日常とはつねひごろのことをいう。それは失ったときにしか、解らないわけだ。
巨大な気がぶつかり合い、朝早く起こされたわけなのだが、今はこうして放課後に第2茶道部でのんびりとポテチを食っているということで、非日常から日常へと戻った
「とまぁ、そういうわけだ。直江」
「何がそういうわけかわからないけどな」
直江と宇佐美のおっさんが将棋をしている横で、俺は胡坐をかきながらなくなったポテチの袋をゴミ箱へシュート。綺麗な弧を描きながら入っていく袋を眺め終え、盤上へと視線を向ける。
さすがFクラス代表の軍師。おっさんなんて赤子をひねるがごとくだ。
「さて、どうやって小島先生を落そうか」
「仲進展してないのに、よくそんなことをいえますね」
「この教室内では、敬語はいいって」
将棋を交互にさしながら、おっさんは我がクラスの担当者である小島先生どうやって落すかを相談してくる。
「何度やっても同じってことは、小島先生にとって日常になってるんじゃねぇか?」
「そこはオジさんの力で非日常に変えて見せるさ」
「何を根拠にそういえるんだろうなぁ」
「それはほら、歳の功的なもので? ほらお前ら。さっさと案を出せ」
「前の言葉は何処へ行った」
呆れつつ考えるあたり、直江は優しいな。俺だったら考える振りをして、適当に言うんだがな。
「そもそもほら、性格とかがダメなんじゃないのか? 生徒想いなんだろうが、怠慢さがそれをダメにしている」
「やっぱりそう思う?」
「いやいや、そこは否定しようよ」
やっぱりオジさんには無理なのかなぁ。と嘆くおっさんを片隅に、新たなポテチを食べるべく立ち上がろうとしたときだ。
スタスタと足音が近づいてくる。
「誰か来るよ。ヒゲ先生」
「通り過ぎんじゃね? こんな空き教室興味ないだろ」
「まぁ同感。入ってきてもすぐ出てくだろ」
「そりゃそうだ」
「ところがどっこい。興味があるんだなぁ」
三人の意見は完全に一致。新たなポテチの袋を開けようとしたときだった。
教室の前で足音が止まったと思ったら、行き成り扉が開きやがった。吃驚するなぁおい。
声の正体を確認するべく、袋を開けながらそちらへと注目をする。そこには弁慶が立っていた。
「決闘っていうだるいのから逃げてきたら、私にふさわしい場所があるじゃない。いていいよね?」
「ここはオジさんたちの聖域だからな」
「なんて薄汚い聖域なんだ」
まったくもってその通り。こんなむさっくるしい聖域なんて、神様が来るはずもない。逆に来るなら、そんな神様を見てみたい気もするが、そうなったらそうなったで俺のケツがピンチだからやっぱり無しの方面で。
「おっさん、いいんじゃないか? そういう包容力も女にモテる秘訣だぞ」
そう、恋愛の本に書いてた気がする。軽い小説のほうだが。
「冗談冗談。好きにしろや」
「んー……川神水が美味しい」
「オジさんってそんなに威厳がない?」
「まったく。これっぽっちも存在しないな」
許可なく弁慶が座ったことに、ショックを受けたらしい。まざ威厳があったら、もっと多くの生徒から好かれているわけであって、担当であるクラスの連中にナメられるはずもない。まぁそこがおっさんのいい所なわけだが。
「将棋ねぇ……直江大和が優勢だな」
「だな。後3手で王手なわけだが、川神水くれるか?」
「もちろん。同じ教室でダラけてる仲。遠慮はいらないよ」
「ありがとさん。……川神水はやっぱり美味いな。ほら、注ぎ返し」
「ん。ありがと」
そういって、器を差し出してくる弁慶。間接キスとか気にしないのか? 俺は気にしないけどな。受け取った川神水をぐいっと飲み干し、返すついでに瓢箪を受け取り、弁慶に注ぎ返す。それを受け取った弁慶は、ゆっくりと川神水を飲み始めた。
自分の居心地のよい時間はあっという間に過ぎる。気がつけば、日が落ちていた。これ以上はきついと思ったのだろう。直江が帰ると告げると、全員が教室から出て行った。
将棋の結果? 俺の予言通りに3手先で決まったさ。ちなみにあの後俺や弁慶にも挑んできたが、結果は全敗。おっさんよええなぁ。
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「お? 靴箱に手紙が入ってたなう」
「ラブレターか決闘状。どちらでもありえるな」
「ラブのほうだ。3年生からだけど、年上に興味がないんだよね。それと手紙だと気持ちが伝わりにくいね」
「靴箱に手紙なんて、どこのラブコメだよ」
そういうくだらない話をしながらグランドへと行くと、ギャラリーの大歓声が起きていた。
決闘か。よくもまぁこんな遅くまでやっているものだ。
「ワン子と義経か」
大歓声の中心にいたのは、我がクラス代表といっても過言ではない腕前の持ち主である川神一子と、弁慶の主であり武士道プランの一人でもある源義経だ。
薙刀の連撃を刀で受けるたびに、花火が舞い散る。絶えず続く攻撃を、源は冷静に捌き、すぐに攻撃へと移る。目が慣れてきたのだろう。源の攻撃はどんどんと速くなっていく。それに嫌気がさしたのだろう。川神の手に力が入り、叩きつけるような一撃を打ち込む。
「そこでそういう行動を取るか」
「ふーん……」
川神の行動に、無意識に呟く。それを隣にいる弁慶が興味深そうに見ていたのを気づいたのは、後になってのことだ。
川神の攻撃を見切った源はそれを受けることなく後ろへ跳ねる。それと同時に轟音を上げながら、地面に刺さった薙刀を横に源は勢いをつけて川神に突撃をした。
隙を突かれた川神は当然避ける暇もなく、攻撃が突き刺さり──倒れた。
「さて、面白いのが見れたから。俺はこれで失礼するよ」
「はいはい、お疲れ様」
川神を心配し、そっちへ行った直江とは正反対の方向である校門へと歩いていき、自宅へとダラダラと帰っていこうとしたが。
あ、今日の晩飯は梅屋にしよう。
途中で足を止め、梅屋のほうへと進行方向を変え、今日の一日は終わったとさ。
明日休みなので、とりあえず執筆してみました。
誤字脱字、文章の可笑しいところがございましたら、お願いします。