Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第42話

「そんなの、今は関係がありまセーンよ!」

 瞼に溜まる涙腺を月明かりが反射していた。

「な、泣くほどのこと? まだ死んでいないわよ、私は生きているわ」

 肩に触れた震えが私の思考を滲ませ、エマの金髪が風に流れていく。

「そういう……問題じゃありまセーン……自分をギセイにする手段が、ワタシは嫌デース」

「意味が分からない、どうしてそこまで。敵だった私に感情移入できるの?」

 斜めに構えた視界の黒が胸を締め付ける。

 ロウソクの灯りを消した私には、闇の中でしか物事を見る事が出来ない。

「分からないわよ、私には……今はエマと同盟関係にあるけれど、いつかは殺し合わないといけなくなる……」

 排気ガスの臭いが鼻孔を満たし、握った掌が熱くなる。

「ワタシは……カンケイ無いと思ってイマス……今が重要デース」

「じゃあ、なぜ聖杯戦争に参加したの? こんなに優しいエマなら……血生臭い殺し合いを望まないはず……でしょ?」

 バラの香りが喉元に引っ掛かり――

「ハイ……私は自分で、参加していません。タノマレマシタ……聖杯へのワタシのノゾミモ……自らの願望ではないデース」

 そっと掌を宛がったエマの顔が月明りに照らされた。

「どうして笑えるのよ……自己犠牲って、怖いモノじゃないの?」

 ――思わず唾を飲み込む。

「カッコイイから。自分が望み、納得した行動……理想だからデースね」

「自分が、望んだ事……」

 落ち着いた声色が耳奥を抜け、胸が叩かれる。

 ……自分で選択した道を後悔しているのね、私は。

「杏サーンのコトバには、負の感情しか無いデース。楽しかったとか、嬉しいとか……無いデース」

「だから、止めたのね……」

「ハイ……恐怖があるウチは……やらない方がいいデース」

 肩を落としたエマの表情は緩んでいる。

「どうすればいいの? アサシンはともかく、百名規模の犠牲者を出したサーヴァントは所在も、動機……クラスすら不明なのよ?」

 分かっている事と言えば、性別が女でエマ達が遭遇した事実だけ。

「ならば。伊達男である、俺の出番だな!」

 腕を組みながら、独眼竜が私とエマの間に割って入る。

「アイボウ! 何か、思いつきましたか?」

「ああ、相棒達の派手なやり取りで、覚悟は決まったぞ!」

 豪快に笑い飛ばし、黒髪をかき上げながら。

「俺の眼を使う。地味だが、行動は派手にやらせてもらう予定だ!」

「そうデース! その手がありましたネ!」

 二人だけで盛り上がっていた。

「意味が分からないだけど……説明してくれない、エマ?」

「ハイ。アイボウの眼は特殊で、能力を見破りやすいデース。なので、ソレをアイボウが高速移動しながら、場所を特定する案デース」

 ……要するに、力技って事ね。

 顎に宛がった指先が離れ、疑問が吐いた息を白く染めた。

「待ってセイバー。その作戦……毒に侵される危険性が高くない?」

「問題ない! 身体に染み付いた毒がどのようなモノか分かれば、自然と事象は逃げていくモノだ!」

 独眼竜の声色が疑問を吹き飛ばし、風音が後ろ髪を通り抜ける。

 

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