Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

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第52話

「くっ……魔術解析。魔力制御……魔力追跡……キャッ⁉」

 ぶちり――血管が弾ける感覚と共に熱さが鼻腔へ広がり、弾かれた腕が痺れを覚える。

「杏サーン、鼻血……」

「やられた……短時間で、何千にも魔術を重ねられるなんて!」

 唇に付着した血が全滅を予感させる。

「まだデース! ワタシの魔力を。イッショニ……デスヨ!」

 重ねられた手がグラついた視界を支えてくれた。

「還りなさい――冥府へ」

「三途の川など飲み干して。再び、貴様に派手な結末を下してやろう! 我こそ伊達政宗なり。貴様の首を討ち取る者の名だ……最後の一撃を。再び……受け取るがよい!」

 耳奥を劈く雷鳴が視界を点滅させ――

「ワタシの魔力……ガンバってクダサーイ、オネガイ……デース!」

「あと。もう少し!」

 束を解き、糸を裂き、繊維を掴み。

「コレで最後よ!」

「世界ヨ変化セヨ」

 ――余りある白さが、全てを呑み込んでいく。

「なん、だと⁉」

「セイバー! アァァァ!」

 重なり合う絶叫が、後退する現実を突き付けてくる。

「一体、なぜ……失敗を」

 領域の紐は九割ほど解除できていた、なのに唐突に弾かれた。

「世界に、アナタ方は嫌われた……それだけです……大人しく死になさい」

 頭上から降り注ぐ純白は、吹き荒れる風の冷たさすら呑み込んでいく。

 ……防ぎようが無いわよ、こんなの。

 呼吸をするように、選択肢が固定されていく。

 立ち尽くす足元が恐怖に震え、ただ己の死因を見つめる事しか出来なかった。

 瞬間――

「ガァァァァ! 派手に散らせてもらうぞ、英霊よ!」

「何も守れなかった英霊として、消えなさい」

 ――黒髪が視界に入る。

 再び火花が激しく散り、セイバーの全身が溶け出す。

「いけません、これ以上は……アイボウが、キエテしまいます! ヤメテクダサイ!」

粒子状の魔力が零れ、青白い光を放つ。

「ハァァァァァァ!」

 後退する赤銀がガラスのようにひび割れ、血の匂いが鼻孔を満たす。

「アイボウ、アイボウ!」

「俺、こそが! 天下……統一を成す者、ナリ!」

 放たれた白を、セイバーの全身が――

「セイバー!」

「グァァァァァァ!」

 ――赤銀鎧が、白に呑み込まれながら落ちていく。

「アイボウ……アイボウ、アイボウ! 嫌ぁぁぁぁぁぁ!」

 絶望が耳奥を掻き乱し、心臓の震えが目の前の現実を睨ませる。

「ふふ、セイバーは消えた。後はあなた達の番よ? 東北の英雄は、所詮は田舎者……主すら守れずに、永遠に歴史の汚点として刻まれるのよ? 最高ね……」

「下衆野郎が」

 頬を紅潮させながら、女は見下しているようだった。

「楽しみだわ、あなた達が死ぬところ」

 ……ど、どうすれば。

 迫り来る白が呼吸のリズムを奪い、頭痛が脳天を貫いていく。

 

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