Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第43話

……凄い自信だわ。

「ねぇ、セイバッ……えっ?」

「早速だが。派手に調査開始だ! 相棒達は、安全地帯で周囲の状況に伊達女らしく、派手に観察しておくといい!」

 飛び立つ後ろ姿が闇下に消え、金属の匂いが鼻孔を掠めた。

「いや、ちょっと……まだ話し合いは終わっていない訳だし……」

 取り残された静寂が唇を冷やしていく。

 ……気まずい、それ以前に。

「本当に任せても良いのかしら? 勢いだけ、なんてやめてもらいたいけれど」

「いつものことデースよ。ソレよりも、アイボウが言っていた事をやりマショウ?」

 エマの後ろ髪が揺れ、コンクリートのざらつきが踏み出した足元を刺激する。

「そうね」

 高層ビルより一軒家が立ち並ぶせいか、肉眼で捉えるには薄暗さが目立つ。

「ココは杏サーンが住んでいた場所よりも自然が多いデースね……空気が汚いデースケド」

 咳払いが聞こえ、エマの表情が曇る。

「まあ、上は高速道路が走っているし。良くも悪くも共存しようと頑張っている訳だから……ね?」

「そうデースね。星はキレイなのが救いデースが!」

「住宅街にしては、珍しいかも……本当に美しいわね」

 黒のベールに貼り付けられた星々の輝きが、心臓の鳴りを鎮めてくれる。

 ……落ち着く時間も無かったから、本当に助かったわ。

「杏サーン、ワタシ……この景色を守りたいデース。いま、カクシンしました!」

「なら……」

 肩の力が抜け、ほころんだ視界が高層ビルへ向く。

「……後世に、この景色を残してあげたいのなら、エマがやるべき事は一つね」

 吸い込まれそうな瞳が、熱した喉元をせり上げ――

「一緒に……まもっ……」

 破裂音が鼓膜を叩き、風圧が素肌を掠めた。

 ――舌先が錆びた鉄で満たされていく。

「サーヴァントデース! アイボウ、サーヴァントの攻撃デース!」

 縮こまった視界が、ひしゃげた右のビルを捉える。

「杏サーン、大丈夫デースか? 立てますか?」

「え……ええ!」

 差し出された手が混乱した現状を整理していく。

 ……奇襲、では無さそう。

 焦げ臭さが頭痛を誘発させ、微かに聞こえる楽器の音色が胸をざわつかせた。

「エマ。セイバーが来たら、一旦……避難しましょう」

「ハイ……また、矢が降ってキマス!」

 刹那。

ビルが音を立てながら再度爆発し、ガラス片が飛び散る。

「くっ……このままじゃ」

正面の月明りを、黒い何かが左へ通り抜けた。

「さっきの黒いサーヴァントを狙ってイマス……矢を……」

 鋭い爆発音が会話を呑み込んでいく。

「そろそろ……笑えない状況かも、ね」

視界を覆った火の粉が風圧に押し出され――

「そうですか……マスター、それも両方とも女性だとは。黒い影を追っていたはずが……思わぬ成果にありつけたようで……ありがたい」

 ――腰を折った赤髪が月夜に浮かぶ。

 

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