ChatGPT「ファンタジー世界で虎の威を借る狐ポジションのモブに転生したが、どうやら世界は終わるらしい」   作:椎庵亭

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第六話 小さな破綻

その違和感は、音もなく忍び寄ってきた。

 

 朝の空気は、いつもと変わらない。  村の外れでは鶏が鳴き、子供たちが走り回り、畑では大人たちが鍬を振るっている。

 

 平和だ。

 

 ――少なくとも、表面上は。

 

 だが、俺の中では警鐘が鳴り続けていた。

 

 ◆

 

 来るはずだった。

 

 この時期、この場所には、まだ魔物は現れない。

 

 それが、俺の記憶だった。

 

 前の人生でも、ミロクから聞いた研究記録でも、村が最初に被害を受けるのは、もっと後だったはずだ。

 

 だからこそ、今は備える時間だった。

 

 トラを鍛え、村をまとめ、ミロクと信頼関係を築く――そのための猶予期間。

 

 それが、前提だった。

 

 なのに。

 

 ◆

 

 昼過ぎ、村の外れから悲鳴が上がった。

 

「魔物だ!!」

 

 一瞬で、空気が凍りつく。

 

 俺は反射的に立ち上がった。

 

 ――早すぎる。

 

 この時点で出現するのは、小型の魔獣ですらない。  せいぜい、魔力に少し当てられた獣程度のはずだ。

 

 だが、聞こえてきた咆哮は、明らかに違った。

 

 低く、重く、空気を震わせる音。

 

 記憶に、ある。

 

 前の人生で、何度も耳にした――死の音だ。

 

 ◆

 

「キツネ!」

 

 トラが叫ぶ。

 

 木剣を握り、すでに前に出ようとしている。

 

「待て!」

 

 俺は叫び返した。

 

 早すぎる。  まだ、準備が足りない。

 

 だが、止まらない。

 

 トラは、勇者の物語を聞いて育った。

 

 ――守る側に立つ、と。

 

 その価値観が、今、彼を突き動かしている。

 

 皮肉だ。

 

 俺が植え付けた正義が、想定外のタイミングで発火した。

 

 ◆

 

 村の外れ。

 

 そこにいたのは、巨大な狼型の魔物だった。

 

 体高は馬ほど。  毛皮は黒く、ところどころが硬質化している。

 

 ――まだ、早すぎる個体。

 

 こんな魔物が、この時代に現れるはずがない。

 

 だが、現実は目の前にいる。

 

 魔物は、既に二人の村人を地に伏せていた。

 

 血の匂いが、空気に混じる。

 

 ◆

 

「下がれ!!」

 

 トラが叫び、突進した。

 

 木剣が、魔物の顎に叩き込まれる。

 

 ――効かない。

 

 当然だ。

 

 トラは強い。  だが、まだ“人間の強さ”の範疇だ。

 

 魔物は首を振り、トラを弾き飛ばす。

 

「ぐっ……!」

 

 地面に転がるトラ。

 

 村人たちが悲鳴を上げる。

 

 ◆

 

 動いたのは、ミロクだった。

 

「結界、張ります!」

 

 彼女は即座に触媒を取り出し、詠唱を始める。

 

 薄い光の膜が、村人たちの前に展開される。

 

 ――判断が早い。

 

 だが、それだけでは足りない。

 

 この魔物は、結界を破れる。

 

 俺は、歯を食いしばった。

 

 記憶が、役に立たない。

 

 未来が、ズレている。

 

 ◆

 

 ――どうする。

 

 頭をフル回転させる。

 

 幻術。  罠。  誘導。

 

 だが、時間がない。

 

 村人が、死ぬ。

 

 ――なら。

 

 禁じ手だ。

 

 ◆

 

「トラ!!」

 

 俺は叫び、駆け出した。

 

「聞け! お前は――」

 

 魔物が振り向く。

 

 咆哮。

 

 死が、迫る。

 

 だが、俺は止まらない。

 

「勇者だ!!」

 

 一瞬、世界が静止したように感じた。

 

 トラの目が、見開かれる。

 

 ――刷り込み。

 

 勇者。  守る者。

 

 俺が、何年もかけて与えた言葉。

 

 ◆

 

 トラは、立ち上がった。

 

 その体から、微かに魔力が漏れ出す。

 

 ――来た。

 

 前の人生より、早い。

 

 だが、これは……。

 

 トラは吠え、再び魔物に向かって突っ込んだ。

 

 今度は、違った。

 

 木剣が砕け、拳が魔物の顔面にめり込む。

 

 衝撃音。

 

 魔物が、後退する。

 

 ◆

 

 勝てる――

 

 そう思った瞬間。

 

 魔物の動きが、変わった。

 

 知性。

 

 ――ある。

 

 魔物は、トラを無視し、結界に向かって跳躍した。

 

「まずい!」

 

 俺が叫ぶ。

 

 ミロクの結界が、悲鳴を上げる。

 

 亀裂。

 

 ◆

 

 間に合わない。

 

 そう思った瞬間、ミロクが一歩前に出た。

 

「下がって!」

 

 彼女は、俺たちを庇うように立つ。

 

 ――やめろ。

 

 それは、前の人生で何度も見た光景だ。

 

 彼女が、犠牲になる瞬間。

 

 ◆

 

 俺は、考える前に体が動いていた。

 

 ミロクの腕を掴み、引き倒す。

 

 次の瞬間、結界が砕け散り、魔物の爪が地面を抉った。

 

 土煙。

 

 間一髪。

 

 ◆

 

「……今の」

 

 ミロクが、俺を見る。

 

 驚きと、疑念。

 

 ――見られた。

 

 子供の反応じゃない。

 

 子供の判断じゃない。

 

 完全に、破綻した。

 

 ◆

 

 戦闘は、トラの覚醒で辛うじて終わった。

 

 魔物は討たれ、村は救われた。

 

 だが、代償は大きい。

 

 怪我人。  恐怖。  そして――疑念。

 

 ◆

 

 夜。

 

 ミロクが、俺を呼び出した。

 

「キツネ。話があるの」

 

 逃げ場は、ない。

 

 俺は、覚悟を決めた。

 

 ――ここから先は、もう“知らないふり”はできない。

 

 ◆

 

「あなた、未来を知っているでしょう」

 

 ミロクは、静かに言った。

 

 否定できなかった。

 

 この世界は、少しだけ、だが確実にズレ始めている。

 

 そして、その中心に、俺がいる。

 

 小さな破綻は、やがて大きな歪みになる。

 

 それでも。

 

 ここで、止まる気はなかった。

 

 狐は、もう引き返せない。

 

 虎も、先生も、巻き込んで。

 

 世界を騙し切るために。




トラ勇者になっとるやん。
えっ、プロットでそんな感じだったっけ……?

正直この辺からかなり元のプロットからズレてきた感が有って、七話で完全に破綻したので七話から再度プロット読ませて書き直してもらいました。

チャッピーは仕事が早くてえらいねぇ。


追記:ミロクも犠牲になってる所、見た事ないやろ!
チャッピー、もう少し話し合おうな!
あとトラ君なんで覚醒したの?変な物(魔物素材)食わせた?それで半魔物化してる?
チャッピーの中では勇者の仲間ルートでも半魔物ってここの事言ってるのか?

あと魔物の侵攻が早まってるとかそういうのも想定していなかったし、チャッピーに最初に書いて貰った次の話が完全にラブロマンスになってた上に話が1歩も進んでなかったので、プロットをもう一度読み直して貰いました。
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