バンザイナイツ〈明日突撃〉 作:匿名のカタリナ飛行艇
名無しのフェリーン
第一話:設営
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カズデル
天候:晴れ
ガダルカナル島守備隊(として顕現した)日本兵たちは、当初の予想を逸脱した事態に見舞われていた。
守備隊本部および陣地が構築されていた密林が、突如として謎の場所に転移してしまっていたからだ。
現在、砂岩の大地に不自然な形でポツンとある熱帯雨林の中で、守備隊は現状戦力の把握に総力を挙げていた。
「こちら第四中隊、吉田です。」
「こちら大隊から小隊長へーーー」
「陸軍としては、海軍の意見に反対である。」
「工兵、来てくれぇ」
「金田ァ!!!」
戦車や輸送車両、航空機の何機かは奇跡的にも無傷だった。だが、航空機を飛ばすための滑走路は、ガラス質の謎の石片が何本か突き刺さっていて、とてもではないが使える状態ではなかった。倉庫では、
兵舎の一部も石片によってぺしゃんこに潰され、少なくない死傷者を出していた。が、そこは
「失礼つかまつる」
臨時司令部のテントに、妙に古風な喋り方の下級士官が入室する。
キリっと敬礼する先には、ガダルカナル守備隊の司令官が座っていた。
「報告ッ」
「無意味だ、我々は失敗(?)から学ばねばならん」
「了解ッ」
報告は握りつぶされた……訳ではない。
日本兵達は、その高度に鍛え上げられた大和魂が他の日本兵達と共鳴し合い、言葉を交わさずとも意思疎通が取れたのだ。それはそれとして、やかましい声で叫び散らすスタイルは変わらなかった。人間、あえて言葉にしないと伝わらないものもある。果たして彼らに、そこまで声を張り上げてまで伝えたい重要な内容があるのかどうかは、甚だ疑問であるが…。
「ここが、南太平洋の正念場となるだろう」
「ワッ、ワカリマシタ」
「すべきことは、分かっているな?」
「手榴弾ヲ投ゲr」
日本兵達からすれば、目に見えるすべての場所が南太平洋であり、真珠湾であり、アリューシャン列島で、ここはガダルカナル島だった。たとえどこであろうと、大日本帝国の軍人がその両足で踏みしているのならば、そこはすなわち大東亜共栄圏なのである。もうこれ訳分かんねぇな…
おもむろに手榴弾を取り出した下士官は、そのままピンを抜く前に上官の十四年式拳銃によって撃ち抜かれた。錯乱したのだろうか?
ともあれ、情報を整理したガダルカナル守備隊司令部は、部隊の大規模な再編をすることになった。
*****
「整列〜」
司令部は、再編した戦力を偵察係と基地設営係の二つに分けた。司令部一帯の環境はガダルカナル島のままであったが、その周りは未知の空間。無論、未知領域に恐れをなす軟弱者は誇り高り大日本帝国陸軍に存在しない。が、それはそれとして未知の脅威への対策と察知は最重要事項であった。司令部の予測では、ここはオーストラリア大陸か中国西部の荒野では?との予想であった。だとすれば、ここは連合軍の支配地域である。予断を許さない状況だった。
「傾注!」
「「「了解」」」
「俺は防衛を行r「違うッ」」
先んづ偵察にあたり、ガダルカナルでも選りすぐりの精鋭が招集された。
皆、戦闘のプロであり、誇り高き帝国軍人であった。
整列した歴戦の日本兵達を前に、指揮官は作戦任務を伝える。
「本作戦は、隠密行動が最優先事項となる。」
「マジかー」
「聞いてないぜ」
「却下する」
「イヤダァァァ」
隠密行動と聞き、日本兵達は明らかに落胆する。
万雷の如く響き渡る雄叫びと共に突撃し敵を蹂躙することこそ、日本兵の華である。
隠密行動は、大の苦手だった。
「………すべき事は分かっているな?」
「アメ公をぶっ殺してやる」
「陛下の恩為に!」
「皆殺しだぁああああああ」
「 着 ☆ 剣 」
パーン
指揮官は拳銃を取り出し、空に向かって発砲する。
指揮官のこめかみには青筋が立っていた。
「すべき事は……分かっているな?」
「りょ、了解しました。お任せください。」
「合点承知の介〜」
「撃たないでくれー」
「茨城県人、ここにありだぁ」
