皆さんは百合の花がお好きですか?
「貴方もポケモンですか?」
「………!」
静寂が辺りを支配する…。ポケモン、この世界で聞くはずのない言葉は剛腕怪という一人の雄を困惑させるのに十分であった…
「…図星…みたいですね…」
「うん…そうだね…。吾輩はポケモンだよ。
「…僕も…同じですよ…。僕は…元ミミッキュです…貴方は…?」
「吾輩はカイリキーだよ。ライドモンスターとして前世は働いていたけと老いて弱くなった身体で車に跳ねられ…そのまま…ね」
「…ご愁傷様です…僕は……その…えっ…と…あの…」
「ふふ…言わなくてもいいよ。死因なんて言った所で悲しくなるだけだからね。言いたくなったり、聞いてほしくなったらでいいよ」
「…ありがとう…ございます」
互いの素性を明かしたことにより静寂に包まれた空気は湿気を帯び、ゴーストタイプのポケモンが好む一帯へと変貌を遂げる…。この空気に耐えきれなくなった剛腕怪は空気を変えることにした
「まさか吾輩と同じ元ポケモンに会うとは思ってなかったよ。身巳食ちゃんは
「…いいえ…前…住んでたところでは…その…暗い…所で本を読んでたら…虐められて過ごしてました…」
「………ごめん………」
逆効果であった…が…
「…いいえ…お気になさらず…雄英では…一佳ちゃんっていう…お友達…フヘヘ…出来ましたから…!」
「…!それは良かった!吾輩も…小中学校は友達が少なかったけど雄英に来てからすぐにできたんだよ。ここに来る子たちはいい子が多くて吾輩嬉しいんだ。…一人は友達になれる気配が全くないけど頑張るつもりだよ」
「そうなんですね…!良いですよね…お友達って…!僕、個性把握テストで…物間さんに頭を叩かれたんです…」
「うん、保健室でリカバリーガール(ガールって言うには無理がある気がする…)先生から聞いてたよ」
「はい…物間さんの…個性の都合なのは自己紹介で分かってたので僕は気にしなかったんです…。でも…一佳ちゃんは僕を叩いた物間さんに物凄く怒ってくれて…それが嬉しくって…!」
「そうかそうか!」
身巳食が友達の話をすることにより空気が一気に和らいだ。特に拳藤一佳の話をする身巳食は楽しそうだ。…心なしか危ない目をしている気がするが気の所為だろう…。
…関係ない話だが百合の花の開花時期は6月から8月の夏頃、まだ花咲くには早すぎる…。百合は高温多湿を苦手とするが…身巳食はその壁を超えることが出来れば…もしかすると…
「…僕、剛腕怪さんの…お友達のお話が聞きたいです…!」
「吾輩のかい?そうだね…切島君の話が良いかな!あれはそうだね、中学生の時だけど…」
◆
「剛腕怪力雄…でいいんだよな?名前は…」
「ん?そうだけど…君は?」
「俺は切島鋭児郎。よろしく…」
「切島くんか、よろしくね!それでなにか用かい?」
昼休みの休憩時間に吾輩の元に切島君が訪ねてきてね、あの時の切島君の髪色は今と違って黒色で…自信なさげで…多分後ろ姿じゃ誰も今の切島君と気付くことはないくらい別人だったかな?
「あー…ここじゃ他人の目がある。放課後に体育館裏に来てもらえないか?」
「体育館裏にかい?別にいいけど…」
「…ありがとう…」
その後、吾輩は約束通りに体育館裏に行った。案の定切島君はいたし、体育館裏といえば告白スポットで有名だから吾輩は何を言われるのだろうと内心少しワクワクしていたんだ
「本当に…来てくれたんだな。ありがとう」
「勿論だとも。それで吾輩に何の用だったんだい?」
「…剛腕怪には何のメリットもないし、はっきりいって面倒臭いだけのことだと思う。…だから嫌だったら断っても俺は全然気にしない…」
「うん?」
「俺を…」
「俺を強くしてほしい!」
◆
「そう言った切島君は吾輩に土下座をしたんだ。膝とおデコに土がついて汚れて、でもそれを一切気にする様子は見せないで…真剣に吾輩に強くしてほしい!って想いが伝わったんだ。これが吾輩と切島君の出会いだよ。ほんの少し前のことだというのに思い出すと懐かしく感じるねぇ…」
「青春…ですね…!」
「おっと、校長室に着いちゃった。続きはまた今度そうか」
「あ……はい…もう少しおはなし聞きたかったです…」
「コンコン…失礼します!」
「どうぞなのさ!」
「1年A組剛腕怪力雄です」
「…1年B組身巳食幽です…」
「ようこそだね!」
根津校長って取り敢えず語尾に「〜さ!」と「〜ね!」をつければいいと思ってるくらいには理解が浅い作者です。