異世界でチート美少女になればやり直せると思ってたけど燃え尽きた   作:暁刀魚

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17 小説のネタ探し……で行く場所じゃないんだよ!

 シェリブロの締切がやばい。

 ちょっと前に一日暇を見つけてガガっと書き切るつもりだったのに、なぜか書けなかったのが悪いんだ。

 というかそもそもネタが纏まってない。

 いやあねえ、第一部完! ってやってからもう書きたいことはだいぶ書き切ってて、今は完全にネタ不足。

 まあ最悪、このままフェードアウトさせてフェアブロは完結! でも男爵は許してくれるんだけど。

 世間のフェアブロ人気がそれを許してくれない。

 だからこそ、今は適当な番外編兼一部後日談で沈静化を狙ってるんだけど、それもあんまりうまくは行っていなかったよ。

 

「何にしても、いい案ないかな、シャロネ」

「いっそこのまま連載を一時終了させて、充電期間に入られては?」

「身も蓋もない!」

 

 というわけで、私がシェリブロ作者だと知っている数少ない友人その1であるシャロネに相談したら、バッサリ切り捨てられた。

 

「お姉様の太ももも、すっかり休憩したいとおっしゃってます。私を載せてみませんか?」

「それは逆に酷使してるじゃん! なんかこうさあ、ネタになるような話……ない?」

「そうですねえ。普段と違うことをしてみるとか……マッサージいたしましょうか?」

「二言目にセクハラしないと、死んじゃう呪いでもかかってる?」

 

 真面目なことと不真面目なことを同時に言わないと、死んじゃうのが今のシャロネだ。

 私はシャロネの失言にヘッドロックをかましながら、案を求める。

 

「そうですわねえええ、ああああもっと締めてくださいお姉様あああ! ……私、明日ちょっと用事があるのですが、ご同行なさいますか?」

「用事? 何の用事さ」

 

 要するに、シャロネは取材をしようと言っているのだ。

 確かにそれなら、気分転換にもネタ探しにもなりそう。

 悪くないな、と思って行き先を尋ねると、

 

 

「ポールダンスの鑑賞に行こうかと」

 

 

 行き先は碌でもなかった。

 

 

 ◼︎

 

 

 ポールダンスが行われるのはサンフラの街らしい。

 まああの街、踊りをはじめとした芸術系の文化が発展してるからな。

 天蓋祭もあるし、街に大きめの劇場があるのも大きいだろう。

 というわけで、まあせっかくなのでシャロネと二人でポールダンスを見に行くことにした。

 何事も経験だよね、ということで。

 

「あのー、お姉様……せめてその……抱えていただけないでしょうか……」

「絶対やだ」

 

 なお道中、私の天翼でパパっと移動しようとしたらシャロネがひっついて来て「むほおおおおおお!」とか叫び始めた。

 なので現在は、シャロネの手首を私が掴んでぷらーんとしている。

 

「別にこのくらいの高さから落ちて怪我するほど、一級冒険者シャロネはやわじゃないでしょ」

「それはそれとして、流石にこの体勢は肝が冷えますうう!」

「冷やしとけ、まったく……いつになっても反省しないんだから」

 

 なんてやり取りをしながら、サンフラに到着。

 ポールダンスは夜からだそうなので、一旦時間潰しも兼ねてラスルくんの店を訪問したりした。

 なぜかシャロネが私のことを「こいつホンマ……」みたいな目で見てたけど、なんでさ。

 んで、夜。

 

「こちらです」

「うーんいかがわしい」

 

 ちょっとギラギラしてるネオンみたいな魔術の光が看板を照らす夜の繁華街。

 その裏路地にある地下への入り口から、私たちは中へ進んだ。

 途中、私たちをナンパしてこようとする男たちを適当にあしらいながら中に入ると、そこには結構な客がいる。

 

「結構賑わってるねえ」

「この辺りは男と女の夜の取っ組み合いが盛んですから」

「言い方」

 

 中では、ちょっと扇情的な衣装のお姉さんが案内をしてくれて、露骨にシャロネはデレデレしていた。

 なおもしナンパを始めたらその場で見捨てて帰る、と私が宣言しているからか、ナンパはしていない。

 

