いっちゃわないかもね。
期末考査という、学生の大半が嫌いであろうテストが終わり、これから夏休みという俺にはあまり縁のないものが始まろうとしたときだった。
定例の全校集会で、学長が爆弾を落してきた。
その爆弾の名は、若獅子タッグマッチトーナメント。
本来ならば8月の下旬に川神寺主催で開かれる川神武道大会の内容を変更したトーナメントである。
内容としては、ただ武を競うだけではなく絆をテーマとしたトーナメントで、参加資格は25歳以下の男女であること。
ルールは刀剣類は峰打ちか、レプリカなら使用可能であり、銃火器も専用の弾を使うのなら使用可能。2対2で戦ってどちらか片方でもKOになった場合や、リングアウトして10カウントで負けというものだ。
世界規模で募集がかけられているこの大会で優勝するとなると、武人として箔がつき、尚且つ支給品は大富豪でなければ購入できないものや、九鬼財閥での重役待遇確約証文がついてくるらしい。
ちなみにその優勝者は、武神川神百代と戦わなければいけないとのこと。
まぁ、名を上げたいならば絶好のチャンスではないだろうか。
「それで、学年3位の弁慶さんや。義経と一緒に出るんだろ?」
「いや、私は義経の敵になるのを倒していく予定だよ」
だらけ部の部員である俺と弁慶は、部室でだらだらと寝転がりながら会話をする。
どうやら弁慶は、義経と組まないらしい。正直いうと吃驚なことだ。
「ほお、てっきり義経と組んでいくと思ったんだけどな」
「前衛と前衛が組むってのは、正直優勝するには厳しいと思うんだよね。だから、義経には後衛である与一と組んでもらいたい」
「それで、ベン・ケーさんは誰と一緒に参加する予定なんだ?」
「そうだねぇ。鷹と組もうと思ってるんだけど」
「へぇ……鳥類と組むのか。さすがだな」
ポリポリとポテチをつまみながら、どういう鳥なのかと心を躍らせながら寝返りを打つ。
「そうだねぇ。その鳥がちょうどこの教室にいるんだよね」
「まじか。天然記念物がこの教室にいるなんてな。餌を持ってこないといけないな。確か鷹の好物は──」
「もう面倒だから勝手に名前を書いて、参加表明の紙出しちゃうよ?」
「ちょっとまて」
このまま惚けてると本当に出しそうな弁慶を、俺は止める。何が悲しくて、あんな疲れるものに参加しなければならない。弁慶を説得しよう。
「そもそもだなぁ。俺はそういう疲れる大会に出る気がないんだよ。俺が一緒に参加しても足引っ張るだけだぞ?」
「冗談はよしなよ。暇だったから鷹のこと調べたんだから」
「暇だったからって、そんなこと調べなくてもよろしい!」
「いいじゃん。だらけ部のよしみでさぁ」
「それは水上体育祭で返したでしょ」
あの時は、目標地点が同じであっただけだ。今回は目標地点が違うどころか、180度反対だ。
「返してもらってないよ。私の胸は安くないよ」
「……え?」
「堪能してたでしょ」
「そ……それはそうだけどさ」
「参加してくれないと、それとなく噂を流すよ。大和経由で」
なんという奴だ! 自分から押し付けておいて、俺が悪い言い方を!
しかも、貸しとしてやりそうな人物で、尚且つ一番面倒くさいルートを経由するなんて! ひどい! 弁慶ちゃんひどい!
「で、どうする? 参加するか、噂を流すか。どっちがいい?」
「くそ! 覚えてろよ!」
「はいはい、川神水を飲むまでは覚えておくよ。あ、もう忘れたかも」
「そうかいそうかい。じゃあ、今までのやり取りも忘れてくれよ」
「なんか思い出した。大和にメルメルしよう」
「書けばいいんだろ。書けば」
俺は弁慶から紙をひったくり、名前を書こうとする。が、ペンはどうしようか。
「あ、ペンはこれ使いなよ」
「なんで胸から出て来るんだよ」
「結構便利だよ? 落ちないし」
その言葉は、全国の半分くらいの女性を敵に回す発言だ。まぁ、そういうのはどうでもいいとして、受け取ったペンは生暖かい。オプションでなにやら良い匂いもする。どうせ狙ってやってるんだろうが。
あまり気にしないようにしながら、自分の名前を書きチーム名を見る。
「おいおい、このチーム名っていいのか?」
「私と鷹にぴったりでしょ」
「確かにぴったりだけどさぁ。なんかこうしまりがなくない?」
「なくていいの」
7月の下旬。8月に開催される若獅子タッグトーナメント参加者。武蔵坊弁慶・皐月鷹。
チーム名─だらけ部─結成。
本当にいいのか? こんな名前で。
文字数が少なくて申し訳ないです。
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