Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第34話

液晶画面を舐め回すように肉眼が動いていく。

 時々目に留まる無差別という単語が心臓の唸りを強め、自然と頷いてしまう。

……精神的干渉を得意とするクラスはキャスターと訊いているし、有り得なくはないわ。

人間を殺す事で得られる微細な魔力が、魔術を十八番とするキャスタークラスでは大量に必要となっていく。

コメント欄でも『洗脳や陰謀論』等の精神的原因を挙げる声が多い。

……マスター一人では魔力を賄いきれない可能性も大いにある訳だし。

 指先が重くなり――

 冷たい風が足先を抜け、全身が震えた。

「あった……証言が、あったわ……」

 飲み込んだ唾が緊張を呼び起こし、心臓の高鳴りが耳奥を塞ぎ、掌が湿っていく。

 巡った血液が純白の理想を錆びさせ、サーヴァントという現実が舌先をざらつかせた。

 ――視界が広がる。

 暗がりの中で撮影されたピンクは、荒い画質を確かな恐怖に変えていた。

 ……ピンクハートのネックレスを付けた何かが、集団を扇動し、静かに蠢いていたと。

「その後、例の発狂が数時間にわたり響いていた……か……」

 掌に通う熱量が口元を乾かす。

 ……サーヴァントが原因って事には、間違いが無さそうだわ。

 しかも、今回はエマさんが一度対峙した敵。

「どうしたものか……」

 おじいちゃん不在の今、私に大事件を起こしたサーヴァントを相手に、どれだけ持つだろうか。

 ……まあ、無理でしょうね。

 奇襲された場合は対峙する他ないが、基本的にはアサシンの討伐が最優先事項だ。

 ……権限は、伊達政宗を擁するエマさんが持っている訳だし。

 静かに重ねた左甲の温もりが硬直した全身を弛緩させる。

 おじいちゃんなら、この現状を――

 生温い風が右頬を流れ、ドアのスライド音が耳奥を掠めた。

「お前ら―遅くなって申し訳ねぇーなー。だるい案件だが、転校生……連れて来たぞー」

 一気に静まり返った教室中に靴音がコンコンと響き、右端に金髪が揺らめく。

「座れよーお前らの為に、時間を割くなんて嫌だからなー」

 心電図のように上下する空気の中、その顔は深々と、お辞儀していた。

「よろしくお願いシマース。名前は桐枝エマ……日本とイギリスのハーフで、昨年までイギリスにいましたデース!」

 聞き慣れた片言が心臓を掴み、電気が走ったように舌先が震え、甘い薔薇の香りが鼻孔内を幾度も刺してくる。

周囲から歓声と拍手が上がり、転校生の凛々しい顔が姿を見せた。

「えー。桐枝……そうだな、まあ……好きな席に椅子を持ってテキトーに座っておけ……」

 思考が固まる中、少女――協力者が近づいてくる。

「今日はココでいいデースよ? せんせー」

 指で示された席、隣に見知った顔が椅子をくっ付けてきた。

 

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