Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第51話

「エマ! 本当にこれで……アナタは納得できているの?」

 良いか悪いじゃない、その選択に対して納得できているのかが重要。

「セイバーを私は信じます。納得じゃないデースが、ダテ男らしく、ハデにかましてくれれば……勝機はアリますよ!」

 震えた両拳と真剣な眼差しが、エマの本気度合いを教えてくれた。

「そう、分かったわ。私も……その覚悟に恥じないような、行動をするわ!」

「ど、何処へ行くデースか?」

「閉じ込めている領域の端を調べてくるわ。もしかすれば、ヒントか何かがあると思うの」

 魔術師が閉じ込められ、令呪が使えないとすれば――渦中が、外部の瓦礫を巻き込んでいく意味が分からない。

 頬に付いた砂粒が視界を前に向かせる。

「エマは来ない方が良いわ。土魔術を扱える私なら、多分……嵐に混じった瓦礫を取りながら進めると思うの」

「ワタシもやりたいデース! トッパコウを一緒に探したいデース!」

 宙へ伸ばした左甲が淡い光を放ち、降り注ぐ金属音が喉元を唸らせた。

「エマはセイバーのマスターでしょう? 相棒なのだから、最後まで傍に居てあげなきゃ……派手に見届けるのが、正しい選択だと思うわよ」

 焦げ臭さが鼻孔に焼き付き、爆発が白々とした上空を歪ませていく。

「ワカリ……マシタ! マスターとして、アイボウとして。現実を見届けるデース!」

 背中に掛かった回答が、覚悟を踏ませる。

「ストーン・プラント! 取り敢えず、避けながら一歩ずつ進むわ……」

 渦を巻いて迫り来るガラス片やコンクリートを、鞭状の砂塵で相殺する。

 ……魔術は、使えるわよね。

 確かめた現実が、足元を抜ける冷風を呼び寄せ――

「では、なぜ……私は浮かんでいる? なぜセイバーは生きている?」

 ――当たり前だった事象が疑問へ切り替わっていく。

 触れた地面が水のように波紋を広げ、左甲に電気が走る。

「令呪に反応している、聖杯戦争参加者に対しての結界……単独行動を選んで正解だったかもね」

 見上げた空は赤く染まり、令呪の輝きが消えていく。

 ……答え合わせをしているようなモノね、魔術と令呪を同時には制限できない。

 走りつつ吐く息が視界を半透明に染め――金属同士の擦れが聞こえなくなる。

 ……セイバーの一撃と同時に、反対方向から魔術を込めれば。

「見極めはココまで。では、魔術師諸共……」

「ふん、派手じゃねぇーなー。自らの弱点を暴かれた挙句、最初の言葉が開き直りとは……派手にダサいな、女子よ!」

 向けられた杖先の赤が、周囲の色を上書きしていく。

「消滅しなさい」

「おっと、ムキになっちまったか女子? まあいいだろう……ランサーのマスターよ……俺は一分間、派手にかましていくぞ!」

 赤銀の残像が上空へ消え、歪曲し始めた赤に接近。

「オトシガミ」

「宝具――鳳凰・龍演武!」

 赤と赤がぶつかり、衝撃波が全身を後ろへ叩きつけた。

 ……た、立てない。

 向かい風がサーヴァントと人間の差をありありと痛感させてくる。

「くっ……」

 放出される熱量が素肌を焼き、鼻孔に張り付く金属の焦げ臭さがセイバーの言葉を想起させた。

……ココでいい、穴を開ける!

軽く宛がった両手が沈んでいく。

「セイバーのお陰で、領域が薄まっている。コレなら……」

 爆発音と共に視界端が青々と染まり、静電気のように空気がヒリつく。

「アイボウ! ゼンシンに血が!」

「派手に心配するな、相棒よ。俺は……まだ伊達に動けるからなぁ!」

振動が手元を伝い、増していく鉄臭さが心臓を唸らせる。

……グズグズなんて出来ないわ、セイバーが持たなくなるわよ、杏。

「いつの間に、弱々しく? ふふ。コレでは、派手どころか……みすぼらしさすら覚えてしまいますね」

「なぁに、安心しろ。貴様を倒す時は、派手に打ち上げてやるさ……花火を!」

 冷風が前髪を捲りあげ、鈍い衝突音が耳奥を貫いた。

 

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