おいら、リカちゃん。 作:ガスチェフブラスター
店を出ると、ハグリッドがコーンアイス3つを両手に持ちながら、オレたちのことを待っていた。
「ほれ、このミントはリカの分、このバニラはハリーの分――そして、このチョコは俺の分だ。今日は暑いからな」
ハグリッドはそう言うと、大きなアイスクリームを手渡してくれた。
オレたちはすぐそばのベンチに座り、アイスを少しずつ舐め始める。
ハリーは溶けかけたアイスに焦ったのか、途中から急いでかぶりついていた。
「そんな急がなくていいぞ」
ハグリッドが優しく言うが、ハリーはアイスに夢中だった。
▽ ▽ ▽
次に買ったのは、羊皮紙と羽ペンだった。
文房具屋には魔法のかかった羽ペンやインクも売られており、ハリーは虹色に光るインクを見つけては、意気揚々と購入していた。
オレはというと、こんなところで無駄使いするわけにもいかないので――普通に、学校指定の羊皮紙と羽根ペンを買った。
それにしても――
(――ノートの代わりに羊皮紙を使うなんて、とんでもない贅沢だな)
羊皮紙は文字通り羊の皮をなめし、薄く削って作られる。
そのため、マグルの世界で一般的なパルプ紙より高価なはずだが――ここの羊皮紙は、あまりにも安価だった。
まぁ、安すぎたら商売にならないだろうし。
魔法かなんかでコスト削減でもしているのだろう。
そう考えておこう。
羊皮紙、羽ペンときたら次は教科書だ。
フローリシュ&ブロッツ書店と書かれた店の棚には、ハグリッドですら手が届かなさそうなところまで、びっしり本が積み上げられていた。
どうやって手に取るのかと疑問に思ったが、欲しいと思ったら下に降りてくるようである。
それから教科書を探していたところ、書店の一角に「お買い得! ホグワーツ新入生セット」と書かれたPOPを見つけた。
どうやら、お安くまとめ買いできるようになっているようだ。
オレはハリーに声をかけようと見回すが、当のハリーは分厚い本に顔をうずめていた。
とりあえず近づき、声を掛ける。
「よぉハリー、あのセットお買い得だぜ?」
オレはぽんぽんと、彼の肩を軽く叩く。
「あー、うん」
ハリーは返事こそしたものの、どこか上の空だった。
何がそんなに面白いのか――そう思い、オレは表紙を見た。
表紙には、「呪いのかけ方、解き方~友人をうっとりさせ、最新の復讐法で敵を困らせよう~」と書かれていた。
呪文の本のようだが、いかんせんタイトルが物騒すぎる。
そんなにマルフォイに腹を立てているのか――と思ったが、まあうまくいくとは思えない。
魔法界を知ってすぐの子が、呪いをマスターできるわけがないだろう。
本当にそうなりかけたとして、その時止めればいい。
それから、オレは雑に紐で括られている教科書のセットを、レジのもとまで持っていった。
お金を支払うと、ハグリッドが言った。
「ハリー、買うものを買ったら次に向かうぞ? まだ買うものは、たくさんあるからな」
ハグリッドはハリーの首根っこを掴むと、そのままレジへと運んでいった。
ハリーは例の物騒な本も買おうとしていたが、ハグリッドに止められたようだ。
「僕、どうやってダドリーに呪いをかけたらいいか調べてたんだ」
店を出たあと、ハリーはそう言って抗議した。
ハグリッドはハリーの頭に手をのせ、ゆっくりとたしなめた。
「……それが悪いとは言わんが、あの本はお前さんにはまだ早い。それに、マグルの世界ではよっぽどのことがない限り魔法を使っちゃいかんのだ」
ハグリッドはハリーの背中をバンバン叩き、次の店へと急かす。
ハリーは少々未練があるようだったが、ハグリッドに急かされては歩かざるを得ないようだった。
「なあハリー、ダドリーって誰だ?」
ついきになったオレは、背中をさすっているハリーに尋ねた。
「僕のいとこだよ。一緒に住んでる」
「そうか……その様子だと、仲はよくなさそうだな」
「最悪だよ」
ハリーは忌々しげに首を振った。
