもそのはずその弾は晴風へとしっかり命中してしまったのだ
「!?どこに当たった!」
ましろが即座に物に捕まりながら被害報告を急がせる
『電探室異常、ありません!』
『第一魚雷発射管、被害なし!』
『第二魚雷発射管、大丈夫です!』
と各所から異常無しの報告が届くがある一箇所だけ届かない
「副長!射撃指揮所付近です!」
「射撃指揮所、大丈夫か!?」
慌てた様子で幸子が報告し、ましろも即座に安否確認をする。しかし少し待っても反応が帰ってこず、ましろは諦めかける。その時
『あー聞こえてますー。小笠原、無事ですー』
『武田、異常なし』
『日置、大丈夫でーす』
安全装置が発動しエアバッグで包まれた射撃指揮所から応答が帰ってくる。その様子にましろは安堵する
『こちらモンタナ、晴風、被害報告をされたし』
ルナからも晴風の状態を心配するように通信が入る
「こちら晴風艦長代理宗谷ましろ。本艦損害は射撃指揮所使用不能。しかしながら乗員の生存を確認。繰り返す、本艦損害は射撃指揮所の使用不能。しかしながら乗員の生存を確認」
その通信を聞き、柚希とルナは安堵のため息をつく。しかし、ましろは
「これ以上みんなを危険には晒せない…艦長、シュペーを頼みます。最大戦速!進路最短で射程外に出るコースへ!」
責任を感じ晴風の安全確保の為反転し射程外へ出ようとする。そして忘れずに通信もいれる
「こちら晴風、こちら晴風。本艦の損害も著しくこれ以上の戦闘は本艦乗員への更なる危機が予測されるため退避します。ついては薩摩、モンタナに援護を求めます」
そしてその通信はすぐ帰ってくる
『こちら薩摩。晴風の要請を受諾。これより晴風とシュペーの間へと入ります』
『こちらモンタナ了解。これより晴風のそばを航行する。晴風は本艦の陰に隠れられたし』
そう言って晴風は退避、モンタナと薩摩は護衛へと移行する。その時突入部隊は
ガン!シュバババ…
グラップリング・フックを使いマチコが一番に突入を開始する。そして甲板へと着地すると4人のシュペーの生徒が取り囲む
「私を倒せると思うなよ」
声色を低くしたマチコが即座に臨戦態勢を構える。そして後続のハシゴで登って来る部隊も追いつく
「マッチ!」
不安そうな声でハシゴ部隊で一番初めに登りきった百々が声を上げるがマチコは素早い水鉄砲捌きであっという間に4人を制圧する
「Wunderbar.(見事だ。)」
その水鉄砲捌きにミーナが驚いたその時、上空から
「ホイスト降下、開始!」
と指示が聞こえる。そしてその号令に合わせロープを伝ってヘリコプターから十数人が降下し後甲板に結城以下薩摩突入隊とユウカ以下モンタナ突入隊として整列する
「…!紫先生!」
「美波か。そしてティナもいるのだな。そっちも抗体は持ってきているだろうが私もやるぞ。手分けしたほうが早いからな」
薩摩突入隊の白衣を着た人物─紫を見て美波が即座に声を上げ、その声を聞いた紫も美波へと返す
「これより突入隊の総指揮はうちが取る。晴風メンバーもこれを持ってシュペーへ突入せよ」
そう言ってトランシーバーと笛を渡す
「トランシーバーでの通信が一番だがRATtに感染している手前使えないことのほうが多いと思われる。だから制圧次第笛を鳴らせ。無線が通じるようになればトランシーバーでいい。では、突入!」
その声に合わせ晴風、薩摩、モンタナの突入隊が一斉に駆け出す。マチコは飛び跳ねながら海水入り水鉄砲を正確に撃ち込みシュペーの乗員をダウンさせる。そしてその倒れた乗員に美波や紫、ティナ、そして薩摩の医務科兵が抗体を投与する
「こっちじゃ!」
元々自身の乗艦する艦であり、2年目であるからして自分の家のようにわかるミーナの案内によって突入隊は艦内へと入る。そして突き進むと3人の生徒が出迎えてくる。それを見た楓は薙刀袋を取り、中から木製の薙刀をとるとそれを構えた
「万里小路流薙刀術……」
そしてシュペーの乗員が襲いかかってくると一度閉じた目を開き
「当たると、痛いですよぉ!」
と言い、ものの数秒で3人を制圧する
「おお…凄いっす」
と百々の口から漏れ
「Wonderful…」
とユウカの口から言葉が漏れる。そして倒れた乗員に美波は抗体を投与しながら
「兵は敵によりて勝ちを制す」
という。そしてその後ろでは…
「倉本流抜刀術…はぁ!」
と結城が持ってきた木刀(白鞘木刀)でシュペー乗員をこれまたダウンさせていた
「わぁ…痛そうっす…」
とその様子を見た百々は声を漏らすのだった。そしてその時
「チュッチュッ!」
と鳴き声がして百々の足の間を駆け抜ける
「ヌゥー!!」
「ニャン!」
「ンニャン!」
とその鳴き声──RATtを追って五十六、平八、ペリーが駆け抜けていく
「ここは猫たちに任せるか。他のメンバーは艦内乗員の制圧を続行!」
「「応!」」
駆け抜けていった猫たちを見ながら結城が指示を飛ばす。そして薩摩のメンバーは機関室や射撃指揮所の制圧へと移っていくのだった
