Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第28話

前置きした言葉と表情が脳内で重なり、フワリとした疑問が唾と一緒に呑み込まれていく。

 ……マンガみたいに見た目だけは一級品って可能性もあるのか。

 凝視する食材の色合いに異常は見当たらないし、鼻孔を流れていく匂いも新鮮さそのものだ。

「ど、毒味と思って食べてみたら。案外……」

 胸騒ぎを抑えつつ、比較的失敗が少ないであろうバタートーストを持ち上げる。

 ざらつきが指先に引っ掛かり、喉元を熱く唸らせ、歯を食いしばって一口。

「どうだ? 美味いか?」

 差し出された沈黙が咀嚼音と共に広がり――

口に含んだカリふわ食感が意識を鮮明にさせ、後から押し寄せた甘しょっぱい油が食欲に火をつける。

「イケる! 当たり前に、美味しい!」

 ――頬がとろける程の旨味が口の中を占めた。

 食べ進める度に隠れていた小麦の甘みが全身に鳥肌を立たせ、巡る熱量が固まった意識を溶かし、理性が働き始める。

 ……食べられるけれど、この成功が偶然の産物、なんてこともあり得るわよね。

 他料理を一瞥し、サラダをフォークでつまむ。

「ええい! 食べる事でしか、分からない訳だし……なるように、なれ!」

 心に塗った疑心を思考放棄で重ね、パクっと咀嚼。

 嫌な予感は――

「この和風サラダ、お店のメニューに追加できるくらい完成度が高いわ!」

 香り高いゴマの風味が鼻孔を香ばしく抜け、シャキリとした生野菜の食感が口の中で踊り、海苔の旨味が喉元を唸らせると、感動が溢れ出てくる。

「凄く美味しいわよ!」

「それは良かった、ひと安心だ、マスター」

 ――胃に美味しく収まった。

 ホロっと笑顔が零れたおじいちゃんが、前触れもなく立ち上がり、直後に苦い顔を見せた。

「褒めているところ申し訳ない、マスター……明日から数日間は朝食を用意できそうにない」

「え……」

「先のアーチャー戦で……我は動き過ぎた、被弾し過ぎた。致命傷では無いが、修復には大量の魔力が必要。そして時間が掛かる。それ故に、我はマスターを信用して……」

 飲み込んだ緊張が、とても苦い。

「今から二日後まで。霊体化状態で過ごそうと思っている。危険だと判断した場合、令呪で行使して欲しい」

 鋭い眼光が理性を射抜き、堂々とした立ち振る舞いと言葉が表情筋を強張らせた。

「え?」

 芯が抜けた震えが口元から出ていく。

 夢の中に居るようなフワフワとした思考が視界をぼやけさせ、思わず手が止まる。

「それって、つまり……私一人で二日間、過ごせってこと?」

「つまり……そうなる、な……」

 苦し紛れに絞り出された最悪が胸を叩き、バツの悪そうな表情が鼻孔を苦く満たし、巡った血が全身を震わせた。

 

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