ハイスクール・フリート〜風の中の希望〜   作:翔鉄

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波乱に満ちそうな晴風赤道祭、今回は元の予定を変更しそこから離れてちょっと不穏なお話です

誤字修正ありがとうございました

どうしても抜け穴があったりするのでとても助かります

今日1話、明日1話となります
あと今回短めです

それでは第28話、どうぞ


#28 パーシアス作戦の準備と真雪の決断

「検査の結果、ウイルスに感染した生徒は正常に戻ったわ。晴風がシュペーに行なった作戦は成功よ」

 

ブルーマーメイド庁舎の会議室の一角で真霜がプロジェクターを用いながら説明する

 

「凄いですね。表彰ものです」

 

倫子が感嘆の声を上げるが

 

「学生達に負けては居られないわよ。我々もこれからパーシアス作戦を展開するわ。抗体の増産は現在急ピッチで進んでいる。完了と共に一斉に行動開始よ。鳥海、摩耶、五十鈴はすでに真冬部隊により制圧済み。残るは涼風、天津風、磯風、時津風それから…武蔵」

 

真霜が一喝した後今後の方針を指示する。そして最後に出てきた“武蔵”という言葉でブルマー隊員の中には動揺が走る

 

「真冬部隊によると武蔵の最終確認地点はウルシー南方。進路は西、おそらくフィリピン方面に向かったと思われるわ。ただし現在位置は不明よ。しかしながら本土近海には海軍が展開すると申し出があったわ。そのため私達は南方、フィリピン海方面を重点的に見ることになると思う──」

 


 

真霜が説明している頃横須賀女子海洋学校では

 

「今後はブルーマーメイド主導で作戦を展開し日本海軍がそれを援助するとのことですが学生艦にも協力の要請が来ております」

 

資料を持ってきた教頭が真雪へと報告する

 

「生徒に負担は掛けたくないけど、感染の拡大は何としてでも防がなければ。艦の現況は?」

 

「風早、秋風、浜風、舞風は学校に戻ってきています。長良、浦風、萩風、谷風は依然偵察中。そして晴風は現在、間宮、明石による修理中です」

 

真雪の質問に教頭は淡々と答える

 

「晴風の生徒たちの様子は…?」

 

「艦長からは赤道祭の準備中との報告が来ています」

 

その言葉を聞いた真雪は頬を緩ませ、そしてその顔を戻すと

 

「修理が完了したら作戦に協力するように伝えて」

 

「はい」

 

そう言うと教頭は校長室を出ていくのだった

 


 

─2日後米領グアム島アプラ港内グアム海軍基地にて

 

「アメリカ海軍とブルーマーメイドアメリカ支部から通信があったわ」

 

教室にモンタナ乗員全員を集めたユウカはモンタナの改修工事が進行する中今後の展望を話す

 

「ブルーマーメイド日本支部による武蔵制圧作戦、パーシアス作戦に参加するようにとの通達よ。今回アメリカ海軍は日本が持てる戦力を全て動員していることから一部の日本海軍艦と協力して日本周辺の海路維持に努めるそうだわ。そして本艦はVLSやABLに対艦ミサイルや噴進魚雷を満載し武蔵の行動を鈍らせるのが任務よ。ここまでで質問はあるかしら?」

 

「それじゃ私が」

 

ユウカの話に対しカレリアが手を挙げる

 

「VLSやABLに対艦ミサイル、噴進魚雷を満載するとこちらの抗堪性は著しく低下するけれど大丈夫なの?」

 

いくら大和型に対抗しうる装甲を持つ戦艦とはいえ装甲ボックスランチャーやVLSに46cm砲弾が当たると他より弱い装甲もあり簡単に貫かれてしまう。しかもそのまま弾頭が誘爆するとモンタナも沈んでしまうかもしれないのだ

 

「その点については問題ないわ。ミサイルの射程を活かして大和の射程外から攻撃するから。これに合わせてたのか何なのか噴進魚雷の射程も信じられないほど伸びてるのよ」

 

そう言うとユウカはプロジェクターを付け、今回搭載するミサイルと噴進魚雷の説明を映し出す

 

「これの照準はどうするの?いくら射程が長くともこちらから武蔵が見えないと撃てないわよ?」

 

そう言って立ち上がったのはルイス。如何に射程が長かろうが噴進魚雷でも敵艦が見える距離から発射するのが常。視界外から撃つことは全くと言って無いのだ

 

「その点についても心配しなくていいわ。ブルマー艦の諸元にあわせて発射、終端誘導をブルマー艦艦載の飛行船からのレーザー誘導という形で命中させることになってるわ。ちなみに噴進魚雷は基本使わないと思っていいらしい」

 

スライドを変え、図を使いながら説明するユウカに納得してルイスは座る

 

「それと今回の作戦に合わせて機関も強化されたから速力も増強されて35ノット出るようになったわ」

 

それを聞くとアリスが手を挙げ

 

「燃料効率とか大丈夫?」

 

と聞く。それに対してユウカは

 

「高温高圧化によって出力が強化されただけだから燃料消費に変化はあまりないと考えてもらって大丈夫ね」

 

と資料を渡しながら言う

 

「扱い方もあまり変わってないようだし…問題は無さそうね」

 

資料を見たアリスも頷く

 

「作戦開始までまだもう少し時間があるわ。その間にみんなは改修工事によって変わったものの習熟訓練、補給をしっかりしておいて!」

 

「「「「了解!」」」」

 


 