いまいち作戦を理解していないような気がした司令官だったが、部下たちの引き攣った笑顔でするサムズアップを見て、大丈夫だとGOサインを出した。無論、日本兵たちは作戦概要を1mmも理解していなかった。彼らは戦闘のプロだったが、偵察のプロではなかった。当然の帰結である。
そして隠密作戦は開始した。
「大日本帝国に栄光あれ!!」
ピィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィィ
「突撃ィィィィ!!!」
「「「「「「「ばんざぁぁぁああああい!!!!!!」」」」」」
パッパラッパパッパパー、パッパラッパパッパパー*4
「くたばれ米兵めぇ!!!」
「皆殺しダァァァァ!!!」
現地標準時9:40。第一次ガダルカナル調査隊は、九四式軽装甲車や鹵獲M3軽戦車を引き連れ、高らかに鳴り響く突撃ラッパと万歳の掛け声と共に、ジャングルの外へと突撃していった。国民は歓喜しこれを送り出し、併設の軍病院から苦情の嵐が舞った*5。隠密もクソもない。その様子を見た指揮官は、開始早々に作戦の失敗を悟った。日本の勝利である*6。
まぁ、最悪は情報だけ持ってリスポーンすればいいだ。
指揮官は悠長に考えた。
**********
調査隊が出発した頃、守備隊本部では戦力の立て直しと、持久戦に備え設備の整備が進められていた。
「微速前進」
「「「わっせ、わっせ、わっせ、わっせ」」」
「我々はキティちゃんを連れている!」
「ワーワーワー」
「装甲車を要請する」
「バクハシロ」
「貴様何一つまともに出来んのかァ!?」
ガダルカナル守備隊とは言っても、彼らは
そんな訳で、史実ではお目にかかれなかった最新鋭機たちが綺麗に並べられた前で、数人の航空兵たちがうっとりした様子で、愛機を眺めていた。
そこに置かれていたのは、1機のレシプロ戦闘機だった。
紡錘形の胴体に、艦攻を思わせる面積の広い逆ガル翼。
試作機を表すオレンジ色の塗装に、所属を表す大きな日の丸。
その最新鋭機とはーーー
「零式艦戦は優れた戦闘機だ…」
「違ーう!!」
「超巨大双胴強襲ドリル戦艦デュアルアラハバキ!!」
「却下する!!」
「 ネ コ だ (F6Fヘルキャット)」
「駄目だ!!」「駄目だ!!」「駄目だ!!」
「
「絶対になんか聞こえたよ…(難聴)」
なぜ零戦だと思ったし…
そして、その隣に当然のように並ぶのは、史実では計画のみだった兵器たち。
完成が間に合わず活躍できなかった流星。
B-29迎撃用として本土に配備されていた筈の、彗星一二戊型(夜戦)。
海路が断絶しついぞ前線に送られなかった
そしてやはりなぜか鹵獲されている大量のスチュアート軽戦車。
どれも史実のガダルカナルには配備されていない代物だった。
いや、別にスチュアートはいっぱい居たのだが。米軍に。
「応急修理が完了しました。あまり無理をしないでくださいね」
「ワカリマシタ」
「駄目だ。全力で応戦しろ」*7
「ワ、ワカリマシタ」
「航空支援を要請する!!」
滑走路の整備が終わると同時に、司令部は偵察機による遠方基地との交信を計画した。
もしかすれば、ガダルカナル守備隊以外にも連絡が通じる基地があるかもしれない。
修復痕だらけの滑走路を、航空隊の彩雲が離陸していった。
「大本営は、ミッドウェーからの吉報を期待している。」
「でぇじょうぶだぁ!もんだいなーい!!」
「トトト ツーツーツー トトト」
「書類を盗まれました…」
【烈風改:れっぷうかい】
とても つよい さいしんがた の せんとうき。
【ヘルキャット:へるきゃっと】
せいかく が ひねくれた せんとうき。
今後の方針(原作準拠、エーギル編、魔王生存ルート、アリーナ生存ルート)
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本土決戦こそ、我が陸軍の本望なり
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艦隊決戦こそ、我が海軍の本望なり
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朕自ら近衛師団を率いこれが鎮定に当たらん
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コシチェイ侯爵爆殺事件