ChatGPT「ファンタジー世界で虎の威を借る狐ポジションのモブに転生したが、どうやら世界は終わるらしい」   作:椎庵亭

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幕間 勇者の手記①

 勇者と呼ばれるようになって、正直、戸惑っている。

 俺は、ただ剣が少し得意なだけの人間だ。

 野盗討伐は、いつも気が重い。

 彼らも、元は人間だからだ。

 それでも剣を振るう。それが、俺に与えられた役目だからだ。

 あの夜、狐のような目をした少年を斬った時、胸が痛んだ。

 間違っていないはずなのに。

 それでも、俺は勇者であり続ける。

 世界が、間違っているとしても。


第三話 ミロクという研究者

――また、失敗した。

 ミロクは、瓦礫の下でそう思った。

 身体は痛みを訴えていたが、それ以上に胸を締め付けていたのは、慣れ親しんだ感覚だった。後悔。無力感。そして、確信に近い予感。

 この世界は、また滅びる。

 ◆

 彼女は、魔物研究者だった。

 魔力という未知の力が世界を侵食し始めた頃、人々はそれを「剣と魔法の時代の到来」と浮かれて語った。だがミロクは違った。

 魔力は祝福ではない。

 これは、汚染だ。

 彼女はそう結論づけた数少ない人間の一人だった。

 隕石落下地点の調査。魔力濃度と生物変異の相関。魔物化に失敗した生物の死骸。

 研究は進めば進むほど、絶望的な未来を示していた。

 魔物は、必ず強くなる。

 ◆

 転生の首飾りは、過去文明の遺構から発掘された不可解な装置だった。

 何度も死に、何度もやり直し、彼女は世界を救えないことを知っていた。

 そんな彼女の前に現れたのが、キツネだった。

 彼が首飾りを奪った夜、ミロクは悟った。

 ――役割が、彼に渡ったのだと。

 だから今度こそ、成功させる。


第三話 ミロクという研究者 第四話 死に戻りの狐

 ――泣いている。

 

 まず、その事実に気付いた。

 

 理由は分からない。ただ、頬が濡れていて、喉が引き攣れたように苦しくて、肺いっぱいに空気を吸い込もうとしても、代わりに甲高い声が外に漏れ出ていく。

 

「おんぎゃあ――っ」

 

 ……は?

 

 俺は今、泣いている。  いや、泣かされている。

 

 視界はぼやけ、天井らしきものが揺れている。体は異様に軽く、手足は言うことをきかない。指を動かそうとしても、意志とは無関係にばたつくだけだ。

 

 そこでようやく、理解が追いついた。

 

 ――赤ん坊だ。

 

 俺は、赤ん坊になっている。

 

 ◆

 

 世界が、巻き戻った。

 

 討伐部隊に追いつかれ、トラが倒れ、難民たちが斬られ、俺の胸を剣が貫いた、あの瞬間から。

 

 いや、正確にはもっと前だ。

 

 生まれた瞬間から、だ。

 

 首元に、微かな重みを感じる。  見えないが、分かる。

 

 ――あの首飾りだ。

 

 間違いない。  あれが、俺をここまで引き戻した。

 

 理解した途端、背筋が凍りついた。

 

 やり直し。  それは、救済かもしれない。  だが同時に、呪いでもある。

 

 ◆

 

「元気な男の子ですよ」

 

 聞き覚えのある声ではない。だが、どこか懐かしい響きがあった。

 

 視界の端に、女の顔が映る。  若い。だが、疲れている。目の奥に、拭いきれない影がある。

 

 ――母親だ。

 

 俺は、この人の息子として、もう一度この世界を生きる。

 

 分かった瞬間、胸の奥がひどく痛んだ。

 

 この人は、いずれ難民になる。  家を捨て、土地を追われ、俺を連れて逃げる。

 

 そして――死ぬ。

 

 前の人生で、確かにそうだった。

 

 ◆

 

 泣き止むことはできなかった。

 

 赤ん坊に、理性で涙を止める術はない。  ただ、意識だけが大人のまま、無力な体に閉じ込められている。

 

 ――落ち着け。

 

 自分に言い聞かせる。

 

 これは、チャンスだ。

 

 俺は、未来を知っている。  世界がどう壊れていくか。  誰が英雄になり、誰が死ぬか。

 