─そのまた2日後、呉鎮守府にて…

 

「砲雷科は砲弾の積み込み急げ!機関科は燃料積み込み、航海科はその補助、主計科は残存食料等を確認し不足分の積み込みを!あと悪いが主要メンバーは会議室へ集まってくれ!」

 

薩摩艦橋では結城の指示が飛び、それに合わせて各科所属兵が艦内を動き回る。その中を結城達は通り抜け会議室へと向かう

 

「突如集まってもらって済まない。海軍省より緊急作戦の指示が入った」

 

集まったメンバーを確認し結城が会議を始める

 

「パーシアス作戦、つまりブルーマーメイド主導による武蔵制圧作戦への参加となる」

 

「武蔵…開放ですか……」

 

いち早く柚希が反応する

 

「それで艦長、私達は何をするんですか?」

 

佳代が結城へと質問する。本人は比叡解放後顔が緩みきっていたのだが今回ばかりは真剣な表情をしていた

 

「一応海軍省からの情報だと武蔵最終発見地点がウルシー南方でフィリピン方面に向かったらしい。これはべんてんからの情報だから信用はできるな。そしてブルマー部隊はこのまま戦力を南方集中配備、武蔵がこのままフィリピン海方面へと向かったていとして進めるつもりだそうだ。だから我々は本土近海の警備をするということらしい。まぁつまりは武蔵が本土に来たときの対応だな。ここまでで質問はあるか?」

 

「それじゃ私が」

 

結城が促すと祐介が手を挙げる

 

「ブルマー部隊を南方集中配備といったが完全にブルマーが本土から離れるのか?」

 

「いやそれはない。1部隊が別動隊として九州に配備されるらしい。まぁでも本当に最小戦力だし挟み撃ちにするつもりなだけだろうな」

 

祐介の質問に答え、その他の質問がないことを見た結城は話を続ける

 

「そして本作戦に関し海軍省からは“第一戦隊”として出動指示が出た。また今回の艦載機は例の物も積んでおくそうだ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

会議室のなかに動揺が広がる

 

「艦長…いや“司令長官”…それは正気なのだな…?」

 

祐輔が恐る恐る聞くが結城は堂々と頷く

 

「まぁでもこれは最後の切り札だね。使わないに越したことはない」

 

「そうですよね。良かったです」

 

夏美が結城の言葉で安心した表情を見せる。そして結城は帽子を深くかぶると訓辞を飛ばした

 

「これより“我が艦隊”はブルーマーメイド主導のパーシアス作戦への支援を行う。相手は学生艦なれど所在不明であり最新の注意を払うように…とのことだ。以上、解散!」

 

「「「「「はっ!」」」」」

 

結城の声に合わせ柚希、夏美、佳代、祐介、祐輔は敬礼しそれぞれの持ち場へと戻る。これから始まろうとする作戦が成功することを願いながら

 


 

─半日後

 

コンコンコン

 

「どうぞ」

 

『失礼します』

 

ガチャ

 

横須賀女子海洋学校の校長室で扉を叩く音がし真雪は誰だろうと思いつつも許可を出す

 

「日本國海軍中将、聯合艦隊司令長官兼戦艦薩摩艦長の倉本結城です。突然の訪問お許しください宗谷校長」

 

入ってきた人物─結城は扉の前で敬礼する敬礼する。そして真雪も即座に来客用の机へと移動する

 

「お久しぶりですね。結城中将。また突然ですが何かありましたか?」

 

「お久しぶりです。今回のパーシアス作戦について聯合艦隊の方針も決まったので報告しておこうかと」

 

そう言って結城は1つのファイルを取り出し真雪へと差し出す

 

「これは…」

 

「ええ。もしも武蔵が“本土近海”へと現れた時の対処法です。現在戦力が南方へと固まりすぎているためこちらの方で独自に立案させてもらいました」

 

結城の持ってきたファイルの内容を読みながら説明に耳を傾ける真雪

 

「なるほど。この作戦の中にある武蔵への“直接的な攻撃並びに武蔵の兵装破壊”の許可が欲しい…ということね?」

 

「察しが早くて助かります。そういうことです。こちらも制圧のために近づくのであれば兵装を破壊しないと不可能に近いものですから」

 

結城の言葉を聞いて少し悩んだ真雪は結城の目を見て

 

「分かりました。パーシアス作戦失敗時又は武蔵が本土近海に展開してきた場合の直接攻撃を横須賀女子海洋学校校長、宗谷真雪が許可します」

 

と言い即席ではあるもののその旨を記した紙を結城へと渡す

 

「ありがとうございます。こうならないことを願っていますが…」

 

結城もどこか不安そうな顔でそれを受け取り丁寧にファイリングしたあと鞄にしまう

 

「ええ。本当に。それと…武蔵への直接攻撃は兵装のみにするようお願いしますね」

 

「分かりました。それでは失礼します」

 

結城は頷くとそのまま校長室を後にする

 

「本当にこの事が起こらないといいわね……」

 

その扉を見つめながら真雪は一人つぶやくのだった




今回もお読みくださりありがとうございました!
読んでくださる方に最大級の感謝を

風早ってちゃんと給油艦として横女所属なんですかね…?間宮の存在デカすぎて認知されてないのか何なのか…この場合給油支援教育艦になるんだろうか…?

今回であまり出せてなかった薩摩とモンタナのメンバーが出せたんで満足かな

次回、第29話、赤道祭でピンチ!?(仮)
明日へ向かって、ヨーソロー!
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