異世界でチート美少女になればやり直せると思ってたけど燃え尽きた   作:暁刀魚

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18 私……露出が趣味なんです

 ルクスラちゃんといえば、フェニハナの街のギルド受付嬢だ。

 ウェーブがかった黒髪と愛らしい顔立ちが特徴の、私よりは背が高いけどミニマムでお人形さんみたいな子。

 今どきの若い子って感じで、ちょっとゆるいところはあるけれど愛嬌がそれを補って余りあるほどにあふれているタイプ。

 ギルドでは彼女のことを密かに推しているファンも多く、若いながらに人気の受付嬢さんだ。

 そう、若いながらに。

 

「――ルクスラちゃんって、たしか16だよね?」

「ですね」

「………………こういうところで働いてちゃまずい年齢だよね?」

「…………ですね」

 

 まずもって、言うまでもなくポールダンスを披露する店はいかがわしい店だ。

 そんな店で十六歳の子が働くっていうのは、ちょっと外聞が悪い。

 別に悪いってことはないんだけど……娼館とかあるファンタジー世界だし。

 でも、普通に生活してる子がわざわざ十六でそういう仕事をするのはちょっとねぇ……みたいに言われる程度の倫理観もある。

 ようするに……

 

「……なんかあったら、まずいよね」

「なにかあったら……まずいですね」

 

 大人として、一級冒険者として。

 それが犯罪に関わる何かなら、私たちは見過ごすわけには行かない。

 いや私としては面倒って気持ちもあるんだけど、これを見て見ぬふりした時の私の罪悪感の方が面倒だ。

 というわけで、私たちはショーが終わった後、出待ちをすることにした。

 二人して隠密系の魔道具を身にまとい、そっとスタッフ用の出入り口を見張る。

 すると――

 

「おつかれさまでしたー」

 

 髪色を金髪に染めたままのルクスラちゃんが、スタッフ用出入り口からでてきた。

 人気のないところまでルクスラちゃんが移動するのを待って、声を掛ける。

 

「――ねぇ」

「はい!?」

 

 隠密を解除して、そっとルクスラちゃんの前に姿を見せると――

 

「…………」

「…………」

 

 沈黙。

 直後。

 

 

「いやあああああああああああああああっ!」

 

 

 あ、逃げた!

 待てぇ! 一級冒険者二人に勝てると思うなよ!

 あ、違うんです私たち不審者じゃなくって!

 

 

 ■

 

 

 それから、ちょっと一悶着あって兵士を呼ばれかけたものの、何とか誤魔化して――美少女無罪を勝ち取った――ルクスラちゃんと三人でとぼとぼとサンフラの街を歩く。

 ルクスラちゃんは見つかりたくなかったところを、よりにもよって私とシャロネというフェニハナ女子ツートップに見つかってしまった。

 私たちはそんなつもりなかったのに兵士を呼ばれて危うく御用になりかけた。

 そんな理由で、ちょっと三人はしょんぼりしていたのである。

 

「……思い返せば、シャロネさんが私に気付く可能性は考慮しておくべきでした」

「変態だもんね……ごめんね……うちのシャロネが……」

「ひんっ」

 

 興奮するな!

 

「とりあえず……無理やり働かされてるわけじゃないんだよね?」

「はい……というか無理を言って働かせてもらってるのは私の方で……」

 

 ショーのスタッフ達は、ルクスラちゃんが若いってことをちゃんと解ってるらしい。

 そのうえで、こうして髪色を変えて名前を変えて、顔を隠すことで働くことを許可してるんだとか。

 隠蔽の魔術とか髪色を変える魔術とか、ルクスラちゃんが使えるわけないんだけど、一座の人にかけてもらってるんだね。

 いかがわしい店だけど、結構しっかりしてるじゃん。

 ただまぁそれでもルクスラちゃんが働くのを許すのは、あのダンスの才能に魅入られてしまっているからなんだろうなあ。

 

「それにしても、本当にすごいねルクスラちゃんのダンス。私、あんなにすごいダンス見たの初めてだよ」

「ありがとうございます……ミツキさんって、ダンス詳しいんですか?」

「詳しいっていうか……まぁ基礎はある程度解るかな。自分でもちょっとは踊れるよ。ルクスラちゃんほどじゃないけどね」

 

 なんて話をしながら、このまま私の天翼でフェニハナに戻ろうか、という話になる。

 ルクスラちゃんは行き来に一日かかるフェニハナとサンフラをポールダンスのためだけに行き来してるもんだから、それがショートカットできるならかなり嬉しいみたいだ。

 そんな時、ふとさっきから黙っていたシャロネが口を開く。

 

