バンザイナイツ〈明日突撃〉   作:匿名のカタリナ飛行艇

6 / 7
本当は移動都市で神仏照覧したかったのですが我慢できませんでした。
いずれガダルカナル編でもやるつもりですが、少しフライングです。


THE PACIFIC STORM WILL RETURN AGAIN:編
第一話 間も無くエーギル海にも旭日旗が昇るだろう


 

 

 

 

 

1088/◾︎◾︎/◾︎◾︎

天候:晴れ

イベリア沖200km

 

 

 

海の上に、黒い影が浮かんでいる。

その様相は移動都市、あるいは城にも見える。

 

黒い煙を吐き出しながら一列に並ぶそれは、親鴨に続く子鴨のように、綺麗に一列に並んでいた。

 

 

 

 

 

_______いよいよこの大和が世界一の戦艦であることを世に知らしめる時が来

 

 

_______46cm砲の威力……米海軍(エーギル)よ、思い知るがいい

 

 

 

⭐︎   神  ⭐︎  仏   ⭐︎   照  ⭐︎  覧   ⭐︎

 

 

 

「第一射、撃てェ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日も絶好調ね……」

 

 

 

艦橋に唯一ある椅子に座った若い女が、死んだ魚の目で天を仰いだ。

 

 

 

 

**********

 

 

 

 

日本兵たちが、ガダルカナル島と共にこの世界に転移されてきた時、その座標が僅かにズレた人達がいた。

ある者は極寒の凍土へ、ある者は熱帯雨林へ、ある物は乾燥しきった砂漠へ。

 

 

 

 

その日、1人の日本兵が海に転移した。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この世界の人間にとって、海とは人類の敵である。

シーボーンなる不思議生物が跳梁跋扈し、ハチャメチャ技術の海底引き籠り人(エーギル)羽毛の生えたサンクタ人の弟子の末裔たち(イベリア人)と、果てしない生存競争を繰り広げている。

 

だがかつては拮抗していたその戦いも、今となってはもはやワンサイドゲームと化している。

海は学習し、海は模倣し、海は拡大する。

人類の理解の範疇を越える、驚異的な速さで。

 

 

産めよ——

 

増やせよ——

 

地に満ちよ——

 

 

シーボーン達は自らの生存の為、拡大を望んだ。

その果てに、地上を見つけた。

新しい故郷を地上に見出した。

いずれ(シーボーン)は、大地を飲み込み、生命を飲み込み、この惑星と同化するだろう。それこそが、進化。生存の唯一の道なのだ。

 

 

 

 

 

 

 

だが、シーボーン達は知らなかった。

 

 

Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, (深淵が覗くとき)blickt der Abgrund auch in dich hinein.(深淵もまたこちらを覗く)

 

 

 

 

 

 

「海だ…ッ」

 

 

 

 

大日本帝国海軍(ゲームルール)は『(マップ)』を認識した。

偶然にも、どちらも無限湧きという特殊な生態(ルール)をしている。

ならば話は早い。

 

 

 

「大東亜共栄圏は広がりつつある。間も無く、この地にも日章旗が翻るだろう。」

 

 

日本兵(にほんへ)とは、概念である。

多くのゲーム作品に登場した日本兵達の、集合意識である。

 

太平洋諸島での戦いの数々。

それらはサーバーが生きている限り、何度でも再演される。

 

日本兵は『(戦場)』を認識した。

拡大し続ける『(シーボーン)』を、『(戦場)』と定義した。

マップの拡大に合わせて、許容できる参加人数(プレイヤー)は増加する。

 

 

エーギルとシーボーンはゲーム側の不備により、永遠に終わらないコンクエストモード(残機無限の陣取り合戦)に引きずり込まれた。

 

 

 

とりあえずエーギルはキレていい。

 

 

 

 

**********

 

 

 

最初に転移失敗した日本兵を起点に、イベリア近郊にも日本兵(海軍)がスポーンするようになった。

マップの広さに合わせてスポーン頻度が高くなったからである。

 

