「相棒達よ、派手に青龍へ飛び乗れ!」
「わ、分かったデース! 相棒、早くセイリュウを出してクダサーイ!」
立ち上がり、青龍の顕現を待つ。
「作戦も何も……思いついていないわよ。セイバー、アナタなら多少なりとも、この状況を……」
「作戦は思い付いていない! 派手に、勝つ!」
絶望が這い上がり、口内が乾いていく。
「ど、どうするのよ!」
「もちろん、青龍を使い空中戦……」
「アイボウ! セイリュウが、出てきませんヨ!」
吹き付ける暴風が胸騒ぎと共に心臓を強く叩いた。
「何故だ……青龍が派手に出ないだと? 魔力はある、権限の問題か……いや」
伸ばした手を置き、セイバーの視線が上空へ向かっている。
「そうか、この女……派手になってきたなぁー全くだぁぁぁぁ!」
「出来る限り、面白い展開にはしてみました。合うかは分りませんが、ね?」
渦中に轟いた声が心拍数を上昇させ、満天の星空が真っ白なベールに包まれる。
……何が起こっているの?
紡いだ唇が血の味を広げていく。
金属の匂いが鼻孔を通り過ぎ、目の前で隻眼が揺らめいていた。
「相棒よ、許せとは言わねぇーが。俺は、今から派手にヤツの一撃を真正面から防ぐつもりでいる……もし、俺に何かあれば……」
刻まされた一拍が瞳を揺るがす。
「ランサーのマスターよ、俺のマスターを頼む……派手なだけで、悪い奴じゃない。聖堂教会の監督役のところへ、せめて送り届けてくれ」
一瞬だけ、左甲の令呪をセイバーは見た。
「まさかセイバー。アナタ、自爆前提で、彼女の攻撃を?」
視界右端で、金髪がなびく。
「アイボウ……杏サーンの話は本当ですか?」
「ふん、派手にヤツと戦えるだけでも、テンションは上がるぜ」
「レイジュを使いますよ? アイボウをシナセル訳にはいきませんよ!」
赤く煌めく令呪――
「使えていたら、楽だったが……」
「レイジュをもってメイずる……セイバーよ、可能な限りタンドク行動を控えよ!」
――向けられた手の輝きが、闇に消えていく。
「ど、どうして。もう一度、ヤリマスヨ!」
セイバーへ向けて繰り返される動作、現実が心臓を叩きつけてくる。
「もう、いい相棒。俺が派手に蹴散らさなければ、閉じ込められた状況を、令呪は使えないだろうな」
「ど、どうして……ワタシの前でイナクナッテッ……」
「それは違うな。俺自身、相棒を守りたいのもあるが、何より……派手に本気を出せる敵とやり合える事を。どれだけ待ち望んできたか!」
囲むように円を描いていた風向きが内側を浸食し始めた。
「……ハハッ。何デースか、そのリユウハ」
「派手だろう?」
「ええ、とても……ハデでーすね!」
零れたエマの涙が暴風に消え、深く頷いたセイバーが視界から消える