Fateセカンドクラス   作:佐藤夜空

53 / 54
第53話

「もう、時間がない」

「抗わないと、アイボウに失礼デース……」

 立ち上がったエマの表情が熱を帯び、金髪が前に出る。

「ふふ、降参でもしますか?」

「ファイヤーアロー!」

 赤い軌跡が白に吸い込まれ、涙が地に落ちた。

「勘違いしていました……人の子である以上、無謀は付きモノだと。ならば、終わらせましょう」

「お、重い」

 油圧機でプレスされるように、全身が硬直――視界端まで死が近づく。

「アキラメテ……ヤルカ、デース!」

「セイバーと共に」

 のしかかった重みが口内を鉄臭さで溢れさせ、内側から熱が広がっていく。

「っぐ……」

 赤くなった視界。

「敗北しなさい」

「令呪をもって……命じる、顕現せよ……」

 左甲が汗で滲み、淡い光が放たれる。

「おじい、ちゃ……」

「宝具――白装・転生」

 視界が青く色付き、目の前で黒髪が踊る。

 差し込む太陽の光が全身の震えを止め、時計が瞬間を刻むように動き出した。

「久しいなマスター。よく耐えてくれた……後は、任せて欲しい」

「おじい……ちゃん、ありが、と」

 刹那。

「エマサーン。大丈夫デースか?」

 全身の力が抜け、膝が地面に着く。

「す、少し……力が抜けただけだから。心配は……」

 肩に宛がわれた手の温もりが、判断の正しさを教えてくれる。

「これで相まみえるのも二度目、ですか……」

「ふん、マスター達には一本たりとも触れさせん。覚悟しておけ、サーヴァントよ。我がマスターを苦しませた事……冥府で悔やませてやる」

 高らかに響き渡る宣言。

「いいでしょう……と、言いたい所ですが……」

 言葉が区切られ、視線が左へ注がれる。

「時間です。全く。運がいい人達……次は、殺します。確実に」

 淡い光が青空に消え、鳥の鳴き声が耳元を突いた。

「やっ、た……キャッ⁉」

 崩した膝――透明な地面が裂け、視界が反転する。

「ペシャンコに! タイヘンデース!」

「マスター、そしてセイバーのマスターよ! 少々手荒だが、許して欲しい」

 接近する道路、周囲の

 ……お、落ちる!

 強張った全身が跳ね、柔らかさに包まれる。

「コレは……」

「羽毛だ。我が能力には、物体を転送させる術が備わっているらしい……」

 芯の外れた声が上から降り立ち、全身に緊張が走る。

 ……そうだった、孫の私が魔術師って事は、おじいちゃんのセカンドクラスはキャスターになるわよね。

 一歩深く考えれば、辿り着ける答えだった。

「そうね……そ、それよりも……エマ、体調は? どこか怪我は……」

「マリョクを大量にツカイマシタ……手がアツクテ、シビレて……イタイデース」

「ふむ……二人共、致命傷が無くて幸いだ……」

 ……取り敢えず、話題に乗ってくれたから問題はないわね。

 冷たい風が前髪を捲り上げていく。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。