日本兵たちはすぐに行動を開始した。

コンクエストを始めるにあたって、まずは新しい陣営の設立が必要になった。

前世(?)の名称にあやかり、名前は『南洋庁』になった。

 

 

 

 

「食事は大麦を混ぜた米だ」

 

「不味い飯でも恋しいと、お袋に伝えとけぇ!」

 

 

 

日本兵(南洋庁)たちはまず食料自給をなんとかしなくてはならなかったが、幸いこの海には美味しい水生生物が大量に湧いていたので食うものには困らなかった。

足がついてて陸に上がってきたが、多分魚だろう。食えたし。

 

魚たちは総じて攻撃的であり捕獲の際には死者も出したが、すでにこの場所に存在が紐づけられていたので、数秒後に再スポーンした。飢餓に苦しんだ()島より、よっぽどメシがうまい。種類によっては毒があるらしく、食った何人かが異形に変形した。だが、正気を失う前に自決した。日本兵達は、かつての日本人がフグを克服したのを再現するかのように、色々な調理方法を試して逝った。リスポーンできる日本兵の荒技である。

 

 

 

「工兵、来てくれ」

「金田ぁ!!」

 

「こちら第二中隊…吉田です。」

 

「__ん“あ?」

「だ、誰なんだ…(困惑)」

「アメ公」

 

 

同時並行で、港湾施設を整備していく。

港を大きさに合わせて、スポーンできるビークルの大きさが変わるからだ。

まずは小さい港から。

 

小型の駆逐艦や海防艦がスポーンすると、まず日本兵達は底引網を載せて海へ向かった。

毒味のための乱獲により、海岸に(シーボーン)が寄り付かなくなった為である。

食料の安定時給は、喫緊の課題だ。

 

 

だがシーボーン側も、やられてばかりではいられない。

同族にしてもすぐ自決する日本兵たちは取り込めないと悟ったのか、シーボーンは日本兵たちを根絶やしにすることに決めた。

 

 

 

 

 

 

漁場にどデカいタコ(シーボーン)が出現した。

 

 

 

 

 

 

 

「物資が不足しています」

「想定外の事態だ」

「どう対処すべきかと聞いている。」

 

「無論、彼の抵抗は無意味だ。(船団は)我々が砲火を持って護りぬく。」

 

 

 

無論、日本兵たちもタコ相手に引き下がる訳がない。

仮に畑を作るにしても、それが今日明日収穫できるものではない。

地産地消で切るようになるまでは、海産物に頼らざるを得ない。

日本兵たちは総力を上げ、中型港湾施設を建設した。

 

 

 

「時は来たれり———これより我々は、太平洋における最大の戦力と対峙することになるだろう…… 」

 

 

 

 

これ

—————————————————————————————————

《出撃(単)》【南洋庁秋刀魚り1088:船団護衛作戦】

旗艦に軽巡「大淀」、随伴に「重巡洋艦」5隻以上の艦隊で、イベリア近海に出撃。敵主力の撃破に努めよ!

 

 

 

重巡:5

軽巡:1

 

駆逐:20

海防:15

漁船:162

 

 

—————————————————————————————————

 

 

 

 

 

 

すぐさま、南洋庁本部は出撃を命令。

スポーンしたばかりの高雄型重巡洋艦が投入され、艦隊が編成された。

日本人の魚への執着、ここに極まれり。

奴らこの海域の海産資源を、見境なく根刮ぎ持ってくつもりだ。

 

 

 

「もうすぐ、米軍に決定的な一撃を加えることができると思うと」

「シタダー」

「胸が高まる…」

「バクハシロ」

 

 

 

 

シーボーン大漁作戦は始まった。

 

まず駆逐艦と海防艦を中心とした対潜哨戒艦が、アタリすらつけずに爆雷をばら撒く。

何匹かの(シーボーン)が食えないレベルに粉微塵になって勿体無いと思ったが、必要経費であると日本兵達は割り切る。

爆雷によって炙り出され、刺激されたタコ型巨大生物(脂が乗ったこの海の主)が水上に体を晒す。

タコのような触手を鞭のように振り回し、駆逐艦や海防艦を叩き潰していく。

 

