出張により、また更新か遅れるかもしれません。
ご了承ください。
また、途中からスマホで編集しており、三点リーダーが設定出来ませんでした。
帰宅し、時間が出来次第修正致します。
川神学園の体育祭は、毎年毎年3つの中からひとつが人気投票で選ばれる。
今年、2009年で行われるのが、『水上体育祭』であった。
このことを聞いた男陣営は、歓声をあげる。考えても見てくれ。高校生の生スクール水着姿なんて、そこんじょそこらで拝めるものではない。
ちなみに学長である川神鉄心も、水上体育祭となった瞬間に飛び跳ねるがごとく喜び、当日若さの秘訣は枯れないこと。そういう迷言を残こし、この水上体育祭が始まるわけなのだが。
武の頂点である川神院の総代が、そんな煩悩まみれで良いのかと不安に思いつつも、やはりあれでも人間なのだと少し安心もした。
ちなみに、我がFクラス代表である島津岳斗とヨンパチこと福本育郎は着替えを覗くべくダンボールに隠れていたが、学長の策略により女性ではなく、男性の生着替えを見たらしい。密着度が高い生の着替えを、だ。ご愁傷さん。
それはさておき、水上体育祭にはある特典が存在する。
その特典は、競技で1位だった場合に割り振られた景品がもらえると言うものだ。
しかしその景品は俺には縁がないものばかりである。こうなってしまっては、やる気が出ないのは当然なことと言えよう。
ここはいつも通り、手を抜きながらポイントがもらえる2位でも狙うか。
そう心に決めて、自分の参加する競技である『大遠投─男子の部─』へと足を運ぶときであった。
「ここで特別賞チャンスを告げる音が鳴りました。この競技で勝ったクラスには、その場で商品が贈られます。
今回の商品は、ロンヌフェントの茶葉の各種となっております」
「なん……だと……」
前言撤回。この勝負、本気で行かせて貰う!
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午後の競技『大遠投─男子の部─』。
この競技は男子と女子とにわかれている。大きな違いは、女子がバレーボールで、男子はバスケットボールという、球の種類が違いなだけである。
俺は持っているバスケットボールの縫い目を確認し、それに指先をあわせる。
集中しろ。足の先から指の先への力の動きを。想像しろ。この勝負に勝つことによってあの茶葉が手に入り、寝起きに香りの良い紅茶を飲める俺の姿を。
今だ!
「ふんぬぁ!」
「おいおい、ボールを粗末にするなよ。おじさんはそんな風に育てた覚えはないぞ」
そして俺の放ったボールは、地平線のかなたへと飛んで行ったのであった。後おっさん、うっせぇ。
ちなみに測定不能ということで勝者はF組なのだが、その後川神一子を中心に全員から質問攻めにあったのはいうまでもないだろう。
ああ、人間は欲望のままに動くべきではないね。まったく。
全ての競技が終えたことで、これからのことを妄想しながら帰宅しようとした矢先のことだ。
しかし!
「では最後に全員で島まで遠泳を行い祭りの締めとするぞ。ちなみに、これに参加せん奴は景品もなしじゃぞ」
「なんということだ……何故こんなひどいことを!」
学長の言葉により、現実へと引きずり落された。現実と言うものは非情である。
ちなみに弁慶も同じ気持ちだったのだろう。信じられないものを聞いたと言う表情で嘆いていた。
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遠泳が始まったことで、全員が一斉に泳ぎを始める。ごく一部、誰とは言わないが前の女性陣に追いつこうと、全速力で追いかけている人間もいる。が、何が悲しくてあんなむさくるしい集団の中を行かねばならんというのだ。
俺は集団から離れるように横へと移動し、顔が出るように水中の中を歩き始めた。
数分は歩いた頃だ。後方よりよく知っている気をもった人物が後ろから近づいてくることに気づいた俺は、歩みを止め平泳ぎを始める。
「どうも、ベン・ケーです」
「どうも、さつっきーです」
「何そのゆるキャラ風な名前は」
「あの名言は言わないけどな」
ここで皐月汁ぷしゃーといったら、警察にお世話になる可能性がある。
「さてさて競技で頑張った私を労わってくれ」
「いやいや、それは此方のセリフですよ。ベン・ケーさん」
「そういえばそうだったね。それよりもさっきみたいに歩いていいよ」
「あ、そう?」
ここ数週間で気づいたことなのだが、どうも弁慶は俺が異常だと感づいているようだ。
だからこそ、俺は泳ぎをやめ歩き始める。そっちのほうが疲れないからだ。
「安定した安定した。楽ちん楽ちん」
「こっちは楽じゃないけどな」
「タクシーが文句を言わない。向こうの島までよろぴく」
「結構高くつきますよ?」
「だらけ部の仲じゃないか」
「……まぁいいけどな」
あの部屋の仲だけで、タダ働きなんぞ真っ平御免だ。とまぁ、普段ならいうのだが今回は違う。
背中に押し付けられる、たわわな果実は男にとってはロマンがつまっているわけであって、それを堪能するべくこういう仕事も悪くはないかもしれない。
男と言うものは哀しみを背負っている生き物というのを、男の性をもう一度確認させられた瞬間である。それにしてもこのプレッシャー……やりおる!
「今、よからぬことを考えたでしょ」
「男と言うものは、煩悩の塊というのを知らないのか? ソースは学長」
「なるほど」
「それで、何時から気づいてたんだ?」
「義経と川神一子が戦っているときだな。攻撃をする前に指摘したあたり、武を嗜んでいるってのはバレバレ」
「……あそこか」
「あ、でも確信したのは今日ね。普段ダボダボの服着てるからわかんなかったけど、その身体見たときかな。後は大遠投のとき。いくら何でもあんなに気を出したら、気付くって」
「そっか」
あのときは景品で我を忘れてしまったからな。若さ故の過ちだな。兄さんの名言だがな。
「まぁそのおかげで、今はだらけれるからいいけどね。明日から頑張ってね。特に武神相手に」
「ロックオンされたからなぁ」
「お、そろそろつくね」
「そう言いながら離れない弁慶さん。ブレないねぇ」
まぁ幸せな時間だった。残り少ない時間を大切にすべく、ゆっくりと目的地へと行くのであった。
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夜の川神院に、ふたりの老人が面と向かうように座っていた。
一人はそこの総代である、川神鉄心。そしてもう一人は九鬼従者零番である最強を背負う男のヒューム。
「それで、話とはなんじゃ?」
「とぼけるな。皐月鷹のことだ。何故あの男を川神百代にぶつけない」
「そうは言うが、本人が望んでいることじゃからなぁ」
「あの名前は、皐月家で唯一持つことを許された存在だぞ」
「……うぅむ」
ヒュームの言葉で、鉄心は言葉を濁す。先祖返りによって、金髪が誕生したさいに付けられる名前。ある特定の武道家のみ知るとこである。
鉄心は彼の名前を見た瞬間に気付き百代と戦ってくれと頼んだのだが、鷹はそれを望まなかった。自分は戦いたくないと
その理由を聞いたときの鷹の表情をみて、鉄心は追求しなかった。その代わりに自分から戦いたいようにすべく、誘導するように戦場に放り込んだのだが、結果は惨敗。彼の固い意志を見せつけられた。
「どうするかのぉ」
「そんなのは簡単だ。戦わなければならない状況下におけばいいだけだ」
「本人の意思を無視してか?」
「皐月家に生まれた定めだ」
そう言うと、ヒュームは川神院から出て行った。
「定めか……」
鉄心の言葉は誰にも聞かれることなく、夜空へと消えていった。