俺の英雄像は間違いだらけだ   作:Mr.J

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3年の転校生。その名も納豆小町!

 本日の我がクラス──いや、全クラスのホームルームは中止となった。

 理由は、グラウンドで川神先輩の決闘だ。数多の武道家達を初撃で葬り去っている、"川神流無双正拳突き"。それを捌いたかと思うと、あの武神の名をもつ川神先輩に蹴りを当てたのだ。

 そのような戦いは今までに見たことがない。だからこそ、ホームルームは中止となり、川神先輩と我が校の制服を着ている謎の人物の決闘を全員が観戦しているのだ。

 そういえばあの制服を着ている人物を見た記憶がある。

 松永燕。年上の西の武士娘だ。確か納豆小町という副業をしつつ負け無しと言う人物で、あの全米チャンピオンであるカラカル・ゲイルにも勝ったという噂を聞いた。

 なにやら嬉しげにしている川神先輩の攻撃を、華麗な技で迎撃している彼女の姿を見た者達は、更なる歓喜をあげる。

 しかし、

 

「うわっと!」

 

 強烈な攻撃に推し負けた松永先輩は、後ろに大きく弾き飛ばされる。パワー負けだ。

 立て直すまで待った川神先輩は、地面に落ちている武器を使うように促し、ヌンチャクを持ち、攻撃を仕掛ける。

 

「さぁて次は……君に決めた!」

 

 彼女の次々と落ちている武器を巧みに使い牽制・攻撃をする豊富な技に対し、さすがの武神も攻めあぐねている。

 

「しかしまぁ……」

 

 隅っこに落ちている、装飾が施された洋剣を見つめる。多彩な武器を扱っている先輩がまだ手に取っていない武器。つまりは俺の武器だ。

 誰も知らないはずの剣なのだが、気づいたら川神学園のレプリカ武器の一つに加えられていたのだ。多分ここの学園長である川神鉄心の仕業だろう。

 従来ならば、ここで警察に突き出すのだが証拠不十分。また、世界の川神と言われる彼のことだ。軽い職務質問を受けて終わるだけだ。

 何が悲しくてそんなことで、警察や川神院に恨みを買わねばならんのだ。

 攻撃が見切られたら迷わず武器を捨て、新たな武器を取る。その迷いのない行動は、なにやら嫌な気持ちになる。

 レイピアを手にした松永先輩だが、その刃を下ろした。どうやら彼女は時間も計算していたのだろう。ホームルームの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。

 その後、自分が営業している納豆の宣伝をすると、本日の朝のホームルームは終了した。

 師岡の性癖が、F組に広まると同時に、だが。綺麗な髪はいいと思うぞ? 強く生きろ師岡。

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼△▼

 

 みんなが大好きな昼休みだ。屋上で弁当を食べ終えた俺は、朝の自分の疲れた体を癒すべく、睡眠をとっていたときだった。

 背後に何やら気配を感じ、意識が覚醒していく。

 これは、朝にいた松永先輩! つまり、このまま何も知らないふりをして寝返りを打てば……。

 

「いや、見えないから」

「ですよねー」

 

 俺の心境を呼んだ先輩。彼女は超能力者とでも言うのか!?

 

「だって、顔に書いてるよ?」

「まじで?」

「あらら、本当に顔を拭いちゃった。君、面白いね」

 

 ポケットの中からハンカチを取り出し、顔を拭く俺がどうやらツボに入ったのだろう。先輩は、朝の決闘で見せた顔とは正反対の可愛らしい表情だった。

 

「自己紹介まだだったね。私の名前は──」

「納豆小町の松永燕先輩、でしょ?」

「ご名答! よく知ってたね。でも、先輩は要らないよ。燕さんでいいよ」

「わかりました。今朝あんなに目立っていましたからね。燕さんの名前を知らない生徒はいないと思いますよ」

 

 今朝の決闘は凄い印象が残っていたのだろう。授業の合間の休憩時間にもかかわらず、クラスでは名前が飛び交っていた。

 

「なるほどなるほど。で、キミの名前は?」

「2-Fの皐月鷹です」

「金髪なんて珍しいね。もしかしてハーフ?」

「確か、先祖がヨーロッパの何処かの出身らしいですよ。極稀に自分のような髪の色が生まれるとか何とか」

「……ふーん」

 

 何やら探られている感じで、全身をくまなく見てくる。やめろよ。くすぐったい。

 

「まぁいっか。そろそろ昼休みが終わるから、戻っておいたほうがいいと思うよ。じゃあね」

 

 何がいいかはわからないが、燕さんは階段を下りていく。

 嵐のような人だ。

 だるい体で立ち上がり、予鈴を耳に入れながら俺も2-Fの教室へと戻っていった。




評価ありがとうございます。
今後とも頑張っていきます。
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