 

 

 

「甲板に被弾!甲板に被弾!」

「ケストレスが沈んでいきます」

「右舷より魚雷接近!」

「エンジンブースト始動」

「退避ぃ退避ぃ」

 

 

 

 

それが日本兵たちの狙いだった。

小型艦艇からなる先遣艦隊は囮、本命は後方に控える巡洋艦隊。

 

駆逐艦や海防艦を沈めるのに躍起になっている超巨大タコ型生物へ、距離を縮めた重巡洋艦の主砲が指向される。

 

 

 

 

「目標は戦艦Nevada(ネヴァダ)

「違ァう」

「戦艦West Virginia(ウェストバージニア)だ」

「違ァう」

「戦艦Prince of Wales(プリンスオブウェールズ)

「違ァう」

「双胴戦艦ドリルアラハバキ」

「いい加減に…」

「超巨r」

「聞こえんのかぁアアアア!!!」

 

 

「報告にいくつか不明な箇所がある*1

「…………まあいいだろう。(目逸らし)」

 

 

 

日本海軍はアバウトである。

たぶんイギリス由来だ。

 

 

 

「何がともあれ撃滅するのだ」

「戦闘開始!」

 

「交互撃ち方始め」

「「「うちーかたーはじめー」」」

 

 

 

高雄型の主兵装である、合計25門もの20.3cm砲が轟音と共に火を噴く。

平射された為、山なりではなく水平に飛んでいった砲弾は、タコ型巨大生物の頭に直撃した。

 

 

「◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎◾︎︎◾︎!!!!」

 

 

タコ型超巨大生物が、耳を劈く不快な声で叫ぶ。

が、そんなことで攻撃の手を緩める日本兵達ではない。

 

 

「第二射、攻撃始め」

 

 

先ほど発砲しなかった砲身が、発砲した砲身と入れ替わりで持ち上がる。

『交互撃ち方』とは、右と左の砲を交互に撃つ撃ち方である。

そうすることで射撃の頻度を半分に縮めることができるのだ。

 

 

 

「てぇぇぇ!!!!」

 

 

 

再度、20.3cm砲が火を噴く。

またしても、その砲弾はタコ型超巨大生物の頭に命中する。

 

今度は声を上げず、静かに海へと崩れ落ちていった。

あまりにもあっけない決着。

その一部始終を甲板から見届けた日本兵達は、大声で歓声を上げた。

 

 

 

 

「敵戦艦を、殺っちまったぞ」

「大日本帝国に逆らうとどうなるか…」

「朝飯前だぜぇー」

 

「「「「「「ばんざああああああいいい」」」」」」

 

「運命は決した。敵はまたしても、我々の策略に嵌った。」

 

 

 

 

「日本の勝r———」

 

 

 

指揮官が艦隊通信で勝利を宣言しようとしたのも束の間、船体が激しい衝撃に襲われ、思わず艦長席から滑り落ちおる。

 

 

 

「何が起こっている!?」

 

 

 

衝撃で電気系統にダメージを受けたのか、電圧が不安定になり艦内灯が点滅する。

警報音が、軋む音と共に艦内に響く。

 

 

 

 

「何たるザマだ」

「状況報告」

 

「甲板に被弾」

「エンジン室浸水」

「エンジンが炎上しています」

「十七掩蔽壕(えんぺいごう)!十七掩蔽壕!応答せよ」

「津波が来るぞー」

 

 

 

大淀の艦橋に、吸盤がついた巨大な触手が絡みつく。

締め付けられた圧力で窓ガラスが割れ、そのまま艦橋は潰れた牛乳パックのように捻り潰された。

 

 

 

「エンタープライス、ここに居たか。でも何故、2ヶ月前(20秒前)に焼かれたのをこの目で見たはず…乾ドックに入っている筈(?)なのだが」

 

「頼む。降参するから撃たないでくれー」

「逃亡者は銃殺される…*2

 