どうやらハリーが預けられている親戚は、彼のことをよく思っていないようだ。
まあ――やせ細った体と、みすぼらしい服装を見るに――「ただ仲が悪い」、だけでは説明不足だろうが。
その後も様々なものを買い、一段落したところで――オレは、買い物リストを見た。
昨日マクゴナガルにもらっていたが、ずっとハグリッドについて行ってたので、今までポケットの中にしまっていたものだ。
「あと残ってるのは……杖だな。ハグリッド、杖はどこで買える?」
「杖はオリバンダーの店に限る。ここらじゃ一番の杖職人だ――おっと、そういえばまだお前さんたちに誕生日プレゼントを買っておらんかったな」
「そんな――案内までしてくれてるんだぞ? オイラはそれで十分だ」
「お前さんがいいのはわかってる。だが、どうしても買ってやらんと気が済まんのだ――それにハリー、お前さんは誕生日じゃないか」
話題が飛んできたハリーは、一気に顔を赤らめた。
「そんな……いいよ」
「いいって言ってもなぁ……そうだ、ハリーはフクロウとかどうだ? 他の動物より役に立つ――手紙とかを運んでくるしな。リカもフクロウでいいか?」
一瞬面倒を見きれるか不安になったが、断る気にもなれなかったので、一旦は同意することにした。
後で無理そうだったら断ればいいし。
オレが同意すると、ハグリッドはオレたちを「イーロップのフクロウ百貨店」と書かれた店に連れて行った。
店の中は薄暗く、宝石の様に輝く目が四方八方でパチクリしていた。
面倒を見きれるか不安になって店員に聞いたら、おそらく大丈夫らしい。
ホグワーツでは動物小屋に預かるため、学校生活のじゃまになることはまずない。
となると問題は家での世話だが――実際のところ、マグルの設備で問題ないんだとか。
「ホグワーツはマグルの手紙が届かないから、フクロウがないと一切通信できないわ。そっちのほうが問題よ」
話を終える直前、店員はそういった。
必要だと思い、オレは歩き出す。
メンフクロウ、茶フクロウ、白フクロウ、コノハズク──世界中のありとあらゆる種類のふくろうが、そこでは鳥籠の中に収まっていた。
「なぁハリー、この白いふくろうなんてどうだ?」
オレは、つい目に止まった白フクロウを勧めた。
ハリーは振り向き、じっと見つめる――どうやら、このすやすや眠る白ふくろうに強い興味を惹かれたようだ。
「――ん? なぁハリー、これ見ろよ」
ハリーの横でフクロウを見ていると、オレは気になるものを発見した。
白フクロウが収められている鳥籠の横に羊皮紙が貼り付けられており、『この白フクロウはメスです。隣にいるメスの黒フクロウとは大変仲が良く、まるで姉妹の様に大事に育てられました』と紹介されていた。
黒いフクロウなんてきいたこともないが――おそらく、魔法界独自の品種とかだろう。
「このフクロウ、隣の黒いフクロウとはとっても仲が良いみたいだな」
オレはただの情報提供のつもりで、ハリーに言った。
しかし、ハリーはそれに食いついてきた。
「じゃあリカ――僕は白フクロウを買うから、リカはその黒いフクロウにしたら?」
オレはたじろいだ。
別にオレは情報提供しただけで、欲しいとも好きとも言っていない。
そう思うオレに、ハリーは言った。
「別に、きにいらないならいいよ? でもこのままだと、この二匹、いつかきっと離ればなれにされると思うんだ……そんなの、僕見てられないよ」
確かに、ハリーの言い分は一理ある。
他に良いフクロウも見当たらないし――結局、オレはその黒フクロウを買うことにした。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
だいぶテンポが遅いですね……他の先人たちの二次創作では、だいたい3話ぐらいでホグワーツ特急に乗っている気がします。
それでも、次回でダイアゴン横丁編は終わらせたいと思っています。
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