「――――ところで、どうしてポールダンスをしようと思ったのですか?」

「っ!!」

「このままシャロネが黙ってたほうが、世界は平和になるんじゃないかなぁ」

「ひんっ」

 

 実に真剣な顔で、しかしどう考えてもろくな理由のなさそうな話題を掘り下げようとするシャロネ。

 思わず本音が飛び出してしまった。

 まぁ、シャロネが嬉しそうならいいか……いやよくないな。

 それはそれとして、シャロネの言葉にルクスラちゃんは足を止める。

 そして――覚悟を決めた様子で顔を上げ、私たちをみた。

 

 

「私……露出が趣味なんです」

 

 

「ふほっ!」

「やめい」

 

 突然のカミングアウト。

 シャロネは興奮した。

 私はシャロネをひっぱたいて、ルクスラちゃんから話を聞く。

 

「ええとつまり……脱ぎたいの?」

「はい! 今この場で服を全部脱いだらどうなるだろうって、考えたら興奮が止まりません!」

「脱いでください! 脱いでくださいましぐええええええ!」

「それでポールダンスを踊ることにしたわけだ」

「流石に男の人とまぐわいたいわけではないので……」

 

 まぐわう言うな。

 シャロネをヘッドロックしながら、私は続きを促す。

 

「そ、それで……?」

「その点、ポールダンスってすごいんですよ! 合法的に露出の激しい衣装が着れますし、人に見せつけることも出来るんです!」

「そっかぁ……」

「ポールダンスを踊るために、ダンスの練習を死ぬ気で頑張りました!」

 

 そっかぁ…………

 とはいえ、そういう目標はモチベーションの維持に最適だ。

 好きこそものの上手なれとは言うけれど、ルクスラちゃんはその典型だろう。

 

「ところで……ミツキさん! 折り入ってお願いがあるんです!」

「おおう……なんか滅茶苦茶熱意を感じるけど、何かな。嫌な予感ハチャメチャにするけど……何かな」

 

 まぁ、だいたい想像はつきますけど、一応聞きます。

 

「――私と一緒に、踊りませんか……ポールダンス!」

「ですよね」

「ダメに決まっておりますううううううう!」

「うおっ!?」

 

 ヘッドロックしていた患者が暴れ出した!

 なんだどうした急に。

 いつもだったら、大興奮でぜひ! っていい出すタイプだろシャロネ!

 

「そんな! そんなことしてしまったら、世界が滅びます! お姉様のあまりに美しいお姿に、世界が参ってしまいます!」

「これは放っておいていいからね」

「は、はぁ……」

 

 びっくりして損した。

 

「でもそうねぇ、ポールダンスかぁ」

「はい! ミツキさんってダンスできるんですよね? だったらちょっと練習すれば、ショーで披露するくらいはできると思います!」

「できるかできないかで言えば……まぁ、出来るんだろうけど……着るんだよね、あの衣装」

「はい!」

 

 うおお、めちゃくちゃ目が輝いている。

 ルクスラちゃんってこんなやる気にみちみちてる子だったんだ……

 

「特にその腰回りのくびれ! 私、ずっと目をつけてたんです。このくびれなら天下を取れるって!」

「大事なところ、くびれなんだ……」

「そうですよ! 一番えっちな部位ですよ!」

「それ、私情入りまくってるよね」

「それに――」

 

 ルクスラちゃんは、ぐいっと私に顔を寄せてきた。

 うお、怖い。

 とか思っていると――

 

 

「ミツキさんって、露出そんなに嫌いじゃないですよね」

 

 

 私は、一瞬息が詰まった。

 ドキっと、してしまったのだ。

 

「露出が嫌いな人が……ショーパンノースリ衣装を好んだりしません!」

「…………ま、まぁ。ちょっといけないことしてる気分になるから、この衣装なことは否めないけど……」

「お姉様、そんなこと考えてその衣装にしてらっしゃったんですか!? 犯罪ですよ!?」

「そうかなぁ!?」

「犯罪だと思います」

「そうなの!?」

 

 ええい、ルクスラちゃんは裏切るんじゃないよ!

 とはいえ、なんというか……あれだ。

 実際……ちょっと肌を見せる衣装を着ると……ドキドキしちゃうのは確か。

 それを指摘された私は……ずるずるとポールダンスで踊るのを了承してしまうのだった。




ゲームで女主人公がえっちだとなんかドキドキする……みたいな理論でショーパンノースリを着ているミツキです。
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