「ここを上がれば艦橋じゃ!」
艦内通路をミーナ先頭に駆け抜け、最後の階段を駆け上がる。そして最後尾にいた美海は
「ここは行かさない。マッチは私が守る!」
そう言って後ろから追ってくるシュペー乗員へと立ち向かう。それを見た結城は
「これ使え。レバー引けば弾発射されるから」
と89式小銃を美海へと渡し階段を上がる
「え、え?」
と美海が困惑する最中、ユウカも
「これも使って」
とベレッタM9を渡す
「え、え?え?も、もういいや!マッチを守るんだぁ!」
急に2つも銃を渡され困惑する美海だがそこを割り切り、向きかえると小銃をそのまま撃ち始める。それを見たユウカは安心して艦橋へと向かうのだった。そしてミーナが艦橋へとたどり着き
「艦長!」
と声を上げる。そしてその声で振り返ったシュペーの艦長はRATtに感染していることを示す紅い目をしていた。そしてそれを見た結城たちは臨戦態勢をとる
「Mina, wenn irgendetwas passiert, werde ich schießen.(ミーナさん、何かあったら撃ちます)」
「Verstanden. Könnten Sie jedoch bitte einen Moment warten?(分かりました。しかし少し待ってもらえますか?)」
結城がドイツ語でミーナへと聞き、ミーナもドイツ語で返す。そしてミーナへ向けて
「Mein kapitän!(艦長!)」
と叫ぶ。しかしシュペーの艦長は飛びながら回し蹴りをする。それを狼狽える素振りも見せずミーナは耐えると足を掴み、降ろす。そして抱き抱えシュペー艦長が身動きを取れないようにする。その様子を見た美波が抗体を、投与しシュペーの艦長は大人しくなり、自然と座り込む。それを見たミーナは安心した表情で
「Entschuldigung, dass ich zu spät bin.(遅れてすみません)」
とシュペー艦長へ話しかける。そしてその直後シュペーのマストに白旗が上がる。その旗を見た聡子が
「艦長、やったぞな!」
と喜びをあらわにする。それは晴風でも例外でなく
「やった!」
と双眼鏡を見ていたましろが声を上げ志摩と鈴、幸子と秀子がハイタッチをする。そしてその後夕陽の輝くシュペー甲板で五十六は咥えたRATtを降ろす
「これで10匹目…お手柄っすね〜」
と言う。そして艦長帽を返してもらった明乃は
「美波さん、もう抗体の接種は終わった?」
と聞く。そして美波は自分に抗体を刺しながら
「これで最後」
と短く言う。そしてその横から
「明乃、ましろ」
とミーナが呼び
「ミーちゃん!」
と明乃もすぐに反応する
「ミー…ちゃん…?」
とシュペー艦長が反応する。そしてミーナは
「紹介する。こちらが…」
と言いかけ、そこでシュペー艦長にかわり
「艦長のテア・クロイツェルだ。話は聞いた。我々を救ってくれて感謝する」
と言って右手を差し出す
「晴風艦長の岬明乃です」
明乃も右手を差し出し握手する。そしてましろへと促し
「こちらが…」
と言う。そこまで言えばましろも自分の言葉で
「副長の宗谷ましろです」
と握手しながら言う
「全員無事でしたか?」
明乃は一番気になっていたことを聞く
「現状は。これからゼーアドラー基地に戻って補給だ」
「じゃあミーちゃんは…」
テアの言葉を聞いた明乃はそう呟く
「あぁ。当然我々と行く」
その呟きにテアはすぐ返す。その会話を聞いていた美波は
「基地に戻ったら念のため精密検査を受けてほしい」
「分かった」
と話す。そして結城や柚希、ユウカ、ルナが到着しテアへ挨拶する
「日本國海軍中将の戦艦薩摩艦長、倉本結城です」
「同じく少将で戦艦薩摩副長の倉本柚希です」
そう言われ、結城達と握手をするテアの表情は驚いたものだった
「まさか…貴方方に会えるとは…」
「艦長?どうしたのです?」
その驚きが気になるようにミーナが聞く。その問いにテアはすぐ答える
「母の─マリア・クロイツェルの親友だ。それにその妹もいるなんて…」
驚きを隠せないテアはそのままユウカたちへと向きかえる
「テア艦長、始めまして。アメリカアナポリス女子海洋学校2年、超大型直接教育艦モンタナ艦長、ユウカ・A・フカマチ・スミスです」
「同じく副長のルナ・ブラウンです」
ユウカ・A・フカマチ・スミス─この言葉を聞いたときのテアの顔は先ほどの結城達よりも驚いたものであった
「ご飯できました〜」
そんな中、ほまれが呼びに来る。そうして明乃達は席に着くのであった
今回もお読みくださりありがとうございました!
読んでくださる方に最大級の感謝を
やっぱりドイツ語っていいなぁ…でもドイツ語学びたくてもまずは英語をどうにかしなければいけないのでそこからです
次回、第27話、祝勝会はやっぱり楽しいな(仮)
明日へ向かって、ヨーソロー!