「ドゥへへ、本番前なのにこりゃたまりませんね」

「なんだこいつ……っていうかシャロネって、娼館で女の人を買ったりしないの?」

「ぶふぅうううううううっ!」

 

 えっちなお姉さんからもらった飲み物を飲みながら、えっちなお姉さんをおかずにしているシャロネ。

 そんなシャロネに普段から気になってたことを聞いてみると、すごい反応をした。

 何もそこまでわかりやすい反応しなくても……

 

「じょじょじょ、女性にそんなふしだらなこと、できるわけありません!」

「おい待てェ、人に死ぬほどボディタッチしようとしておいて、それは通らんじゃろ!」

「お、お姉様が悪いんですう! ちょっと油断してるところとか、この人にならいいんじゃないかなと思ってしまう魔性っぷりがいけないんですうう!」

「最低なことしか言ってない!」

 

 最低なんだ、この子!

 でもなんでだろう、なぜか私の知り合いは皆シャロネに同情する気がしてならない。

 なんでだ、完全に被害者だろ私!

 

「そ、それよりもお姉様、始まります! 始まりますわ!」

「ぐう……いい感じに逃げおってぇ」

 

 流石に本番が始まったら観客の私たちは黙るべきだ。

 命拾いしたなあ、シャロネぇ。

 そんな憤りを、もらったドリンクで飲み込みつつ、開演を待つ。

 やがて会場全体が暗くなって、スポットライトが舞台を照らし始めた。

 

「ようこそおいでくださいました!」

 

 そんな司会の挨拶と、ありがちな口上。

 内容自体はありきたりだけど、会場の雰囲気といい挨拶といい、観客を期待させる演出が随所に見られる。

 こういうエンタメ的な部分は素直に参考になるな、と思った。

 そして、前振りが終わると一人の踊り子が舞台袖から登場する。

 

「彼女こそは我が劇場の至宝、麗しき金の姫、アルナラにございます!」

 

 出て来たのは、絹糸のような美しい金髪が特徴的な女性だった。

 背丈は私と同じか少し上くらいと小柄だけど、踊り子の扇状的な衣装から見えるボディラインは美しいの一言。

 思わず見入ってしまいそうな美女がそこにいた。

 

「ふおおおおおおおお! ……ん?」

「頼むから静かにしてるんだよお。って、どした」

「…………いえ、気のせい……でしょうか」

 

 何やら興奮状態だったシャロネが、考え込む素ぶりを見せる。

 しかしそんなこととは関係なしに、金髪の踊り子、アルナラはポールに手をかけた。

 

 そこからは、圧巻としか言いようのないパフォーマンスだった。

 

 たった一本のポールと、美しい女体。

 この場にあるのはそれだけである。

 しかし、踊り子はまるでそれが世界の全てであるかのように躍動した。

 軽やかな身のこなしで、艶やかな肢体を存分に観客へ見せつけていく。

 考えごとをしているというのもあるだろうが、それを食い入るようにみるシャロネの目は血走っていた。

 こわっ。

 

「ふす、ふす、ふす!」

「こわいよー。でもそれはそれとして、いいなあこれ」

 

 単純にダンスのレベルが高い。

 私もダンスはそれなりに嗜む方だけど、ここ数年本格的に踊ってないせいで、技術的には圧倒的に踊り子の方が上だ。

 純粋に感心してしまう実力だった。

 やがて演目が終わると、周囲から拍手が巻き起こる。

 私も思わずパチパチと拍手を踊っていた。

 なおシャロネは、

 

「…………ひぐっ」

「な、泣いてる……この子泣いてる! しかも鼻血流しながら!」

 

 みっともないので拭いてあげると、ずびびと鼻を啜りながらシャロネは言った。

 

「感動しました……女体って、こんなにすごかったんですのね……」

「そんなに……」

 

 あまりにも感動しすぎている。

 とか思っていたら、シャロネはとんでもないことを言い出した。

 

 

「ところであの踊り子さん、ルクスラさんですね」

 

 

 えっ。

 

「顔は隠蔽系の魔術で、髪も魔術で色を変えて誤魔化しておりますが、あのボディラインとバストのサイズ。私の目は誤魔化せません」

「…………きもっ」

 

 あ、やべ思わず本音が出た。

 なおシャロネは興奮した。

 こいつっ!!!!!




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