 

 

艦尾から沈んでいく旗艦大淀を背に、タコ型巨大生物が咆哮をあげる。

まだタコ型巨大生物は死んでいなかったのだった。

シーボーンがそう簡単に沈むか!そう言いたげに咆哮を響かせる。

 

 

 

「敵は目の前です」

「敵は後ろです」

「敵は右方向です」

「敵は何処から来るんだ!?(半ギレ)」

 

「構わん、全力で応戦しろ!全力だ!!」

 

「エンジンブースト始動」

「アクティブレーダー作動」

「アクティブソナー、準備完了」

「倍の速さで矢を避けよ」

「敵の潜r「掛かれェ!!!」

 

 

 

巨大タコ型生物は、狙いに定めた艦を触手で囲んで、四方八方から攻撃を加えた。

 

単縦陣が破れ、後に続いていた重巡洋艦が各個に回避運動をとる。

数隻が砲塔を再度調節し、砲撃を再開する動きを見せる。

 

 

 

If it bleeds(血が出るなら), we can kill it(殺せるはずだ)

「了解!(わかってない)」

 

いてまぇ(撃ち方)

「撃ェェェ!!」

 

 

 

旗艦が触手に捕まるほど敵は近距離にいる為、最早統制が取れていなくても各砲塔の直接射撃で命中弾が期待できる。

だが、先ほどの一斉射で殺り切れなかったタコ型巨大生物を相手に、20.3cmの各個射撃では効果は薄い。

 

旗艦の上部構造物を念入りに弄んだタコ型巨大生物は、砲撃を再開した別の艦艇に目標を移した。

 

 

 

「中尉殿、これは戦いではありません。虐殺です!!」

「(^q^)イソイデニゲロ」

「右舷に魚雷接近」

 

 

 

大した抵抗もできずに、2隻目の重巡洋艦も深海に引き摺り込まれていく。

その様子は、さながらかつての帆船乗りの間で語り草となっていた、西洋の神話に出てくるクラーケンに見えた。

攻撃を再開したのは、タコ型巨大生物だけではない。

海岸で見たものより遥かに大きい魚型生物が、仕返しとばかりに艦隊に攻撃を加え始める。

屈強な心を持つ日本兵たちも、打つ手無しの今の状況に、諦めムードが広がる。

 

 

「負けじゃ…わしらの負けじゃ…」

「俺もそう思うな(便乗)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ちがーう!!』

 

 

無線に割り込む、力強い声。

それは、まさしく日本兵(にほんへ)らしい猛々しい声。

 

 

 

 

『我々は、誇り高き大日本帝国の軍人だ』

 

 

 

 

日本兵(にほんへ)とは、存在しないもの。

皆がそうあれとの望み、望まれて存在する者。

史実では遂げる事のできなかった夢を、理想を、ゲームという創作に落とし込んだものだ。

 

 

 

 

『戦車や戦闘機如きでは、我々の戦意は止められない』

 

 

 

 

なら、そうあれ。

 

 

 

 

『俺は防衛を行う」

 

 

 

 

———史実ではできなかったことを

———望まれた未来を

 

 

 

「米軍の戦車や戦闘如きでは、我々の戦意は止められない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BGM:[BF1]Battlefield1 “Main Theme”

 

 

———“ 戦況が50%を突破、敵が有利 ”

 

———“ 味方部隊が、ドレッドノート(決戦兵器)を要請 ”

 

———“ 受理 ”

 

 

 

 

 

 

 

「なんにせよ、戻ってきた敵は撃滅するのだ。」

 

「大和魂を見せてやる」

 

 

 

*1
正論

*2
自己暗示




前後編の二話で終わらせるつもりです。

今後の方針(原作準拠、エーギル編、魔王生存ルート、アリーナ生存ルート)

  • 本土決戦こそ、我が陸軍の本望なり
  • 艦隊決戦こそ、我が海軍の本望なり
  • 朕自ら近衛師団を率いこれが鎮定に当たらん
  • コシチェイ侯爵爆殺事件
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。