Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第44話

 呼吸が浅くなる。

 電池切れを起こしたライトのように、道標は闇の中へ消えた。

 ……明らかに、あのサーヴァントは危険だわ。

 目の前の高層ビルが揺らめき、舌先が乾いていく。

「杏サーン、下へ降りマショウ!」

 グイっと引っ張られた手が、恐怖ごと断ち切る。

「ごめん、私……動揺しちゃって」

「ハンセイは後デース、今は……」

 口内が鉄の味で満たされ、コンクリートの硬さが素肌を削った。

「な、なぜ……」

 私が横たわっているのだろう。

「クソ……派手に間に合わなかったか。大丈夫か! 相棒達よ!」

 焦げ臭さが鼻腔にへばり付き、銀鎧が刀を抜いていた。

「大丈夫デース。杏サーン、怪我はないデースか?」

「心配は……いい、から……指示を」

 訪れた沈黙の重さが、立ち上がった脚を震わせる。

「防がれてしまいましたか……しょうがないですね……」

「オンナ、オカス……オレサマガ、ヤル!」

 弾丸のように飛び出したアサシン――

「邪魔が入りましたね……代わりに私から謝罪しましょう」

 ――鳴り終わった爆発音が、鼻孔を焦がした。

「派手だな、オマエ。だがアーチャー。貴様には足りない要素がある、明確に!」

「何ですか、いきなり。マナーがなっていませんね、いくら魅力的でも……」

「それは……」

 遠くで赤色灯が消える。

「貴様が、いやらしく弓で敵兵を狙うところだ!」

「くっ……アナタが言える事ですか。戦いに美学の文字すら無い小国の王が!」

 火花が右から左、上下に咲き乱れる。

 ……戦闘位置があそこまで遠いと、介入できる余地は無さそうね。

 金属同士の擦れが耳奥で小さく鳴り、拳を強く握らせた。

「ああ! 辛いデース、ハガユイデース。もっと近くでタタカイを見守りたいデース!」

 フェンスの振動が選択を迫る。

 ……セイバーの元へ行くべきか、否か。

 おじいちゃん不在の今、私はお荷物確定として。

「エマはセイバー……相棒の近くへ行きたいわよね?」

「ハイ!」

 真剣な眼差しが私の決意を固めていく。

「なら……私は、ここにいて結末を見届けるわ」

「ソウは言っても……」

 左視線に置いた一瞬。

「アサシンは気にしなくてもいいわ。アレとは、私は一回戦った事があるのよ。しかも、生身でね!」

 言いながら力こぶを作ってアピールする。

「ホントウに……ダイジョブでしょうか?」

「信じなさいよ、私を。ヒーローになりたければ、他人を信じる事だって時には大切よ?」

「アリガトウ……ゴザイマス」

 小さくなった背中をポンっと押し、視線を左甲へ向ける。

 ……いざとなれば、おじいちゃんを令呪で呼ぶわよ、杏。

 黒く澱んだ視界に夜気が流れていく。

 

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