Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第48話

「うそ、生きて……」

「ワタシとアイボウは無敵デース! さあ、乗ってクダサーイ」

 目元に溜まる熱さを引っ込めながら、差し出された手を受け取る。

「ありがとう。エマ」

 風に巻かれる金髪と薔薇の香りが、弱った心に花を咲かせた。

 

 跨った青龍の跳ねが心臓を叩き、疑問と不安が口を滑らせる。

「セイバー、コレはどういう状況なの? この事象はサーヴァントが引き起こしたのよね?」

「そうだな! 初日に相まみえた例の女が仕掛けてきたようだな!」

 渦上には長髪の女が杖を構えている。

「確かに、そうかもね……どうりで魔力がバカみたいに集まっていたわけね」

 引き寄せられたアサシンと、生死不明のアーチャーが居るならば。

「考えてみたけれど、私もセイバーの意見に賛成する。逃げた方が良いわ」

 敵同士の潰し合いも理由だが、一番は見下す女の実力が未知数なところだ。

 後ろ髪が引っ張られ、徐々に青龍の進みが遅くなる。

「やはり……オンナサーヴァント、強いデースね」

「それだけじゃない、あの英霊……なぜ、攻撃を加えようとしないのかしら?」

「確かに……派手な割には、伊達じゃねぇーな!」

 砕かれ飲み込まれていく周囲の建物が、舌先に残った錆び鉄の味を思い出せる。

「そもそもの目的が、殲滅以外だとすれば?」

 確信はない――だけど膨大な魔力を振るう彼女なら、この場に居る全員を瞬殺できると思う。

「なら……どうシマース?」

 振り向くエマの顔が決断を待っている。

「私は」

 重苦しい沈黙を呑み込み。

「あのサーヴァントの方へ行くべきだと思う」

 真っ直ぐ見据えながら覚悟を決める。

「ワカリました……アイボウ、あのサーヴァントの元へ行きマースヨ!」

「了解したぜ、相棒! 派手に、飛ばす!」

 指先で示された渦中へ、もみくちゃにされながら青い空間を目指して風を切る。

 ……呼吸をするたびに、瓦礫が舌に入って気持ち悪いわ。

 ガラス片やコンクリート、鉄骨までグルグルと渦の中で回り、視界を濁らせていた。

 ……前に進めない。

「相棒よ、俺は今から派手に細かく、向かってくる瓦礫を切る。青龍の手綱は相棒が操れ……派手に、頼むぞ!」

 金属の擦れが耳元で弾け、赤銀の残像が薄茶色の視界に彩を与える。

「行こう……エマ!」

「ハイ。やりマースヨ!」

 手綱の鳴りが、掴んだ腰を強く握らせた。

 雲一つない澄んだ青は、嵐の前の静けさを含み――

「……英霊の座に就いた者達……それを従えるマスター。アナタ方は、何故聖杯を求めるのか。理由を聞いてから続きを致しましょう」

 降り立つ長髪女、その杖が空中を緑に変える。

 ――目の前で艶めいた笑みを浮かべた。

 

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