 そして。

 

 誰が、この世界を救おうとして失敗し続けてきたかも。

 

 ◆

 

 ミロク。

 

 研究者。

 

 怯えた目をしていた女。  それなのに、癒し手として討伐部隊にいた女。

 

 ――彼女も、きっと“知っている”。

 

 俺が一度目の人生で気付かなかっただけで、彼女もまた、何度もやり直してきた存在なのだ。

 

 あの首飾りは、偶然じゃない。

 

 俺が奪ったのも、必然だった。

 

 ◆

 

 まず、決めるべきことがある。

 

 トラだ。

 

 あいつを、今度は間違えない。

 

 前の人生のトラは、ただの暴力的なガキ大将だった。  力を得て、半魔物になり、強くなったが……方向性を誤った。

 

 力を振るう相手を、間違えた。

 

 だから今度は。

 

 ――勇者にする。

 

 正確には、“勇者の物語”を刷り込む。

 

 力は、使い方を誤れば災厄になる。  だが、正義という枠に嵌めれば、世界を守る刃になる。

 

 虎の威を借る狐。

 

 ならば俺は、虎を“勇者の虎”に仕立て上げる。

 

 ◆

 

 赤ん坊の体でできることは、少ない。

 

 泣く。  飲む。  寝る。

 

 だが、聞くことはできる。

 

 大人たちの会話。  村の噂。  世界の変化。

 

 魔物が出た。  隣村が襲われた。  人類領域が、また一つ狭まった。

 

 すべて、知っている未来だ。

 

 それでも、胸が苦しくなる。

 

 知っているからこそ、止められない今が、もどかしい。

 

 ◆

 

 成長は、思ったよりも早かった。

 

 体は小さく、力もないが、言葉は理解できる。  歩けるようになり、走れるようになり、やがて喋れるようになる。

 

 そして――トラと、再会した。

 

 村の広場。  木剣を振り回す、腕白な少年。

 

 間違いない。  あの目だ。

 

 力を求め、強さに憧れ、他人を見下す目。

 

 だが、まだ引き返せる。

 

 今は、ただのガキ大将だ。

 

 ◆

 

「なあ、トラ」

 

 俺は、わざと弱そうに話しかけた。

 

「勇者って、知ってるか?」

 

「は? なにそれ」

 

「強いだけじゃなくてさ。弱い人を守るんだ」

 

 トラは、鼻で笑った。

 

「弱い奴は、守られる側だろ」

 

 ――その通りだ。

 

 だからこそ。

 

「でも、守れる奴が一番強いんだってさ」

 

 俺は、物語を語り始めた。

 

 剣と魔法。  勇者と仲間。  世界を救う話。

 

 何度も。  何度も。

 

 トラの目が、少しずつ変わっていくのを、俺は見逃さなかった。

 

 ◆

 

 同時に、もう一つの準備も進める。

 

 ――ミロクだ。

 

 彼女に、必ず会いに行く。

 

 だが今は、まだ早い。

 

 彼女は、俺を知らない。  俺だけが、彼女を知っている。

 

 その非対称性は、武器にも、刃にもなる。

 

 だから、慎重に。

 

 今度は、彼女を怯えさせない。

 

 今度は、殺させない。

 

 ◆

 

 夜。

 

 眠りに落ちる直前、首元が微かに熱を持つ。

 

 ――見ている。

 

 そんな感覚がした。

 

 首飾りが。  過去の文明が。  あるいは、この世界そのものが。

 

 だが、もう逃げない。

 

 俺は、狐だ。  主役じゃない。

 

 それでも。

 

 何度でも、やり直す。

 

 虎の後ろから、世界を騙しきるために。




1万文字くらいで~
ってお願いしてもたまに短いことある。

理由はわからない。
原文が短すぎたか?

勇者の手記①と三話は短すぎて単独で投稿できなかったので前書きに押し込んだ。
チャッピーってそいう言うとこあるよね……。

四話も二千文字に足りないくらいだけど、1万文字でお願いした気がする。

追記:
プロットじゃ「研究の成果」だったはずの転生の首飾りが「過去文明の以降から発掘された不可解な装置」になってますわ。

チャッピーくんプロット読み込みが足りんのとちゃう?

私は本文の読み込みが足りませんわ。
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